やめろ!神様!ぶっ飛ばすぞ!   作:舞楽

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 戦闘まで行く事が出来ませんでした。時間もかかってしまいすいません。


この老婆との話し合いは新鮮なモノでした。周りはどうも私に対してどんな人物でも遠慮していましたから。カンピオーネとまつろわぬ神以外はですが。

 神樂神薙が集落の入り口まで到着する以前から一人の少女が護衛の者らしき屈強な男達に守られながら門から外を心配そうに眺めていた。

 その少女の髪は金色で後ろは腰辺りまで伸ばしており、前は耳の上あたりで赤いリボンでまとめられている。耳は細長くエルフの様になっており、彼女が森の民である事を物語っている。

 服装は緑に白の露出度が高い首から腰までを胸を二本の布で隠した様な形になっており、腰回りにはフリルと後ろに大きいリボンのついた服の下にスパッツの森の民の中でも特徴的な見習い巫女が着る服を着ている。

 彼女の名はププル。ロビンの妹にして族長の娘。そして、巫女としての力を覚醒させた巫女見習いの1人である。

 彼女は今複雑な気持ちになっていた。長い事部族から飛び出して行った兄が帰って来たのだ。知った時には驚いたが嬉しかった。ただし、今部族がおかれている状況を思い出してこんな時にかえって来なくてもと思ったものだ。さらに兄が仕出かした行いによって部族が追い込まれてしまったと知った時は巫女としての力を暴走させてしまいトレントで兄を潰してしまいそうになり共に来ていた他人の事は言えないが赤い露出の高いドレスを着た女性にトレントを一撃で倒してもらって事なきを得た。

 その後、彼女は詳しい話を聞いて説教はしたが、兄の行いに内心嬉しく思いはしたものの部族のおかれている立場を思いお仕置きとして植物を操作してツタで縛り上げて木に逆さづりにして放置した。

 その様子を見ていた赤いドレスの女性はロビンの事を無視して父と話をする為にその場を離れた。

 ププルはその後慌てて集落の入り口まで来て祈るような気持ちでずっと森を見ていた。兄達がここを離れるまでメガロメセンブリア軍が攻めてきませんようにと。

 そんな中で彼女の内心を無視するが如く神樂神薙達が集落の入り口まで到着した。

 ここで他の者達の服装は特に問題は無いと言えよう。

 ごくごく普通の服装なのだから。

 ただし、神薙の格好はラカンとアスナが思った通りちんちくりんな服装だった。しかも、彼の背丈ほどある魔王剣を背中に背負っており、彼の今の格好は自身がどう思われようと気にしない常日頃から機能重視を心掛けている彼が思っているよりも数段酷くなっていた。

 そんな彼を見てププルはこう思った。どこかの金持の背伸びしたい息子が道楽の為に護衛を付けて戦争見物に来たのだと。

 そうなれば、神薙を見る彼女の視線は鋭くなり、護衛についている男達の視線も鋭くなる。その上、神薙はまったく視線を気にしなかった事により彼女達の視線はさらに鋭くなった。見事なまでの悪循環を起こし始めていた。

 神薙が彼女達の視線を気にしなかったのは単純に慣れである。昔はある程度服装を気にしており、触媒に使用する装飾品はアイテム欄にしまっていたが、高確率で時と場所を選ばずに襲いかかってくるまつろわぬ神に対して装飾品をアイテム欄に収納していると咄嗟の時に使用する事が出来ず痛い目を見た事が数回あった後、一点のみつけるようにしていた。それでも、上手くいかなかった為に神薙は装飾品を増やしていきその状態にドンドン慣れていった為に自身の格好を気にしなくなっていった。実際にこの男は草薙護堂の監視の為に通っていた高校でよく持ち物検査に引っかかり生活指導の先生にお世話になっていた。

 そのために、神薙はある程度自身の格好がおかしい事に気がついているので彼女達の剣呑な視線を気にしない。ラカンは基本楽しめればいいのでニヤニヤしている。だが、騎士であるディルムッドとリリアナにとってはそうはいかない。

 実際、この魔王は一度殺されているのである。もしもがあってはいけないと思い二人の警戒感は上昇していく。

 その二人の対応が余計に彼女達の考えを肯定しているように見えて勘違いを助長していた。

 だからなのだろうププルは集落の入り口まで来た彼らに対して高圧的な態度で対応した。

 

「貴様ら!我らは今取り込み中じゃ!金持ちの道楽につきあう気はない!早々に去れ!」

 

 そう言われた一同は一斉に神薙を見た。どう考えても相手に勘違いをさせる格好をしているのは神薙しかいないからだ。神薙自身もばつの悪そうな表情をしている。

 

「やはり、王。もう少し恰好を気にしていただけないでしょうか。いつもこうでは御身の権威に瑕がつきます」

「リリアナ。私に権威などありませんし、この世界では意味すらもありません」

「はぁ~、そう思われているのはご自分だけです」

「ガハハハハハ、取り敢えず、お前は背伸びしたいガキと見られているんだ。注意しろってことだ」

「それは嫌ですね」

 

 神薙はリリアナの忠告には言われ続けていた為に余り堪えてはいないようですが、ラカンの中二病のガキと一緒だという言葉には顔を反らしてゲンナリという表情に変わった。

 

「だったら、年相応の格好をしな」

「善処します」

 

 神薙がラカンに対して否定的でない言葉をいった事にリリアナは複雑な表情を浮かべた。そんな中でディルムッドはププル達に対して警戒する。

 ププルは自分の言葉を無視されたと思いさらに怒りの炎が燃え上がらせた。

 

「貴様ら!こちらを無視するな!!」

「すいません。無視していた訳ではありません」

「どう考えても無視しているであろう!まあいい!早々に立ち去れ!」

「いえ、ロビンに話をとおしてください。今後の対応について相談があります」

「兄が貴様らなんかと知り合いであるはずなかろう!とっとと去れ!去らぬというのであれば!」

 

 ププルの言葉を最後に近くにあった木々が人の形になり、複数の木の巨人が神薙達を囲んだ。

 

「痛い目を見てもらうぞ!」

 

 ププルは腕を組んでたからかに宣言した。

 対して神薙達は焦る事は無く冷静に周りにいるトレントを観察していた。

 

「これはウッドゴーレムでしょうか?・・・・・・いえ、違いますね。樹の精霊が宿っていますね。トレントでしょうか?」

「王、そうだと思われます。しかし、この世界の魔法は精霊との結びつきが強い」

「そうですね。以前あった紅き翼の魔法使いの攻撃魔法は精霊魔法ばかりでしたから」

「まぁな。もともと、魔法使い達がこの世界に移り住んだのは魔女狩りから逃れるためだって話だ。その時に精霊魔法以外の魔法が寂れたんじゃねぇか?」

「そうかもしれませんね」

 

 そんな事を呑気に話す神薙達に対してププルは肩を震わしてついに切れてしまった。

 

「無視するなと言っておろう!!!!」

 

 ププルの言葉を皮切りに神薙達を囲んでいたトレント達が一斉に襲いかかった。

 それに対して神薙達はディルムッドが前方に進み、リリアナが弓を構え、ラカンが腕を組んでニヤニヤし、神薙は森に潜ませたモノを操作しようとした時に

 

「ププル!やめんか!!!!!」

 

 という叫びが周りに響きわたり、トレント達の動きは止まり、方向転換して元の位置の戻り木に戻った。

 

「ばあ様。どうしたというのじゃ?」

 

 ププル達だけでなく神薙達も声のした方を向くとププルと同じような格好をした4人の森の民を従えた緑のローブを着た老婆がやって来た。

 

「ププルや、見えるモノがすべて真実ではない。その方のお力の前には我ら程度ではどうにもならぬ。ププルは植物操作などの直接的な力は高いが我々巫女に必要なのは厄災から部族を守る為の霊視などの力の方が大事なのじゃぞ。もっと、心を研ぎ澄まし、心の目で良く見る事が大事じゃ」

「どうせ、我は三流巫女じゃ」

「すねるでない。間違いなくププルは才能では今まで巫女見習いとなった者の中で一番じゃよ」

「それはイコール自身の力を引き出す事が出来ぬ未熟者だと言われている様なモノだ」

 

 ププルはしゃがみ込んで地面に絵を書きはじめた。

 その様子を老婆はタメ息をついて見た後に神薙の方に向き直り話しかけた。

 

「見苦しい所を見せてしまい申し訳ありません。異世界の神殺し様」

 

 老婆は特大の爆弾を言い放った。

 

 

神樂神薙

 

 私は自身の耳を疑いました。この世界で私が神殺しである事を知る者は紅き翼に所属している少女が情報の拡散をおこなっていなければ身内以外知るはずの無いことのはずです。

 玉藻からの情報では紅き翼の中以外ではその様な事をおこなっていないはずなので老婆が知るはずの無い事です。

 ネロが森の民の信用を得る為に話したのでしょうか?そんなはずはありませんね。むしろ、交渉の場で話せばネロの正気を疑われる事になるでしょう。この世界で神のような存在は『完全な世界』を組織した魔法世界の創造主であるライフメーカーぐらいなものです。

 そんな神無き世界で私が神殺しである事を知る人物などいる訳がありません。ですが、老婆は私が神殺しの魔王である事を確信している事が伝わってきます。明らかに重要なポジションにいるはずの老婆がです。

 これは私から言わせてみれば異常な事態です。

 ですが、霊視という言葉に私は心当たりがあります。身近に高位の霊視能力を持つ万里谷祐理を知っている為にあり得ない話では無い事も私は理解しています。

 どういう訳か私には私に不利になる間接的な能力を防ぐ力があり、毒に代表される状態異常効きませんでしたし、アテナ程の知恵の神でさえ智慧の力での情報開示を行う事も出来ませんでした。

 ただし、霊視に関しては「今起きている現象」を霊感で読み取り、「起こりうる未来」を無意識に予測する能力なので私個人に働きかけていないために通用します。

 だとしたら納得することは出来るでしょうか?それでは納得できない部分があります。

 まず、私が老婆の前で権能等を使用していない事。確かに、事前に私はもしもの為にとある権能を使用しましたが彼女の前には姿を現していません。

 そうなると私から直接霊視で老婆が読み取った事になりますが、先ほどあげたように私にはまつろわぬ神であるアテナでも直接読み解く事が出来なかったはずなのにそれよりも明らかに格の低いこの老婆に読み解く事が出来るのかという疑問が浮上します。

 この世界とカンピオーネの世界では霊視の能力が違うのかもしれませんね。

 そんな事を考えていた私に老婆が話しかけてきました。

 

「どうやら神殺し様はどの様にわたしめがあなた様の事を知ったのか気になるようですのぉ」

「それは当然でしょう。私の事を知る人間はこの世界にいませんから」

 

 そう老婆と話しつつ私は老婆に対する警戒心を上昇させていく。

 確かに老婆自身は障害とはならないでしょうが、老婆が持ち得た情報を紅き翼ランクの実力者に提供すれば私達に勝利することは出来なくとも出し抜く事は難しくないと考えられるからです。

 まして、あと一人残っている転生者がカンピオーネクラスの実力を有しているとすれば、日光東照宮に封印された斉天大聖を翠蓮が解放しようとした際に草薙護堂との戦いになった時、万里谷祐理が私の権能の要になっている権能を霊視により看破されてウルスラグナの『戦士の化身』である知恵の剣により使用不能にされてしまい勝利はしましたが、予定よりも時間がかかり翠蓮に街の案内をさせられた。

 翠蓮独特の法による犠牲が一般人に出ないように私は気をつける必要がありとてつもなくストレスがかかりました。

 

「ほっほほほほほ~~、この様な婆ごとき羽虫と同じようなモノでしょうにその様に警戒していただけるなど光栄ですな」

「そんなことありませんよ。私は情報の力を良く知っています。圧倒的な力を有していても知られていると十全の力を発揮できない事もあります。まして、あなたほどの知恵者であるならばこれでも足りないくらいですよ」

「その様に評価していただけるとは光栄ですが、天空神の持つ全てを見通す月の叡智の瞳を持つあなたにはおよびませんよ」

「なっ!」

 

 後ろからリリアナの驚きの声が聞こえてきます。私も表情に出ないように努力しましたが、実際にその事をこの老婆に知られていないかは自信を持てません。

 直接的な攻撃力は持っていませんが、切り札の一つに挙げられる権能を言い当てられた事に強い衝撃を受けた為です。

 賢人議会にも話さず、エインフェリアと玉藻に偶然に知ったリリアナ以外には翠蓮にさえも秘匿にしていた権能です。

 エジプトの天空神であるホルスより簒奪した権能『ホルスの瞳』。この権能は右目に宿る『真理眼』と左目に宿る『復元眼』から成り立つ。

 『真理眼』は私の右目の視界に入るありとあらゆる現象、物体や人物の過去、言動の真実を暴く事が出来る。ただし、発動させるには一度右目を潰す必要があり、これはホルスがオシリスの敵を討つためにセトと戦った際に目を失い、その目がエジプト全土を旅して知見を得た事に由来しているのでしょう。『真理眼』は一度発動させると少ない呪力で維持できますが発動をやめると再び右目を潰す必要がある。もっとも、これだけでは維持する事がベストに思われるが『真理眼』は発動させ続けると視界に入るモノ全ての情報を私に送り続けるので脳の情報処理がついていかずめまい・頭痛等を起こしてしまうので戦闘後は発動を止めるようにしています。

 『復元眼』は視界に入った全てのモノを復元する事が出来る。それが現象であれ、物体であれ、ありとあらゆるモノを復元する事が出来る。もっとも、『復元眼』は復元させる事しかできず、生物を蘇生させる事はできずに死体を生前の状態に戻す事しかできません。ですが、本来なら死体が損壊してはできないはずの死者蘇生を行う事が出来る理由でもあります。また、この眼は復元できる範囲を月齢に支配される。完全に破壊されている物体を復元する際に月齢が三日月の時は30%、半月の時は50%、満月の時は完全に復元する事が出来る。これも月の神にして時の神であるトードに目を癒してもらった事に由来するのでしょう。

 さて、私はこの老婆をどうするべきでしょうか?

 情報の秘匿を考えるならば、私はこの老婆を殺すべきなのでしょう。ですが、そうなれば交渉は決裂してしまいネロがやってきた事が無駄になってしまいます。できれば、それは避けたいところです。

 そんな事を私が考えていると老婆は語り出しました。

 

「婆をそんなに強く見つめなさんでくだされ。あなた様に害になる事は致しません」

 

 私としては信じたい所なのですが鵜呑みに出来ない事はこれまでの経験からわかっています。

 

「この婆の昔話を聞いていただけませんか?今まで秘にしていた事でもあります」

 

 その言葉に私は頷きました。そんな老婆の様子にププル達巫女は驚いている様子でした。

 

「ありがとうございます。私の名はクルルといい巫女頭を務めております。生まれながらこの目は光を感じる事はありませんでした。とはいえ不便を感じる事はありませんでした。視力がない代わりに未来を見る事が出来ましたし、世界の現在起こっている事を知る事も出来ました。この力を当時の巫女頭に話したところ視力の無い私を巫女にしていただきました。その後はこの力を使い部族の有利になる様に交渉に必要な情報、襲撃に対する情報、その他にも多くの情報を伝えてきました」

 

 その言葉に私はこの部族がメガロメセンブリアの影響の強いこの場所で生き残って来れた一端を知る事が出来ました。

 また、その事により交渉の際に不正を突き付けられたであろう者達や襲撃に失敗した者達など様々な思惑を潰された者達がさぞ恨みを持ったことでしょう。自業自得であるのでしょうが、そんな事を相手は関知せずに恨みだけを募らせていったことが手に取るように浮かんできます。豊かで資源の多い森を持っている事だけも恨まれているというのに。

 どうやら今回の派兵は当然の帰結なのかもしれません。そういった輩の恨みは粘質的なものである事は経験で知っています。

 草薙護堂がカンピオーネになった際の騒動を考えれば当然なのかもしれません。私は正史編纂委員会よりの様に海外では思われていましたが、実際の所は旧家との折り合いが悪く旧家からは古老と同じように目の上のたんこぶの様に思われていました。もっとも、そんな事を相手は面と向かっては言いませんでしたが、自分達の思惑を阻止続ける私はさぞ目障りだった事でしょう。もしかすると翠蓮との関係もあるので古老よりも目障りだったかもしれません。そのために、私は『官』側である正史編纂委員会に対しては東京分室室長である沙耶宮馨以外を窓口としては認めていませんでしたが、『民』に対しては広く窓口を開いていた事も気に入らなかったのでしょう。

 そこに草薙護堂という高校生のカンピオーネが現れた事により私よりも御しやすいと思った『官』よるというよりも旧家による私を追放してしまおうという動きが始まり、その動きにより今まで押さえつけられていた『民』の一部の過激派が発端となった『官』と『民』による騒動が勃発するという事態になりました。ここまでなら沙耶宮馨と甘粕冬馬が頭を抱えるだけで済んだのでしょうが、こういう時に私がいると状況が最悪になる事が多々あります。

 ちょうどこの時期はまつろわぬアテナが襲撃した時期と重なり、どういう訳か複数のまつろわぬ神が顕現し、何を考えたのかヴォバン卿が原作よりも早く来襲し、ドニが師匠と呼ぶ私から技を盗む為に戦いをしようと現れ、この動きを見ていたアレクサンドルが漁夫の利を得る為に私の家に忍び込み、何でいたのか不思議でなりませんがジョン・プルートー・スミスが颯爽と登場し、この状況に心配になった翠蓮が救援に来日してしまい、アイーシャ夫人を除いたカンピオーネが7人も日本という国に集結してしまうという異常事態となってしまいました。

 更にその影で旧家が鬱陶しくなっていた玉藻はこの機会に影響力を落としてしまおうと暗躍する事によりカオスな状況となってしまいました。

 最終的な決着は旧家の影響を大幅に落とす事に成功し目的を果たした玉藻。大暴れし楽しめたヴォバン卿。私から技を盗む事に成功したドニ。私の助っ人として活躍した翠蓮。いいところをかっさらっていったジョン・プルートー・スミス。勝者はかろうじてこの5人。それ以外関係者は私を含めて多くの者達が頭を抱える結果となりました。ちなみにこの騒動を第一次カンピオーネ大戦と言われ日本全土に痛ましい傷跡が残り、私は翌日から全てをなかった事にする為に強行軍で全国を回る嵌めになりました。

 第一次カンピオーネ大戦の中で旧家の言い分を信じた草薙護堂と私は対峙する事になり、この騒動もクソ女神の所為だと思いイライラしていた私は敵として草薙護堂を殺すつもりで戦おうとしていたところ、その事を察知したエリカの機転で実際に戦う事はありませんでしたが、彼が私に対して敵意を持って見てくるという結果となり、彼の誤解が解けるまで続く事となりました。

 ちなみにこの事件が第一次とついているのはこの様な事件が私が死ぬまでに何度か起こっているためです。

 

「その内に私は巫女となり、様々な修行を行う事により能力は増大していきました」

 

 おっと!いけませんね。昔の事を思い出してしまいククルの話を聞いていませんでした。

 

「そして、結婚をし、娘が生まれてから不吉な未来が見える様になりました。この部族の滅びという未来が」

 

 未来を知るという事は幸福とは言えないという例ですね。実際にパンドラの箱の話では箱に残った最後の災いである予知の力が解放されなかったことで、人間は未来を知ることができなくなり、それゆえに無限に可能性を信じることができ、絶望をせずに済んでいる、と解釈されることもある。そう考えるとこの老婆の絶望は計り知れません。

 その驚愕の事実に森の民であるププル達は目を見開いて震えていました。

 

「もちろん、私も様々な努力はしてきましたが見える未来は変わらず失意の日々を過ごす事のなりました。ですが、一ヵ月前から未来の映像にブレが入る様になりました!」

 

 ・・・・・・一ヵ月前ですか。微妙に私達が来た時期と重なっています。

 

「私は必死になってこの時期に何が起きたかを自身の持ち得る力を全てを使い調べ、やっとの思いであなた様にたどり着きました!」

 

 私達という異物までにたどり着いた老婆の能力の高さに驚きましたが、私達にとっては厄介事になりそうですね。まぁ、滅亡とは今回の騒動の事なのでしょうが。

 

「後はあなた様がどこにいるのかが分からなかったところバカな孫が作った盗賊団が潰された時に未来を見る事が出来なくなり、孫があなた様と接触したのだと気がつきました。そして、未来が変わったのだと」

 

 そう言って老婆は私を見てきました。

 この老婆にとって私という異物による変化をどう感じたのでしょうか?

 今までの重い十字架を下す事ができて安堵したのでしょうか?それとも自身では運命を変える事ができずに失意を抱いたのでしょうか?私には老婆の心の内を知ることは出来ません。

 

「ですが、情勢は変わりませぬ。お願いにございます!金銭を望むなら貯えがあります!女が欲しいというのなら誰を連れて行っても構いません!どうかこの部族をお救い下さい!」

「なっ!ばあ様!」

 

 そう言って老婆は私に対して土下座を始めました。外見が子供でしかない私に出来る事ではありません。ププルを含むこの部族の者達も一様に驚いています。

 どちらにしてもロビンに対する負い目がある以上老婆がこの様な行為をしなくてもこの騒動は私が矢面に立つつもりでした。

 老婆もわかっていると思うのですが知っててやっていませんか?

 ・・・・・・それならば、したたかな人だとしか思えません。私のこの様な外見では侮られる事が確定しています。それをこの部族で権力を持っていそうな老婆が土下座までして助けを乞うたのです。メガロメセンブリア連合が侵攻しそうなこの状態で表立っては減るでしょう。

 そんな事を考えているとネロとロビンが部族の族長をともなって現れました。

 

「顔をお上げください。ロビンとの友誼があります。メガロメセンブリア連合の非道な行為を許さない事を誓いましょう」

 

 そう言って老婆に近づきました。そして、顔を上げた老婆は部族の者達から見えていない事を良い事に一瞬ニヤリといやらしい笑みを浮かべました。ですが、その様な表情をすぐに引っ込めて老婆は私の手を取り話し出しました。

 

「それはありがとうございます!孫との友誼の為に戦ってくださるか!孫は何と幸運なのだろうか!友誼の為に救援に来て下さるとは縁もゆかりもない我々を助けて下さるとはなんと良いお方だ!」

「ええ、まかせてください」

「そうですか!ならば、その騒動で我々は多大な被害を受けました!その負債もメガロメセンブリア連合からきちんと取立ていただけるのですね!これはありがたい!それに見知らぬ土地行く我らにいろいろと便宜も図って頂けるようでありがたいですな!」

 

 ・・・・・・老婆の話がおかしい方向に向かています。老婆の後ろを見るとネロが額に手をあてて顔を振っています。もしかしなくても言質を取られたという事ですね。仕方ありません。玉藻に頼みましょう。

 それにしても、この老婆は抜け目のない人物です。ですが、案外新鮮ですね、これは。前世では老獪な人物もカンピオーネということで遠慮していましたから。

 

「わかりました。出来る限りの事はしましょう。ただ、私もロビンにやってもらいたい事(押し付けたい事)があります。いいでしょうか?」

「あのような孫でも役に立つのなら私としても鼻が高い。お好きなようにしてください」

 

 私がニヤリと笑いロビンの未来を決定的にする一言を言います。それに対して老婆もニヤリと笑い了承します。その様子にロビンは顔が青くなっています。そして、ロビンは慌てて口を開こうとした瞬間に私は顔を引き締めてメガロメセンブリア連合がいる方向を見据えました。

 カンピオーネの勘が私に告げています。攻撃が来ると。そして、魔力の高まりも感知しました。

 

「どうしましたか?」

「どうやら相手はしびれを切らしたようです」

「なるほど」

「落ち着いていますね」

「ほっほほ、交渉にはずいぶん甘そうですが、戦闘に関してはその様な事はありますまい。準備は終わっているのでありましょう」

「まぁ、相手は譲歩する気はないようなのでこうなる事はわかっていましたから。油断は禁物でしょう」

「何を話しておるのだ!詳しく説明せい!」

 

 そうププルが叫んだ瞬間にメガロメセンブリア連合軍がいる方向から砲撃が向かってきました。そして、黒い何かが森全体を覆う様に現れて包み込みました。

 その瞬間に砲撃が当たりましたが、問題なく防ぎ切り、それでもあきらめずに雨あられの様に砲撃を撃ち込んできました。

 部族の者達は老婆以外は慌てており突然の状況についていけないようです。それに対して私達は冷静に砲撃してきたメガロメセンブリア軍を見据えていました。

 ネロが望んでいたように先制攻撃は譲りました。大義名分はこちらにあります。私にはどうでもよい事だったのですが、ネロの計画には必要な事だと訴え続けてきました。味方を作るには必要な事だと。個人で何でもできる弊害なのかもしれません。

 それはさておき、この程度の攻撃ではどうにもなりませんが、いい加減転移の準備が終わるまでに軍を全滅させる必要があるので行くとしますか。




 読んでいただきありがとうございました。
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