レゼ「愛の力だあああああ!」   作:ガテル

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第5話

 

「―――デンジ君怖くないの?」

 

「別に怖くねぇな、オレは暗い所とか慣れてるからよ」

 

「へぇ~!それは頼もしいね!」

 

 

初対面、頭に手を当てられる、虚言、間接キ―――最後のは何があろうが絶対認めない。

 

……とにかく、私のプランは最初からズレにズレて現状めちゃくちゃな状態になっている。2日前に何とか彼を学校へ誘う事ができたから、今は夜の学校内を2人で歩いているけど本命だったプールで私の裸を見せる流れ。これは私を何故か女として見ていないデンジ君に認識を改めさせる絶好の機会だと思っていたし、再認識どころか一気にケリを付けれる自信まであった。それなのに。

 

 

水着着用って、ホント私何言ってんだろ

 

 

横を歩いている彼に聞こえないよう小声でボソッと呟き―――私達が今からやろうとしてるのってただの子供の遊びだよね?夜の学校に忍び込み、水着を着てプールで楽しく遊ぶ。字面に起こすとヤンチャな小学生の悪遊びでしかなくて、今まで以上の脱線具合に思わず頭を抱えたくなる。デンジ君は楽しそうに鼻歌歌ってるしさ、何かもう悲しくなってきちゃうんだけど……いや諦めちゃダメだ。水着着用になったからって肌を見せる事実には変わりない、そこで上手く行動すればチョロいデンジ君を堕とすのなんて簡単なはず。具体的に言うと表向きは彼を包み込むようにリードする形でその実こちらへ引きずりこまれていく、その様はまさしく罠。

 

元よりこの任務はハニートラップなんだ、頬を赤らめる以外だって訓練で色々得た知識はある。デンジ君、どうやらキミは私を何か面白い挙動する女だとでも思ってるみたいだけど―――その油断が命取りになるよ。

 

 

「暗い所とか私は少し怖いかな、だから手繋いでいい?」

 

「ギャハハ!レゼは怖がりなんだなァ、まぁいいぜ!ほら!」

 

 

ここで彼が照れないのはもう予測済み、私だって学習してるんだよ。でも本番はこれからだから、ただ手を繋ぐだけじゃなくて指を絡めるように握る。その細かだけど心の奥底からジワジワと感情を湧き立たせるような……今までのお遊びは終わり。

 

ここからは私の本気タイムかな。

 

 

「こうやって指先まで触れるとよく分かるよ、私とデンジ君の違いがね―――キミもちゃんと男の子なんだぁ。この感触クセになっちゃいそう」

 

「そうか?野郎のゴツゴツした手なんて何も面白くねぇと思うけどな、それよりレゼの手はめっちゃスベスベしてて気持ちいいぜ」

 

「うっ!?そそ、そんな卑屈にならなくていいと思いますけどね~?デンジ君の手はホント最高ですよ~!どこか良いか具体的に言うと、その……えっと」

 

「どうやったらこんなスベスベになんだ?マジですげぇなぁ」

 

「……ごめんねデンジ君、そんなにベタベタ触られるとくすぐったいかな」

 

「あ、わりぃ」

 

 

そう言うとデンジ君は手を離してくれて、良かった。このまま彼に握られていたら何か変な気持ちになる所だっ―――いや違うよね?どうして私の手を褒めただけで終わってるの??

 

い、今のは無しだよ……こ、ここからが私の本気タイムかな。

 

 

 

 

「―――それじゃ次の問題!この英語はなんと読むでしょう!」

 

「ハイ!知らねえ!」

 

「分からないキミにヒントをあげる、このBigassのBigは大きいって意味です。そしてassは女性のとある部分を指します」

 

「大きい、女のとある部分……分かった!答えはデカケツ!合ってんだろ!?」

 

「女の子にこの答えを言わせようとするなんて……デンジ君のエッチ」

 

「レゼせんせーめちゃくちゃすぎね?」

 

 

う、うるさいよ……3年の教室に入り授業まがいな行為を行っていた私達、学校にいる時点で私にとってはおかしな話だけどこんな事をしているなら尚更複雑そのものだった。対照的にデンジ君は凄く楽しそうにしていて、私と彼の境遇は似ているのにこの差は一体何なのか?

 

しかしその疑問についての答えは私の中ですぐに出た、デンジ君の態度を見ていれば一目瞭然。彼はただ―――自らが置かれた状況の異常性を理解してないだけ、そうやって生きているんだ。それが間違っているとは言わない、何故なら不幸だと理解するのは苦しくて耐え切れなくなるから自覚しない方が幸せでもある。

 

 

「16歳ってまだ全然子供だよ?普通は勉強に部活に友達に……でもデンジ君は悪魔を殺したり殺されそうになってる」

 

 

私は。

 

 

「今いる公安っていう場所は本当に良い場所なの?」

 

「まあ凄えいいトコだぜ?1日3回食えるし、布団で寝れるし」

 

 

私は何様の。

 

 

「それって日本人として最低限の……当たり前の事だよ」

 

 

私は何様のつもりなんだろう―――自分で言ってて心底嫌気が指した。

 

 

 

 

 

「冷た~い!」

 

「ついにプール来ちまった!でもオレあんま泳げないんだよなァ、どうすりゃいいかな?」

 

「じゃあ泳ぎ方教えてあげるよ、この私に任せなさーい!」

 

「うおおおおお!レゼせんせー!!」

 

 

何か先生呼びが定着しちゃってる……嫌になるような湿っぽい話も終わり、ついに私達は今日の本命となるプールに来た。手繋ぎ、英語問題、どれも所詮はリハーサルのようなもの。私の本気タイム(3回目)はここからかな。

 

キミはもう逃げられないよ。

 

 

「じゃあ持ってきた水着に着替えようか……と、当然それぞれ更衣室で着替えるからね」

 

「あ?オレんは更衣室に行く必要はないぜ、実は今日パンツの代わりに水着履いてきてっからな~つまり後はズボン脱ぐだけってワケよ。ほらこうやってさ―――アッやべ」

 

「えっ」

 

 

勢いがよかったせいか、デンジ君はズボンと一緒に水着までズリ下げてしまい……

 

 

「デンジ君!?下!水着も一緒に脱げちゃってますよ!?」

 

「まぁ暗くて見えねぇしよ……問題ないぜ!」

 

「―――ババ、バーカ!デンジ君のバーカ!」

 

 

デンジ君は暗くて見えないとか言ってるけどね?普通に全部がみみっ、みえ……見えてるよ?

 

 

 

 

 





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