暑海は混乱に陥った。暑海の地形は温泉に関係するような作りになっており、少しでも掘れば温泉が湧き出る厄介な仕組みだ。温泉シャークからすれば、町のどこでも人を捕食するのに最も適した地形なのだ。また、温泉やお風呂に続く排水溝を通れる為に、家の風呂にも出現するのだ。
人々は警官の避難誘導で逃げ惑いつつ、安全な場所を目指す。しかし、暑海市内は温泉が通ってない自衛隊の指定した避難場所以外はもう、安全な場所は存在しない。
アナウンサー『こちら、現在の暑海市内の様子ですが、温泉シャークの影響で大勢の人々がパニックに陥っています。サムライスクワッドも救助活動を行っていますが、犠牲者の数は急速に増え続けている模様で―――』
貫一「お、俺の町がこんな……!?」
暑海に存在する暑海市役所では、暑海市長の万巻貫一がスマホでニュースを観ており、暑海の町が温泉シャークによって混乱に導かれている状況に困惑していた。
警官と共にサムライスクワッドも加わり、人々を避難している。しかし、それでも温泉シャークの罠は各地に張り巡らせており、知性があるかのように振る舞っている。
市長の傍に付く3名の男女の一人が、貫一に突っかかる。広告代理店関係者の田中太一が、貫一へ責任を押しつける。
田中「あ、アンタのせいだ!貴男がサメの対策をちゃんと取らなかったから!」
貫一「なんだとぉ!マスメディアに圧力を掛けろと言ったのはお前達だろうが!」
貫一が男スタッフに掴みかかる。すると、女スタッフ2人が新幹線の切符を男に持って来た。同じく広告代理店関係者の佐藤千晶と、溝口茉鈴の2人だ。
佐藤「新幹線の切符です!」
溝口「あっ、私達の分もあります!」
田中「ハハハハッ!これで暑海とはオサラバだ!」
しかし、貫一のスマホのニュースが切り替わる。
アナウンサー『暑海駅前よりお伝えします!たった今、温泉シャークの影響により、線路上に温泉が噴き出し、新幹線が上空へ吹き飛ばされました!新幹線は、暑海市役所の方角へ飛んでいったとの――』
アナウンサーのニュースが全て終わる前に、暑海市役所に飛んできた新幹線が市役所を破壊し、建物が崩れ落ちた。貫一は階段を降りるように逃げ出し、スタッフは反対方向の廊下へ逃げたものの、建物の崩壊に巻き込まれた。暑海から逃げようとした広告代理店関係者達が瓦礫の崩壊に巻き込まれたのだ。
そして、万巻貫一は起き上がって周りを見渡す。瓦礫と崩れ落ちた建物、そして瓦礫に潰れた人々の死体。
貫一「うう……うわあああああっ!」
貫一はその場から逃げ出した。恐怖のあまり、その場から逃げ出すが、途中で湧き出た温泉を避けつつ逃げるが、公園で温泉シャークに遭遇した。
貫一「誰か……誰か助けを!」
貫一は周りを見渡すが、温泉シャークは狙いを付けたように飛びかかる。
その時、銃声と共に温泉シャークが空中で怯み、湧いた温泉へ戻り、潜り込む。
束「市長!」
束署長が現れ、温泉へ向けて発砲を続ける。その時、貫一の背後のアスファルトから温泉が噴き出し、それに気付いた束署長が貫一を突き飛ばす。しかしそれが隙となり、温泉シャークの尾ひれで銃を弾き飛ばされ、そのまま束署長は下半身に噛みつかれてしまう。
束「ぎゃあああぁぁーっ!!」
温泉シャークは左右に揺れて、束署長の体へ牙を食い込ませる。
花子「署長!」
巨勢「署長さん!」
花子と巨勢も駆け付けるが、温泉シャークに下半身を丸ごと食われている為、花子は迂闊に撃てないで居た。
さくら「てぇぇぇいっ!!」
桜は杖で温泉シャークの腹部を殴り飛ばし、署長は噛みつかれた状態から離れて地面に落ちそうになるが、小狼が抱き抱えて止めた。
小狼「署長は……まだ生きてるぞ!」
さくら「良かった……早く病院へ!」
桜は包帯を取り出し、噛まれた箇所を救急箱の止血剤を使って止血していく。小狼も消毒液で傷口を濡らして応急処置をしていく。
温泉シャーク『シャーク……』
さくら「サメが……鳴いている?」
桜はサメが鳴き声を上げている事に驚くが、サメは温泉の中へ入っていく。
そして、万巻貫一はその様子を見つめるしか出来なかった。傍にある署長の銃を拾うしか、彼に出来る事はなかった。
――――――――――――――――――――――
ニュースでは、暑海に温泉シャークが出て来た原因が話し合われ、市長の大規模な掘削工事と温泉開発によって、地下深くに眠る古代ザメを復活させてしまったという結論に至る。近くの町や観光客の人々からも、温泉シャークを恐れる声が多く届く。
自衛隊が出動し、サムライスクワッドと共に協力して市民の救助を行う。
そんな中、対温泉シャーク専用の特殊部隊が派遣されたものの、高濃度のメタンガスを保有する温泉シャークに攻撃した瞬間、大爆発によって自衛隊が返り討ちに遭った。
更に自衛隊の切り札であり、スターク社の手も借りて作り上げた新型潜水艇も、温泉シャークの持つ『スーパーロレンチーニ』というサメの持つロレンチーニ器官がより発達した器官から放たれた電磁パルスによって撃ち落とされ、大爆発を起こす。
その様子を、桜達も見ていて驚愕した。暑海警察署で、自衛隊からの報告内容に驚かされてばかりである。
さくら「なんでぇ!?」
ケロちゃん「なんでサメがそないな能力持っとるんや!?」
小狼「人間の常識を超えた生物だ………高温の海に適応し、温泉パイプすら通れる柔らかさ、それに銃火器も受け付けないメタンガスでの防御に、最新機器を無力化する電磁パルス……何でもありかこんなの!?」
知世「やっぱりおかしいですわ!いくら古代のサメと言えども、あまりにも人類に対する特効能力を持ち過ぎですわ!」
遥「ええっ……日本政府がどんな決断を下すのか……」
フリーレン「ほら、そう言ってる内に総理大臣が発表をするみたいだよ」
テレビに映るのは、内閣総理大臣からの記者会見にて、温泉シャークに対する対策を強硬策に移すというものだ。それも、温泉シャークを暑海市もろとも焼き払うというものだった。
さくら「バスターコールじゃん!」
知世「バスターコール?」
さくら「バスターコールというのは……」
桜はバスターコールについて説明すると、その恐ろしさに知世達は戦慄する。しかも自衛隊や在日米軍連合艦隊による一斉攻撃等、ONEPIECEのバスターコールとは比較にならないものだ。
総理大臣「作戦名『
総理はそう言うと、会見の場から去る。
フリーレン「……逃げ遅れた住民も巻き込むつもりなんだね」
小狼「マジかよ………めちゃくちゃ過ぎるだろ!」
さくら「そりゃあそうするのが一番だろうけど、選ばないでよ……」
すると、会議室の扉が開き、安室が入ってきた。その後ろには風見、阿笠博士、そして博士の背後に灰原哀が居た。
安室「君達も聞いていたようだな。明朝と共に、暑海市は自衛隊在日米軍連合艦隊による一斉射で焼け野原にされる。サムライスクワッドは残された住民達を救助した後、即座に退去するよう命令が出た………」
安室の顔は暗い。それはそうだ。在日米軍だけでなく、自衛隊が護るべき国の一部たる町を破壊しようというのだから。
灰原「話は聞いているわ。その事で、博士から話があるのよ」
博士「ワシも暑海の温泉は好きじゃからな。ここが焼け野原にならんよう、サムライスクワッド専用の深海装備を3Dプリンターで出力出来るんじゃ」
3Dプリンター。この暑海市に導入された世界最先端の3Dプリンターで、市長はニュースでもそれを触らせてもらっており、それで温泉開発の建物や施設を出力して造り上げていた。
その小型版が存在しており、なんとそれを市長が許可したのである。
さくら「市長さんが!?」
すると、扉が開いて巨勢や市長の貫一、そして一人のマッチョが入って来た。
貫一「サムライスクワッド。お前達にも協力してほしい。温泉シャークを倒しに行くぞ」
巨勢「新たな潜水艇を作り、こちらから乗り込んで一気に叩きます」
貫一と巨勢の言葉を肯定するように、マッチョが頷いた。
小狼「市長さん。どういうつもりですか?」
彼の評判は小狼も聞いていた。そんな彼が、どんな面を下げて温泉シャークを倒しに行くと言っているのだろうか?
貫一「……署長がサメに噛まれたけど、一命を取り留めたんだ。だが、温泉シャークは噛み付いた相手に大昔の病原菌が原因の感染症を与えていたんだ。それで署長が苦しんでるんだ」
桜達は署長の現状と、温泉シャークのさらなる能力、そして署長の覚悟を聞いた。署長は話に聞いていたイメージとはかなり異なっていた。
貫一「署長は俺を、温泉シャークから助けてくれたんだ。今度は俺が………せめてサメを一匹だけでも捕まえて、フカヒレから作れるワクチンで署長だけでも救いたい!この町を、焼け野原にされたくない!親父にも、この町の為に生きろと育てられた!こんなバカな俺でも、サメを退治して暑海を救いたい!」
さくら「……はい。私達にも、協力させてください」
桜達は、貫一の言葉に黄金の精神が芽生えているのを感じた。彼は署長に助けられた事で、そして現状を理解した事で成長したのだ。
巨勢「では先ず、皆さんにやってもらいたい事をまとめ上げました」
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対温泉シャーク用の潜水艇は、建設用の大型3Dプリンターを使って再設計していく。
それはなんと万巻貫一がやるそうだ。彼は3Dプリンターの使い方を早くも学習しており、既に使いこなしていた。彼曰く、昔から勉強は出来るらしい。
小狼「もう覚えたんですか!?」
貫一「昔から勉強は出来るんだよ」
内部の機械類や兵装は、撃墜された潜水艇から内部機関や兵装を回収する。それを行っているのは、マッチョと桜の2人。
火災に包まれているが、桜はカードを発動させて炎を鎮火させていく。
因みに、桜の今の衣装は過去に水族館でウォーティーと戦った時に身に着けていたものだ。それを阿笠博士と共に改良し、耐久性や防弾性も加えて靭やかさも備えている。
さくら「『RAIN』『WATERY』」
桜は雨を降らせ、雨水を操って炎を鎮火させていく。
炎を鎮火させている間に、炎の中から内部機関や武装を運ぶマッチョを見た。
さくら「あの人、何者なの?」
ケロちゃん「さあ……せやけど彼奴、魔力も無い人間にしか見えへんけどなぁ」
2人はミサイルや機械類の中で、まだ使えそうな物を選別。それを3Dプリンターで再設計している潜水艇に加えていく。
勿論新たな装備として、潜水艇にはスーパーロレンチーニ対策としてバリヤー機能を搭載。これで電磁パルス対策は万全である。このバリヤーは、大学の仲間や有識者達、そしてS.H.I.E.L.D.の協力を得て開発している。
知世は灰原や阿笠博士と共に、サムライスクワッド専用の深海及び熱海に適したパワードスーツを開発している。このスーツにもバリヤー機能を搭載する。大元は3Dプリンターで出力出来る為、開発の大幅な短縮になり、想定より5時間以内に完成した。
そして、夕方頃にカタパルトと共に対温泉シャーク用の新型潜水艦『あつみ丸』が完成。内部にはサムライスクワッド専用のパワードスーツも搭載し、全員が乗れるよう設計されている。
貫一「流石最新鋭の3Dプリンターだ。カタパルトまで出力出来るとは」
阿笠博士「これを扱える貫一君も流石じゃのう」
貫一「昔から勉強は出来るんだよ」
すると、マッチョと桜、小狼が気配を感じた。同じようにサクラスパイダーもスパイダーセンスで危険を感じ取り、背後を振り返る。
3匹の温泉シャークが此方に迫ってきていた。地面を泳ぐように進んで来ている。温泉脈を掘り進みながら地面を泳ぐように移動していたのだ。目的は邪魔者達の始末。それしかないだろう。
小狼「くそ!勘付かれたか!」
さくら「私が時間を――」
桜が飛び出そうとした、その時だった。
花子「温泉シャアアアアアァァァクッ!!!」
暑海に、花子警務部長の声が響き渡る。
サクラスパイダー「花子さん?」
すると、その後に声が響き渡る。
花子『掛かってこいよ化け物ォ!!お前達の大好きな、血の匂いだ、ぞおぉぉぉ!!!』
すると、3匹の温泉シャークが方向を変えた。
サクラスパイダー「まさか、自分の血の匂いを温泉シャークに!?」
フリーレン「そんな!」
そして、さらなる声が響く。
花子『万巻貫一ぃぃっ!!絶対に、サメを倒して戻ってくださいぃ!!でないと、一生貴男を許しませぇぇん!!』
それを聞いた皆は、花子が自ら囮となって温泉シャークを引き付ける覚悟を聞いた。
さくら「……皆、此処は私に任せてくれる?」
すると、桜はFLYのカードを使い、背中に翼を生やす。
さくら「花子さんは私が助けに向かう。地上の方は私が護るから、皆は温泉シャークを倒しに向かって!」
知世「さくらちゃん!」
さくら「知世ちゃん。今は潜水艇に居て。この潜水艇が、今はここよりも安全だから。それに、知世ちゃんなら多分私の事をドローンか何かで撮影するんでしょ?」
桜は知世を宥める。しかし、知世がドローンで自分を撮ってる事を見抜いた。
知世「……アハッ。バレました?」
さくら「知世ちゃんの事だもの。それに、小狼君。サクラスパイダー、フリーレンさん、この人達を頼むね。小狼君、カードを貸すね。もし危なくなったら使ってね」
小狼「任せてくれ」
桜は小狼にカードを2枚渡し、万が一の切り札として使うよう伝える。
そして、桜はその場から飛び立った。
そして、小狼達もあつみ丸に乗り込み、準備を進める。
暑海の未来を護る為、それぞれの戦いが始まろうとしていた。
結局出してしまった………マッチョ………