カードキャプター:アベンジャーズ   作:ちいさな魔女

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アベンジャーズ編。桜達は小学6年生になってるので、本来ならクリアカードなんだけど、この桜ならクリアカードは生まれないと思うし大丈夫でしょう。

アベンジャーズ編での問題は、桜の言葉をアベンジャーズが何処まで信じるか。ハルクの暴走。トニーの行動を何処まで自重させる、或いはやらせてもチームの波風をあまり立たせないようにするか、かなぁ。


いざヘリキャリアへ。S.H.I.E.L.D.の空挺空母

2012年。運命の年だ。桜や知世、小狼も小学6年生となり、しかもクラスも同じという、運命の悪戯と呼ぶべき事が起きた。

 

アベンジャーズに招かれる可能性も考えてトレーニングをしているので、学業も兼任する必要がある。その為、部活には属していない。其処まで兼任する暇が無いからだ。休日は知世とデートしたり、ある時は返上して小狼やエージェント達とトレーニングしたりと、忙しい日々を送っていた。

 

そんな桜だが、今は夏休みに入って課題も終わらせた。2012年代の課題は、学びも疎かにしなかった桜にとって終わらせるには充分過ぎたものだった。課題も終わらせたので、小狼や知世、エージェント達との時間を有意義に使える。知世や小狼も同じで、桜の力も借りて課題を終わらせていた。

 

ある訓練の日、桜が思い付いたのは色んな作品の技を再現する事だった。

 

WINDYのカードに尋ねる。

 

さくら「『WINDY』。貴女の風の力って、竜巻を起こす事は出来る?」

 

WINDY『可能です』

 

さくら「じゃあ、それぞれ回転が逆になってる二つの竜巻も起こせるの?もう察してると思うけど」

 

WINDY『可能です。まさか、マスターの知識にある『神砂嵐』を再現したいのですか?』

 

さくら「そう。もし神砂嵐みたいに真空を生み出せなくても、二つの竜巻による破壊力は広範囲を巻き込むし、それを一点に集中して放つわけだから、周りの水分や塵、砂粒すらも襲ってくるし、風の渦を受けたら敵もただじゃ済まないよ。使いたい訳じゃないけど、手段は多い方が良いからね」

 

WINDY『確かに争いは好みませんが、マスターの言う通り将来現れる敵との戦いは備えるべきかと思われます』

 

さくら「ありがとう」

 

この後、周りに何も無い河川敷で試してみた所、あまりにも強過ぎたので万が一の切り札にした。

 

―――――――――――――――――――――――

 

夏休みが後半に差し掛かる頃、桜は知世の大道寺邸に来ていた。小狼も大道寺邸に来て、知世の私室にあるシアタースペースでこれまでの桜の活躍を振り返っていた。

 

知世「さくらちゃん。ホントにカード集めの動きは的確ですわね」

 

さくら「FLY戦の映像、どうやって撮ってたのか色々と聞きたいよ」

 

小狼「というか、何処でも付いてこれる大道寺の根性には驚くよ」

 

シアタースペースでカード集めの戦いを振り返っていたが、門のインターホンに取り付けられたインターホンが鳴り響く。

 

園美「はーい。あら、リリーさん。今日はどうかされましたか?」

 

リリー「大道寺さん。此処に知世ちゃんとさくらちゃん、小狼君はいらっしゃいますか?」

 

知世は、母の園美がインターホンの画面越しに対応しているのを見て、インターホンに近寄って声を掛ける。

 

知世「はい。今日はどうされました?」

 

サラ「3人の力を貸して頂きたいのです。地球の危機が迫っています」

 

桜「っ!とうとう来たんだね」

 

小狼「確か、アベンジャーズだったよな」

 

桜「うん。今すぐ行きます!」

 

桜達はボディーガード達を連れて、正門前まで歩いて来た。

 

門の前には、エージェントリリーとサラが既に待機しており、日本でも中々見ない軍用車両が待機していた。自衛隊のマークが刻まれており、その下にはS.H.I.E.L.D.の紋章が刻まれていた。

 

自衛隊にも顔が利くエージェント達に、桜は改めてS.H.I.E.L.D.の偉大さと、ヒドラに乗っ取られている不憫さを感じた。

 

園美「知世、無理はしないでね。もし危なくなったら、帰って来ても良いからね」

 

知世「大丈夫ですわお母様。さくらちゃんは強いですし、小狼君という相棒も居ますし、私がしっかりとサポートしますので。生きて帰りますから」

 

知世は園美と約束を交わす。

 

さくら「………お父さんやお兄ちゃんにも、話をしておくね」

 

小狼「ああっ。俺も家族に連絡する」

 

2人も家族に説明して、それぞれが危険な任務に就く事を伝える。双方の家族も、さくらと小狼に生きて帰るよう約束した。

 

リリー「さあ、出発よ!長官も貴方達を待っているわ!」

 

サラ「此処から自衛隊の基地まで直行し、S.H.I.E.L.D.専用のクインジェットに乗り換えます。其処からS.H.I.E.L.D.の空挺基地まで案内します」

 

3人はエージェント達に促され、軍用車両の後部座席に乗り込む。後部座席も広々としており、知世のボディーガードが運転する高級車にも負けない乗り心地だ。

 

ボディーガードも2人乗り込み、中央の座席に2人乗り込む。

 

ボディーガード「お母様はお任せください」

 

知世「お願いしますわ」

 

そして、エージェント達が運転席と助手席にそれぞれ乗り込み、リリーが運転してサラが電話を掛ける。

 

リリー「さあ、飛ばすわよ!ねえ、根回しは済んだ?」

 

サラ「はい。自衛隊基地までの最短ルートは、交通規制を掛けて一般車の立ち入りを制限しました。現在、警察が先回りして交通規制を掛けて、緊急車両以外の立ち入りを制限しています」

 

知世「流石はS.H.I.E.L.D.ですわ!」

 

小狼「交通規制まで掛けられるなんて……俺の一家も其処まで出来ないのに……」

 

さくら「そ、そうだね」

 

そして、車のアクセルを強く踏み、車両を発進させるリリー。車は制限速度をオーバーしているが、周りには車が無い。桜達が窓から外を見ると、警察官が交通規制を掛けて一般車を別の道へ誘導したり、一時停止を掛けて飛び出さないよう停止させている。

 

車を20分以上も走らせ、途中でコンビニで飲み物を購入して水分補給を行い、自衛隊基地へ到着した。

 

自衛隊基地に到着し、車は滑走路にあるクインジェットの後方で停車する。

 

桜達が車を降りると、自衛隊の隊員達が敬礼をしてエージェント達を出迎える。

 

リリー「クインジェットの準備は?」

 

隊員「ハッ!パイロットは既に待機しており、いつでも出撃可能との事です!」

 

サラ「では、参りましょうか。時差は存在しますが、時差ボケが無いよう此方でもサポート致しますので」

 

小狼「は、はい……」

 

桜「あ、あの!自衛隊の皆さん!ありがとうございます!」

 

桜が一礼をすると、隊員達は微笑ましい顔で桜達を見た。

 

エージェント達に促され、クインジェットの後部にある座席へ乗り込んでシートベルトを着用する桜達。

 

映画で観てきたクインジェットに乗れる事が嬉しい桜だが、これからアベンジャーズメンバーに会えると思うと笑みが止まらない。

 

知世「さくらちゃん?」

 

さくら「こ、これからアベンジャーズメンバーに会えると思うと、なんだかワクワクしちゃって……」

 

小狼「こんな時に何してんだよ……」

 

さくら「分かってるけど……やっぱりヒーロー達に会ってみたいから……」

 

すると、エージェントリリーが口を開く。

 

リリー「ええっ。情報によると、アイアンマンに加えて第二次世界大戦で活躍した盾のヒーローに、怒ると暴走しちゃう緑の大男、北欧神話の雷神、S.H.I.E.L.D.でも精鋭の男女のエージェントコンビ。そりゃワクワクするわよ」

 

サラ「先に到達した方々は、既に此方へ宣戦布告に来たロキという男を捕まえに向かいました。ホークアイとブラックウィドウは、既にキャプテン・アメリカとドイツのシュトゥットガルト、ケーニッヒ通りです」

 

既にロキは動き出していた。恐らくイリジウムを手に入れている。仲間のホークアイことクリント・バートンが洗脳されているのは心苦しい話だ。

 

さくら「ん?」

 

桜は会話に違和感を感じた。彼女達は会話の中で、確かに言ったのだ。

 

さくら「今、ホークアイって言ったの?その人、ロキに洗脳されてる筈じゃ?」

 

リリー「本当に知ってるのね。されそうになったそうよ。ロキって男に操られそうになったけど、エルフの魔法使いに助けられたのよ。フリーレンっていう魔法使い」

 

フリーレンと言えば、葬送のフリーレンの主人公の筈だ。異世界に居るはずのエルフがこの世界に?否、ダークエルフも居たのならば、エルフが居てもおかしくはない。

 

さくら「その人、銀髪の長いツインテールしてなかった?そしてエルフ?」

 

サラ「其処までご存知でしたか。はい」

 

さくら「やっぱり!この世界、どれだけの作品がクロスしてんの?」

 

リリー「でも良い事ばかりじゃないわ。そのフリーレンは、ロキに操られて向こうに居るのよ」

 

さくら「嘘でしょう……」

 

フリーレンは高度な魔法使いだ。防御魔法や洗脳に対する魔法も備えているだろう。そんなフリーレンの隙を突いて洗脳する等、ロキがどれだけ狡猾なのかすぐに理解出来た。

 

知世はビデオカメラを回しながら、悩む桜を撮影していた。

 

――――――――――――――――――――――

 

遡ること数日前。場所は、ニューヨーク郊外にある、一見何の変哲もない巨大な倉庫。その地下深くに築かれたロキの秘密基地で、セルヴィグ博士とフリーレンは、四次元キューブの力を制御するための装置の開発に没頭していた。

 

セルヴィグ「この周波数は、次元の壁を穿つには不安定すぎる…」

 

セルヴィグ博士が額の汗を拭いながら呟く。しかし、彼の瞳には、本来の知的な輝きはなく、ロキのセプターによって洗脳された者の、虚ろな光が宿っていた。

 

フリーレン「なら、不安定な魔力を安定させるための術式を組み込めば良いよ」

 

隣でそう答えたのは、セルヴィグ博士と同じく洗脳されたフリーレンだった。彼女は、かつて魔王をも打ち倒した旅の魔法使いとは思えないほど、淀んだ表情で、ロキの指示に忠実に従っている。彼女の指先から放たれる魔力は、セルヴィグ博士の科学技術を補完し、装置の完成を急速に進めていた。

 

二人の周りには、フリーレンが各地で集めてきた、S.H.I.E.L.D.への憎悪を募らせる元兵士や技術者たちが控えている。彼らはフリーレンの圧倒的な魔力と、ロキの威圧的な存在感に怯えながらも、与えられた任務をこなしていた。彼らにとって、フリーレンはロキに与えられた最強の“道具”であり、自分たちを導く指導者ではなかった。

 

ロキ「さすがは千年以上生きた魔法使いだな。その膨大な知識と魔力は、下手な科学技術や論文よりもはるかに効率が良い」

 

ロキは二人の働きを満足げに見つめながら、不敵な笑みを浮かべる。フリーレンが魔王と戦った時代、そして旅の道中で積み重ねた経験と知識の全てが、今、ロキの侵略計画のために利用されていた。ロキがフリーレンを洗脳したのは、彼女の魔力と経験が、四次元キューブの不安定なエネルギーを制御するために不可欠だと判断したからだ。ホークアイを洗脳するよりも、よほど効率的だった。

 

それにS.H.I.E.L.D.の内部事情もある程度把握した。

 

ロキは、完成間近の装置に目を向け、いよいよ計画の最終段階に入ることを宣言する。

 

ロキ「作戦を開始する。フリーレン、セルヴィグの指示に従え。貴様はテッセラクト、いや四次元キューブとしよう。キューブを安定させるために不可欠な物質を回収してくるのだ」

 

フリーレンは無感情に頷き、ロキが指定した場所へと向かう。かつて魔王軍と戦った偉大な魔法使いは、今はただの道具として、悪意に満ちた命令に従うだけだった。

 

セルヴィグ「フリーレン。君にはイリジウムを取ってきて欲しい。ドイツの秘密研究所に保管されている、隕石に含まれる物質だから希少なんだ。壊すなよ?」

 

フリーレン「分かったよエリック。何処にあるか分かれば、回収するのは簡単だよ」

 

フリーレンは杖を構える。嘗て勇者と共に戦ったその力が、ロキという悪意の神によって利用されている事を、何処まで自覚しているのだろうか。

 

―――――――――――――――――――――――

 

現在の時間。外はすっかり夜になっている。時差の関係もあるとはいえ、桜達も眠くなってくる。クインジェットは、巨大な推進音を響かせながら、雲の上を悠然と飛行する。

 

S.H.I.E.L.D.の移動要塞、ヘリキャリアへと着陸した。桜、知世、小狼の三人は、甲板に降り立つと、その圧倒的なスケールに息をのむ。

 

知世「……まるで、空飛ぶ島みたいですわ」

 

知世が驚きを隠せない様子で、巨大なタービンを覗き込む。

 

小狼もまた、周囲を警戒しながらも、その非現実的な光景に目を奪われていた。

 

リリー「凄いでしょ?でも今は、ブリッジに移動しましょう。こっちよ」

 

エージェントAとBに格納庫へと案内された三人は、其処からブリッジまで案内される。そして、ブリッジでアベンジャーズのメンバーと対面する。アイアンマンことトニー・スターク、ブラックウィドウことナターシャ・ロマノフ、ホークアイことクリント・バートン、ハルクことブルース・バナー、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース、そしてアベンジャーズ計画の中心人物であるニック・フューリー長官だ。

 

トニー「やあ、噂の魔法使いの皆さん。フューリーから君たちのことは聞いているよ」

 

トニーは皮肉な笑みを浮かべながら、三人に近づく。桜は、映画で見た彼が目の前にいることに感動しつつも、どこか警戒心を抱く。知世は冷静に、小狼は険しい表情で、それぞれトニーの言葉を受け止めた。

 

フューリー「ロキを捕らえたが、キューブを追跡する為に君達の魔法の力を貸してもらいたい」

 

フューリーが単刀直入に協力を求めると、小狼が口を開く。

 

小狼「俺達はまだアンタ達を信用してない。だが、ロキって男を何とかしないと俺達の暮らしてる日本も危ないからな。出来る範囲で協力する」

 

フューリー「フッ、頼もしい目をしている。だが、今回は厄介な敵が増えた」

 

フューリーはそう言って、メインブリッジに設置された巨大なモニターを指差す。モニターには、研究所からイリジウムらしき物質を盗み出して工作員達と逃げるフリーレンの姿が映し出されていた。

 

フューリー「このエルフの魔法使いは、フリーレン。我々S.H.I.E.L.D.に協力していたが、ロキに洗脳されている可能性が高い」

 

フューリーの言葉に、桜は息をのむ。そして、監視カメラのモニターに映し出された次の映像に、彼女の表情は凍りついた。それは、フリーレンがゾルトラークで研究所の扉を破壊し、イリジウムを手にしている様子を捉えたものだった。

 

トニー「イリジウムは、四次元キューブのエネルギーを安定させるために不可欠な物質だ。ロキは、この物質を手に入れて、四次元キューブを安定させようとしている」

 

ブルース「だがそのお陰で、ロキの杖から発せられているエネルギーを介して追跡が可能になる。勿論ヒットさせられたらの話だけど」

 

トニーやブルースの説明を聞きながら、桜の頭の中は混乱する。

 

さくら「まさか…フリーレンさんが…」

 

最強の魔法使いが、まさか悪意に染まってしまうなんて。前世の知識ではありえない展開に、桜は動揺を隠せない。最強の攻撃魔法ゾルトラークを、ロキの兵器として使われたら、一体どうなってしまうのか。

 

小狼「大丈夫か、桜?」

 

知世「さくらちゃん……」

 

小狼と知世が心配そうな声で桜に問いかける。桜は震える声で答えた。

 

さくら「フリーレンさんは、勇者と一緒に強い魔王を倒した人なの。そんな人がロキに操られて、色んな魔法の知識を提起してるとしたら………」

 

トニー「つまり、最強の味方が、今、最強の敵になったってことか」

 

トニーは桜の言葉を聞き、不敵な笑みを消し、真剣な表情になる。

 

フューリー「木之本、君の魔法と、フリーレンの魔法、どちらが強力なんだ?」

 

フューリーの問いに、桜は答えることができなかった。魔法の原理が全く違うため、単純な比較は不可能だ。だが、言えることはある。

 

さくら「フリーレンさんの魔法は……多分私のカードの方が出来る事は多いよ。でも、魔法の腕前や経験は多分、私よりも、ずっと強力だよ……」

 

桜の言葉に、その場にいた全員の間に緊張が走る。

 

小狼「嘘だろ……さくらより上なのかよ」

 

ケロちゃん「フリーレンっちゅーたら、1000年前に魔王を倒して世界を救った勇者ヒンメルと僧侶ハイターに戦士アイゼンと共に旅した、エルフの魔法使いやないか!クロウの奴とは知り合いやったけど、物凄い魔法の腕前やったと聞くで!」

 

さくら「やっぱり!この世界でヒンメルと旅をしてたんだ……でもそんなフリーレンが……ロキに操られてこんな酷い事をさせられて……」

 

桜は落ち込む。

 

スティーブ「酷いよな……」

 

クリント「ああっ。だが奴は今、さっきみたいに牢の中だ。後でキューブの居場所をクソ野郎から締め上げてやる」

 

ソー「言葉に気を付けろ。あれでもロキはアスガルドの神だぞ」

 

ナターシャ「2日間で沢山殺したのよ」

 

ソー「複雑な事情が……」

 

複雑な理由があったら人の命を楽しんで殺していいの?そう言いたいさくらだったが、押し留まる。

 

フューリー「兎に角、ロキが使用していた杖は、キューブと同等のエネルギーがある。仕組みはまだ分からんが、四次元キューブの追跡に役立てる筈だ」

 

トニー「行こっかバナー博士」

 

ブルース「ああっ」

 

それぞれの役目を果たしに向かう。トニーとブルースはロキの杖を研究し、四次元キューブの行方を探る。

 

さくら「テッセラクトを探せたとしても、フリーレンが居るんじゃ何が起きるのか……バートンさんじゃなくてフリーレンがヘリキャリアに攻撃するかもしれないのに……」

 

フューリー「ヘリキャリアを攻撃?何故そう思うんだ?」

 

さくらは更に顔が青ざめる。よりによってフューリー長官に聞かれた。

 

フューリー「映像を見たが、君はカードを集める時、何故か先回りしたり対処法を知ってたかのように動いていた。まるで、未来が分かってるような動きだったぞ」

 

更に状況が悪化する事を話した。

 

クリント「………安心しろ。俺達は君に何もしない。もしも何かがあるなら、話してくれ。フリーレンを救いたい」

 

その優しさが、逆にさくらへプレッシャーを与える。さくらは息が荒くなる。

 

クリント達は優しいが、そう言う問題ではないのだ。S.H.I.E.L.D.の闇、ヒドラの潜伏、未来で起きる問題。知世と小狼という心強い味方が居ても、やはりアベンジャーズメンバーに話すべきか迷ってしまう。もし話して未来が変わったら?

 

さくらはその考えが頭に詰まり、ストレスで過呼吸になってしまう。

 

知世「……すみません。今は話せる状態ではないんです」

 

小狼「話せる状態になったら……さくらに話させます。今は、少し、休ませてください」

 

クリント「ああっ、悪かった。今は休んでてくれ」

 

知世がさくらの手を握る。小狼もさくらの傍に寄り添い、倒れないように歩かせる。

 

フューリー「……あの目は、明らかに重い何かを背負っている人間の目だ……あの子は一体………」

 

クリント「……今はそっとしましょう。彼等はまだ子供です。考えさせる時間を与えても良い筈です」

 

フューリーは今は何も言わない事にした。いつか話してくれる事を願う。

 

――――――――――――――――――――――――

 

さくらは特別に用意された寝室で、ベッドへ横になって片腕で目元を覆っている。

 

さっきは知世や小狼に助けられたが、正直ストレスで気を失うかと思った。

 

さくら「ンクンク……ふぅ。ありがとう小狼君」

 

さくらは水を飲んで、心を落ち着かせた。水は小狼が持って来た水筒の中にあり、小狼がコップに注いで分けてくれたのだ。

 

小狼「別に……それよりさくら、さっきは大変だったな。その……ヒドラだっけか?そいつらが居るかもしれない中で言うのはマズかったんだな?」

 

さくら「うん……でも、あの人達は諦めないからどうしようか悩んだら……さっきみたいになっちゃった。知世ちゃん、小狼君、さっきはありがとう。次はちゃんと話すよ」

 

知世「さくらちゃん。無理はなさらないでください…さっきのさくらちゃんを見てたら、心臓が縮みそうになりましたわ」

 

さくら「と、知世ちゃん……心配かけてごめんね」

 

もう隠す事は無い。

 

さくらは起き上がると、部屋を出ようとする。少し眠たいが、今は話す勇気が出た。部屋の扉に近付くと扉が開くが、扉が開いた先にはクリント・バートンが立っていた。更にマリア・ヒルも居る。

 

クリント「長官や俺達が悪かった。まだ子供なのに、余計なストレスを与えちまった」

 

さくら「いえ、お気になさらず……私の自爆みたいなものですから……」

 

ヒル「フューリー長官が、私になら話せても大丈夫だろうって。心配しないで。下手な追及はしないわ」

 

さくら「は、はい……」

 

ヒルなら少し安心して話せる。さくらはそう思い、2人を部屋に通してお茶を渡す。

 

さくら「どうぞ。日本の茶葉で作った麦茶です」

 

ヒル「ありがとう。日本人ってよくお客にお茶を出すって聞くけど、本当なのね」

 

クリント「ああっ。ありがとう」

 

クリント達はお茶の入ったコップを受け取る。お茶を味わった後、改めてさくらに尋ねた。

 

さくらは、ヒルとクリントに、自分の正体や未来で起きる出来事を全て話した。2人は信じられないと思ったが、自分のしてきた事や過去の出来事を的確に言い当てたのを聞き、目の前の少女はとても重い物を背負った少女だと、理解した。

 

ヒル「キャプテン・アメリカの手で壊滅したヒドラが生きて……S.H.I.E.L.D.の内部で寄生し育ってる?まさかそんな事が………」

 

クリント「あの時、言おうか悩んでストレスで倒れそうになったのは、それを言うべきか迷った事と未来が変わる恐怖からか」

 

さくら「はい………なら、今はトニー・スタークがジャーヴィスという人工知能にこのヘリキャリア内にあるS.H.I.E.L.D.の情報を探らせてると思いますが、今は余計な事をして皆を仲間割れさせたくない!今此処で言い争ったら、ロキの思う壺になっちゃう!でも……私だけでどうする事も出来ない……だからお願いします!力を貸してください!」

 

さくらは2人に頭を下げる。

 

クリント「……よく話してくれたな。君は立派だ。確かにS.H.I.E.L.D.内のヒドラは気になるが、今は追及するべきじゃない。スタークを止めに行こう」

 

ヒル「複雑だわ……長官になんて言えば良いのかしら?」

 

2人は複雑な思いを抱えたが、さくらの願いに答える事にした。

 

さくら「っ!ありがとうございます……!」

 

クリントの性格とヒルの優秀さを知っていたさくらは、2人の協力者を得られて嬉しく思った。

 

知世「今、スタークさんはブルースさんとラボに居て、其処へロジャースさんが来られたそうですわ。何か……不穏な雰囲気ですし……なんか格納庫へ入られましたわ。その先は……監視カメラが無くて分かりませんが……」

 

知世はタブレットで、ヘリキャリア内の監視カメラを探っていた。スティーブ達の行動をさくら達に報告する。

 

さくら「ッ!遅かった……」

 

さくらは動き出す。スティーブ・ロジャースは正義感の強い男だ。しかし、今此処でヒドラの装備を見つけたら、フューリー達に追及し、ソーがそれを聞いて彼の不信感を煽ってしまうかもしれない。

 

さくらはトニー達の元に迫るが、部屋には既にフューリー長官が来ていた。

 

フューリー「何をしてるんだスターク!?」

 

トニー「ああっ、その話をしたかったんだ」

 

フューリー「四次元キューブの追跡はどうした?」

 

ブルース「やってますよ。誤差800メートル以内まで絞り込める」

 

トニー「そっ。慌てず騒がずにな」

 

さくら、覚悟を決めた。

 

さくら「トニー・スターク!!今は余計な事をしないで!!私達のやるべき事はロキの野望を止める事でしょ!?お互いの不信感を煽って仲違いさせようとしてるの!S.H.I.E.L.D.の追及は後でやれば良いから!!」

 

さくらは声を荒げる。しかし、トニーは驚きつつも意に返さない。ブルースはさくらのような女の子が、トニーに対して強気になる様子に驚いていた。

 

トニー「君みたいな子供の相手をしてる暇はない。それに今は……」

 

さくら「スティーブ・ロジャースさん。嘗てヒドラが使ってた武器を格納庫で見つけたの?」

 

部屋に入って来たスティーブは、さくらが自分の見つけた武器の詳細を知ってる事に驚いた。フューリーも驚いているし、トニーやブルースはコンピューターに映った試作機の単語が出る前にさくらが言い当てた事に驚いた。

 

スティーブ「何故それを知っているんだ…?」

 

もう此処まで来たら、今この場に来るアベンジャーズメンバーに全てを話す。少しでも仲違いを避ける為に。

 

さくら「フューリーさん。ソーさんやロキの起こした事件を切っ掛けに、四次元キューブを使って大量破壊兵器を作ってるよね?それもキューブを乗せた、或いは量産したキューブの力を使った大型核ミサイルとか?」

 

フューリー「何の事だか――」

 

トニー「マジか……なんで知ってるんだ?」

 

トニーも突き止めた。其処にはキューブを搭載するミサイルのホログラム映像の設計図が出ていた。

 

戦争の時と変わらない事をしてる世界に言及したかったスティーブだが、今は何故目の前の少女が其れ等の存在を知ってるのか知りたかった。

 

クリント「先走るなんてな……」

 

ヒル「長官。今は話を聞くべきかと」

 

クリントとヒルも到着したが、其処へソーを連れてブルースを隔離しようとしているナターシャも現れた。

 

さくら「ロキはハルクを目覚めさせようとしてます。ソーさんを連れてきたのは、ハルクが暴れた時の為の保険、ですよね?」

 

小狼や知世も到着するが、さくらの様子が少しおかしい事に気付く。なんだか何時ものさくらより感情的過ぎる。

 

ナターシャは驚く。ソーも事情を聞いて来たのだが、さくらが何故ナターシャが此処へ来た理由を知っているのか気になった。

 

さくら「………ふう。今から言う事は、全て真実です。信じるか信じないかは皆さんに任せますが、これから話す事、そしてこれから起きる事を全て聞いて未来が変わるかもしれません。でも!私はこの先に待ち受ける悲劇を、少しでも減らしたい。だから………話します」

 

さくらは、自分の知る限りの事を、そして自分が前世の記憶に目覚めてこれから起きる未来を、そしてそれぞれの人物の過去を知る限り話した。

 

トニー「マジか……」

 

スティーブ「バッキーが生きてる………それも、S.H.I.E.L.D.の中のヒドラに……」

 

ブルース「驚いたな……僕がロマノフと?」

 

ナターシャ「私の過去は、あの施設の事しか知らないのね。でも驚いたわ………日本には転生という概念が根強くあるのは知っていたけれど……」

 

ソー「あり得る話だ………だがまさか、俺達の過去や未来も知ってたとはな……」

 

それは、フューリーも同じだった。キャロル・ダンバースの事は自分やコールソン等、限られた人物しか知らない筈だ。それを彼女は知っていた。驚きを隠せなかった。

 

そのおかげか、冷静になり始めたアベンジャーズメンバー。

 

さくら「ソーさん。チタウリの軍勢は多分戦闘が長引く程此方が不利になります。何か……そう。一気に全滅させられる方法はありませんか?」

 

ソー「チタウリか……異世界の軍隊なのは知ってるが、奴等は数で攻め入るんだぞ?」

 

さくら「確か……彼等は母船を破壊すれば倒せた筈です。私が前世で知ってる中で、委員会の放った核ミサイルをトニーさんがワームホールへ運んだ時、チタウリの母船を核ミサイルで破壊したお陰でチタウリの軍隊を無力化しました」

 

ソー「えっ?そうなのか?」

 

トニー「そんな軍隊でロキは攻めようとしたのか……いや、だが母船の場所が分からなかったら話にならない」

 

スティーブ「戦いの場所もニューヨークになるか分からない。何処かでやってもおかしくないが、ロキの性格ならばスタークタワーでやろうとするだろう」

 

フューリー「……先程はすまなかった。君は、我々より重い物を背負って来たんだな。その重い荷物を、私達にも分けて欲しい」

 

スティーブ「僕もだ。君が背負う物は、僕等も背負う物でもある」

 

フューリーやスティーブの差し出された手を、さくらは思わず握った。

 

ナターシャ「ありがとう。協力してくれて。でも今は、ロキがハルクを目覚めさせないようにしないと、全てがパーよ」

 

ブルース「今の話を聞いたら………少しはハルクと向き合えた気がするよ。スタークが言ってた事も分かる気がする。あり得ないとは思うけど、僕が死んだらハルクも死ぬし、彼もそれは望まないだろうから。この女の子が教えてくれたお礼に、僕もハルクにならないようにしてる秘密を教えてあげるよ」

 

すると、装置が音を発する。四次元キューブの在処を知らせるサインだ。

 

ブルース「ヒットしたね。悪いけど、隠し芸はまた今度な」

 

フューリー「キューブを見つけたのか?」

 

スティーブ「……そうだな。色々と聞きたいが、今はキューブを取り戻す。話はそれからだ」

 

トニー「言っとくが長官、あんたには従わないさ」

 

ソー「対抗する力が必要なのは分かった。だがそれを戦争に使うなよ。元々アスガルドが管理していた奴だ。人間には扱えない」

 

さくら「皆………ありがとう」

 

言い争いにならなかったのは良いスタートだ。勿論S.H.I.E.L.D.が隠してる事に言いたい事はあるだろうが、それは後でやるべき事だ。

 

さくら「ッ!!何か来る!!」

 

さくらが強大な魔力を探知する。

 

その瞬間、部屋の隣にあるタービンが爆発を起こし、床が爆発を起こし、メンバー全員が吹き飛ばされる。ナターシャとブルースはガラスを突き破って別の部屋へ、トニーとスティーブも廊下へ転倒し、桜達も別の部屋へ吹き飛ばされた。

 

――――――――――――――――――――――

 

遡ること一分前。ヘリキャリアに一機のクインジェットが迫っていた。

 

表向きは武器と弾薬の補充。しかし、実際は違った。

 

洗脳されたS.H.I.E.L.D.の職員や兵士、更にはS.H.I.E.L.D.を憎む工作員達だ。彼等はS.H.I.E.L.D.の兵士達が着る隊員服を身に着け、ヘリキャリアの攻撃に入る。

 

ロキの救出とロキの杖ことセプターの奪還だ。

 

フリーレン「奴等を妨害して。私はタービンを壊してヘリキャリアを落とす」

 

フリーレンは杖を構えて、ヘリキャリアのタービン四つに狙いを定める。その瞳は青く光り、これからやる事に躊躇いが無いことを示唆していた。

 

杖の先端から魔力が収束し、解き放たれる。

 

フリーレン「『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』」

 

タービン四つに狙いを定めた魔法。嘗て勇者の仲間として人を救う為に使い、人を救う為に使われる筈の力が、ロキの洗脳によって悪のために使われてしまう。

 

そして、タービンは四つ同時に撃ち抜かれた。




フリーレンは異世界から来たのではなく、MCU世界の地球出身です。1000年前の勇者伝説に登場する魔法使いフリーレンとして、現世で伝わっています。そして今はS.H.I.E.L.D.に所属していますが、アベンジャーズのプロローグ辺りでクリントを助け、ロキに隙を突かれて洗脳されました。まあ、ロキならフリーレンを出し抜けるだろうけど。

因みに、エージェントAはこれからリリーに。エージェントBはこれからサラに変えます。
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