ドラゴン娘とハリー・ポッター 作:ゴールドルナ
皆さんどうもこんにちは!!
扉を無理やり開けようとして怒られました。ラシアンナです。
いやー、私のコミュ障がこんなところで火を噴くとはね。
まあまあ、私のことが気になって仕方がないのは分かりますけど、まずは私のホグワーツ戦記を聞いてください。順を追ったほうが皆さんにも状況が分かりやすいと思いますので。
いやあ、意外といいんですよ、スリザリン。
あの帽子野郎に押し売りされて寮を決めたときはお腹が空いてたせいもあって半分パニックでしたけど、後から漏れ聞こえた話だと「そのとき怖かった」って印象があったみたいです。
でもですよ、その後、同じ部屋になった子たちとちゃんと挨拶できたんです! これはもう友達認定でいいですよね。完全に私の努力の成果。帽子野郎は相変わらず帽子野郎のままですけど。
ドラコ以外からは、最初ほど怖がられている感じも薄れてきました。
特に決定打になったのが、初授業の日。私が守護霊を出したんですよ。これが大ウケでした。意外とみんな守護霊って普段使わないみたいで、珍しかったみたいなんです。
ホグワーツの校舎って無茶苦茶で、わざと迷わせたり意地悪したりしてくるんですよ。だから守護霊ちゃんに道案内を頼んでいたら、自然とほかの子たちもついてくるようになって――気づいたら頭をなでられたりしました。これ、完全に受け入れられた合図ですよね。
スリザリン、皆友達状態です。やったね。
特に女の子からの受けは抜群。なんかで読んだことがあります。これが「ハーレム」ってやつです。ハーレム。皆さん、残念でしたね。私は一抜けですよ!
とはいえ、守護霊ちゃんも万能じゃありませんでした。
こないだのスネイプ先生の魔法薬学の授業。たしかニキビが治る薬だったかな。私は絶対うまく作れないので守護霊ちゃんに任せたんですよ。絶対守護霊ちゃんの方が器用ですからね。安心の守護霊ちゃんブランド。
……そしたら、スネイプ先生、一瞬驚いた後にめっちゃ怒りました。
怖かったので「代わりに守護霊ちゃんに怒られてもらおう」と思って前に出してみたんですが――余計に怒られました。はい、完全に逆効果でした。
ああ、そういえばスネイプ先生って、やたらハリーに話しかけてました。ちょっと嫌な感じではありますけど、私と同じで友達作りが下手なだけかもしれません。たぶん普段ボッチです。私が言うんだから間違いないです。
そんなこんなで、私は数日でホグワーツ生活に慣れてきました。
……が、ちょっと困った問題が発生したんです。
ほら、皆さん知ってますよね。私ってちょっとだけ食いしん坊じゃないですか。
ホグワーツって食事は出るんですけど、私には少し足りないんです。いつもあともう一皿ほしい感じ。だけど、友達に「ちょうだい」とは言いづらいし、どこに行けば追加がもらえるのかも分からない。
そんなわけで私は守護霊ちゃんに頼んで、「ご飯がありそうな場所」を探してもらうことにしました。
正直、うまくいかないだろうなって思ってたんです。でも――さすが守護霊ちゃん。見つけてきたんですよ!
どうやらホグワーツの厨房?料理作っているところを発見したらしく、正確な場所までは分からないけれど入口っぽい場所を教えてくれました。まあ、そこには入れれば食材のままかもですけど食べ放題ですからね。
その入口というのが、梨の絵が描かれた不思議な扉でした。
皆さん、意味わかります? 私も最初は「???」でしたけど、ホグワーツではこういうのがよくあるらしいです。――絵がそのまま扉になっているパターン。
でもこれが開かないんですよ。取っ手もないし、開け方もわからない。
守護霊ちゃんは「誰かが出入りしていた」と身振りで報告してくれたので、絶対入れるはずなんですけど……私には開けられない。
お腹はすくし、扉は開かないし、そろそろ我慢の限界です。
でも、ドラゴンになるわけにはいきません。
お母さんから「学校で狩りや破壊はダメ!」と何度も釘を刺されていますから。
実家は建て付けが悪く、私はよく扉を蹴破っていました。城全体が歪んでいたので。ええ、想像通りの理由です。
でもここはホグワーツ。火球で吹き飛ばしたら確実に問題になります。
……ただ、今の私は魔法を習っている身!
これ、チャンスでは? 授業って結構、繊細な動きが求められるんですよ。杖を少し傾けすぎただけで魔力が暴れてしまうし、詠唱の抑揚ひとつで効果が変わったりして。だからいつもは細かい調整が必要で大苦戦なんですけど――今回は違います。
だって相手はただの、建付けの悪い開かない扉! しかも厨房の入口。壊れたら壊れたでむしろ好都合じゃないですか。遠慮なく撃っていいんです。やりたい放題。
これはもうチャンスですよ。授業ではできない大出力魔法の実験タイム。
いやー、私って天才ですよね。こういうときの閃き、最高。皆さんも私をほめたたえることを許してあげますよ。
というわけで、せっかくなので思いっきり撃ってみることにしました。
でも危ない魔法は使いません。さすがに火球や爆破系をぶっ放したら後々大問題になるのは分かっています。選んだのは「フリペンド」。ちょっと物を吹っ飛ばすくらいの衝撃波を飛ばすだけの、比較的安全な魔法です。
火事にもならないし、誰かがうっかり近くを通っても命までは取らない。こういうときにぴったりですよね。
しかも私、最近ひとつスキルを身につけたんです。
そう、同じ呪文を連射できるようになったんです!
おしゃべり苦手な私が毎回「フリペンド! フリペンド! フリペンド!」といちいち唱えるのが面倒すぎて練習した結果、詠唱のリズムを省略しても撃てるようになりました。天才では? 自画自賛してもいいやつでは?
ということで――
全力を込めてフリペンドを連射!!!
……のはずだったんですが。
えーっと、まあ、杖の先端からまっすぐ出るように構えていたんですよ。最初の一発目はいい感じでした。けどね、フリペンドって地味に反動があるんですよ。思ったより強い衝撃が腕に返ってきて、撃つたびに手首が少しずつズレていくんです。
「おっと、でもこのくらいなら大丈夫かな?」なんて思っているうちに、軌道がだんだんと怪しくなっていって
はい、結果:フリペンド乱射事件です。
本来は一点集中でドーン! と開けたかったのに、弾道がズレまくって、あたり一帯に魔力の衝撃波が乱れ飛ぶことになりました。
バンッ! ドンッ! バシュッ! とかもう、花火大会みたいな音。
飛び散った衝撃で、周りの壁の飾りやランプが吹っ飛んでいくし、通りかかったしもべ妖精さんが耳を押さえて逃げていくのまで見えました。……いやほんとごめん。
しかも悪いことに――
厨房の入口って、大広間のちょうど真下あたりにあるんですよ。
つまり、私が撃ち込んだ衝撃は床や天井を通して真上の大広間にまで響いてしまったんです。最初は気づきませんでしたけど、後から聞いた話では「床がドンッと揺れて、次の瞬間にバキッと音がして、一部が抜け落ちた」そうで。
ええ、見事に大広間の床の一角に穴が開きました。やっちゃいました。
私はというと、そんな惨事になっていることなど知らず、厨房でしもべ妖精さんたちに歓待されながらのんきにご飯を食べていました。まあ、あのくらいの破壊って私の中では別にOKだと思ってたってのはいいわけです。はい。現実逃避ってやつです。
妖精さんたちは優しくて、テキパキ動いては私の皿に次から次へと美味しそうな料理を盛ってくれるんです。いやー、しあわせ。天国。
……が、幸せタイムは長くは続きませんでした。
見覚えのある先生らしき人たちが立っていました。はい、取り押さえられました。
あの瞬間の空気といったら……胃の中のご飯が全部消えるかと思いましたね。
その後はもちろん、こっぴどく怒られました。お母さんにも連絡がいきそうで、今から手紙が届くのが怖くてたまりません。絶対怒られるやつ。
……でも!
結果として、ご飯はちゃんと増やしてくれることになりました。
「この子は特別に多めに用意してあげたほうが安全」という判断らしいです。うん、褒められてはいないけど、これはこれで成果……なのかな? いや、怒られたから失敗か……うーん、判断が難しいですね。