やめろ!神様!ぶっ飛ばすぞ!   作:舞楽

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 投稿まで一カ月もかかってすいませんでした。ラカンをどうするのかを迷ってしまい何度も書き直してしまいました。
 取り敢えず、ラカンの立ち位置はこうなりました。


身内に踊らされるのなら私は望むところです。もっとも、アドリブはいれさせてもらいます。王様なんて冗談ではありません。

 戦争が膠着状態になり、ヘラス帝国が総力を結集して行おうとするグレートブリッジ争奪戦。

 その準備の為に訪れた静寂な時をメガロメセンブリア連合を率いる元老院は中立の部族を攻撃しようとしていた。

 この判断はこの膠着状態になってからエインフェリアを交えて神薙達が話し合った際にメガロメセンブリア連合が行う対応として一番愚かだと思われる対応だと話し合った内容である。

 メガロメセンブリア連合にとって一番警戒すべきはヘラス帝国である。その防衛線は満足といえないのがメガロメセンブリア連合の現状である。

 そのために、強固な防衛線を構築し、ヘラス帝国がどのような作戦をするのか探り出す事が急務だと言える。まして中立の存在を攻撃すると他の中立者がこぞってヘラス帝国につく事も予想されるからだ。

 そんな中、ネロだけはこの様な無謀な行動に出るのと予測していた。

 この予測は彼女の経験による予想だった。彼女はローマ帝国で皇帝をしている時、様々な思惑により改革を上手くいかせることが出来なかった事に由来する。

 万能の天才である彼女にしても国というモノの体制を変える事は難しく、メガロメセンブリア連合の状態を玉藻の情報で知った彼女は元老院の一部が利益の為に軍の一部を動かすだろうと。

 しかし、彼女はその事を話さなかった。

 彼女にとってメガロメセンブリア連合のこの行動は望むべき行動だった為だ。

 彼女は政策を任された時に生前の野望を燃え上らせた。

 すなわち、彼女の理想とする自身の最高の技の名にもした童女が謳う花の帝政である。

 もちろん、自分がトップに立つ事が出来ない事は彼女もわかっている。それなら、代わりの人間を立て自分はその人物をコントロールして政治を行えばいいと判断した。

 そのために、彼女は自分の主を騙し必要以上の資金を出させ飛躍の為の資金とした。

 神樂神薙という男は前世で姉と慕った人物に後ろから刺されても身内を信じる事をやめなかった。それ故に、おかしなところがあったとしても彼は黙認した。

 政治的にはそういう裏金も必要になるのだろうと判断たのだった。

 ネロは神薙がそう判断する事も予測していた。彼女は彼の身内にかける甘さ熟知していた。金程度では彼はエインフェリアを切り捨てる事は無い。

 政治にかかわる事を嫌っている神薙ぐらいを手玉に取る事は彼女にとって赤子の手をひねるほど簡単だった。それぐらい簡単に出来なければ、彼女は母親の操り人形にされてしまっていただろう。玉藻が近くにいれば、結果は変わっていただろうが彼女は今現在、彼の元を離れていて彼は疑う事をしなかった。彼女にとっては全てが追い風になっているように思えた。

 後は華麗に登場する為の舞台が必要になった。攻撃する戦力的には問題ない。こちらには神樂神薙がいる。彼の権能の中には大軍と対峙するのに有効な権能もあり、侵攻にも防衛戦にも対応する事が出来る。

 問題は戦争に介入するのに消極的なこの男を如何にして介入させるかが問題になった。その問題は思わぬところから解決した。

 この侵攻の原因の一つであろう『森の鷹』。その頭であったロビンが森の民の族長の息子であり、『森の鷹』を壊滅させて病人の介助させたことにより、神樂神薙はいくら思考能力が落ちていたとはいえあんまりな事をしたと自覚していた。

 そのために、彼はロビンの故郷が襲われる事ロビンに教えた。この時、彼が故郷を見捨てるのならこれ以上は関わらないでいようと思っていた。だが、彼が関わるのなら神樂神薙はメガロメセンブリア連合と敵対しようと考えていた。

 ロビンはその場では笑ってごまかしていたが、直ぐに部屋の戻り準備を整えて飛び出すところをディルムッドに捕まえさせて強制的に自分の元に連れて来させた。

 彼は神樂神薙に訴えた行かせてほしいと。それに対して神樂神薙の答えは死体が増えるだけだと伝えた。それでも行きたいと訴えた。神樂神薙はどうして自分に力を貸してほしいと頼まないのかと尋ねた。あんたがいくら強くても軍にはかなわないと言った。その言葉を聞いた後に神樂神薙はただ立ち上がり、清明に此処の守りを任せる事を話してロビンにふり返り言った。

 

『ロビン、カンピオーネという私の力を見せましょう』と。

 

 かくして、ネロの思惑通りに神樂神薙は動き始めた。ネロにとって思惑とは少しずれていたが、このチャンスを生かさねばいかないと感じた彼女は様々な布石を打ち始めた。

 根本的に解決しなければならない事があったが、彼女はその事を無視して動き始めた。彼女も願いを叶えるために。

 正史を外れたこの物語は一ヵ月の時を開けて動き始めた。他の転生者はこれ以上の変化は望んでいなかったが、様々な思惑をうけて更なる変化を起こそうとしている。

 歴史は他愛ない偶然が重なり動き出す事がある。間違いなく、神樂神薙が老婆と子供達の為に屋敷を建てなければ、いや、光学迷彩の結界をはっていればおこらなかっただろう。その事を後で神樂神薙は後悔する事になる。

 こうして、メガロメセンブリア連合と神樂神薙は敵対する事になった。

 

 

神樂神薙

 

 私は森の民が治めている森のが見える丘の上に立っている。その周りには百人ほどの屈強の男が立っていた。私によって壊滅させられた『森の鷹』の元メンバーだ。

 全てのメンバーが悲壮な覚悟を決めた表情で目の前の森を見ていた。そして、その更に向こうに見える多数の飛空艇と兵器の数々を展開された軍隊を。

 確かに普通なら絶望する状況なのだが、この程度の軍はディルムッド、私にとってみればどうという数ではない。

 実際にこの時の規模より多いヘラス帝国の軍がケツァルコアトルによって無傷で全滅させられている。その事を考えれば、逃げ道をふさぎ、時間さえかければ、広範囲攻撃をする事が出来ないディルムッドでも全滅させることは難しい話ではない。

 もっとも、それ以前の話として玉藻御前が率いた軍団と戦闘をした事があれば、この程度の軍団に気後れする事はありません。

 それ故に私とディルムッドにとってはいつも通りに眺めています。ですが、リリアナにとっては軍勢と対峙する事は初めてな事もあり、少し緊張しているように見えました。

 ヘラクレスと清明はもしもの為に街に残っており、ネロは説得する為に森の民の元に出向いています。

 私は素早くこの場にいる軍勢を如何にして全滅させるかを考えています。ネロの考えではこちらの動きをメガロメセンブリア連合に知られるわけにはいかないと話しおり、私達にはこれだけの軍勢を拘束する能力がない以上全滅させる必要があります。

 もっとも、全員の命を奪う事は考えていません。私が『術式創生』で生み出した魔法で全員を時限性の石化などある程度ほって置いても問題の無い状態にしておくつもりでいます。

 そんな事を考えているとリリアナの悲鳴と男の笑い声が聞こえてきました。

 

「ガハハハハハハハハハハハ!嬢ちゃん!緊張するな!俺より強いんだ!あの程度の軍勢どうってことはねぇ!むしろ、俺一人で十分だぜ!」

 

 彼なりの励ましのつもりなんでしょうが、どさくさに紛れてリリアナのお尻を触るのはどうかと思いますよ。それに、彼女はただでは許してくれるような女性ではありませんよ。案の定、笑い続けていた男は顔を真っ赤にしたリリアナに顔面の中心に拳を入れられていました。そして、ぶっ飛ばされた男はすぐに立ち上がり鼻血を流しながら

 

「いいパンチだ!」

 

 と感想を述べました。ウザいほどのさわやかな笑顔を男は私達に向けています。

 その様子にリリアナは体を震わせて『星光』握りしめて男に向けようとしています。

 さすがに私もそれを許すわけにいかなかったのでリリアナに声を掛けます。

 

「リリアナ、さすがにメガロメセンブリアに知られるわけにはいきません。ですので、星光を使用する事を許す訳にいきません。我慢してください」

「ですが、王!」

「街に戻ったら好きなだけやってください。とめませんから」

「わかりました、王」

「ちょっと触っただけじゃねぇか!それぐらい笑って許せ!」

「セクハラをして許せというあなたの神経を疑いますよ、ジャック・ラカン」

 

 この場に本来は紅き翼と死闘を繰り返しているはずのナギとは別のバグキャラであるジャック・ラカンがここにいるのにはわけがあります。

 ラカンは本来なれば紅き翼の暗殺を受け持ったはずなのですが、この世界では私達の暗殺とアスナの奪還依頼を受けていました。

 その結果、この男は昼夜問わず行動し続け、私達が作り上げた街の近くに来た時に狩りに出かけていたヘラクレスに出くわした事により戦闘になった。

 ヘラクレスとジャック・ラカンはよく似ている。ヘラクレスは十二の試練の際、アトラスの代わりに地球を支え、棍棒と肉体だけでジブラルタル海峡を作り上げ、騎士王が自身の持つエクスカリバーより上だと言ったマルミアドワーズですら傷つける事が出来なかった獅子を素手で絞め殺すなどその肉体だけで様々な神話を打ち立てた。ヘラクレスはネギま風に言えば、ギリシャ神話のバグキャラである。

 また、ジャック・ラカンも肉体だけで閉鎖空間を壊し、一度戦った事があるという理由でネギの雷速に対応するなどバグキャラの名に恥じない事をおこなっている。

 互いに困難を肉体で解決してきたそんな両者が出会ってしまった。

 二人は出会った瞬間に同類である事を理解した。そして、ヘラクレスは全ての武装を外し、ラカンはパクティオーカードを懐にしまった。

 両者は向かい合い静かに近づいていったそうだ。戦いは至近距離からの殴り合いから始まった。防御を考える事が無い殴り合いはしばらく続いたが、最終的には踏ん張りきる事が出来なかったラカンが吹き飛ばされて状況が動く事になった。

 ヘラクレスはそのまま飛び掛かり、ラカンを抱え上げてライガーボムを行い地面に叩きつけた。それに耐えきったラカンは気を練り上げて膨大な気を放出する事によりヘラクレスを吹き飛ばして間合いをとり、ラカンインパクトを放った。

 そのラカンインパクトをヘラクレスは躱す事なく受け止めて耐えきり、そのまま、ラリアートをラカンにぶちかました。

 ラカンは首をガードする事により致命的な締め付けを受ける事を防ぐが、そのまま、岩山に叩きつけられる。

 ヘラクレスはラカンが立ち上がるまで待ち、ラカンは頭を振りながら立ち上がる。

 ヘラクレスはラカンに対してこいこいと手を動かすとラカンは頭から血を流しながら笑顔になり、雄たけびを上げながらヘラクレスにタックルを喰らわせる。

 そのタックルをヘラクレスは体のみで受け止めて、両腕を振り上げて両手を合わせてそのままラカンの背中に叩きつける。

 ラカンは地面に叩きつけられて、クレーターを作る。

 ラカンは雄たけびを上げながら立ち上がり、気を拳に集束して全力で殴りかかる。

 ヘラクレスはラカンの拳を腹で受け止めて、今度は自分の番だとラカンの腹に拳をぶつける。

 ラカンは耐えきる事が出来ず、木々を吹き飛ばしながら遠くに飛ばされた。

 ヘラクレスはゆっくりと歩きながら倒れているラカンの元に向かった。

 そんなヘラクレスに対してラカンは上空に抱え上げてパイルドライバーかける。

 ヘラクレスもそんなラカンに技をかけ、交互にお互いの技をかけていくというどこかの超人プロレスの様な戦いが一時間ほど続き、ついにラカンが地に伏せてヘラクレスが勝利した。

 私が異変に気がついて戦いの場についた時は戦闘は終了しており、広大な森であった場所がクレーターがあちらこちらにあり、木々はほとんどが折られてしまい、見るも無残な状態になった森でラカンはヘラクレスの事を師と呼び、ヘラクレスを弟子と呼んで抱き合っている状態で発見した。

 取り敢えず、私は無傷なヘラクレスに何があったのか聞きタメ息をつきました。

 そして、ラカンは私達の暗殺の契約を破棄して街に居ついてしまった。

 ラカンはバグキャラと称される通りのとんでもない男だった。おかげで、私はラカンの起こす騒動の後始末に手をやかされました。

この点はエインフェリア達と変わりがありません。英雄というモノはこんなもんなんだという思いしか私の心に浮かぶモノはありませんでした。

 ただ、彼らの修行風景は街の者達には好評を得ています。リングを私が作り、この中で誰にも迷惑をかけないようにしなさいと私は2人に言っています。

 見ごたえはあるのですが見物人まで興奮しすぎて乱闘が起きるのはご愛嬌なのでしょうか。そのたびに修理やけが人の手当てに奔走しなければならない私にとっては幸福な不幸なのでしょう。

 ここでは私の危険性は知られていません。普通の生活を短い時間ですが送れた事に感謝しましょう。

 それも今日までですが。短い休暇は終わりです。

 そんな事を感傷深く私が考えているとラカンが遠慮をなく声をかけてきました。

 

「だがにちんちくりんな格好だな!センスのかけらもねぇ!」

「ほっといて下さい。私だって好きでこのような服装な訳ではないんですから」

「神薙のセンスかと思っていたぜ」

「服は何とか間に合いましたが、装飾品は間に合いませんでした。私にとってこれらの装飾品は重要なモノです。あなたやヘラクレスの様にその身体能力だけではどうしようもないんです」

「フッ、当然だ。オレと師匠は最高の肉体を持っているんだ。真似る事なんか出来る訳ないぜ!」

 

 ラカンの表情には確かな自信をにじませていました。

 私はその言葉に反論を持つ事は出来ません。私は多種多様の権能を使用しつつ、『復讐の絶対攻撃』や『アスクレピオスの運命』などの必殺の一撃をいれるのが私のまつろわぬ神との戦闘での基本戦術となっています。

 念で強化できるとはいえ、私の身体能力ではまともにまつろわぬ神とぶつかるには無理があるため仕方がありません。

 私はヘラクレスとまともにぶつかりあえるラカンの事をうらやましく思いますが、無いものねだりなんかしても仕方ありませんし、あの暑苦しいやり取りを続ける自信は私にはありません。

 

「だが、一番の問題は背中の剣だな。どうにかならねのか?」

「無理ですよ。私から離すと瘴気の様な黒いおどろおどろしいオーラを出してしまう以上、私から離すのは危険すぎます。しかも、倉庫に戻す事が出来ないので背負うしかないでしょう」

 

 私はそう言って背中に背負った魔王剣を指さしました。

 事の発端になるのは清明からの地脈を利用した陣の構築が出来ないという話に遡る。

 この世界を構成しているマナは総量が減少しており、現状のままでは遠くない未来のおいてマナの枯渇によって滅びる事が決定している。

 そのために、地脈の力も弱く陣を構築する事は清明でも難しいと報告を受けた。

 そこで私は他所から持ってくることを提案した。

 清明はこの世界そのもののマナの枯渇によって起きている事態なので他所から持ってくることは不可能だと言ってきました。

 私もその事は理解していたので力が有り余っている覇王剣から地脈に供給する事を提案した。

 覇王剣のエネルギーは宇宙から供給される。そのために、ここら辺一体ぐらいなら問題なく供給する事が覇王剣なら出来るはずでしょう。

 覇王剣から流れる力を地脈のエネルギーとして変換する術式を創り上げ、私はその魔方陣の真ん中に覇王剣を突き刺した。

 その際に覇王剣に私は君が頼りだなどの言葉をかけて突き刺しました。最近、転生特典で得た二本の剣は自己主張をするようになりご機嫌取りをしないと戦闘以外で協力してくれないためです。

 そのかいあって、予定していたよりもかなり大量にエネルギーを覇王剣は放出してくれました。

 私はこれで問題が解決したと思ったのでしたが、新たな問題が現れました。

 魔王剣が私の意志と関係なく現れ、次は私だと言わんばかりの態度を示しました。

 私も理解はしていましたが、一応清明の方に視線を向けると顔を横に振りました。

 すでに覇王剣で過剰なほど地脈にエネルギーが供給せれているというのに同等にエネルギー量を誇る魔王剣では地脈が暴走してしまう上に魔王剣のエネルギーは覇王剣の正に対して負のエネルギーな為に地脈を汚染してしまう恐れがあります。

 よって魔王剣にこの役目をあたえるわけにはいきません。

 その事を魔王剣に伝えると見るからに汚染されそうなおどろおどろしいオーラを魔王剣が放出し、覇王剣は誇らしいのか更に高出力のエネルギーを放出し始めました。

 いつの間にかこの二本の剣は自己主張が激しくなってしまいました。どうしてなんでしょうか?

 私は仕方ないので私が所持している間はオーラが止まるので常に背負う様になってしまいました。

 今の身長では魔王剣を背負うと地面を引きずってしまいとても困っています。

 

「手放す事が出来ないなら年齢詐称薬を飲めばいいんじゃねか?」

「その様な薬があるのですか?」

「比較的流通されてる薬だ。副作用とかもない。もっとも、俺には必要が無いから持ってないがな。」

 

 私が都市に向かう事が出来ませんから早急にその薬を購入してもらわないといけませんね。

 そんな事を私が考えているとネロから念話による連絡が入った。

 

『奏者よ。こちらの話し合いは無事に終了した。こちらの要求は呑んでもらえたぞ』

「そうですか。予定通りこの土地ごと私達が作った街の近くに移動してもらえることを飲んでもらえましたか。この場所ではいざという時に助けに来ることが難しいですからね。転送の為の基点となる宝石を配置します」

 

 無事にネロと森の民との交渉が無事に終了した事に安堵します。

 そうでなければ、私にとって嫌悪感を持っている神から手に入れたあまり使用したくない権能を使用しなければいけませんでした。

 もっとも、ただ嫌悪感で使用したくないのではなく使用条件となるモノのストックがあまり無い事も理由に挙げられます。

 

「さって、あなた達にもやってもらう事が出来ました」

「ああ、まかせてくれ!頭の一大事だ!あいつらの足止めは俺らが務める!」

「何を考えているんですか。あなた達の仕事はこの宝石を各自が手分けして埋めてきてください」

 

 元森の鷹のメンバーを私は捨て駒にするつもりなどなどありません。だいたい、100前後のメンバーでは森に入る前の平原で余程の規格外でもないと足止めも出来ないでしょう。

 だからこそ、規格外である私達が対応するのですが、この出来事は気合や根性で何とかできる範囲に入る事ではありません。

 それに私が本当に捨て駒を必要とする戦いになったとしたら彼らに悪いのですが、彼らの実力では捨て駒にすらなる事が出来ないのが現実です。

 そういう時ほどクー・フーリンが必要になるのですが、撃墜されたとして一ヵ月顕現する事が出来ない期間が過ぎたというのに顕現に応じてくれません。

 彼にとっては幼女であるアスナに撃墜されたのがショックであったというのに他のエインフェリアにその事を茶化されたのが精神的にきつかったらしくふさぎ込んでしまいました。

 

「ですが、あの軍隊はどうするんですか?」

「メガロメセンブリアの軍は私達が何とかします。気にせず作業してください」

「大丈夫なんですか?」

「問題ないでしょう。あのメガロメセンブリア軍はウェスペルタティア王国に侵攻していたヘラス帝国軍ほどの規模ではありませんし、この侵攻には反対する者も多く元老院も一枚岩で行動していないので質も高くないようです。注意すべきは傭兵団である『漆黒の兵団』でしょうか?」

「オイオイ、どんな汚い仕事でも引き受ける最悪の傭兵団だな。胸糞の悪い事ばかりする奴らだ」

「それ以前に俺等あの噂が本当でその上坊ちゃん達が関わっていた方が驚きなんですけど」

 

 そう言って男達は頷く。

 

「そうですか。紅き翼やラカンなんかだと出来そうな気がしますが」

「当然だ!軍隊なんかに後れをとらないぜ!」

「例に挙げる存在が異常すぎる。ついていけねぇ。あ、そういえば、坊ちゃんは召喚獣で倒したんですよね。その召喚獣って、どうやって手なずけたんですか?」

「あれより厄介な存在を殺して手に入れたんだが、どうかしたのか?」

「軍隊を一体で全滅させた存在より厄介な存在って想像したくもない」

「そろそろ、作業に入りましょう。手分けして地図に示した場所に宝石を埋めてきてください」

 

 そう私が言うと元『森の鷹』の全員が返事をして宝石と地図を受け取って向かいました。

 

「では、私達も予定通りに集落に移動した後にメガロメセンブリア軍を壊滅させるとしましょう」

「ちょっと待て、言いにくいんだが・・・・・・」

「ラカン。ネロが何を目指しているかは大体わかっています」

「オイオイ、だったらお前に何をやらそうとしているのかわかっているだろう」

「ネロは私のエインフェリアになってから明るくはあったのですが、どこか無理をしているようでした」

 

 思い起こすのは彼女が治めていたローマのあったイタリアに行った時、その街並みを見ていた彼女の寂しそうな横顔を。

 彼女の未練の一つは自身の望む国を作る事が出来なかった事である事は確実でしょう。

 私はエインフェリア達の望みは叶える努力をしてきましたが、彼女の国に対する望みは私が国に関わる事を避けてきたので手つかずになっていました。

 だったら、彼女の夢を叶えるために彼女の作った舞台で私は踊る事にしましょう。彼女が満足する事が出来る様に。ただし、王はロビンあたりの押し付けるつもりですが・・・・・・。

 私の表情にラカンは納得した表情になり

 

「だったら、オレは何も言わね。お前が納得に行くように行動しな」

 

 とだけ言い森の方に歩いて行きました。

 

「さて、森の民は今もメガロメセンブリアと交渉の最中といっていましたが、汚い事を専門にする傭兵がいるという事に不安がありますね」

 

 一応、不意打ちを受けて死者が出たとしても蘇生する事が出来る私がいるので問題ないと言えますが、被害が出ない事にこしたことはありません。

 何が起きても対応できる状況にするのは必要な事でしょう。

 燃費は良いと言えない権能ですが、後手に回る事になるであろうこの現状では必要な処置でしょう。

 そう思い私はマスターロッドを振るい土壁で私の周りを覆い太陽から私を隠します。

 そして、私は太陽の光から遮られた暗闇の中で聖句を唱えました。

 

「我は太陽の永遠の敵対者。原始の水より生まれた闇と混沌の大蛇なり。故に我はありとあらゆるものを飲み干すモノなり」

 

 私の体に闇が纏わりつきました。そして、私は土壁を吹き飛ばしました。

 そして、私は次の行動に移り、纏わりついた闇をコントロールして体から放し、黒い闇の大蛇を森に向かう様に操作して私達も森に向かいました。

 これでもしもの為の準備は整いました。どうなるでしょうか?




 ラカンはいろいろ考えて主人公側に立ってもらいました。
 転生者が『紅き翼』メンバーに2人も入ったから問題ないはずです。
 
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