ヒロアカ×エアギア 炎の英雄(更新停止) 作:ken4005
ヒロアカ小説第3話
第3話 結果発表──「俺が一位だ」
――点数だけじゃ、走った理由までは測れない。
だが、“走り抜いた者”には、それが分かる。
スマホが震えた。
表示:カッちゃん
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爆豪『決まったか、出久』
出久『うん。合格。カッちゃんは?』
返ってきたのは、たった一文。
爆豪『俺が一位だ』
短くて、強い。爆風みたいな言葉。
思わず笑みがこぼれた。
出久『おめでとう』
爆豪『当たり前だ』
出久『どれくらい差がついたかな?』
爆豪『見ろ』
送られてきたスクリーンショット。
試験結果。勝己の評価はすべての項目が高得点。
撃破・効率・救助、全て完璧。
(やっぱり、カッちゃんは凄い)
爆豪『お前は何位だった?』
出久『3位だって。救助も評価入ったけど、時間をかけ過ぎちゃったから』
爆豪『チッ……まぁ、“らしい”点の取り方だ』
出久『ありがとう、次があればもっと素早く救助するよ』
爆豪『ありがとなんざいらねぇ。次も俺様が勝つ』
出久『負けないよ』
既読が付いて終わった。
でも、それが彼の「認めた」の合図だった。
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その夜、出久のスマホが順に鳴り始めた。
番号も表示名も出ない。けど、誰か分かる。
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スピットファイヤ
「やあ、デク。合格おめでとう」
背景に火の爆ぜる音。
「なんで知ってるんですか?」
「使わないと決めていたA.Tを、最後は使ったらしいね」
「(流された、)はい。救けるための最善だったと思っています」
「それでいい。炎は支えるために燃やせ。君にとっての燃料は“支えた人の数”だ」
静かに笑う。
「世界は今“個性”中心だ。けれど、誰かを救えるならそれはヒーローだ。
お前はもう、心はヒーローだよ。……誇っていい」
「はい」
「炎を灯しておいで、デク。君の炎は“誰かを救ける”ための灯りだ」
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ニケ
「合格したってな、出久」
風を切る音。ニケの声は低く、荒く、でも真っ直ぐだった。
「(だから何で連絡する前に知ってるんだ?)はい」
「上出来だ。勝己が入試一位らしいが、速さってのはな、誰より前に自分を投げる勇気だ。お前も勝己も、誰よりも速くあれ。そうすれば最高のヒーローになれるさ。」
「ありがとうございます」
「雄英でも走れ。転んでも進め。」
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ヨシツネ ――
三本目の着信。微かなゲームの音と笑い声。
「おぉ、炎の小僧。合格おめでとさんや」
「ヨシツネさん(だから何で知っ、)」
「その声、まだ固ぇな。もっと力抜けや。
“走る”ってのは、風と喧嘩することやない。風と仲良うなり、乗りこなすことや」
「それが、まだ難しいです」
「やろうな。お前は真面目すぎる。
ええか、戦場で間を支配する奴が空気を作る。
炎は燃やすためだけやなく、空気を“整える”ためにもある。
お前の炎はそれができてる」
「……間を作る炎」
「そや。間を読む奴は強い。せやけど、余裕を作る奴は美しいんや。
俺はそういうのが好きなんや。美学ってのは、勝ち負けの先にあるさかいな」
静かに笑う。
「それと――心操、あの馬鹿弟子、
あいつは“線を切る”才能がある。お前は“間を繋ぐ”才能がある。
二人でやれば、空間そのものが変わる。
……まあ、アイツの無表情がほころぶ瞬間、見逃すなや。貴重やからな」
思わず笑った。
「はい、楽しみにしてます」
「よし、いい返事な。じゃあワイはこの後、“風の境目”で一杯やるさかい。
デク、次は“美学”を話せるようになっとき」
ゲームの音が遠のき、通話が切れる。
その残響が風のように胸に残った。
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アイオーン
最後の着信。穏やかな声。
「やあ、緑谷くん。合格おめでとう。」
「(もうツッコマナイ)ありがとうございます」
「“時”は、使いすぎると未来を壊す。
ヒーローの役目は未来を壊すことじゃない。守ることだ」
「……はい」
「物間にも伝えてあるが、あの子の“理性”と君の“情熱”、
合わされば完璧なバランスのはずだ」
「また実験しよう。安全にな」
静かに笑う声とともに、通信が切れた。
(アイオーンさんの実験とか別の意味で怖すぎる)
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駅前の喫茶店。
丸テーブルの向こう、爆豪が腕を組んでいた。
コップの氷がカランと鳴る。
「俺が一位だ」
「知ってる。」
「当たり前だ」
彼はスマホを投げるように置いた。
画面の上、完璧なスコア。
勝己の個性だけでは出し得ない、最強の結果。
「結局、爆轟走法って名前にしたんだっけ。自分で考えたの?」
「ああ。“ニケ直伝走法”なんて呼ばれたくねぇ」
「出久」
「うん」
「三位」
「うん」
「救助でロスったか」
「うん。でも、いいんだ後悔はしてない」
「チッ……ならいい。お前はそれでいいよ」
彼はストローを噛みながら笑った。
「ブレねえのは嫌いじゃねぇ。
でも、“勝ちを逃す理由”にすんな。
救いも勝ちも両方取れ。できんだろ、お前なら」
「うん。取るよ」
「上等」
店を出ると、春の風が二人の髪を揺らした。
「じゃあな、出久」
「うん、また雄英で」
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雄英高校会議室。
スクリーンには受験結果の一覧。
相澤が腕を組み、13号がスクリーンを操作する。
オールマイトも参加している。
「爆豪勝己、一位。撃破、制御、救助、全て完璧。
A.Tも使いこなし、信じられない速度で会場全体を支配していた。
性格は問題だが……まぁ、許容範囲だな」
13号が笑う。
「逃げる受験生への罵倒も適切な避難指示でしたし、見事としか言いようがありません。」
「“救助感性”もあるってことか」
オールマイトが頷く。
「勝つための行動の中に、“救ける意思”がある。伸びるぞ、彼は」
「物間寧人、二位。理性の塊だな」
「他の受験生と協力しながら最大効率でロボを撃破してましたね」と13号。
「圧倒的制御力だ。……こいつも問題は言動のトゲだけだな」と担任予定のブラドがため息をつく。
「緑谷出久。三位」
室内が静まる。
「救助優先。A.Tは点取りには使用せず。使ったのは逃げ損ねた受験生をゼロポイントから救助する時のみ。
完全な倫理的使用。……こいつ、やべぇな」
プレゼントマイクが素直な感想を述べる。
13号が穏やかに笑い、
「A.Tを“道具”じゃなく“思い”で使っている。理想的ですね」
「救うために行動した。――それがヒーローだ」とオールマイトが締めた。
「麗日お茶子。救助のための行動力が高い。
緑谷と組んで光ってたわ、あー!青春の予感!」ミッドナイトが興奮で体をクネらせる。
「心操人使。個性とA.Tを催眠ではなく幻惑に上手く応用してたな。」
「ああ、倫理意識高め。教え甲斐があるな」と相澤とブラドが心操を高く評価。
「結論――」
相澤がマーカーを置く。
「A.T勢は、高い能力を持っている。雄英はそれを正しく導く責任がある」
13号が続ける。
「A.Tは危険でも、正しく使えば救う力になる。教育の範囲ですよ」
根津校長が笑う。
「A.Tの安全規格試行、承認しよう。条件は――“申請制”“出力ログ提出”“教員立会い”。
そして鉄則はひとつ。救うために使う。いいね?」
「異議なし」
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出久は机でノートを開いた。
“風と炎:救助支援用の風炎連携”、より安全な使い方
ページの端に書き込む。
“炎は、人々を支えるために燃やす”
爆豪は寝転びながら、スマホを放り投げた。
画面にはニケから一言。「走れ」
笑って画面を消す。「言われなくても」
麗日は布団の中でイメージする、
「デクくんの風と炎、次はもっとちゃんと合わせるんや」
未登場ダブルヒロインの片割れは机でスケッチ中。
「耐熱リブ構造、軽量化、慣性制御……この新型A.Tデクくんが履いたらすごいんだろうなぁ!」
物間は鏡の前で襟を直し、呟く。
「情熱の炎、か。……勝ってみせるさ」
心操は無音の部屋で目を閉じる。
(俺は個性を導くために使う。)
春の夜風が流れ、みんなの未来を繋いでいた。
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制服姿の出久。ネクタイを結び直す手が少し震える。
(行こう。前へ)
スマホの通知を確認する
物間『五分前集合』
心操『了解』
麗日『ハイタッチする!』
発目『制服姿で分解しない!たぶん!』
爆豪『遅れんなよ、出久』
出久『遅れないよ』
赤いA.Tはケースの中。
風が頬を撫でた。
“理性で勝つ。”
“導く。”
“救ける。”
“みんなの自由を私が支える。”
“一位になる。”
“救けるために燃える。”
六つの道が、一本の“道(ロード)”へと重なる。
それはまだ始まったばかりの――長い直線の、スタートラインだった。