レゼ「愛の力だあああああ!」   作:ガテル

4 / 9
第4話

 

「―――今日も昼食いきた!」

 

「デンジ君のご来店だ!ヘイヘイマスター!彼が昼時唯一のお客様なんだしさ、今日もメニュータダにしてあげてくださいよ~」

 

「売上が赤字になっちゃうからダメだよ?」

 

「今も赤字なくせにですか~?」

 

「い、痛い所を突くね……」

 

 

デンジ君が所属しているデビルハンター東京本部近くの喫茶店二道、事前にプランを練った結果彼に接近し交友関係を持つならここが最も相応しいと私は判断した。何故ならバイト中の学生として振舞えば怪しまれないし、それに客足が殆どないのも公安連中と顔を合わせる可能性が低いから良いと思う。ただ、見れば分かる通りの赤字店で雇ってもらえるかは分からなかったけど……給料少な目でもいいからと必死に頼み込んだ結果OKしてもらえた。

 

 

「昨日食ったモンはどれもウマかったけど、特にオムライスは最高だったな……決めた!今日もオムライスにするぜ!」

 

「ココのオムライスってリピートするほど美味しくないでしょ」

 

「ウマいよ?てかレゼも昨日食べたとき美味しいって言ってたじゃねぇか」

 

「……まぁ、そうですけど」

 

 

そうだ、私は昨日デンジ君からオムライスを食べさせられたんだ。あのスプーン、間接キ―――最悪。あの瞬間を思い出すと何故か顔が熱を帯びちゃって、それが嫌だから思い出さないようにしてたのに。それだけじゃない、電話ボックスで頭に手を当てられた事や私が言うつもりだった「面白い」って言葉をデンジ君に先に言われてしまったのだって失敗以外の何ものでもない。だから私は彼が店から出て行った後に誓った。

 

もう動揺しない、そう強く決意して……今までは所詮お遊びみたいなものだよデンジ君。ここからは私の戦いってやつを教えてあげる。

 

 

「―――こっちの机で食べないですかお客様~」

 

「いーよ、レゼは学生だから勉強中だろ?」

 

「別にキミが近くにいても勉強に支障は出ないよ、だからほらほら~!」

 

「オレんは一度も学校に行った経験がねぇ、だから勉強の事とか何も分かんねーけどさ。まぁやれるんならやった方がいいと思うぜ、前に職場の先輩もオレが義務教育受けてないの知って驚いてたからなァ?レゼはちゃんと勉強頑張れよ」

 

 

そう言ってデンジ君は、再度メニュー表を開き食後のデザートを何にするか楽しそうに見始めていた。私は家族ってのを知らないからよく分からない、でもそんな私でも今の彼の表情からは何か妹や弟に向けるような親愛の情を感じて―――だから何でこうなっちゃうのかなぁ!?

 

昨日のスプーンのときもデンジ君はこんな感じだった、これでは同じ事の繰り返しだ。

 

 

「ちょっと失礼しますよ~!!」

 

「おい!何か押す力強くねぇか!?」

 

「デンジ君の気のせいでーす!」

 

 

私は強引につめる形でデンジ君の横に座り込んだ、変にイライラするぐらいなら最初からこうすればよかったと色々後悔しつつも……彼の横顔が近くてそれらの思考は上手く纏まってくれない。

 

頭の雑念を取っ払うためにも机に教科書とノートを広げた。

 

 

「数学や英語とか色々教科はあるけど、もし学校通えるならデンジ君は何勉強したい?」

 

 

私も学校なんて一度も通った経験ないから何様のつもりなんだと自分でも思う、でもそんなの今更すぎてもはやどうでもいい。私は全て偽りの上に成り立っているのだから。

 

私の質問に対してデンジ君は頭を少し悩ませた後。

 

 

「……漢字は読めるようになりたいかな」

 

「漢字読めないの!?じゃ教えてあげる!」

 

 

薄々分かってきた事が一つある、それは―――どうやらデンジ君は私を女として見ていない。このままでは明らかにまずい。

 

だからまずは彼に私の性別を少しは意識させなければ……何かスタートからゴールまでが凄まじく遠い気がする。

 

 

「問題!これはなんと読むでしょう?」

 

「キンタマだろエロ女!」

 

「……デ、デンジ君のエロ男、変態」

 

「エエ~!?問題出したのレゼじゃねぇか!」

 

 

デンジ君の口から金玉というワードを聞くと、心の中からムズムズと羞恥心のような何かが沸き上がってきて―――またもや進まなくなりそうになったので、その前に勢いのまま彼にあの提案を持ち掛ける事にした。

 

 

「デンジ君、学校に行ってみたくな「別んに」行きたいよね??」

 

「コワ~……まぁいいけどよ?学校一度も行った事ねぇし、よく考えてみれば一緒なんがレゼみてぇなおもしれー女なら楽しそうだな」

 

「じゃあ行っちゃいますか?夜の学校探検」

 

「お~!何かワクワクするぜ~!」

 

 

ノリがもはや遠足と化してるけど……ここなら絶対にデンジ君を堕とせる確証があって、そもそも学校に行く理由は一つ―――夜のプールで私の裸を見せる。全くプラン通りにいかない変な事態になってるけど、人間にとって性欲というのは三大欲求のうちの一つだ。最大の武器で己の身を滅ぼす最悪の弱点でもある。

 

どうして私を女として見れないのかはよく分からない、でも決意通りにそこでケリを付けさせてもらうよ。

 

 

「学校っつうとプールとかあるのか?」

 

「もちろんありますよ~一緒に泳ごうぜ~!」

 

 

余裕なのも今のうち、デンジ君が私の裸を見て動揺する光景が目に浮かぶよ。まぁ当然君も裸だけどね―――あれ?デンジ君も裸なんだ?

 

 

「ちょっと待てよ、そういやプール入るなら水着とか必要なんじゃね」

 

 

デンジ君も裸、デンジ君の裸……

 

 

「レゼ?何かぼーっとしてっけどどうしたんだよ」

 

「……デンジ君」

 

「あ?」

 

「―――当日は水着着用だよ、ちゃんと持ってきてね」

 

「分かったぜ!プール楽しみだなァ!」

 

 

まぁプールはちゃんと水着で入らないとダメかな、だってそれが決まりだから。

 

……決まりだから。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。