カードキャプター:アベンジャーズ   作:ちいさな魔女

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暑海市に訪れる不穏の影

句楽兼人の危険性を降谷零に報告し、彼が動き始めてから一ヶ月後。サムライスクワッドのメンバーは、夏の太陽が照りつける暑海へとやってきた。 

 

東洋のモナコと呼ばれる暑海の気温を肌で感じながら、海水浴を楽しむ桜達

 

さくら「はー! 初日で課題を全部終わらせて、良かったね!」

 

知世「ええっ!それに、海ではしゃぐさくらちゃんも撮れて満足ですわ!」

 

小狼「だな!マジで暑いなぁ〜……でも足湯もあるし、シャワーも気持ちいいし、万々歳だな!」

 

遥「ええっ!でも、蘭達も誘えば良かったですねぇ……」

 

フリーレン「じゃ、後で起こしてね〜」

 

桜は、海風を浴びながら、開放感に浸っていた。小狼も、知世も、遥も、フリーレンも、夏の海を楽しみにしていた。

 

桜は海で泳ぎ、知世がビデオカメラで桜を撮影する。

 

小狼は桜にも負けない速さで泳いでいく。遥はそんな2人を見つめながらたこ焼きを買って食べる。フリーレンはパラソルの下でシートに寝そべっていた。

 

久々の休暇で、海水浴を楽しんでいた桜達は、宿泊先の温泉施設で宿を取る。これから暫くは温泉巡りで暑海市(あつみし)を巡るのだ。

 

しかし、その夜、宿泊先の温泉施設で、桜達は、不穏なニュースを目にすることになる。

 

町で偶に見かけるポスターがあるのだが、それは「サメ出没注意」のポスターだった。

 

そして、ニュースキャスターが真剣な表情で、ある事件を報じていた。

 

ニュースキャスター『本日未明、暑海市の海岸で、身元不明の男性の遺体が発見されました。警察は、サメの被害と見て、捜査を進めています…』

 

さくら「…サメ…」

 

桜は、ニュースを見て、顔を青ざめさせる。前世の知識では、この世界にサメによる人間への被害は、ほとんど存在しない。しかし、今目の前で、サメによる被害が現実に起こっている。

 

サメ映画はあまり観てなかった為に、知識は乏しいのだ。ジョーズさえもまだ観てないというのに。

 

知世「どうしたんですの、桜ちゃん?」

 

知世が、桜の様子を心配そうに見つめる。

 

さくら「ううん、何でもないよ…」

 

桜は、知世に笑顔を見せるが、その心の中は、嵐が吹き荒れていた。

 

知世も桜の異変に気付いていたが、今は聞かない事にした。

 

その夜、桜の携帯に、降谷零から連絡が入る。

 

降谷『桜、暑海で起こっている事件について、知っているか?』

 

さくら「はい…、テレビで見ました」

 

降谷『警察はサメの被害と見ているが、我々は何者かの手による、殺人事件の可能性も視野に入れている。この事件、君たちに、捜査を依頼したい』

 

降谷零の言葉に、桜は、驚きを隠せない。

 

さくら「…私達が、捜査を…?」

 

それはあくまで警察官の役目だ。ヒーロー組織とはいえ、私達がやって良いのか悩む桜。

 

降谷『そうだ。君達の力が必要だ。サメの被害に見せかけた殺人事件…もし組織やテロリストが関わっているとすれば…』

 

降谷零の言葉に、桜は、背筋が凍る。

 

生き残ったヒドラ、黒の組織、そして句楽兼人。

 

さくら「…分かりました。私達も警察に協力して、出来る範囲で捜査します」

 

桜は、降谷零に、力強く答える。

 

桜たちは、楽しみにしていた温泉旅行から一転、事件の捜査に乗り出す。

 

暑海の美しい海は、今、不気味な影に覆われている。

 

温泉から消えた客、海岸で見つかる遺体、そして、サメ出没のポスター。

 

複数の世界が交錯する中で、新たな事件が、桜達を待ち受けている。

 

暑海の海に潜む、見えない恐怖。

 

桜達の、新たな戦いが、今、始まる。

 

――――――――――――――――――――――――

 

翌朝、小狼は朝早く起きて、宿の露天風呂へと向かった。温泉の湯気が立ち込める中、小狼が湯船に浸かると、すでに一人の男が湯を楽しんでいた。

 

束「おはよう、兄ちゃん」

 

男は、豪快な笑みを浮かべ、小狼に話しかける。

 

小狼は、男の姿を見て、少し驚く。

 

男は細身の体はそれなりに良い体格をしているが、定年を迎えた人の雰囲気を漂わせていた。しかし、女にも負けない色気がある。。

 

小狼「…おはようございます」

 

小狼は、男に挨拶を返す。

 

束「俺は、暑海市警察署長の、束伝兵衛だ。よろしくな」

 

男は、そう言って、自己紹介する。

 

小狼は、束署長の豪快な雰囲気に、少し戸惑いながらも、自己紹介を返す。

 

「李小狼です」

 

束署長は、小狼の名前を聞き、興味深そうに目を細める。

 

「ほう、李か。珍しい名前だな。外国人か?」

 

束署長はそう言って、小狼と会話を続ける。

 

束署長は、今回の海岸での事件について、小狼に語り始めた。

 

束「俺も、今回の事件は、どうもおかしいと思ってんだ。サメの仕業だと上は決めつけているが、どうも腑に落ちないんだ」

 

束署長は、怪訝な表情で、小狼に語る。

 

小狼「…どうしてですか?」

 

小狼の問いに、束署長は湯船から立ち上がり、小狼の近くへと寄る。

 

束「実は、遺体には必ず、温泉のロッカーキーが握られておるんだ」

 

束署長の言葉に、小狼は驚きを隠せない。

 

遺体には必ず、温泉のロッカーキーが握られている。それは、偶然ではありえない。

 

小狼「それは…」

 

小狼が言葉に詰まると、束署長は、静かに言葉を続ける。

 

束「この事件は、サメの仕業じゃない。何者かが、温泉を利用して、殺人を犯していると思ってる」

 

束署長の言葉に、小狼はこの事件が、ただの事故ではないことを確信する。

 

束署長は、小狼に、この事件の捜査に協力してほしいと頼む。

 

束「君達のような若い力が必要なんだ。俺達だけじゃ、どうにもならなくてな」

 

束署長の真剣な眼差しに、小狼は、頷く。

 

小狼「分かりました。俺達も、この事件、おかしいと思っていました」

 

小狼は、束署長に、サムライスクワッドのメンバーであることを告げ、協力を約束する。

 

束署長は、小狼の言葉に、安堵の表情を浮かべる。

 

束「頼むぞ、李くん。この暑海の平和を、守ってくれ」

 

束署長は小狼に、そう言って、深く頭を下げる。

 

小狼は、束署長の真剣な思いを受け止め、この事件の真相を突き止めることを決意する。

 

小狼と束署長が、温泉の事件について話し込んでいると、背後から何かが湯の中を泳いでくる気配がした。二人が振り返ると、ゴーグルをつけた中年男性が、湯から顔を出し豪快に笑う。

 

男性「いやぁ、まさか露天風呂で全身浴は捗りますなあ!」

 

男性は、二人にそう話しかける。束署長は、迷惑そうな顔で、男性を一瞥する。

 

束「おいおい……ここは、潜水する場所じゃねえぞ、観光客さん」

 

束署長の言葉に、男性は特に悪びれる様子もなく、笑いながら湯に肩を浸ける。

 

男性「ははは!すみません、署長さん!つい、癖で!」

 

男性は笑いながら再び潜っていく。

 

束署長と小狼は、呆れた表情で男性を見つめていた。

 

束「…まったく、世の中には、色々な奴がいるもんだ」

 

束署長がため息をつくと、小狼もそれに同意する。

 

二人は湯から上がり、脱衣場へと向かう。

 

着替えを済ませた小狼と束署長が、脱衣場から出ようとした、その時。

 

男性「うああああああああ!」

 

露天風呂の方から、先ほどの男性の悲鳴が響き渡った。

 

小狼と束署長は、急いで露天風呂へと戻る。

 

しかし、露天風呂には、男性の姿はなかった。湯船は、赤く染まり、血の匂いが立ち込めている。

 

束「…くそっ!どこだ!」

 

束署長が、周りを見回すが、男性の姿は見当たらない。

 

小狼は、血痕の先をたどっていくと、温泉の排水口に、血が吸い込まれていくのを発見する。

 

小狼「署長さん、これ…!」

 

小狼が、束署長に、排水口を指さして見せる。

 

束署長は、小狼の指さす先を見て、顔色を変える。

 

束「…まさか、温泉の湯脈を伝って…」

 

束署長の言葉に、小狼は事態の深刻さを理解する。ロッカーキーを持っていた被害者達は、温泉の湯脈を伝って、海へと運ばれたのだ。

 

束「だが、どうやって…」

 

束署長は困惑した表情で、小狼を見つめる。

 

事件は、サメの仕業ではなかった?しかし、温泉の湯脈を使って、人間を殺害する犯人とは、一体…?

 

―――――――――――――――――――――――

 

束署長との朝風呂での出来事の後、小狼は事件の不審な点、そして温泉の排水口に人が吸い込まれたかもしれない状況を、桜達に報告した。その話を聞いた知世は、事件の記録映像を分析し、排水口の構造や湯脈の広がりを独自に調査。フリーレンは、魔法を使って被害者の痕跡を追う。

 

警察の捜査と、サムライスクワッドの調査が並行して進む中、束署長は小狼を暑海市警察署へと呼び出した。

 

束「李くん、この歯形を見てくれ」

 

束署長が小狼に見せたのは、遺体から採取された、鋭い歯形。

 

小狼「これは…」

 

小狼は、手のひらサイズの大きな歯を見て、眉をひそめる。

 

束「これは、サメの歯形だ。しかも、俺達の知ってるホホジロザメよりも遥かに大きい」

 

束署長が、重い口調で語る。

 

小狼「なんて大きさだ………こんなのに噛み付かれたら一溜りもないぞ」

 

小狼が、驚きを隠せないでいると、束署長は、さらに驚くべき事実を告げる。

 

束「昨日の朝風呂で消えた観光客、覚えてるか?アイツはバカ市長の万巻貫一が呼んだ、城南大学の海洋生物学の教授、平田修介っていうらしい」

 

小狼「…あの朝風呂で消えた人が………」

 

小狼は朝風呂での出来事を思い出し、顔色を変える。あんなマナー違反者が教授だったなんて、世の中は分からないものである。しかし、被害が出てるのは事実だ。放ってはおけない。

 

束「そして今、その教授の助手を務める、巨勢真弓という女性研究者が、ホテルから警察署に来るそうだ。彼女から詳しい話を聞いてみよう」

 

その間に色々と調べたが、被害者達が温泉や町の監視カメラにも映ってないにも関わらず、海岸で無惨な遺体になってた件はやはり説明が付かない。原因は分からずじまいだった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

サムライスクワッドと暑海警察の会議室に、一人の女性が現れた。束署長と花子浩平警務部長が応対し、被害に遭った平田教授の遺体を見せた。その時に遺体へ首を突っ込みそうになる程にサメの歯形に注目していたと聞いた時は、桜達は頭を抱えた。

 

しかし、いざ目の前にしてみるとかなりマトモな博士に見える。

 

とはいえ、サメの絵を見た時になんでエラが温泉マークなのか、突っ込みたくなったけど我慢した桜達であった。

 

巨勢「そもそもサメは警戒心が強く、積極的に人を襲ったりしません。襲う理由も、主に餌と間違えて襲うケースしかあり得ません。ですから私は、此度のサメ被害の件に物凄く疑問を抱いています」

 

白衣を身に纏い、流暢かつ丁寧に話す彼女の話はとても聞き心地が良く、桜も思わず一語一句記憶出来た。

 

巨勢「申し遅れました。城南大学海洋生物学研究室の巨勢真弓です」

 

婦警「ですが、巨勢博士。現にこの熱海でサメの被害が発生しているのは確かです」

 

巨勢「はい。それで私と平田先生が此処に呼ばれたんです。目的はサメ被害の調査と対策が一つ」

 

巨勢博士は、遺体から採取されたサメの歯形と同じ歯形をした化石を取り出して、犯人?犯ザメ?の説明をした。

 

巨勢「これはカルカロドン・ホンス・カリドゥ。海底火山等の温かな海域に生息する古代のサメ、その歯の化石です。先生の遺体に残された歯型と同型の事から、同種のサメによって先生は殺されたと見ます」

 

小狼「あの男の遺体に残った歯型と同じ……」

 

知世「………しかし、あり得ません。サメは全身の骨格が柔らかい軟骨魚類なのはご存知ですが、温泉から人が居なくなった件や、温泉に現れたのは、どのようにして温泉脈を通ったのでしょうか?それに、積極的に人を襲わない筈なのに人間を積極的に狙った事は、筋が通りません」

 

さくら「まさか、骨格をバラバラにして温泉脈を移動してるなんて、ふざけた事は言いませんよね?」

 

桜は前世の知識にある柱の男達が狭い隙間を移動した方法を思い出したが、流石にサメが其処までの事が出来るとは思えない。

 

巨勢「はい、それで私達が調査に来たんです。しかし、私も何故温泉にホンス・カリドゥが現れたのか……私自身も分からないんです………それに、昨日からサメ対策として最新鋭のブイも使用している筈ですが……」

 

巨勢博士も悩んでるようだ。その時、電話が鳴り響いて眼鏡の警官が出た。

 

束「まあ兎に角、博士のお陰で物的証拠は確保出来た。我々が行うべきは、サメによる被害をどう対策――」

 

眼鏡の警官「あの!う、海に……」

 

眼鏡の警官が報告した内容に、桜達はまたしても頭を抱えたのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

今朝、暑海の市町を務める暑海市市長の2世政治家『万巻貫一』は、3人の部下達と『湯渡りチャンネル』という温泉に関する動画チャンネルを運営している。この宣伝により、観光客を呼び込んで暑海の町を更に盛り上げようとしているのだ。

 

漁船に集まるインフルエンサー達は、万巻市長の呼びかけによってサメの捕獲の為に集まったのだ。

 

しかし、サメは見つからなかった。いや正確には、溺れる役とサメ役によるドッキリだったというオチだ。それに対してインフルエンサー達が本物のサメと思って捕まえようとし、熱海の警官達が止める事態になった(というか束署長が謎のエイム力で『ユウエイキンシ』と弾を撃ち込んで描いて止めたのだが)。

 

貫一「残念ながらサメは見つかりませんでしたが、皆様の頑張りに応えて、暑海の温泉にタダで入れるよう取り計らいました!しかも動画撮影自由!皆さんのアカウントで、沢山宣伝してください!」

 

市長の取り計らいによって、インフルエンサー達はタダで温泉を利用出来る特権を得たのだが、他の客が居たまま撮影したり、登録者がまだ一万人に至ってないまま『登録者一万人記念の一万秒入る』という企画に踏み切ったりと、迷惑配信者達は調子に乗った。中には人が居ない間に風呂配信を行ったりする者達も居たが、それは少ない方だった。

 

暑海警察署の会議室で、桜達は警官達と共に資料やスマホの動画を確認していた。

 

さくら「……ハァ」

 

小狼「まあ……そりゃ頭を抱えるよな」

 

さくらはスマホの動画を見て頭を抱える。マシなインフルエンサーも居るが、コメントも彼等のやり方に呆れる声が多い。

 

さくら「知世ちゃんがまだマシだよ………それより、あの海に浮かんでるブイって、サメが暑海の遊泳可能エリアに入ってこれないよう漁協が設置したんだよね?」

 

小狼「ああっ。それで電磁力の防護ネットを仕掛けて、サメが嫌う微弱な信号を放ってるって。だから熱海にサメは入ってこれないんだ」

 

さくらは資料を見て、暑海に仕掛けられた最新式のブイの仕組みを見ていた。

 

ケロちゃん「サメが入ってこれんなら、なんで温泉でサメ被害が出とるんや?」

 

小狼「それなんだ。防護ネットも破られてないらしいし……まさか、さくらの言う通りサメがパイプとか排水口とか、下水道を通って人を襲ってるのか?」

 

さくら「もうそれが正解な気がするよ……でも古代のサメだからってそんなに柔らかいなんて……しかも人間を明確に狙ってきてるのはなんでだろ?明らかに知性も高そうだし」

 

すると、知世が紅茶の入ったコップをトレイに乗せて持って来た。

 

知世「さくらちゃん、小狼さん、ケロちゃん。少し休憩にしませんか?」

 

知世はトレイを持って、紅茶の入ったコップを持って来た。

 

さくら「ありがとう知世ちゃん」

 

小狼「ありがとう」

 

ケロちゃん「カルカロドン・ホンス・カリドゥ……暑海の温泉で人を襲う………なんや呼びにくいなぁ。他に呼び名が欲しいわ」

 

桜達は暫く休んでいると、巨勢博士が扉を開けて入って来た。

 

巨勢「こんにちは。ホンス・カリドゥに関して更に詳しい事が分かりました。平田先生の資料を確認した所、このサメは現代のサメより体が柔らかく、そのうえゴムのように体が柔らかい『原始軟骨魚類』として、古代の魚や亀、自分より体格の大きな生き物を捕食していたそうです。そう学説を発表した先生が調べた所、海底火山等の温かな海域で生息していたと考えられるそうです」

 

巨勢博士が持って来た資料を確認する。その絵は、エラの数が三対になっているサメが、亀の体のすき間や古代魚のエラから侵入する様子が描かれていた。

 

小狼「まじかよ」

 

巨勢「更に言えば、彼等にとって暑海湾の温度は住みやすいものではない。今暑海を騒がせるサメ達は、この暑海全体に広がる温泉脈を拠点に活動している事になります」

 

知世「ではやはり、ホンス・カリドゥは温泉脈を通って人を捕食してるという事ですか……」

 

その後、巨勢博士が仮説を立てた。ホンス・カリドゥはその柔らかさを活かして、源泉を引き上げるパイプや下水等を通って来ており、温泉施設に侵入して人を捕まえ、地下に引きずり込んだ後に捕食する。浜辺に流れ着いたのは、その食べ零しと考えられる。

 

すると、更にそれを裏付ける証拠も出てきた。

 

婦警「科捜研の報告によると、被害者達は共通して全身圧迫による複雑骨折と判明しましたから………」

 

知世「ですから、サクラスパイダーさんやフリーレンさんに温泉施設へ出向いて今居るインフルエンサー達に撮影を止めるよう出向いて頂きました」

 

巨勢「流石です。もしこの特性で温泉から現れるなら、ホンス・カリドゥ………暑海の温泉から人を襲う凶暴なサメなので、今後は『温泉シャーク』で統一します。それで温泉シャークは、これからも温泉から出て人を狙う以上、温泉施設への立ち入りは今後制限を掛けた方が宜しいでしょう」

 

花子「署長。我々も向かいましょう!」

 

束「そうだな……この前の全身浴オヤジの件もある。熱海の住人に、自宅の風呂にも警戒して対策を立てるまではシャワー浴のみで済ませ、入浴の際はドラム缶等のように下水と繋がってない物を使って入浴するよう勧めるんだ」

 

全員が頷いた後、突如として通報が入った。

 

それは、温泉施設の風呂からサメが現れ、インフルエンサー達を喰らったという内容だった。桜達は恐れていた事が起きた事に戦慄する。

 

束「兎に角可能な限り温泉から避難させろ!!俺達も行くぞ!!」

 

花子「はい!!」

 

暑海市に温泉シャーク達が現れ、人間達を攻撃し始めた。さくら達もそれぞれ先回りして、民間人の避難を開始する。

 

しかし、さくら達の頑張りを嘲笑うように、温泉シャークは次の一手を仕掛けていた。

 

―――――――――――――――――――――――

 

フリーレン「平気?」

 

インフルエンサー「あ、ありがとう!それじゃあ、俺はこれで……!」

 

温泉施設からサメに食われそうになったインフルエンサーを、フリーレンが助け出した。温泉シャークは素早い動きで温泉の排水口へ潜っていき、下水道へ避難した。

 

フリーレン「次に現れたら撃ち抜くまでだよ」

 

フリーレンは杖を向けて温泉に向けるが、やけに自分の足元が熱いお湯に包まれているように感じた。

 

おかしい。今立っているのはアスファルト道路の筈。

 

フリーレンが下を向くと、なんとアスファルトから牙が生えており、囲まれた部分は足湯になっていた。

 

フリーレン「なっ!?」

 

フリーレンは驚いたものの、サメの口が閉じる前に浮かび上がり、サメの捕食から逃れた。

 

そして、フリーレンは周りを見渡す。道路や下水道から温泉が湧き出ており、辺りは温泉だらけになっていた。

 

フリーレン「まさか………サメが地下の温泉脈を地上に掘ってる?人間を食べる為に?」

 

フリーレンは思う。此処まで人間に対してピンポイントで狙いを付けるなんてあり得ない。明らかに狙っている。

 

その上、人間が通る場所まで把握し、罠まで仕掛けている。

 

知性があるのだ。それも人間に対しては殺意があると言わんばかりに。

 

明らかに野生の生き物としてはおかしい。人為的過ぎる。

 

まるで、誰かの手が加えられているかのようだ。

 

サクラスパイダー「フリーレン!」

 

サクラスパイダーが屋根に降り立つ。

 

サクラスパイダー「警官達は殆ど助け出せました!しかし、サメ達は暑海全体に温泉を掘り起こしています!」

 

フリーレン「もうこの町に安全な場所は無さそうだね」

 

すると、何処から飛んできたのか、マンホールの蓋が2人に向かって飛んできた。サクラスパイダーは素手で掴んで受け止めた。

 

サクラスパイダー「自衛隊も救助活動とサメ……もとい温泉シャーク討伐に動いたそうです!ヘリが大勢派遣されたそうです!」

 

フリーレン「なら、私達も行くよ」

 

フリーレン達は暑海市を飛び回る。

 

しかし、温泉シャークによる被害は拡大していき、サムライスクワッド総出でも中々決着が付かない。

 

暑海全体の温泉脈を掘り起こした温泉シャークは、町中に罠を仕掛けていた。若い警官達も次々とやられ、半数近くが消えた。

 

とあるカップルが公園に訪れた。カップルはパトカーのサイレンやけたたましい悲鳴をBGMにしつつ、公園に訪れる。しかし、滑り台の前で足湯を発見。それも、滑り台を滑った先で浸かりそうな形で。

 

男「あれ?足湯だ!流石は暑海。こんな所にも温泉があるなんて!」

 

女「こんな所、ガイドブックに無かったよね?」

 

男「良いじゃん。入ってみようぜ?」

 

女「ええっ……」

 

しかし、その様子を見つけた束署長が、滑り台を滑って足湯へ飛び込もうとするカップルへ警告する。

 

束「逃げろ!!サメの罠だ!!」

 

しかし、カップルは聞き入れず、滑り台を滑って足湯へ向かう。その瞬間、足湯から現れた温泉シャークによってカップル2人は飲み込まれ、そのまま小さな穴の中へ引きずり込まれた。カップルは何が起きたのか分からないまま息絶えてしまった。引っ込む足湯の代わりとなるように血が噴き出し、滑り台や周囲の地面を血に染める。

 

花子「間に合わなかった……!」

 

束「クソ!」

 

其処へ、脇腹を押さえて息も絶え絶えになった巨勢博士が合流する。

 

巨勢「温泉シャークは……その柔らかさを活かして……この街の下にある温泉脈や下水道を……自由に行き来してるみたいです……!」

 

その事実を、改めて目の前で認識させられた束署長と花子警務部長。

 

暑海の町は、もう安全な場所は無い。

 

――――――――――――――――――――――

 

とあるカリブ海の古典的かつ芸術的な島の宮殿。その一室には、多数の画面が表示されていた。

 

アメリカ、イタリア、イギリス、フランス、インド、エジプト、ギリシャ、ノルウェー、ブラジル、中国、韓国等、世界中のニュース映像及びYouTubeの動画が再生されている。その中で一番目立つのが、日本のニュース映像と動画である。

 

ニュース『ただいま、暑海市は温泉シャークの復活によって、被害が次々と拡大しております!サムライスクワッドも出動し、暑海警察と協力していますが、犠牲者の増加は止まる事を知りません!』

 

その様子を、一人の小さな人型の異形が見ていた。体格は非常に小柄で、髪は近世欧米の貴族のようにカールの入った長い白髪、肌に関しては皺が多くなにより灰色で不気味。おまけに体つきも少々戯画的と、容姿からしてすでに人間離れしている節が多々ある。

 

すると、彼の背後にホログラムの人達が現れる。立体映像式の通信だ。

 

財団の長『在日米軍が温泉シャークの討伐に向けて動き始めたそうです』

 

ヒドラの幹部A『カルカロドン・ホンス・カリドゥのリーダーが明るみになれば世界は混乱する!』

 

ヒドラの幹部B『ロックウッド!お前の腹心達は信用に値するのかね?』

 

その男は、ホログラムの人達に返事を返す。

 

マモー「私が血を与えたのは3体。陸、海、空、それぞれに適した生き物に『神の実験』として私は血を与えた。そして私が地下で保護している()()()()()()()()()も与えている」

 

ヒドラの幹部B『ロックウッド!ヒドラは貴男を尊敬しており、創設メンバーの一人として称えてきた!しかし、哭倉村(なぐらむら)では失敗したではないか!』

 

マモー「心配は要らない。あの村はどの道見捨てるつもりだったよ。()()()()()()()()()上に、龍賀一族はどうしょうもない奴等だったから、潰れてくれて好都合だった。貴重な幽霊族を使い潰す等、言語道断だ。だが心配するな。我が腹心達は優秀だ」

 

彼の名はマモー。表では世界一の謎の大富豪『ハワード・ロックウッド』として、鉄鉱、造船、運輸、報道によって世界の富の3分の1を支配しており、近年では考古学の発掘を手がけている億万長者だ。

 

彼は日本の暑海のニュースを見て、ほくそ笑んだ。なにせ温泉シャークの異変は、マモーが遠因なのだから。




マモーはこの小説では、陸、海、空にそれぞれ適応した生き物達に血を与えてます。また、幽霊族の血も改良した上で与えてるけど、彼等を哭倉村みたいな使い捨てるような扱いはしてません。だって保護という形で生かしておく方が効率良いのだから。

陸と海はもう決めてるけど、空の方は何にしようかな?鳥が良いだろうけど………どんな怪獣にしよう……。
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