ヒロアカ×エアギア 炎の英雄(更新停止) 作:ken4005
ヒロアカ小説第5話
第5話 爆炎のビル──ヒーローvsヴィラン演習(前編)
――この日、風と炎がぶつかり、雄英の空が震えた。
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翌朝。
雄英高校1年A組の面々の前にはアタッシュケースが並んでいた。
「ヒーローコスチュームの初配布です!」
サポートアイテム企業やサポート科の生徒たちによって作成されたヒーローコスチュームやサポートアイテムがそれぞれの生徒に分けられる。
出久も自分のものを手に取り、慎重に開けた。
中には、耐熱素材の濃い緑ジャンプスーツやグローブ、そして出久の為だけに調整された新型A.T、
(発目さん……ちゃんと仕上げてくれたんだな)
注意書きには、
『出久くんのA.Tは、炎圧と風圧のバランスを最適化済み!
ちゃんと冷却ファン回してね!キャパオーバーすると爆散するから!』
あの声が脳裏に聞こえてくるようだ。
彼女は昨日、夜遅くまで出久の装備を調整してくれていた。
(……ありがとう、発目さん)
更衣室で着替えを済ませると、爆豪がすでにフル装備で待っていた。
「遅ぇ」
「カッちゃんは早いなぁ」
「当たり前だ。戦場では遅い奴から死ぬ」
「……はいはい」
後ろからお茶子がヒーロスーツに身を包み駆けてきた。
「デクくんも爆豪くんも、似合ってるやん!超格好いよ!」
「ありがとう! 麗日さんも、すごく似合ってるよ」
「へへっ、ありがと、ちょっとぴちぴちスーツは恥ずいけど・・・」
「ヒーロ科最高、今夜は捗るぜ!!」
最初のセリフがそれで良いのか峰田実。
クラスメイトたちがヒーロスーツに盛り上がっていると、
飯田が腕を振り上げた。
「諸君、整列だ! これから実習だ!速やかに移動しよう!」
(いよいよ……!)
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演習場の巨大な扉が開く。
中から現れたのは、あの男だった。
「私が、来たー!!諸君! これから、実践形式の“ヒーローvsヴィラン演習”を行う!」
歓声が上がる。
「オールマイトだ、本物だ」
「いきなり実践形式かよ」
「ルールはどうなるのですか!?」
クラスメイトたちが盛り上げるなか、出久の胸もまた、熱くなっていた。
(やっぱり……本物のオールマイトがまた目の前にいる……!)
「今日はチームアップ戦を行う!
ヒーローチームは、ヴィランチームから爆弾を奪取するのが任務!
制限時間は十五分、ヴィランチームは15分間爆弾を守り切れば勝ちとする!」
壁面スクリーンに、初戦ペア分けが表示される。
ヒーロー側:緑谷出久 & 麗日お茶子
ヴィラン側:爆豪勝己 & 飯田天哉
「うわぁ、デクくんと一緒や!」
「うん! がんばろう!」
爆豪はスクリーンを見てニヤリ。
「……よりによって、お前らかよ」
「負けないよ」
「手加減なんかしねぇ。今回俺は“敵”だ。爆殺してでも勝つ」
「そのセリフ、カッちゃんにしか似合わないよ」
オールマイトが高らかに手を挙げる。
「それでは各自移動、準備出来次第……実習を始める!!」
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爆弾が置かれたビルの上層階。
爆豪と飯田は作戦会議を行なっていた。
「俺が攻める。メガネは爆弾の防衛に専念だ」
「了解した! だが、爆破で建物を壊すなよ!」
「分かっとるわ! 爆破の方向くらい毎度計算してんだよ!」
一方、ヒーロー側。
出久と麗日は入口近くで作戦を立てていた。
「デクくん、どうする?」
「カッちゃんは正面から突っ込んでくると思う。
飯田くんが爆弾の近くに残ると思うから。……麗日さん、任せて良い?」
「うん、了解。救助力だけじゃない所も見せないと!」
出久とお茶子がビル内を駆け抜ける。
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「そこだ、デク!!」
爆轟音。
爆豪が壁をぶち抜いて飛び出してきた。
一直線に出久へ突っ込む。
「やっぱり来るよね、カッちゃん!」
「おうよ! 俺は爆殺だ!」
熱風と爆風が交錯する。
出久のA.Tから炎の波が巻き上がり、爆豪の爆速ターボで急接近する。
「死ねや!!」
「フェニックススマッシュ!!」
空気が震えた。
タイルや壁の一部が吹き飛び、二人は空中でぶつかる。
火花が散り、轟音が天井にヒビをいれる。
オールマイトがスクリーンを見て唸る。
「おおお……! これはすごいぞ!」
八百万が息をのむ。
「火力もさることながら、あの速度……常人では見切れませんわ!」
常闇が目を細める。
「炎と爆破、二つの空気が喰い合っている……!」
「二人とも熱いぜ!」
「物理的にな!」
炎と爆破の激突を尻目にお茶子は上層へ進みながら、息を整えた。
「すご……でも爆豪くんがあさり負けるわけあらへん、私が頑張らな……!」
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壁が崩れ、外の光が差し込む。
爆豪と出久はほぼ同時に着地した。
焦げた床の上で、互いの顔を見る。
「……強ぇな、出久」
「カッちゃんこそ。……でも、まだ終わらないよ」
「はっ。言うじゃねぇか」
再び走り出す。
爆豪の爆破が地面を抉り、出久の炎が風を裂く。
「ローゼンスマッシュ!」
「APショット!」
出久のA.Tから発生した燃える荊から炎の棘が射出され、勝己は貫通力の高い爆破で応戦する。
炎と爆光が交錯。
二人の衝突点が白く弾けた。
オールマイトが叫ぶ。
「こいつら……もう学生の域じゃない!!」
煙が晴れたとき、出久の肩は焼け焦げ、爆豪の右腕も焦げていた。
それでも、どちらも止まることなく動き、また笑い合っていた。
「まだまだこんなもんじゃねぇよなー!出久!」
「……当たり前だよ、カッちゃん!」
⸻
一方その頃。
ビル内部、上層階。お茶子と飯田が対峙していた。
「麗日くん、 君の個性では、攻めは分が悪いはずだ!」
「ふふっ、わからへんで?」
お茶子がコスチュームに内蔵されたA.Tを展開する。
(A.Tを使っての戦闘……私だって練習したんだ!)
床を蹴った瞬間、彼女の体が“浮く”。
個性だけではない、A.Tの技術でたとえ室内であっても風に乗り、宙をかける。
「浮遊軌道──ゼログラ・ステップ!」
3次元的軌道で爆弾の確保に動くが、
飯田がエンジンを噴かし爆弾を抱えて移動する。
「速さなら、僕が上だ!」
だが麗日は空中で急旋回し飯田に追い縋る、
「……そっちのスピード、見えてるよ!」
無重力のままの旋回、まるで空を飛ぶ妖精のごとく。
「(もっと速い人たちを見てきた、もっと上手い人たちを知っている、だから!)」
飯田が減速する一瞬を見逃さず、
お茶子が手を伸ばす。
「タッチ! 爆弾確保や!」
オールマイトが宣言する。
「ヒーローチーム、勝利ーー!!」
⸻
演習終了。
激闘を続けていた爆豪が、肩で息をしながら、出久を見た。
「……お前、ほんっとに強くなったな」
「ううん、まだまだだよ。次は一対一でも勝つからね」
「チッ……そのセリフは俺んだ、今回の負け、てめぇにかかりきりなっちまった俺が敗因だ」
お茶子が駆け寄ってくる。
「デクくん! お疲れ!」
「麗日さん、ありがとう!君のおかげで勝てたよ!」
「えへへっ、デクくんたちが教えてくれたA.Tのおかげや!」
モニター越し、オールマイトが嬉しそうに笑っていた。
「どちらのチームも見事だった! お互いを高め合うその闘志、実にヒーロー的だ!」
クラスメイトたちもモニターで見ていた戦闘に圧倒されていた。
「……あいつら、もう“プロ予備軍”じゃね。戦闘力が違いすぎるぜ」
「ああ、爆豪もやべえが緑谷もやべえ。あの火力とあの機動力。無個性なんて関係ねえ。正直、今はまったく勝てる気がしねぇよ!」
「(あの炎。俺はあいつに”右”だけで勝てるのか)」
「あのぴちぴちスーツでの空中戦、最高!」
「うちら、この後で試合すんの?」
「「「それな!」」」
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実習後。
夕焼けの屋上。
爆豪がフェンスにもたれて空を見ていた。
「なぁ、出久」
「うん?」
「今日はてめえの炎の勝ちだ、勝ちきれなかったってことは負けたのと一緒だ」
「うん」
「……だが次は負けねぇ。俺の爆破で次は勝ち切る」
「負けないよ、次は僕が勝ち切ってみせるよ」
「ふん、上等だ」
二人が笑い合う。
夕日がビルを焦がし、風が頬を撫でた。
そのとき、遠くの街で黒い霧が広がった。
不穏な気配。
崩壊の風が、すぐそこまで迫っていた。