ドラゴン娘とハリー・ポッター 作:ゴールドルナ
なんと、皆さん。ついに来ました。あの伝説の三大魔法学校対抗試合が行われるらしいです。
いや、本当に。これが行われると知った瞬間から、胸がどきどきしてるんですよ。いや、瞬間からというか、生まれたときから憧れていた気もします。たぶん遺伝子に刻まれてるやつです。伝説って聞くとわくわくするじゃないですか。ねえ、しますよね?
大広間もですね、ものすごい盛り上がりなんですよ。みんなそわそわしてて、ざわざわしてて、誰もが呼吸しています。ええ、してました。すごいですよね。湖は水を揺蕩え、空は広く広がり、太陽からは直視できない光が放たれています。まるで、去年と同じような光景が偉大なるイベントを祝福しているかのようです。
いやー、来ましたね。運命の時が。
で、校長先生の話によるとですね、この三大魔法学校対抗試合っていうのは、かなり昔にやっていた、まあ率直に言うとヤバい催しらしいんですよ。死人も出るし危険だしで、一回中止されてたくらいの。
つまり、そんじゃそこらの軟弱者には務まらないということです。
……ねえ。
これ、もう私に出ろって言ってるようなものでは?
いや、だって条件ぴったりじゃないですか。危険、過酷、高い身体能力。ほら、全部当てはまってますよね。しかも優勝したら絶対人気者です。ここで何かしら派手に活躍すれば、去年から流れているラシアンナは怖いみたいな意味不明な噂も払拭されるに違いありません。
ねえ、皆さんもそう思いますよね?
……え?
間違いなくなくなるって、そう、その通り、流石は私です。これはもう出るしかありません。
ちなみに、この三大魔法学校対抗試合っていうのは、ホグワーツ以外にも学校が来るらしいです。なんか、おしゃれな名前の学校と、あと北のほうから来る、うんとかそんな感じの名前の学校です。難しいですよね外国語。
で、そのおしゃれ学校のほうなんですけど。
これがまたすごかったんですよ。
なんと、ペガサスに引かれた馬車で来たんです。
いや、かっこよくないですか?
みなさん知ってます?ペガサス。
ユニコーンほどではないですけど、結構おいしいんですよ。飛ぶ生き物って筋肉が締まってるので、噛み応えがあるんです。特に脚まわりが良い感じで。まあユニコーンみたいな神秘的な甘みはないですけど、普通に良質なお肉寄りですね。
なので、ちょっと期待しています。試合内容にペガサス狩りとかないですかね?あると嬉しいんですけど。ねえ、どう思います?
ちなみに、もう片方の学校は船で来ました。
巨大な船です。湖から出てきました。……船って食べられないんですよね。なので、ノーせんきゅーです。
あと面白いのがですね、おしゃれ学校のほう、女の子がめちゃくちゃ多いんですよ。なんか全体的にきらきらしてて、いい匂いがして、歩くだけで周囲の空気が整ってる感じです。
船のほうにいるクラムっていうのが、なんとワールドカップで負けた人らしいんですよ。それでも人気があるとか、よく分からないですよね。いや、勝ったなら分かるんですよ。英雄ですし。でも負けたのに人気って、どういう理屈なんですかね。顔?雰囲気?ねえ、皆さん分かります?私はよく分かりません。
まあ、ロンが天才って言ってたので、多分そうなんでしょう。ロン、クィディッチの話になると急に詳しくなりますし。普段はだいぶあれなのに。
そうそう、それでですね。ここからが大事なんですけど。
私の杖って、クソデカいんですよ。
いや本当に。
普通の人の杖ってもっとこう、細くて軽くて、さっと取り出してぴしっと構える感じじゃないですか。でも私のやつ、長いし太いし重いんです。初めて見た人、大体一回固まりますからね。それ杖なの?みたいな顔しますし。
で、正直ちょっと恥ずかしかったんですよ。
いやだって、みんな普通サイズなのに私だけ明らかに武器みたいなんですもん。しかもロンとか、そんなでかいの必要なのかみたいなこと言ってきますし。失礼ですよね。必要だからこうなってるんです。
ところがですよなんと船学校の人たち。クソデカい杖を持ってるんです。
いやーーー。来ましたね、私の理解者。
そう、あの人たち、分かってるんですよ。
杖っていうのはですね、魔力を流す道具なんです。で、魔力っていうのは強ければ強いほど流量も必要になるじゃないですか。つまり、大きい方が強い。単純明快です。ねえ、合理的でしょう?
なのにホグワーツの人たちときたら、細い棒切れみたいなのを振り回して扱いやすさがとか繊細な制御がとか言ってるんですよ。違うんですよ。火力です。まず必要なのは。
完全に同じ思想です。
クィディッチの凄腕君――クラムといい、杖の作りといい、あの学校は絶対まず強く殴れることを重視してます。分かりますよ。握った瞬間に伝わってきます。あっ、こいつら、折れないし燃えるし重いのが好きなんだなって。それに、なんか火も吹いてました。
分かったかね、ロン君。これが強者の世界です。
そうそう、ところで、その試合って結局なんなんですかね。いや、伝統だとか名誉だとかは分かるんですけど、具体的に何するんですかって話ですよ。校長先生たちはやたら重々しい顔で永久の栄光とか言ってましたし、なんかすごそうな感じではあるんですけど。永久ですよ?永久。そんな長持ちする栄光、ちょっと欲しくないですか?ねえ、欲しいですよね。
で、説明によると、三つの課題があるらしいんですよ。課題。ここだけ聞くと嫌な予感しかしませんよね。私、最初超長いレポートを三本提出とかそういうのかと思ってちょっと震えましたもん。いや、あれが一番危険ですよ。精神的に。間違いなくハーマイオニーが優勝しますし。あの人、レポートになると急に殺気立ちますからね。
でも安心してください。幸いなことに危険らしいです。
いやー、良かった。ほんとに良かった。
危険なら私にも勝機があります。火を吹けば解決する可能性がありますし。レポートだと火を吹いた瞬間に減点ですからね。理不尽ですよ。
そうそう、それでですね。
参加する人は炎のゴブレットっていうのが決めるらしいです。
いや、名前からして嫌な予感しかしないですよね。
あ、ちなみに言っときますけど、ゴブレットっていうのはゴブリンの親戚ではありません。最初ちょっと期待したんですけど違いました。どちらかというとコップの親戚です。
そうです。くそ帽子に続いて。今回はくそコップの登場というわけです。
いやほんと、この学校、なんで意思を持った物体好きなんですかね。帽子といい鏡といい日記といい、喋るもの多すぎません?落ち着いてほしいです。いや、コップはしゃべらないのかな?まあいいや。
で、その炎のゴブレットなんですけど、見た目としては炎がついてるコップです。本当にそのままです。青い火がぼうぼう燃えてて、その中に名前を書いた紙を入れると立候補扱いになるらしいんですよ。
……いや。
自己申告制なんですね。もっとこう、神秘的に勝手に選ばれる感じかと思ってました。でもまあ、燃えてるコップに名前を食べさせるっていうのは、それはそれで格好いいです。ちょっと好きです。
ちなみに、なんか年齢制限があるみたいで、小さい子は駄目らしいです。何歳だったか忘れましたけど、安全のためだとかなんとか。
……安全。
いや、死人が出る危険な大会なんですよね?今さらそこだけ安全気にするんですか?
まあいいです。
少なくとも、私にはあんまり関係ない気がしますし。私以上に危険に強いタイプも少ないですからね。
高評価ってのをしてくれると、多分くそコップも私の力に恐れおののくはずです。ぜひ私をほめたたえましょう!