ヒロアカ×エアギア 炎の英雄(更新停止) 作:ken4005
ヒロアカ小説第4話
第4話 開幕、雄英A組──個性把握テスト
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教室のドアが開いた瞬間、
春の風と一緒に、新しい空気が入り込んだ。
「うわぁ……すごい、これが雄英の教室……!」
出久の声は小さく震えていた。
夢にまで見たヒーロー科。
「あっ、デクくん!」
明るい声が響いた。
振り返ると、お茶子が手を振っている。
その笑顔が、緊張を少し溶かした。
「おはよう、麗日さん」
「えへへっ、同じクラスやね! よかったぁ!」
二人が並んで席につくと、
すぐ後ろの席から声が飛ぶ。
「おーおー、初日からラブコメかよ」
爆豪勝己。
片足を机に乗せ、いつもの調子でニヤリと笑っていた。
「か、カッちゃん、ラブコメなんてしてないよ、麗日さんに迷惑だよ」
「チッ、三位が緊張してんじゃねぇよ。さっさと慣れろ(あと麗日、どんまい)」
教室で、おのおのが親睦を含める中、雄英で新生活が、始まる。
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担任・相澤消太が寝袋に包まれたまま現れ、教室がざわつく。
「はい、おはよう諸君。A組の担任、相澤消太だ。入学式?レクリエーション? そんなもんはない。今日は簡単な自己紹介後、“個性把握テスト”だ」
「えっ!? いきなり!?」
「合理的だろ。ヒーロー科に向かない奴を見つけるには、これが一番早い」
相澤が指示を飛ばす。
「全員、自己紹介。時間の無駄は嫌いだ。簡潔に」
次々と紹介が進み、出久の番。
「緑谷出久です。無個性ですが、A.Tを使った体術が得意です。よろしくお願いします!」
短い言葉なのに、なぜか空気が変わった。
「無個性ってマジ?」
「A.Tってあのストリート文化の?」
ざわめく教室。
爆豪が面倒くさそうに呟く。
「何か体術だ。本当の得意分野は“炎”じゃねぇか。」
飯田が首をかしげる。
「炎? A.Tに火炎放射器でも?」
「んなわけあるか、ボケ」
相澤が眠たげな目で出久を見る。
「緑谷。後で少し見せてもらうぞ。……次」
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個性把握テストのためにグラウンドに出ると、
「さあ、最初のテストだ」
相澤がボールを爆豪に放る。
「入試1位、爆豪、お前が中学の時の記録は?」
「70メートルくらいっス」
「じゃあ、今回は個性ありだ。全力でやれ」
爆豪はニヤリと笑い、ボールを握った。
「見とけよ、ザコども」
投げる動作に合わせて、全力で爆破を行う。
「吹き飛べ!!」
次の瞬間、轟音。
爆発が巻き起こり、ボールは空に吸い込まれていった。
計測結果、805.2メートル。
「すげぇ!」
「なにあれ!?」
出久は息を呑んだ。
(やっぱり、カッちゃんはすごい……!)
相澤が言う。
「個性を使っていい。出せる力を全部見せてもらう」
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「緑谷、次だ」
「はい!」
ボールを握る。
(A.Tは使えない。でも、炎の道で培った加速と体の使い方で――!)
足を引き、呼吸を整える。
炎の残光が、足元に“風圧”を作る。
スピットファイヤに教わった反動走法。
地面を蹴る瞬間、風と炎が一瞬だけ重なった。
「スマッシュ!!」
気合いをいれる為に、憧れの象徴の代名詞を叫びながら、全力でボールを放る。
ボールが風とともに弾け、空へ軌跡を描いて飛んでいく。
「記録、480メートル」
「おお!かなりすげぇんじゃねーか!? 」
「個性……じゃないんだろ? あれ」
「たぶん“技術”だ。信じられねぇ……」
出久は息を整え、手を見た。
(A.Tがなくても、できること全力でやる)
爆豪が肩を叩く。
「まあまあだな。……モブどもと一緒に、俺の後ろを競いあっとれ」
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50メートル走。
爆豪:4.02秒。
轟:4.25秒。
出久:4.31秒(A.T無し)
相澤が眉を上げる。
「足の動きがかなり独特だな。
普通の人間の動きじゃないな」
「炎の道、って言うんです。重心ずらしなどの体の動きで風圧を作って、速度を出します」
「なんでもありになってきたな」
立ち幅跳び。A.T使いの得意分野で出久は風を纏うように跳ぶ。
握力測定では、純粋な筋力で上位。
爆豪・轟・出久が明らかに男子三強である。
「すごいね、デクくん!」
「ありがとう、麗日さん!」
麗日が無重力でボールを浮かせ、記録を♾️を取っていた。
「無限だ、無限女子だ」
「あれ、どこまで行ったんだ」
「先生!弁償とかないですよね!」
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全種目が終わり、相澤が結果を掲げた。
1位:八百万百
2位:爆豪勝己
3位:轟焦凍
4位:緑谷出久
5位:飯田天哉
(中略)
7位:麗日お茶子
ざわつく教室。
「えっ、緑谷くん4位!?」「A.T使ってないんでしょ!?」
「マジかよ……」
爆豪唖然。
「2位、だと・・・」
「いや、八百万さんはちょっとチートすぎるよ」
相澤が全体を見渡す。
「よし、今日のテストはここまで。
だが――緑谷、A.Tを持って、放課後もう一度グラウンドに来い、」
「は、はいっ」
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放課後、グラウンドに再び出久一人。
西日が赤く砂を照らす。
「緑谷、A.Tを使え。更新できそうな種目はもう一度やってみろ」
「……いいんですか?」
「ああ。俺はお前の“素の力”を見た。
次は、“お前の本当の全力”を見せてもらう」
出久はゆっくりA.Tを履いた。
ウィールが赤く光る。
「行きます――!」
風が弾け、炎が舞った。
相澤が髪をなびかせながら呟く。
「……本物だな、この力」
出久が一通りの種目の更新を行ない、
「どうでしたか?」
「お前のA.T、そしてその技術は大したもんだ。
——だが、使う場所はしっかりと選べ。ヒーローとして、力の使い方を間違えるなよ」
「はい!」
相澤が少しだけ笑う。
「明日からは授業だ。雄英へようこそ、緑谷出久」
風が止み、夕焼けが静かに燃えていた。
出久はA.Tを外し、胸に抱えた。
(走る。もっとたくさん人を救けられるようになるために)
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帰り道、お茶子が声をかける。
「デクくん、残ってたんやろ? どうやった?」
「うん……雄英に入れて、よかったって改めて思えたよ」
「そっか。私は今日のデクくんを見て、私ももっと頑張らな、てなった」
出久は少し照れて笑う。
「ありがとう。麗日さんもすごかったよ、無限出てたし」
「いやや〜、無限女子があだ名になったどうしよう〜」
――こうして、雄英に新たな風が吹き始めた。