レゼ「愛の力だあああああ!」   作:ガテル

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第3話

 

「オムライスとナポリタンとカレーにぃ、ミックスサンドとピザトーストォ。そんで飲み物はメロンクリームソーダ、あとデザートはアイスとプリンアラモード―――最強の昼飯ができちまったぜ~」

 

「デンジ君は沢山食べますね~!どう?ここの料理は美味しい?」

 

「めちゃくちゃウマい!これが全部タダなんてマジで最高かよ、サンキューな!」

 

「……レゼ君、この分は君の給料から引いとくって事でいいかな?」

 

「ケチケチケチケチ」

 

「バイトの子にいきなり全メニューをタダにされたマスターの気持ちを少しは考えてね!?」

 

 

モーニングにしか客なんて来なくて、それ以外のときは営業時間中でも店員がテーブルでうなだれてても問題ないぐらいの店なんだから別にいいと思う。それにしても、ここの料理の味はどれもヒドいのに彼は本当に美味しそうに食べていて……まぁそんなのはどうでもいい、色々あったけど私はようやくデンジ君を二道に連れてこれたんだ。ここからは事前に考えたプラン通りに、笑いかけたり肩を触ったり思わせぶりな発言で自分に好意があると示す。チョロい彼なら簡単に騙されてくれるはず。

 

ただ問題があるとすれば。

 

 

「なぁレゼ、何かずっとモジモジしてっけどトイレでも行きてぇのか?」

 

 

……私がそれを実行できないという事、さっきから彼の肩に触れようと手を伸ばすんだけど届きそうな所で何故かその手を引っ込めてしまう。自分でもどうしてか全然分からなくて困っていたけど、ついに本人にも気づかれてしまった。

 

 

「もう、そういう事を女の子に直球聞いちゃうのはちょっとデリカシーがないと思うな?嫌われる原因ですよ~?」

 

「マジで!?女に嫌われたくねぇし、まともな心があるオレは今から気を付けるぜ―――んで何でレゼはモジモジしてたんだ?」

 

 

もう既に発言が矛盾してるよ?

 

まさか正直に言える訳もなく、私はデンジ君への適当なごまかしを考えていると彼は何かピンと来たようにその顔を明るくさせた。

 

 

「分かっちまった……もしかしてレゼも飯食べたいんだろ!本当は欲しいけど恥ずかしくて言えねぇからモジモジしてたんだな、タダにしてくれたんのはレゼだし全然オレのも食っていいぜ」

 

「私は別にい「オムライスとか食べっか?」……た、食べますよ~!私実はオムライス大好きなんだぜ~?」

 

 

そう言って彼はスプーンを私に向けてきた、食べさせてあげるって意味なのかな。そういうのは私がやるつもりだったんだけど、それにこういうのデンジ君なら少しは照れると思ってたのに……まるで子供に食べさせる親のような雰囲気を醸し出している。

 

これ断ったら印象が悪くなっちゃうし、そもそも断る理由も特にないから私は彼が向けてきたスプーンに顔を近づけて、間近でこのスプーンはデンジ君が口付けた物なんだとふと思うと―――

 

 

「いらないよ」

 

「あ?さっきオムライス大好きって言ってなかった」

 

「……言ってない、私オムライスは嫌いかな」

 

「コワ~……」

 

 

こういう馬鹿っぽいワードで表すのは正直嫌だけど、これを食べたら間接キスに―――何でそう考えるとためらっちゃうんだろ。彼は私の虚言に思わずスプーンを引いて困惑している様子で、しかし少しすると自分の体ごとスプーンを再度私の口元に近づけてきた。

 

 

「……デンジ君?」

 

「好き嫌いは食材に失礼だぜ、パワーも野菜とかすぐ残すし。てか……何かレゼってますますパワーみてぇだな!」

 

 

何故か凄まじく屈辱に感じたので、私は勢いに身を任せてスプーンを口に入れた。前に食べたときはまずいと思ったのに、2度目のオムライスは頭に雑音がいっぱいで味が全く分からなかった。

 

 

「うめぇだろ?」

 

「……美味しいでーす!」

 

 

そっぽを向きながら私が答えると。

 

 

「食うだけアイツよりマシじゃん、アイツは皿ごとぶん投げるからよォ。やっぱ飯は大事だな、それがないと人は生きてらんねぇんだし―――だから偉いと思うぜ、まぁ子供な事には変わりねぇけど!ギャハハ!」

 

 

……からかわれるの腹立つ、でもここでムキになって言い返す訳にはいかない。だって私は彼を堕とすのだから―――改めて自分の中でスイッチが入ったのを感じた、そうだ。今この瞬間も決してごっこじゃない、列記とした自らの存在をかけた任務の最中だ。

 

もう大丈夫、訓練通りに全てを偽れる。まずはその相手に自分が特別に思われていると認識させるため、会話を上手く運んで最後に「デンジ君みたいな面白い人、初めて」と頬を赤らめながら伝えればきっとかなり効くはず。

 

―――プラン通りに。

 

 

「最初にお前を見たときに感じた印象と中身が全然ちげぇっつか、結構意外だわ。オレが出会ってきた女にはいないタイプなんだよなぁ―――レゼっておもしれーな!」

 

 

……プラン、通りに。

 

 

 

 

 

 

「まさか本当に全部食べ切るとはね、彼にはビックリだよ……ってレゼ君?そんなうなだれてどうしたんだい。顔も真っ赤じゃないか」

 

「……」

 

 

料理が気に入ったらしく、明日も来るって言ってくれたのは良かった。でもそれ以外の全てが、本当に……

 

 

「―――何も上手くいかない!!」

 

「うわ、急に大声出したね」

 




恋愛ヨワヨワなレゼVSパワー枠で認識しちゃったせいで何か対応がお兄ちゃんなデンジ

ここから2人の心情がどう変化していくのか…お楽しみに!
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