艦隊これくしょん~明かされぬ物語~   作:kokonoSP

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前回のあらすじ
・天龍さんカッケェェェェ!!
・龍田さんって案外甘えん坊?

以上!


それでは、どうぞ!


初めまして、司令官さん

 

「えっと……この辺りで合ってる筈なのです…・・・・けど」

 

 今朝、提督さんが部屋にやって来たと思ったら、直ぐに出撃する事になりかなりドタバタとした出発になってしまった。

 出撃ドックに着くまでの道中で理由を聞いた所、「向こうの状況が悪くなった」との事だ。

 早く助けに行かないといけない状況になり、電も司令官さんを助けに行くのは賛成でしたので雷とお別れも殆どする時間が無かったのです。

 天龍さんに聞いてたカナリア鎮守府の真実も気になる所ではありますが、それよりも司令官さんを助けなければ。

 でも……

 

「な、何もないのです……」

 

 司令官さんが言っていた島はここで合ってるハズなのです。

 

 『弟島』

 

 小笠原諸島にある島の一つで、父島のほんのすこし北にある島。

 昔はそれなりに人が住んでいた時期もあると文献には書かれていますが、深海棲艦の出没で全員が避難し、今は無人島になっています。

 ですが、何故かその弟島に新しい司令官がいると司令官さんは言っていた。

 少し不思議に思う部分もありますが司令官さんが嘘をつくとは思えませんし、もう少し探してみましょう。

 

 

 

 20分経過………

 

 

 

「や、やっぱり居ないのです。電はどうすればいいのでしょうか」

 

 いくら海岸線を見ても人が生活をしているような形跡は見られない。

 滞在していただけだとしても火は人間が生きる上で必要なもの。

 そして外で火を扱うに当たって、緊急時でもなければ水の近く、この弟島は川が無いので必然的に海の傍で行ってる筈である。

 深海棲艦が現れたという報告も見られていないから襲われたとも考え辛いですし……

 そうこう考えながら島を見ていると、ふと崖っぷちの所に小さな洞窟があるのを見つけた。

 

「あれ?ここにこんな洞窟なんてありましたっけ?」

 

 いや、いくら電がドジばかりをしているとは言え島を何回も見て回っていたのです。

 流石に洞窟があったら気づきます。

 

「こ、怖いですけど。入ってみましょう」

 

 そして入ったはいいとして直ぐに問題が発生した。

 

「これを登るのは…流石に………」

 

 洞窟に入ると、浜辺のように直ぐ陸になっていて、上陸し辺りを見回してこの先へと続く道を探したところ…

 崖の上に奥へ続いてる道らしき空間があった。

 ただ正直この崖を登れる自信は無いですし、こんな所に司令官さんどころか人が居るのかも怪しい。

 ここは一旦引き返s………

 

 

ちゃぷ……

 

「へっ?………あぁぁ!?」

 

 引き返そうと後ろを見たら既に海水が上昇し始めており、もう洞窟の天井と海面の間を通る事が出来ない程までに海水で満たされてます。

 

「ど、どどど、どうしましょう!?どうすればいいのです!?」

 

 一応、艦としての機能は背中に装着された艤装が付いてる限り作動しっぱなしなので海水に溺れるという心配は無いのですが……

 慌てている今もどんどん海水が上昇してきて、さっきまで登れそうもないと思ってた崖の半分まで来ていました。

 

「ま、まさかこのまま天井にぶつかる……なんて事は無いですよね」

 

 今、鏡で顔を見れば血の気が引いて真っ青になっていると断言出来るのです。

 そんな電の想像なんて知るよしもなく、水位は上昇していく一方。

 けれども流石にぶつかるなんて事はなく、崖の上に来る頃には海水の上昇は緩やかになり、最後には崖から10cmほど低い位置で上昇は止まりました。

 天然のエレベーターって所ですね、とても心臓に悪いですけど。

 

「結局上まで来てしまったのです。仕方ないですから先に進みましょう」

 

 誰に言うでもなくそう呟き上陸する。

 真っ暗で何も見えないですから慎重に……慎重に。

 大体5分くらい歩くと、ゴツゴツした地面から石畳のような安定した地面になり、自分の歩くコツッコツッという音だけ響いて怖いのです。

 こういう時に限って何か………

 

 

 

 

 

「誰だ?こんな死者すらも寄り付かない様な場所に来たのは」

 

 

 

 

 

 恐らく、今までの記憶の中で一番の叫び声を上げたのです。

 

 

 《???side》

 

ザァァァァァァァァァァーーーーーーーーーー

ザァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーー

 

 今日は波の音の他に何かが通る音をよく聞くな。

 最初はどこかの艦娘が遠征で横切ってるのかと思ったが音が近い。

 まるでこの島で"何か"を探してる様に思える。

 少し音に耳を澄まして居ると、水を切って進む音が洞窟内に響き渡る。

 だれかがこの天然の檻に続く洞窟を見つけて入ってきたという所か。

 

「…………ぁぁぁ!?」

 

 叫んでる。

 恐らく洞窟に入って中を見物してたはいいが、水位の上昇で帰り道が閉じかけて驚いた……という所か。

 実際同じような事がずいぶん前に数回合ったが、全員急いで洞窟を抜けていった。

 

「…………ど………れば……………で……!?」

「はははっ、今度の子は洞窟内に閉じ込められちゃったか」

 

 いきなり声がこちらに響いてくる。

 相棒も同じ事を思ったか………

 ちょうどいいし、俺も口を開く。

 

「まぁ、だからと死ぬ訳じゃねぇし。こっちまでこねぇだろうよ」

「お?言ったな、賭けるか?」

「お生憎様、持ち合わせがございませ~ん」

「はははっ、そりゃそうだ。はははっ」

 

 何がおかしいのか相棒は少しの間笑っていた。

 まぁ、洞窟内は真っ暗だ。

 普通の奴ならまた水位が下がるまであの崖でビクビクと大人しくしてるだろう。

 奥まで怖くて来る事がないのは今までの経験から分かる。

 もう考えるのは止そう…………面倒くさいし。

 だが、今回は今までの予想を上回った状況になった。

 

コツッ……コツッ

 

「なんか音、近づいてきてね?」

「……やっぱり聞き間違いじゃねーよな」

「はははっ、なかなか度胸のある女だな」

「……そろそろ黙れ相棒」

「はいよ」

 

カツッ……カツッ

 

 足音が変わった。

 牢獄エリアの石畳まで来たか、中々に根性のある。

 いや、ただ単に神経が図太いだけか?

 そんな事を考えていると足音が俺の真横、つまりは俺の入れられた牢獄の真ん前に居ることになる。

 

「誰だ?こんな死者すらも寄り付かない様な場所に来たのは」

 

 相棒以外と言葉のやり取りをするのは久々過ぎて、どう声をかけていいのか分からず俺らしくない変な口調になった。

 だが、そんな事を思ってられない程の出来事が真横で起こった。

 

「きゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 大音量で鼓膜に直撃する叫び声を浴びせられ、今まで動かしもしなかった手で耳を塞ぐ。

 うるせぇ!と叫びそうになるが、相手の叫び声の方が五月蝿くて聞こえないだろうな。

 しばらくしてから静寂が訪れた。

 

「え、えとえと。だ、誰か……いるんですかぁ?」

「幻聴で叫ばれても困る」

 

 少しずつ瞼を開いて視界を開く。

 ずっと暗闇の中に居たから目は慣れてるな。

 まず見えたのは壁、そして左手の方向には牢獄でお馴染みの鉄格子、その更に左には小学生程の女の子、背中には艤装が装着されて物々しい。

 そして暗闇の中でも分かるそのシルエットに目を見開く。

 自分らしさなぞ全てかなぐり捨ててその姿を一瞬見つめてしまった。

 

 

『提督さん、今まで……ありがと。皆を………守って……………くださ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

 幾度となく悔いた"あの場面"が脳裏に再生させる。

 だが彼女はもう存在しない。

 頭を冷やせ、コイツはアイツであって別の存在。

 俺の知るアイツじゃない。

 

「こんな所に何の用だ」

「て、提督を探しに。私がこれから着任する鎮守府の提督がこの島で危険な状態と聞いて来たのです」

「そんな報告、聞いてねぇが?」

「あ、あの!それよりも真っ暗で怖いのです」

「……ちょうどお前の左側にロウソクが飾ってある、それをこっちによこせ」

「ひ、左…左。あ、あったのです。そ、それでどうすれば」

「そのまま180度ターンして床にロウソクを置け、あとはこっちで取る」

「は、はいなのです」

 

 女の子が180度回れ右をしてこちらを向き、しゃがんでロウソクを置く。 

 置かれたロウソクを手に取り服の内ポケットを探り、ジッポを取り出す。

 表面がザラザラした触り心地に酸化して錆びてるのだと少ししてから理解し付くかどうか………

 キンッ!と蓋を開く金属音が心地よい。

 

「お?ジッポか。柄はなんだぁ」

「ひゃぁぁぁぁぁあああああああああ!?」

「………柄は無いが刻印はしてある。あとお前うるせぇ、黙らねぇと舌引っこ抜くぞガキ」

「~~~~~~~~!!」

「おー怖い怖い、大の大人がする事じゃないよ」

「知るか」

「で、なんて掘ってあんの?」

「忘れた。それに触り心地からしてかなり錆びてる。触っての判断は無理だな」

 

 話してる間にもジュッジュッと火を起してはいるがなかなか火が付かない。 

 だが、物としてはそんなに使ってなかった筈だから石が削れきってるという訳はないんだが……

 

ジュッジュッジュボ!ジューー

 

「!!」

「お、付いたな相棒」

「ああ」

 

 そしてロウソクに火を灯してキンッと勢い良くジッポの蓋を閉じて懐に仕舞う。

 正直、つけたはいいが久々にみる光なので眩しい。

 檻の外側にロウソクを置いて、今度は明るくなった状態で少女を見る。 

 サラサラとした茶髪、幼さの残るクリクリした瞳。

 後髪をまとめてアップサイドにし、「どこで売ってるんだ?」と言いたいくらいの大きい髪留めクリップをしている。

 見紛(みまが)う筈もない。

 

 

 特Ⅲ型駆逐艦 暁型4番艦

 

 シップネーム 電

 

 

 運命なのか……それとも偶然なのか。

 

「………で……」

「あ?」

「なんですか……ここ」

 

 電(?)が驚いた表情のまま辺りを見回す。

 相棒がそこで口を挟む。

 

「まぁ、いわゆるアレだよな。重犯罪者用の独房」

「看守すらいねぇ独房とか、そのまま餓死して死んじまうじゃねぇか」

「実際そうだろ。入れた後は放置」

「そんな趣味ねぇってな!」

「「ははははは」」

「な、なんでそんな呑気に笑ってられるんですか!今開けますから、こんな所出ましょう」

 

 そう言って電(?)は鍵を探しに行こうとする。

 

「おい」

「なんですか!今開けますから待っt………」

「それで、犯罪者を野に放つのか?」

「っ!?」

「はぁ、それくらい考えんでも分かるだろボケ」

「相棒よぉ、初対面の子にその口調はキツいだろ」

「だからンな事知るか、で本当に開けんのか?」

「…………」

 

 オロオロと自分がどうすればいいのか迷っている。

 だが、俺の目に視線が合ったら、まるで固定されたかの様に目と目、視線と視線が交差し続けた。

 数秒見つめ続けた後、先に行動を起こしたのは電(?)だった。

 こちらに背中を向け、壁際に掛かってるであろう鍵を探す様な行動を取る。

 

「貴方は悪い人じゃ無いです」

「はっ!知った口をするな」

「でも目を逸らさなかった」

 

ピクッ

 

「本当に悪い事をした人は必ず目を背けるものです」

「嘘をつくのが上手いとは考えないのか?」

「それも考えました。でも……」

 

 一度言葉を切ってこちらを向いたと思ったら笑顔で

 

 

「貴方は何となく悪い人には見えないのです」

『貴方が悪い人には…見えないんだもん』

 

 

 目を見開く。

 有り得ない筈なのに、彼女と電が重なって見えた。

 

「………ふ、ふふふ」

「?」

「いや、久々にいい夢を見させて貰った」

「?」

「で、俺はどうすればいいんだ?お前の提督になればいいのか?」

「えっと、あの。すみません。電はカナリア鎮守府の司令官さんを探してるのです」

 

 これは本当に偶然か?

 あまりに出来すぎた流れに怖くなってくる。

 

「これもお前の力か?相棒」

「ん?そうかも知れないし、そうじゃ無いかもな」

「何の話です?」

「なんでもねぇよ。ただ……お前さんの探してる人物は俺たちだったというだけだ」

「え?」

「俺と向こうの相棒はカナリア鎮守府の提督だった」

「え!?そうなのですか!?」

「"だった"、だけどな」

「でも、島には他に人の気配がしないですし、司令官さんの言ってた新しい司令官さんはきっとお二人の事なのです」

「あ?俺らを指定した奴がいんのか?」

「司令官さんが言うには"この島に新しい提督がいる"とだけ言われて………あれ?」

 

 話に要領を得ない。

 詳しくは後で聞くとして………

 

「ま、まずはこの檻から出るか」

「そうだなー、そろそろジッとしてんのも飽きたし。出ようか」

「え?あ!鍵探してくるのです」

「あー、いいから。自分たちで出られるよ」

「有って無い様なもんだしな、この檻」

 

 慌てて鍵を探しに行こうとする電(?)を止める。

 

「でも、鍵が無いと」

「鍵なんか無くても出られる」

「そゆこと~」

「えっ?」

 

 まさか!という顔で見てくるのでニヤリと笑って返す。

 ガッ!という音がして相棒が檻を握る音がし、俺も檻を両手で握る。

 電(?)は目を見開きながらもドキドキとした期待と不安の入り混じった顔だ。

 なので俺らは期待に答え、その檻を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 普通に押して開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、酷いです!あんなに期待したのに!」

「馬鹿かお前、獲物も無しにそんな派手に檻が壊せる訳ねぇだろ、常識を考えろ」

「いや、獲物が有っても出れないって」

 

 「酷いです!酷い裏切りなのです!」と何度も怒鳴られながら"外"へ出る。

 そうなのだ。

 入口は確かに洞窟からで無ければ入れないが、出口は出口専用として別に存在する。

 でなければ、あのような牢獄に囚人を入れたとしても、海水が引くまでの時間は一緒に居なければならない。

 ちなみに(ろう)が開いていたのには理由がある。

 理由は至極単純、相棒の"悪運"のせいだ。

 悪運とは本来『悪事を行っても、その報いを受けずにすむ強い運』という意味であるが、相棒のそれは『最悪の状況下から脱する強運』の意味を持つ。

 それが数回なら"運がいい""強運だ"とかで済むのだが、相棒は毎回それで生き延びられている。

 正直、悪運が強いとしか言い様がない。

 

「それより、鎮守府までの航路は分かってるんだろうな?」

「はいなのです!電にお任せな………あ」

「あん?」

「わ、忘れてたのです!」

 

 という言葉を発し、俺と相棒の前へ出て敬礼の形を取る。

 

「特Ⅲ型駆逐艦 暁型の電です。どうか、よろしくお願いいたします。」

「「知ってる」」

「はにゃー!?」

「さっきから電電って言ってりゃ、誰だってお前が電だって分かるっての」

「まぁ、そんな所が可愛いんだけどねー」

「はわわ!?恥ずかしいよお…」

 

 まぁ、これはこれで退屈しなくて済みそうだ。

 

 

 《side out》

 

 

 カナリア鎮守府~鎮守府内部~

 

 

「今帰ったぞ」

「うん…………おかえり」

 

 部屋に戻るとちゃぶ台の上で腕を組んでボーと壁を見続けている少女がいた。

 綺麗な金色の髪をまとめもせず、()く事もせずにボサボサなまま。

 以前の様に髪を二つ結をし、いつも元気にしていた姿はもう見る事が叶わないのかもしれない。

 

「いい加減に立ち直れ、そんなお前を見て提督達が喜ぶと思うのか?」

「…………っ!」

 

 やっとこちらを見たと思ったら目に涙を浮かべ、敷いたままの布団に潜り込んでしまった。

 

「提督や司令官の居ない現実なんて……」

 

 このやり取りも幾百幾千としてきた。

 

「残された者には残された者の義務がある」

「僕には……無理だよ」

「出来るさ。いや、やるんだ。やらなければならない。違うか?"皐月"よ」

「"菊月"は強いね。でも、やっぱり僕には無理だよ」

「皐月…………」

 

(今日も……ダメだったか………)

 

 

 

 

 

 『睦月型駆逐艦5番艦 皐月』 

 

 『睦月型駆逐艦9番艦 菊月』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このカナリア鎮守府に残る、最後の艦娘。

 それがこの二人である………

 

 




どうもです!up主です。

青葉ではありませんあしからず。

後書きって、いざ何か書こうとしたら話のネタが出てこないヤバイ。

青葉さぁーん、何かエンタメの記事おねがいしまーす。



提督「瑞鳳って、ポニテ解いたほうが可愛いと思う」



てことで、皆様、また次回、でわでわ~
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