単行本34巻 隠して急いで省略
英語教師vs西の名探偵
コレでpixiv投下分に追いつき。
蘭と園子と一緒に帰っているとコナン君と遭遇する。バスジャック以降なんとなく態度によそよそしさを感じるが、まぁもともと世話になってる蘭の友人程度の距離感だし、私は子供受けのいいタイプではないのさして気にはしない。
「ハァイ毛利さん、鈴木さん、冷泉さん」
そんな私達の後ろから声をかけてきたのがジョディ先生。以前に比べるとフランクに生徒に接しており、授業の内容もキャッチーなモノで最近生徒からの受けはいい。今日も授業中ボーっとしていた蘭にちょっかいかけてたし。
そんなジョディ先生も私に向ける視線は蘭や園子に向ける視線よりなんとなく剣呑な色を帯びている。そもそも私もジョディ先生は何か隠してると見ているのでここはお互い様である。
「最近帝丹の生徒がチカンの被害にあってマス」
話があるとジョディ先生に連れてこられた喫茶店。先生から打ち明けられた話に園子も蘭も驚いたあとに視線を私の方に向ける。いやそのタイミングで向けられると私が犯人みたいになるからやめてほしい。
「……いや2人とも何故私の方を向いた」
「だって雪そういうのよくボコボコにしてるじゃない」
「それに雪もだけど蘭の空手でボコボコよ」
そういう園子達にジョディ先生は甘く見ないでくだサイと注意を促す。痴漢もそうだがストーカーみたいな奴も息を潜めてるという。
……そう言われると心当たりが無いわけでもない。緑川さんは私の事を注視しているし、目の前のジョディ先生も私の動向を探っている時がある。
「そうですね。心当たりあります。例えば、先生とか」
ズズッとアイスコーヒーを飲みながらそう口にすれば場の空気は凍る。蘭がちょっと雪失礼じゃないとか園子がジョークですって先生に気を使う一方でちょこんと座っていたコナン君は私の牽制に食い入るような反応をみせる。
当のジョディ先生は一瞬面食らった様子を見せるがすぐに冷泉さんはジョークがお上手デスと取り繕った。腹芸は別に私も得意では無いのでそれ以上は踏み込まない。私としては友人2人に対してではなく、私が探られてる事が解っただけでも上々である。
コナン君はさらに探って欲しそうな様子を見せているが同時に私の事も探ろうとしている。
「oh.冷泉さんはジョークもお上手デスね」
ジョディ先生の誤魔化しは施設内に響き渡った悲鳴と香ってくる血の匂いによって流される。コナン君もすぐに悲鳴の方に走っていきそれを私達も追いかける。
一歩下がって私達の様子をうかがう先生にコナン君は警戒心を見せながら見事事件を解決して見せた。そんな事件ののち私は再び先生と殺人事件に遭遇することになる。
「服部君?ジョディ先生にコナン君とは珍しい組み合わせだな」
「冷泉!?なんでお前までおるんや」
「雪お姉さんもジョディ先生に用事?」
マンションの下、たまたま近くを通りかかった私が血の匂いが気になり近寄ってみればそこには結構な高さから転落したとみられる死体と服部君にコナン君、そしてその2人を観察するジョディ先生がいた。
3人とも私が現れた事に驚愕といった感じであるがコナン君は私とジョディ先生の関係を気にしているらしい。それはジョディ先生から感じるこびり付いた血の匂いやあからさまな隠し事に私も含まれているんじゃないかという事だろうか?
そしてジョディ先生はジョディ先生で私を警戒している。それは普段蘭や園子達と違いジョディ先生の血なまぐさい過去が私の振り撒いてる殺気に気付かない筈もない。
つまり私の味方は居ないという事だ。私でもこのアウェイな感じは少し堪える。
「私は野次馬だよ。血の匂いもしたし気になっただけだ」
「自分は犬か?」
「服部君の匂いも好みだ。じゃれついてもいいかい?」
そんな事を服部君に言われればじゃれつきにかかるが辞めぇや気色悪いと袖にされる。服部君は変わらずいけずだ。
いけずだが服部君は剣士と同じくらい探偵としても素晴らしい。彼とコナン君が居れば事件は順調に解決していく。
そして今からトリックを実演するらしい。再現の為にジョディ先生には酔っ払って貰って、へべれけの状態の先生に電話をかけるらしい。
「服部君、それ私がやってもいいかい。他愛のない話でいいんだろう」
「……かまへんけどいきなりどうした」
私がそう切り出せば断る理由が無いのか渋々といった感じで私に電話役を任せてくれる。不可解な動きに2人の疑念が強まったのを感じる。
「やぁ先生。チョットしたサプライズってやつだ」
「冷泉サン?なんでユーが」
「まぁまぁ。私も服部君と同じ事が聞きたいんだ。先生は何者なんだい」
電話先が服部君じゃなくて予想外な私であったことに動揺した様子がある。それでもすぐに取り繕えるのは流石だ。
「どうして英語の教師から血の匂いがするんだ?」
「そのままそっくりお返ししマス。冷泉サンはなんでソレが分かるんデスか?本当に普通の高校生なの?」
血の匂いと言われれば若干言葉に詰まる様子がある。そして2人にも剣呑な雰囲気が流れてくる。先生からのカウンターが電話口から聞こえればその剣呑な空気の矛先に私も含まれる。
「ああ、すまない。ちょっと電波が悪いのか聞こえづらいな」
私は答えずに事前に言われていたトリックの肝となる言葉を言う。これはただの電話ではなくトリックの実証なのである。だからそんなに残念がるな。
私の言葉に先生は窓を開けてベランダに出ようとする。しかしそこにベランダは無くあえなく先生は宙吊りになる。結局決定的な事は分からなかったが私に対しての警戒心を隠さなかった。蘭や園子たちといるときはそこまであからさまではないのに。
「冷泉、お前も何者や」
事件も解決しジョディ先生と別れた帰り際、服部君にそう切り出される。コナン君は服部君の言葉に驚いた様子がありこれは服部君の個人的な質問だろう。
「服部君が私に事を知りたいなんて、ついに私に気があるのかな」
「とぼけんなや。大阪の時沼淵に会うとったんは調べがついとる。坂田はんともいろいろ話とったらしいしな」
ふむ。私としては服部君に興味を向けられるのは嬉しい。しかしなんで今更このタイミングで聞いてきたのだろうか?大阪の話だけならもっと早く聞いてきてもおかしくない。
「どうして今聞いてきたんだい」
「工藤の奴が毛利の姉ちゃんが心配で怪しい奴が居ないか調べてくれって頼まれてなぁ」
「この前も今も血の匂いって言うてたな?そんなのに詳しい女子高生があるかいな」
成る程。2人が知り合いだった事も驚きだが、それ以上に服部君自身が私の事をハッキリさせたいのだろう。そしてソレを誤魔化さず直接聞いてきた。誠意には誠意を持って答えるべきだと思う。
「私は今まで服部君に嘘はついていない。服部君に言ってる事は本心だよ」
「だからあの日言った頸を落としたいってのも本心だ。個人的にはこれ以上ない殺し文句だと思ったんだが不評でね」
私が担いでいた竹刀袋から紅椿を取り出し、柄を握る。そして私の殺意を服部君に向ける。服部君はモチロン隣のコナン君も息をのむ音が聞こえる。服部君は刀剣に詳しいしコナン君も以前紅椿を見ているから知っている。
「気色悪い気がえらい濃くなったな。それがアンタの正体ってわけか」
「……ああ、私はどうやら異常者みたいでな。人に会うと人を殺したいという気持ちが必ず湧く。どうやったら殺せるかをまず考える。そしてその選択肢を選びたくなる」
「沼淵や坂田さんに会ったのも殺人衝動というものとどう折り合いをつけるか考えたくてね。人を殺す選択を取る理由、人を殺す感情が知りたかった」
「……蘭も殺したい気持ちが湧くのか」
私の独白と一触即発の空気の中コナン君が聞いてくる。服部君はコナン君を守れるようにしながら武器になるものを探してるように見える。
「ああ。蘭はこんな私を知っても友人で居てくれる。蘭には返せない恩が沢山あるよ。蘭のおかげで私は踏み止まれているが、それでもそんな蘭を殺してみたいと思った事は幾度となくある」
「それと安心しろ服部君。私も今は抜かない。服部君とは剣士として真剣に殺し合いたいからね」
コナン君は敵のような目で私を見る。当然だ。どうせ私は怪物でしかない。そんな2人を尻目に私は紅椿を袋の中に戻すと2人は紅椿を納める私に意外そうな顔をする。
「どうした、しまらない顔をして」
「いや、てっきり斬り掛かって来るかと思て。それにこないな事よう話せたな」
「こんなんだからかな?誠実ではありたいんだ。……そんな分別がなければ私は蘭を既に殺してしまっているよ。でもね」
『何時私がヒトデナシに成り果てるかわからないんだ』
冷泉の奴が去ったあと俺はようやく安心する。アイツの持っとった刀……あれほ相当の業物やし、嫌な気配がプンプンしよった。
それにアイツ自身も殺す気を出しとった。その癖斬り掛かって来ぉへんかったのが不思議なくらいや。
「なぁ服部。俺達は助かったのか」
「ああ多分な。とてもじゃないが徒手でアイツに斬りかかられたら無事だったという保証はないな」
それにしても毛利の姉ちゃんは冷泉が腹に据えてるモノを知っとる口振りやったな。だとすればやっぱり豪胆な姉ちゃんや。
「服部、アイツは組織とは関係ないと思う」
「ああ。俺もそれには同意や。それでも危険人物であることには変わらんなぁ」
「工藤、アイツが人を殺ったと思うたらすぐに知らせえ。お望み通りぶん殴って止めたる」
ベルモット編で一旦終えるんであとちょいです