アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア
薄暗い牢獄の中で目を覚ました瞬間に私は塔に連れて行かれた。そこで戦争がおきた事に気が付いた。いつもの事だった。戦争がおき、劣勢になると私は目覚めさせられる。
そんな事をされるがままになりながら思ったが、無気力な心がどうでもよいと感じていた。私は兵器だからまた戦争が終われば薄暗い牢獄の中へ戻される。ただ、それだけだと思って。
そんな事を思っていると塔の最上階に連れて行かれ、鎖につながれた後に塔の呪式と繋がれた。
その様子は周りに居るみんなが慌てており、攻撃が近い事を思わせた。
暫くすると砲撃が始まり敵軍の総攻撃が始まった。砲撃が私の
私も今さらうめき声も立てずにボーとしている。そんな中で砲撃が止んだ瞬間にパリン、パリンという何かが割れる音が聞こえてきた。それにみんな動揺している。私もこんなこと初めてだ。
暫くすると天井に何かが激突し、何かが突き抜けて来た。私から少し離れた位置に落下して轟音をたてながら止まった。その際に粉塵が舞った為に何が落ちてきたかわからない。
「イタ、もう少し上手くやってくれたらいいのに」
粉塵の中から聞こえてくるのは少年の声だった。どうやら、誰か別の人が転移に失敗したようだ。
そして、黒い服に黒いマントを羽織り、首に金色の大きい懐中時計をかけ、蛇、人、樹、炎の形にそれぞれ加工された翡翠の腕輪を合計四つ付けた珍妙な格好をした少年が立っていました。何とも残念な格好だと思った。時計は少年の体には大きすぎ、翡翠の腕輪にも言える事ではあるのだが。そして、腕輪は大きすぎる上に数が多く左手にしているので前腕のほとんどを占めているのでおかしい。何となくちぐはぐな格好になっていた。
そんな少年と私の目が合うと彼は困った顔になった。それがおかしく感じた。何でだろう。
そんな少年が何も持っていなかったはずの右手にいつの間にか杖が握られていた。その杖をタクトの様に振るうと魔方陣が描かれて、何かの魔法が発動した。無駄な事なのにと思うと不思議な事が起きた。私が受け入れないと効かないはずの魔法が効き、痛みが無くなり、口から出ていた血が止まった。
あり得ない事態に私は混乱した。この人は何なんだろう。
そんな事を思っていると私に近づいて来て、頭を撫でてくれた。
「ここでは落ち着いて治療できません。戦闘を止めますから別の場所で治療しましょう」
と言ってきた。その様子に状況についていけなかった周りの人が不味いと思い1人近づいて来た。
「何を言っているんだ!媛御子から離れろ!!」
「うるさいですよ、クズ。私は彼女と話しているのです。それに、こんな幼子に何てことするんですか?道理もわきまえないクズが」
「なっ!いい加減にしろこの「うるさいといっているんです!言葉がわかりませんか?愚か者!」グァァァァァァァ!!!!!!!!!」
そう言うと指先を向けると轟音が鳴り、近づいて来た男が吹き飛ばされ壁を貫いて外に吹き飛ばされました。
「もう少しの辛抱です」
そう言うと外を睨み付けるように見たその横顔は凛々しかった。
それが私が初めて覚えていたいと思った記憶。私が初めて興味を持った人の記憶。神殺しと媛御子の記憶だった。
神樂神薙
少女の様子を見ていたのですが、体は何やら薬を使われており、成長を阻害されているようでした。また、鎖と魔方陣からはこの少女の能力を無理やり引き出す事により障壁として利用する呪式が刻まれていました。そのせいで少女の体は隅々までボロボロになっており、精神を疑う所業が行われていました。
いえ、その考えは正しくありませんね。人間だからなんでしょう。人は大義名分を翳すと途端に残酷になりますから。きっと、国を守るためだとかという理由でこの様な事をしているのでしょう。
取り敢えず、体を治癒魔法で癒して応急処置しますか。そのために、アイテム欄よりマスターロッドを取り出します。そして、べホマをかけました。
すると口から流れていた血は止まり、肌の色も良くなりました。しかし、完全に回復するのに時間が掛かったように思います。いつもなら一瞬なのに。
疑問を感じましたが、今は疑問を棚に上げて少女に近づきます。そして、頭を撫でながら話しかけます。
「ここでは落ち着いて治療できません。戦闘を止めますから別の場所で治療しましょう」
そうここでは治療できないでしょう。周りに居る人間が邪魔をしてくるでしょう。私がそう話し掛けていると男が一人近づいて来ました。その男が私の肩に手を掛けて怒鳴ってきました。
「何を言っているんだ!媛御子から離れろ!!」
この少女の治療をしているんですがね。耳障りでなりません。
「うるさいですよ、クズ。私は彼女と話しているのです。それに、こんな幼子に何てことするんですか?道理もわきまえないクズが」
自然と言葉も乱暴になりました。暴言を言われた本人は顔を真っ赤にしています。これは爆発しますね。そんなどうでもいい事を考えながら指先を男の方に向けて、『超震動』を放つ準備をします。
「なっ!いい加減にしろこの「うるさいといっているんです!言葉がわかりませんか?愚か者!」グァァァァァァァ!!!!!!!!!」
相手の言葉を遮り、毒を吐いた後に容赦なく『超震動』を使用します。相手はそのまま、壁にぶつかると壁を貫いて外に落ちていきました。
どうもこの外見だと舐められますね。対策を考えないといけませんね。
そのまま、何事も無かった様に少女に話し掛けます。
「もう少しの辛抱です」
そう言って、先ほど飛空艇などがいた方向を睨み付けます。飛空艇の砲撃、または、魔法使いの魔法が障壁に当たれば少女に負荷が掛かり身体にダメージを受ける事になるでしょう。まず、それらを防がないと。
そんな事を思考しながら樹に加工した翡翠に触れます。そして、聖句を唱えます。
「羽毛ある蛇神にして風神よ!あらゆる方向より吹きすさむ風よ!翡翠の樹を贄に大いなる風を我に!」
次の瞬間に翡翠の樹が砕け散り私を中心に風が荒れ狂います。邪魔なモノを吹き飛ばしましょう。どうせ、敵対する事になる国の建物です。気にしなくていいでしょう。
「死にたくなければ伏せなさい!」
その言葉に全員が伏せます。それを確認した瞬間、暴風により壁や屋根などを吹き飛ばします。
次の瞬間に飛空艇がいる方向から魔力の高まりを感じました。砲撃が来ると思った瞬間、翡翠を加工した蛇に触れ聖句を唱えます。
「創造神にして太陽神たる翼ある蛇よ!我が前に来たりてその太陽の威光を示せ!勝利を我が手に与えたまえ!」
その聖句を唱えると翡翠の蛇が砕けた瞬間に東の空より光り輝く翼ある蛇が飛翔して現れます。黄金の光を放つ蛇は障壁がある前に鎮座し、口を開きます。
「ケツァルコアトル全て喰らい尽くしなさい!!」
その言葉にケツァルコアトルは従い口の中に黒い球体が現れ、砲撃と魔法はそこに吸い寄せられるように飲み込まれていきました。
「シャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
「落ち着きなさい」
咆哮しそのまま突撃しようとするケツァルコアトル留めて、アイテム欄より拡声器を取り出します。この拡声器は太乙真人が作った半径100kmなら一定の大きさの声を届ける事が出来る無駄に高性能な拡声器です。いつもなら使用しないのですが、『天地の化身』が使用できないので仕方なく使用します。どんな隠し要素があるかわからないからです。自爆装置や持っただけで操る機能があっても驚きません。
まずは周りの人間に声を掛けます。
「一言言っておきます!あの蛇は獰猛です!一度けしかけると暴れまわります!ですので、周りの兵を撤退させなさい!全滅させたくなければ!」
その言葉に周りの人間はあわっててどこかに連絡していました。
望みは薄いのでしょうが、私は拡声器を構えて戦場に通達します。
「どうでもいい事なので自己紹介はしません!私からの通達は一つ!私はこれから治療しなければならない者がいます!そのために、ここから離れるのでその間戦闘を停止して一時撤退しなさい!さもないとこの神獣であるケツァルコアトルかをけしかけます!」
どう出るかと思っていると再び魔力の高まりを感じます。そして、巨人兵が前進してきます。私は警告しましたよ。敵対するのなら仕方ありません。
「ケツァルコアトル!殲滅しなさい!遠慮はいりません」
「シャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
待ってましたという様に咆哮し、再び撃たれた砲撃を喰らった後に突っ込んでいきました。私は塔の近くに町が広がっている事を落下している時に気がついていたので風を操作して戦場全体を覆い簡易的な結界を構築します。
高速で飛んでいったケツァルコアトルは一体の巨人兵を丸呑みしてその隣にいた締め上げ発熱で溶かしてしまいました。
その止まった瞬間にあめあられのように魔法と砲撃が撃たれますが、ケツァコアトルには微塵のダメージを与える事はなく次の巨人兵に飛びかかります。
次々と巨人兵を餌食にしていったケツァルコアトルは急に飛び上がり羽ばたき始めました。あれはトラロックが太陽になった時に世界を滅ぼした火の雨ですね。翼から火が雨の様に放たれます。あれってコロナと同じ熱量なんですよね~。そもそも、結界を張らずにケツァルコアトルをけしかけたのは初めてです。
地上が火の海になってしまいました。どうやら、攻める側の軍は引かなかったようですが、攻められていた軍は引いたようですね。
他人事のように見ていると攻めていた軍から念話のような声が聞こえてきました。
『すぐさま蛇の攻撃を停止してくれ!撤退を開始する!頼む!!!』
そのために拡声器を構えて話します。
「もう遅いですよ。既にケツァルコアトルに命令を下しました。それに不利になったからと言って停戦を呼びかけるのはそちらに都合が良過ぎます。自分達の愚かさを痛感して全滅してください」
『そんな!あっ、炎が!熱い!熱い!たすけてくれ~~~~~~~~!!!!!!!』
「だから、最初に言ったんですよ。素直に聞いていれば良かったのですが」
はぁ~振り上げた拳というのは下げにくいんですよ。それに下手に拳を下げて襲われたらたまりませんから。骨身にしみて貰いましょう。私に襲いかかるとどうなるのかを。
現在使用している権能は『翼ある蛇神の側面』。この権能はケツァルコアトルから簒奪した権能で様々な神と同一視されるケツァルコアトルの力を表している。全てにおいてケツァルコアトルが広めたとされる翡翠の加工品を生贄として発動する。
エエカトルは樹の形に加工した風の吹く場所に一週間置く事により贄としてして使用する事が出来る。能力は風を自由に操る事。
人の形はトラウィスカルパンテクートリを表し加工すれば直ぐに生贄として使用する事が出来る。能力は光の投槍を生み出す事が出来るが、私自身は投げずに使用するのがほとんどである。何故ならば、神話通りに防がれると私の頭に返ってくるからである。これで私は一度死んでいる。
蛇はケツァルコアトルを表し、太陽たる翼ある蛇を顕現させる。口は太陽の終焉であるブラックホール、体は発熱しており、翼からは世界を滅ぼした火の雨を放つ。もっとも、ケツァルコアトルから簒奪した権能では一番力があるが故に太陽に一ヵ月かざしておく必要があるのでなかなか時間が掛かりますがその分破格の力を有します。
最後の火はケツァルコアトルが火を人類に与えた事を表す。そのために、火は力や権能を意味し、一時的に貸し与える事が出来るのだが副作用が強く合わなければ瞬間に死んでしまう可能性があるので
全て自らの手で作る必要があり、大きく精巧であればあるほど能力が増します。
それにしても、街には飛び火しないようにしていますが、派手に燃やしていますね。やはり、手加減した方が良かったでしょうか?いえ、こういう時は断固とした対応が求められます。ここは心を鬼にして対応しないと。
さて、彼女を連れてここを去りますか。そう考えて彼女に近づき、鎖を砕き彼女を自由にします。
「何をしておるんじゃ!媛御子に近づくな!」
「私はこれから彼女を治療します。応急処置として魔法で回復しましたが、それだけでは不十分です。体の成長を阻害している薬の除去とボロボロになっている内臓等の治癒には時間が掛かります。こんなところに置いておけません。連れて行きます」
言葉にオーラを込めて強化し、相手を威圧します。ほとんどの者が動けなくなったのに一人の男が怒鳴ります。
「ふざけるな!それに治療など必要などない!」
はぁ~鈍感なんですか、この男は。出来る限り手を出さないようにしたかったのですが、上手くいきませんね。
「なぜですか?彼女には治療が必要です」
私はキョトンとした不思議そうにしている少女の頭を撫でながら言うと男は私に対して言い切りました。
「それは兵器だ!我ら古き気高いウェスペルタティア王国を守るためのな!道理がわからぬのは貴様だ!そんな事よりもヘラス帝国滅ばして来い!下賤な化け物が!」
はぁ~なんなんでしょうね、この男は。滅びかけている国に何の価値があるんでしょうか?まぁ、私は化け物なのは確かなんでしょうが。
そう思うと白けてきた私がいます。無視して行きいますか。実害無いですし。
そんなふうに思っていると急に私の頭を少女が撫でます。
「どうしたの?寂しいの?」
「どうしてそう思ったのですか?」
「何となく」
「そうですか」
なつかしい感触ですね。よく翠蓮が撫でてくれました。あんな結末になってしまいましたが、翠蓮の事を嫌うことは出来ません。愚かだった私は嫌いなんですが。
「いい子、いい子」
そう言ってさらに強く撫でてくれました。強く撫ですぎるのは気持ちよくは無いのですが、少女の必死さに心に温かい気分になります。
「わははははははははははははは!化け物と兵器が傷のなめ合いか!胸糞悪いわ!さっさと来い!」
そう言って、少女の腕を掴もうとする男の腕を取り、くるっとく空中で回転させて投げて床に叩き付けます。
「グハッ!なんて事するだ!このクソガキが!」
今のこの男の言葉を私は赦す事が出来そうにありません。この少女は私に翠蓮の事を思い出させてくれました。恩人です。その恩人を侮辱されて笑って許せるほどできた人間でもありません。
罰を与えましょう!殺して終わりにはしません!永遠に受ける罰を!
地面に叩き付けた男を魔法で拘束します。
「何をするんだ!離せ!」
「黙りなさい」
「グハッ」
更に魔法の拘束を強め男を締めあげます。そして、とある呪式をこの男に掛けます。
「なんだこれは!やめろ!」
いまだに命令口調ですか。どうでもいいでけど。
「許してくれ!俺が悪かった!!」
「今さら遅いですよ」
男はしだいに醜く膨れ上がってきます。
「やめでぐださい!ゆるじでぐださい!グギャァァァァァァァァァ!!!!!!」
男は肉塊に変わり、表面から肉の蛇が無数に生まれ肉塊に喰らいつき、そのたびに悲鳴が上がります。
これは屍肉呪法といいスレイヤーズで純魔族が使用した呪法だ。強力な呪法でこの呪いをかけられると無限に再生する肉塊にかえられ、呪いをかけた魔族が滅びない限り死ぬことも出来ず、表面から生まれる肉の蛇に食われ無限の苦痛を味わう。
ただし、私がこの呪法をかけると私が解呪しようと思わない限り呪いが解けることはありません。ただ、草薙護堂の『戦士の化身』には破られているのでやり方によっては十分解呪可能なようです。もっとも、難易度はかなり高いでしょうが。
「永遠に後悔しなさい」
そう言って、少女に向き直ります。少女はかなりグロテスクな光景を見せたはずなのですが、気になっていない事が悲しくなってしまいます。周りにいる者達の様に青くなってガタガタ震えるか、悲鳴を上げてくれた方がトラウマになって嫌ってくれるのでやりやすいのですがそうはいかないようです。そう言えば、彼女の名前を聞いていませんでしたね。
「私の名前は神樂神凪と言います。あなたのお名前は?」
「アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア」
......長い名ですね。名前の感じから王族か、貴族のようです。もっとも、このような扱いを受けているのなら奴隷と変わらないのですが。
それにしても、どこかで聞いたことのあるような名ですね。前世ではなく、もっと前の最初の生の時に聞いた事があるように感じます。
いえ、それ以前にこの光景自体も見たことがあるような気がします。そうなんかの漫画だった様ななんだったんでしょうか?
頭をひねり考えているとアスナが不思議そうに私の方を見ています。
「どうしたの?」
「いえ、他愛ないことを考えていただけですよ。それよりもここを離れましょう」
そう言ってアスナの手を握り離れるために歩き出します。その様子を周りの者達は恐怖に震えながら見ています。
そんな様子を見ながら歩いていたのですが、やり残したことがあったので振り返ります。
そして、ケツァルコアトルが軍を全滅させたのを確認して、
周りにいる者達はどうなってもいいのですが、アスナが怪我をするのは許せません。ですので、術式そのモノに干渉し打ち消します。
その際に術式が目茶苦茶なので暴走させないようにするのに苦労しました。
どこの誰かと思っていると屋上に少年三人、青年二人、少女一人の計六人が壁を駆け上がってきました。
「最強の魔法使いナギ・スプリングフィールドだ!助けに来たぜ!!」
どうやら、こいつがさっきの魔法を撃ったようですが、見る限り不良のような男ですね。それにしても、ナギ・スプリングフィールドですか。なるほど、スプリングフィールドで思い出しました。ここはネギまの世界ですか。そして、ナギは主人公であるネギ・スプリングフィールドの父親だったような気がします。ということはこの時代は大戦時ですか。
疑問が一つ解消しましたが、面倒事はまだ終わらず、ここから離れることはまだ出来ない様です。
みんなどうしているでしょうか?
タグのネギまタグを付けます。
見ていただきありがちうございます。