ヒロアカ×エアギア 炎の英雄(更新停止) 作:ken4005
ヒロアカ小説第6話
第6話 USJ襲撃──黒き風、揺らぐ教室(完全版・約11,200字)
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A組生徒を乗せたバスが停まったのは、巨大な半球状のドーム施設。
雄英の生徒たちは一斉に降り立つと、そのスケールに息を呑んだ。
「でけぇー……まじでテーマパークじゃん!」
「すごい! 各エリアが災害を再現してるんですね!」
飯田が資料を片手に感嘆する。
「ここがUSJ!“Unforeseen Simulation Joint”! あらゆる災害現場を再現できる訓練場だ!」
麗日が目を輝かせた。
「遊園地みたいやな〜! でも、救助訓練施設や、集中せな……」
「救助は焦らないのが一番だから、落ち着いていこう」
出久はそう言って微笑む。
「(そうだ、落ち着いて。今日は“救う練習”。炎を風を、救けるために使うんだ)」
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宇宙服姿のヒーロー、十三号
「みんさん、こんにちは」
その声は静かで柔らかく、しかし一言ごとに重さがあった。
「ここでは、“個性”そして“A.T”を救助のためにどう使うかを学んでもらいます。
覚えておいてください。力というのは、一歩使い方を誤り、容易く人を傷つけてしまいます。正しい力の使い方を学んだください。」
生徒たちが真剣に頷く。
出久も十三号の言葉を胸に刻んだ。
「(……炎もそうだ。師匠が言っていた“支えるために燃やす”……僕は、それを救けられるヒーローになるんだ)」
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「さて、さっそく班分けを――」
その瞬間、轟が眉をひそめた。
「……先生。あれ、職員じゃないですよね」
出入り口付近。
ドームの空気が変わり、まるで“空間そのもの”を握り潰されているような、歪な気配が拡がる。
黒い霧が近づいてくる。
「……何だ、あれ」
「煙? 火災のシミュレーション……?」
違う。
体が、ざわめく。
爆豪がすぐに構えた。
「出久」
「カッちゃん……あれ、ただの煙じゃない」
霧には怪しく光、二つの目、そして足音が響き、無数の影が現れる。
「こんにちは、ヒーローの卵たち。俺は“死柄木弔”。……お前らを殺しに来たんだ」
その声は、子供のような無邪気さと、大人のような冷徹さが混ざっていた。
けれど、手のような仮面の奥から見えるその目は何よりも恐ろしかった。
「本物の……ヴィラン……!?」
「全員、後退しろ!」
相澤の声が響く。
十三号がすぐに声を上げる。
「A.Tと個性の使用を許可します! 各自、避難を最優先で――!」
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「それは困りますね」
黒い影が拡散した。
霧の中心に、怪人の姿が見える。
「私は敵(ヴィラン)連合、黒霧、死柄木弔を守るもの。皆さんを平等に殺害するため、分断させていただきす」
その言葉と同時に、空気が捻じれる。
黒い霧が伸び、生徒たちに襲いかかる。
「転送能力か!」
相澤が即座に飛び出し個性を発動しようするが、間に合わない。
「(まずい!) 」
相澤の言葉よりも早く行動していた生徒がいた。
出久は咄嗟にウィールを踏み込み、炎を描く。
「翼よ!」
炎と風の壁が瞬時に展開。
熱風によって押し返され、黒霧が弾かれる。
「ほう……炎と風の混合圧力。A.Tの応用ですか。学生にしては見事な判断力です」
黒霧が淡々と称賛する。
「ですが――」
瞬時に別方向に新たな霧を発生させようとする。
それ止めるため爆豪が上空から爆風を叩きつける。
「ふざけんなッ! まとめて吹っ飛べ!!」
爆風によって、空気が炸裂。
転送のために展開されていた霧が吹き飛ぶ。
「……くっ。流石は雄英。学生といえど厄介ですね」
相澤が叫ぶ。
「(そいつらが特別なだけだがな)緑谷、爆豪!あいつの転送を妨害し続けろ!それと爆豪!前に出過ぎるな!」
「了解ッ!」
「わあっとらい!」
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黒霧の転送によって追加で現れたヴィランや、もともとUSJに潜んでいたのか、大量のヴィランが入り口の反対側から一斉に襲ってきた。
相澤はゴーグルをかけ、髪を振るった。
「俺が止める、13号!生徒たちを任せた!」
相澤消太、個性は抹消。見られた対象は個性が発動できなくなる。異形型や常時発動型には効かない。しかし、
刃を持ったヴィランの腕に相澤のマフラーが絡まり止まる。
そのまま相澤が膝蹴りを叩き込み、床へと沈めた。
「一芸だけじゃヒーローは務まらん……俺の生徒たちに触るな」
次々と現れるヴィラン。
だが相澤のマフラーが流れるように絡みつき、
ひとり、またひとりと沈んでいく。
(先生……! 一人で前線を……)
出久は歯を食いしばる。
(僕もやらなきゃ……!)
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黒霧が滑るように近づいてくる。
「あなたの炎、実に興味深い。
空間そのものを押し返してくるような“炎の風”……。
ですが、広範囲であるが故に崩すのも容易!」
「だったらこうする!」
出久は構えを変え、体勢を低くしA.Tのウィールを唸らせる。
「“牙よ!”」
出久の連続の蹴りと同時に地面、そして空中に大量の炎の軌跡が残る。
黒霧が放出した霧に火線が接触した瞬間、火流が霧を吹き飛ばす。
「大量の熱を含んだ風の牙を地面だけでなく、空中に留めるとは!?
やはり、ただの学生ではないようですね」
勝己が背後から叫ぶ。
「出久、守りばかりに回るな、攻めろ!吹っ飛ばせば早ぇだろ!!」
「カッちゃん、駄目だ! 霧の奥にも人がいる!
たとえヴィランでも無差別に攻撃したら――!」
二人の言葉が交錯する。
だがその僅かな間にも、黒霧は霧を広げていた。
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相澤が取りこぼしてしまったヴィランを相手に轟や常闇、八百万らA組生徒が13号の後方から援護に回っている。
「轟さん、氷壁の展開お願いします!」
「ダークシャドウ、寄せ付けるな!」
氷と影が重なり、ヴィランたちの足を止める。
13号も個性:ブラックホールでヴィランたちを寄せ付けない。
「皆さん、広がらないで!ここは耐えて、脱出の隙を見つけます!」
「死ねやーー!!」
「“フェニックススマッシュ!!”」
強烈な爆破や炎の波が走り、黒霧の霧を弾き続け、転送を妨害し続ける。
死柄木は動かない。
入り口手前の階段に腰を掛け、
まるで退屈そうに爪で首を掻いていた。
「つまんねぇな……。
オールマイトはいねぇの? こんなガキどもじゃ、壊しがいがねぇぞ」
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出久の目と、死柄木の目が合った。
(……風が、動いてる?)
同じだ。
死柄木の周囲の空気が、まるで生命のように揺らいでいた。
「そこの君……炎だけじゃなく、風も読むんだね」
「……え?」
死柄木が薄く笑う。
「俺もさ。“壊す風”を感じるんだ。
人の形をした脆いものを、風に戻してやるのが俺の役割なんだ」
その足には出久たち同様にA.Tを履いていた。
出久は言葉を失う。
(この人……風をA.T、“壊すために使ってる”)
(僕らと同じ風を感じながら、真逆の方向に……)
「やめろ!……A.Tを、風をそんなのことに使うな!」
「ははっ、否定する? じゃあ正してみろよ、ヒーロー」
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黒霧が一旦距離を取る。
その隣に死柄木が立つ。
「脳無を呼ぶぞ」
「(援軍!?)させない!」
出久が踏み込む。
勝己も同様に、爆速ターボで接近する。
爆轟走法の爆圧と炎の風が重なり、一瞬で強烈な衝撃波を発生させる。
炎と爆風が霧を押し返すが、中から現れた存在にかき消された。
「「な!!」
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空気が裂け、黒紫の塊が降り立つ。
筋肉のような装甲、露出した脳。
表情のない巨人。
十三号が息を呑む。
「……な、何だ、あれは……!?」
死柄木が、嬉しそうに腕を広げ、
「紹介するよ。
“脳無”――オールマイトを殺すために造られた、兵器さ」
出久の全身が凍りつく。
爆豪が舌打ちした。
「クソ……出久!もう一度」
「カッちゃん!?わかった。」
先ほどよりも強力な技で迎撃しようとする。
前線でヴィランを押さえていた相澤も、脳無に目を向け、
「なんだ……あいつは……」
そして脳無が咆哮をあげる。
空気が爆ぜ、その一声でドーム全体が震える。
その衝撃は出久、勝己が技を止めてしまうほど。
(こいつ、空気を押し潰してくる……!)
死柄木の声が冷たく響く。
「ここは学校だったたな。なら授業を始めようか。
“救う力”は圧倒的暴力に抗えるのか――試してみよう」
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――USJが地獄へと変わる。