やめろ!神様!ぶっ飛ばすぞ!   作:舞楽

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アスナにはこれしかないと思った私がいます。


どうやら、この世界でもただ転生者を倒すだけでは済まないようです。世界の崩壊はどうしましょうか。気が付きたくなかった。

神樂神薙

 

 撤退する紅き翼のメンバーを見送りアスナの元に戻ったのですが、窺っている相手がいると言ったのに玉藻とヘラクレスがアスナを離して攫われそうになりました。

 玉藻が間者を捕まえる為の策だった様ですが、玉藻にはキツイお仕置きが必要な様です。もっとも、当分戻ってきそうにありません。間者を狩るのに夢中になっているようです。そして、間者を狩り終われば、そのまま暗躍すると念話が届きました。

 やり過ぎなければ良いのですが、その願いはきっと敵わないでしょうね。今までの経験とカンピオーネの勘が訴え掛けてきます。

 そんな事を考えているうちにとアスナが私の近くまで来ており、私の体をペタペタと触り始めました。

 

「どうしたのですか?」

「怪我とかしてないか調べてる」

「私は大丈夫ですよ」

「神薙は嘘つきそうだから信じない。私自身が調べる」

 

 そう言って私の体を調べています。その様子を清明が忌々しそうに見ています。明らかに子供に向ける視線ではありません。どことなく玉藻に似た雰囲気があります。

 

「ハハハハハハハハハハハ!神薙、ばれている様だな」

「失礼な事を言わないでください、ヘラクレス。私は嘘などつきませんよ」

「確かに嘘はつかんが誤魔化すだろう。おぬしはそのせいで多くの者に心配を掛けていたぞ」

「大きなお世話です、ヘラクレス。それよりも、なぜ玉藻の策に乗ったのですか」

「単純な事だ。玉藻がへまをして逃すはずないと思っただけだ。まぁ、もし攫われたとしてもお前が助け出していただろう。その方が都合がいいかもしれんな」

「ふざけているとしたら赦しませんよ、ヘラクレス」

 

 ヘラクレスの言葉を聞いた瞬間に呪力とオーラがあふれ出しそうになるのをアスナが私を調べている事を思い何とか抑えます。

 

「フッ、単純にそうなれば、お前は攫った者を許さず、その組織ごと殲滅するだろう。そうなれば、お前の恐ろしさも認知されアスナを攫おうとする者も減るだろう。一罰百戒とはうまい事言ったものだ!」

 

 もし、そうなれば高確率でヘラクレスが言った通りになるでしょう。例え、一般人が普通に暮らす平和な国だったとしても。

 国の利益の為にアスナを犠牲にするつもりはありませんし、そんな事を認めるならば初めから助けなければよかったのです。その場で治療して見捨てればよかったのだから。治療しただけでは救う事にはならず、彼女を苦しめている状況そのものを排除しなくては救った事にはならないのですから。

 それにしても、前世の私は楽をしてきました。ただ、困っている者の元へ行き、その場の状況を解決してた。それだけで感謝された。少なくともそれだけで良識的なカンピオーネに見られた。英雄の様に称えられた。偽善者でしかない私をだ。心地よかったのも事実だ。誇らしくも思っていた。天にひとしいの斉天大聖になったように感じた。

 ・・・・・・ある時私が助けた青年が私のなした事に憧れ、ヴォバン卿のやろうとしている事を止めようとして殺されて『死せる従僕の檻』に捕らわれ私に対するメッセンジャーとして現れるまでは。

 その結末は当たり前の事だった。一流の魔術師がカンピオーネに勝てるはずがない。結局、私は愚かだったという事だ。私は彼を迦楼羅焔で『死せる従僕の檻』の力を焼き尽くす事で解放した。彼は解放されたわずかな時間で私に何が起ころうとしているのかを教え消えていった。私に怨嗟の声を掛けずに迷惑をかけてすまないと。

 その時の気持ちは不思議とヴォバン卿に対する怒りは無く自身に愚かしさに対する怒りと自身の道化っぷりに対する自虐だった。

 結局、私は物語の中の様に思っていたのだろう。だから、中途半端な対応を執っていたのだ。どうしても、権力者などに逆らった事になりその土地で済む事の出来ない者は責任をもって連れ帰り、魔術師でない者は記憶を消していたが、私に憧れる者の事など頭になかった。自分が何に憧れてこんな事をしているのかも意識せずに本当に道化もいいとこだった。

 私は私に憧れる者達の受け皿が必要になり、正史編纂委員会の沙耶宮馨と権能である『メフィストフェレスの契約書』を使用してとある契約をした。

 メフィストフェレスから簒奪した権能『メフィストフェレスの契約書』。この権能は私が契約を果たす限り、必ず契約を果たさせる権能で、例えば、とある老考古学者が孫の死病を完治させたいと願い、私がその老考古学者の今までの研究の知識が欲しいと契約すれば、私は娘の死病を完治させた瞬間にその知識を強制的に手に入れる事が出来る。

 沙耶宮馨との契約内容は日本でカンピオーネやまつろわぬ神の被害が出た時は責任を持って私が出来る範囲で全てを元に戻し、正史編纂委員会は私の名前を掲げ、私を憧れる者達を責任を持って受け入れるというのもだ。

 国際問題になりかねない事はわかっていたが、それでも、自分のやった事に責任を取る必要があったのでこの様な契約を持ち込んだ。

 この事では沙耶宮馨に多大な迷惑をかけたと思っている。ですが、私が新しく組織を作るよりは問題が少ないと思た事もありこの様な形にした。

 もっとも、あの契約だけでは足りないと思い、私が『翼ある蛇神の側面』のケツァルコアトルの火を使用して作成した魔法の書とヘーパイストスに製作して貰ったミスリル製の剣と槍、清明特製の呪符を送るようにした。

 沙耶宮馨はミスリル製の剣には微妙な顔をされましたが、他のモノは喜ばれました。特に魔法の書は喜ばれました。魔法の書は二種類あり、回数制限の物と一定の力量まで達しているとその魔法を習得する事が出来る物になっています。

 回数制限のある物は誰でも使用する事が出来ますが、制限回数に達すると消滅してしまいます。それに対してもう一つの方は一度習得してしまえば失われる事はありません。魔法の書はドラクエとファイナルファンタジーの下位魔法と中位魔法の魔法の書を提供しました。

 それを一定数供給し続けたのですが、他国と問題が心配になり正宗とオリハルコン製の剣と槍、更に上級魔法の魔法の書を一つずつ提供しました。その際に沙耶宮馨の顔が青くなっていたので対外的に大変なのかと思い次の時はアルテマとホーリーもつけたのですが、土下座してこれ以上ランクを上げないでくださいと頼まれてしまいました。何故なのか解せません。

 そのために、私は助けるだけで後は正史編纂委員会に押し付けていました。私にとって聞こえる助けを求める声を無視することは出来ず、助けに行く事は習性になっています。これから、どうしようかと悩みは尽きません。

 そんな余計な事を考えているとアスナはチェックを終えて納得したようです。その後しばらくして、クー・フーリンが転生者を抱えて、リリアナは1人で戻ってきました。

 

「ご苦労様です、クー・フーリン、リリアナ」

「大将、不完全燃焼だ!後で戦うヤツを頼む!」

「いえ、何の問題もありませんでした。あれくらいの相手ならいくらでも対抗できます」

「・・・・・・思っていたよりも弱かったですね。まだ、成長段階なんでしょうか?それとクー・フーリン。先にこの男で実験をした後にここを離れてからです」

「しゃあねぇな。頼むぜ、大将!」

 

 気を失っている様なので赤龍で拘束し実験を始めます。

 

「全員すいませんが、辺りの警戒をお願いします」

「わかったぜ」

「わかった」

「お任せ下さい」

「ご安心ください、主よ。誰も近づかせません」

「お任せ下さい、王」

 

 そう言って、全員が辺りの警戒を始めます。そして、私は転生者に向き合います。右手を相手に触れとある権能を使います。

 権能の名は『プロメテウスの火』。この権能は相手の能力を私に燃え移らせ、他人にも燃え移らせることが出来ます。あたかもプロメテウスが火を人類に広めたように。もっとも、ケツァルコアトルの火の様に初めから強力な力を発揮させることは出来ませんが。

 便利な権能に思えますが、使用する度にプロメテウスが味わったように腹に肝臓をハゲタカに突かれる激痛が走り、体から脂汗が流れます。

 そのために、戦闘中にこの『プロメテウスの火』は使用する事が出来ません。相手が人間の魔術師ならともかくまつろわぬ神が相手では一定時間触れ続ける事は難しく、更に腹に激痛が走るのでは不可能。

 それ故に、この権能が成功したのは一度しかありません。施しの英雄が私の助力の訴えに応えてくれた時だけでした。

 私は腹の痛みに歯を食いしばって耐え、アスナはその様子に心配そうに声を掛けてきます。私は大丈夫である事をアスナに話しますがどう取り繕っても大丈夫そうに見える事は無いでしょう。

 その内、私の手に黒い火が宿り、その火が私の体の中の消えていきました。成功しましたがここから離れる事が先刻です。試すのは後でいいでしょう。

 

「警戒を解いてもらって構いません。終了しました」

 

 そう言うと全員が集まってきます。

 

「大将、成功したのか?」

「成功しましたよ」

「だったらどんな能力か見せてくれねぇか?」

「ここを離れてからにしましょう」

「まぁ、いいぜ」

 

 離れようかと考えた時にケツァルコアトルが視界に入り、紅き翼が来たせいで中断された事を思い出します。

 

「やる事がありました。ケツァルコアトルの元に行きますよ」

 

 そう言って、ケツァルコアトルの元に移動しました。転生者を放置して。

 

 

 

 

 ケツァルコアトルは全てが燃やし尽くされた荒野に佇んでいました。灰も残らないほど燃やし尽くしたようです。

 

「あいかわらず、凄まじい殲滅能力だ」

 

 そうヘラクレスは評します。当然といえば当然だといえます。小型の太陽をこの場に呼び出すようなものなのですから。

 

「それで何をなさるつもりなのですか?王」

 

 リリアナが尋ねてきます。

 

「簡単な事ですよ。この世界において私の知名度はありません。それが悪評だったとしても」

「どういうこと」

 

 アスナを除く全員が納得した表情になりましたが、アスナは理解する事が出来ず、私に尋ねてきました。

 

「今回、私はヘラス帝国軍を文字通り全滅させ紅き翼を撃退しました。ここまでは、わかりますね」

 

 アスナは頭を縦に振り答えました。

 

「ですが、このままではウェスペルタティア王国は紅き翼が敗北した事を隠蔽する事は可能でしょう。例えばそうですね。紅き翼はヘラス帝国軍を全滅させたが、その際に大怪我を負ったとか。そうなれば、アスナは攫われた事さえ隠蔽され、私達に高額の賞金を掛けるでしょうね。まぁ、賞金首が大勢来ても問題はありません。ですが、通報されるぐらいなら問題ありませんが、それに一般人までも私達を拘束しようと襲いかかって来られたら面倒です。アスナ、この場合、なぜ一般人が襲いかかってくると思いますか?」

「賞金が欲しいから」

「その通りですが、この場合は私達の力が知られていない事が問題になります。知られていないからこそ私達を襲っても大丈夫だろうと」

「ハハハハハハ、大将と比べたら一般人も賞金首も変わらねぇだろうが!」

 

 クー・フーリン、口は禍の元という言葉を知らないんですか。まぁ、アイルランド出身ですから知らないんでしょうけどね。ただし、あなたは私に余計な事を言ってよく大変な目に合っているでしょう。

 

「クー・フーリン」

「何だ、大将」

「一般人が襲いかかってきたら、あなたが相手してください」

「そ、そりゃねぇぜ、大将!」

 

 そう言って、アスナに振り返ります。

 

「どちらにしても賞金は掛けられることになりますが、ヘラス帝国軍を全滅させた事と紅き翼を撃退した事を知られていれば襲撃者を減らすことは出来ます。ならば、どうすればいいと思いますか、アスナ」

「わからない」

「簡単な事ですよ、アスナ。もみ消す事が出来ないほどの証人が居ればいいんですよ」

 

 もっとも、目的としてはそれだけではなく悪評になってしまいますが、知名度を上げる事も目的としています。

 

「でも、そんなにたくさんの証人はいない」

「ええ、このままではいません。だからこうするんですよ。我はあらゆるモノを騙ししモノなり我に掛かれば虚構が現実になり虚構が現実になる」

 

 権能である『大嘘憑き』(オールフィクション)を使用してここでケツァルコアトルが人を殺した事を否定します。すると目の前の何万の亜人が現れました。

 

「どうですか、アスナ。これだけの証人がいれば、隠す事は出来ると思いますか?」

「無理」

 

 そう言って顔を振ります。

 

「これはどういうことだ。我々はそこの蛇に殺されたはずだ」

「そうですね。確かに殺されました」

「だが、我らはこうして生きている。あれは幻術なのだな」

「そう思いたければどうぞ。そう思ってもらって。ですが、あなた自身はあの感覚を幻術だと思いますか?」

「そ、それは・・・・・・」

 

 見ると目の前の男は体が震え始めました。死の感覚を思い出したのでしょう。

 

「幻術だとしても死の感覚は本物です。それとも、もう一度ケツァルコアトルに殺されたいのですか?」

 

 そう言って後ろにいるケツァルコアトルを指さすと亜人達は悲鳴を上げ一目散に逃げ出しました。

 

「これで情報は拡散する。もはや、国でも隠すことは出来なくなったでしょう」

「ですが、王よ。彼らは『大嘘憑き』(オールフィクション)で仮初めに生き返っただけです。真実を暴かれれば・・・・・・」

「戦争に兵士として参加したのです。強要されたのだとしても戦場に立った以上、殺される事も兵士の仕事になってしまいます」

「それはそうなのですが・・・・・・」

「暴かれない事を信じましょう。出来る事はそれだけです。私でもこれだけの数は蘇生できません。私は全能ではないのですから」

 

 そう言ってケツァルコアトルを振り向きます。

 

「せっかくですからケツァルコアトルで移動しましょう。乗ってください」

「これで飛ぶのは初めてだ。楽しみだ」

 

 そう言って私とアスナを肩に乗せ、ヘラクレスは頭を下げたケツァルコアトルの頭に乗ります。他の者達も乗り込み、ケツァルコアトルは飛び上がりこの地を離れました。

 

 

 

 

 飛びたった場所よりかなり離れた丘の上でケツァルコアトルに降りてもらい、これからの話し合いと野宿の準備をする事にしました。

 ヘラクレスとクー・フーリン、ディルムッドは狩に向かい、清明は土地を調べると言って出て行きました。何か心配事があるようです。リリアナは偵察の為に出て行っています。

 私はアイテム欄よりキャンピングトレーラーを取り出します。よく野宿しなければならなかった私はアイテム欄にキャンピグトレーラーなどのキャンピングアイテムを放り込んでいます。襲撃されて放棄しないといけない時もありますがキャンピングトレーラーはとても便利です。

 そして、アスナの状態を診察した私は思った以上に深刻なアスナの臓器の状態にタメ息が出ました。彼女は王族ではなく奴隷と言われた方が納得できます。

 取り敢えず、予定していた成長を止めている薬の除去は臓器の回復を待たなければならないようです。そのために体が幼い事もあり、まずはパテキアの根っ子を粉末にした物を少量投与していきますか。パテキアの根っこは強力な薬なので幼い体には毒になりかねません。

 それと併用してオーラを彼女に送り、自己治癒力を高めて治療する事にしましょう。長い年月を掛けて傷つけられた体は治療するのに時間が掛かるので嫌ですね。

 それはともかく、診察の後にキャンピングトレーラーから出るとヘラクレスとクー・フーリン、ディルムッドが互いに取ってきた獲物の大きさを比べあっています。

 どうでもいいのですがどう考えても多すぎるでしょう。大体竜が九匹って何考えているんでしょうか。

 

「おっ、大将!見ろよ!三匹竜を狩って来たぜ!」

「はぁ~、食べれるんですか?これ」

「トカゲも美味いぜ!」

「確かにな」

「ええ、私も逃亡生活の時はお世話になりました」

 

 そりゃ、あなた達は過去の英雄ですからね。竜が生息していた時代なんでしょうが・・・・・・。まぁ、考えていても始まりません。取り敢えず、解体しますか。

 そう思い直し解体魔法で英雄達が狩って来た獲物を解体します。『術式創生』の無駄遣いかも知れませんが、私も良く野宿をしていたので生活の知恵としてこの様な魔法を生み出しました。

 

「大将が居ると解体にかかる時間が少なく済んでいいぜ」

「まったくだ!」

「主に手間をかけさせるのは心苦しい。やはり、私も魔法を習得するべきか・・・」

 

 ディルムッド、その様なくだらない理由で魔法を習得しようとすると怖いエインフェリアに魔法の的にされますよ。それはさておき、今日食べる分だけ残して後は角や鱗、牙などの素材と一緒にアイテム欄へ放り込みます。

 素材は元の世界に戻ったらヘーパイストスに渡すとして食材はどうしましょうか?まぁ、責任を持ってあの三人に食べてもらいましょう。

 そんな事を考えていると清明がリリアナを伴い戻ってきました。清明の顔が深刻そうな表情になっています。これは何かあったと考えるべきですね。

 

「清明、リリアナどうしましたか?」

「ハッ、私の方は特に問題は無いのですが・・・・・・」

「清明の方に問題があったと」

「その通りです、神薙様。先の戦いで地脈より霊力を吸い出すと森の中にもかかわらず、直ぐに枯渇しそうになりました。明らかに異常な事でしたのでこの場所に降り立ち地脈を調べるとここでも同じ事が起こっておりました。結論としては・・・・・・」

「ゆっくりと滅びに向かっているという事ですか」

「その通りにございます。理由としてはゆっくりとですが、マナがこの星より失われていっています。今日、明日という事ではございませんが、確実にマナの枯渇でこの世界は滅びるでしょう」

「いかがいたしますか、王よ」

「原因が全く掴めません。まずは、情報を集めないといけませんね。清明、明日から本格的な調査をお願いします」

「御意にございます」

 

 知りたくもなかった事態ですが、転生者が関わっている可能性がある為に調べないわけにいきません。まったく、面倒事ばかり起こります。

 そして、アスナの方を見ます。この世界に信用のおける者がいないので連れ帰るつもりでしたが、この世界で置いて帰れない理由が増えました。ですが、あちらの世界も彼女の才能を欲しがる勢力はたくさんあるでしょう。

 彼女にも力が必要です。駒を与えるつもりはありませんが、力を与える必要がありますね。

 そう考えて先ほど手に入れたモノを出す為に右手に集中します。すると、黒い炎が現れ刀が形で物質化しました。

 

「神薙よ、それはなんだ」

「転生者から手に入れた力で斬魄刀です。名を唱える事で始解、卍解に至る特殊な刀です」

「なら神薙よ、その刀の名は」

「わかりません。初めから使いこなせるわけないでしょう!」

「楽しみにしてたんだが、仕方ねぇ。ヘラクレスとでも戦うか」

「クー・フーリン、満足していなかったんですか?」

「完璧に不完全燃焼だ!」

「勝手にしてください。アスナこちらに来てもらえますか?」

「わかった」

 

 アスナはゆっくりと近づいて来ます。

 

「これから、アスナに力を与えます。信じてもらえますか」

「うん」

 

 アスナの答えに私は朽木ルキアが黒崎一護にしたように斬魄刀をアスナの体に突き刺します。すると、全員が唖然としています。

 

「アスナ、大丈夫ですか」

「大丈夫、神薙。少し体が熱いけど」

「あなたに与えた力を感じますか」

「凄い力が渦巻いてる」

「ならば、あなたの思いを魂を解き放ってください」

「わかった」

 

 アスナはそう答え、霊力が放出されると刀が現れて両手でアスナは持ちました。

 

「ほぉ~、嬢ちゃん。中々の力じゃねぇか。楽しみだぜ」

 

 その言葉に答えずにアスナはジッと刀を眺めています。私はどうしたのかと思い近づこうとするとアスナが呟きました。

 

「覇理扇」

 

 アスナの言葉で刀が姿を変えました。いきなり始解至るとは私の立場が・・・・・。

 落ち込んだ私にクー・フーリンの笑い声が聞こえてきました。見るとクー・フーリンがアスナを抱え上げていました。

 

「何なんだ嬢ちゃん!その形は!突っ込み専用かよ!」

 

 クー・フーリンが笑うのは仕方ないのかもしれません。ハリセンですから。ですが、笑うのは失礼ではありませんか。アスナの顔が無表情ながら怒っているように感じます。

 

「武器っていうのはこういうのを言うんだぜ」

 

 そう言ってクー・フーリンはゲイボルグを地面に突き刺した状態で顕現させました。ですが、クー・フーリンのあまりの言葉にアスナは

 

「えい」

 

 とかわいい声を掛けてゲイボルグを破理扇で叩くと消えてしまいました。その様子にクー・フーリンは絶句します。そして、アスナは次の狙いをクー・フーリンに定めます。

 

「嬢ちゃん!悪かった!立派な武器だ!もうバカにしねぇ!許してくれ!」

「この斬魄刀は神薙が私にくれた!それをバカにするヤツは赦さない!」

「ち、ちょっと、待ってくれ~~~~~~~!!!!!!!!」

「えい」

 

 クー・フーリンは頭に破理扇を受けて消えてしまいました。これで当分、クー・フーリンは幼女に負けたエインフェリアと言われる事になると思いました。そして、全員が笑い出しました。その事にアスナはキョトンとしています。

 しばらくの間笑い続けていました。ですが、私とヘラクレスは笑うべきではありませんでした。後の後悔します。この時の対策をとって置かなかった事を。

 クー・フーリンは笑い話で済みましたが、私とヘラクレスの失敗は笑い話では済まなくなりました。エインフェリアはアスナと同じの力を有していれば、当てる事さえ出来れば倒す事が出来るというというのに。私達は見逃してしまいました。




仮契約できないのでこんな形で出すしかありませんでした。
神崎一護君の存在理由の一つです。
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