ホルスとオシリスにはとある軍神との縁があるらしい   作:マスターワン

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本当に久々で申し訳ないです
モラトリアム延長試験を受けていました
リハビリで少々短いのとオリジナル要素多めですがご容赦を


いざ砂上の楼閣へと

 

 『傭兵』、レネクは銃砲店に来ていた。理由は簡単、アビドス高校の学生たちの臨時補給物資と、自身の補給を確保するためである。『先生』曰く、シャーレ地下にある施設を用いれば物資の製造が可能なようだが、どうにもランダム性が強いらしい。緊急性が高そうなアビドスの生徒たちにパチンコの当たりが出るまで待ってくれというのも酷な話で、『先生』は先行してアビドスに向かい、レネクは補給物資をトラックで輸送するという算段を二人で決めたのだ。レネクはシャーレの経費を出来るだけ少なくするために(経費を使いすぎるとまたユウカにどやされそうだと感じたためだが)、馴染みの店を選んだ。学生向きというよりはプロフェッショナル向きで、昔ながらのスタイルを頑なに維持している頑固親父が店主をやっている店だ。レネクが扉を開くとベルが鳴り、カウンターの中に置かれた椅子に座った店主に向かって手を挙げる。

 

 「よう、大将」

 

 「……鰐の御大将じゃねぇか。久しぶりだな」

 

 「無駄弾を撃たない主義のせいで、アンタの面も忘れそうになるぜ」

 

 「ワシの面を忘れんように定期的に来てくれるといいんだがな。ワシも暇せずに済む」

 

 「おかしいな。ジジイにゃ本を読んで茶を飲んでゆっくりする時間の方が大切だと聞いてたが?」

 

 「ワシはジジイだが、仕事するのが一番なんでな。おかげでボケ知らずだ」

 

 軽口をたたきながらも、老ワシの頭の店主は手を動かしていた。常連の客の扱う獲物は頭に入っていて当然、仮に常連でなかったとしても提げてる獲物を見れば何が必要なのかは大体の見当がつく。そういったところをレネクは気に入っていた。

 

 「いつもの12.7×55mm弾のセットでいいな?」

 

 「APにサブソニック、流石だな大将。脳トレの成果は上々だ」

 

 「当たり前だ。何年やってると思っとる」

 

 「だが、今回は大口注文だ。追加でこのリストにあるもんを全部くれ」

 

 

 レネクはアビドス高校の生徒のデータと報告されている武装勢力のざっくりとした調査結果から、必要と考えられる物資のリストを作成していた。各種口径の弾、マズルアダプターやサイト、マガジンなどの消耗品一式が並べられた、それなりの厚みの紙の束をカウンターに置く。店主はそれをペラペラとめくりながら素早くチェックする。すると彼は首を傾げた。

 

 「アンタにゃ必要のなさそうなものが載っとるな。アンタは5.56は悪ガキには効かんといっとったろ」

 

 「使うのは俺じゃないんでな。今はシャーレに雇われて、『先生』と一緒にガキの面倒を見るのが仕事なのさ」

 

 「ほぉ……噂の……わかった。ワンマンアーミー気取りならやめとけと忠告するところだったが……用意するのに少し時間がかかるぞ」

 

 「待つさ。ご老公の話は長いのが常だが、アンタの作業はそれに比べりゃよっぽどか早い」

 

 「早くて確実、それがワシのモットーだ。座って待っとれ」

 

 「サービスのドリンクは?」

 

 「そんなもん、ワシが貰いたいわい」

 

 店主が奥に引っ込むのを見送ってから、レネクはカウンター前に置かれた木製の古い椅子に腰を下ろした。そして、アビドス高校のことを考える。アビドス、その砂漠は二年前に彼が訪れた場所だ。そして、彼が現実を直視した場所でもある。力が完全に抜けた人体の重みを未だに思い出すほどに、彼の記憶には鮮明に刻み込まれている場所だった。あの時でさえ、あの場所は砂に囲まれた、定期的に砂嵐が街を襲う場所だった。防砂林を置こうがあの規模の砂漠と砂嵐相手には暖簾に腕押しもいいところだ。二年もたてば砂漠化はじわじわとかもしれないが確実に進んでいることだろう。彼は考える。果たして、廃校を阻止することが本当に子供たちのためになるのだろうかと。それを最終的に判断するのは『先生』であり、彼の領分ではないことは承知の上だ。だがそれでも、子供が地獄のような環境で生きていくことを決意するだけの動機とは何なのか。考えずにはいられなかった。ふと、ドアに取り付けられたガラスから空を見ると太陽がさんさんと輝いていた。きっと、アビドスは暑いのだろう。そんなことをぼんやりと考えながら、人差し指でカウンターを叩いて拍子をとっていると、店主が戻ってきた。

 

 「準備できたぞ。すぐに行くのか?」

 

 「あぁ。絶賛タイムセール中らしい」

 

 「そうか。量があるからな、車両はあるか?」

 

 「手配済みだ。表に停めてる。俺の憧れの一台だったが、シャーレのお陰で買えた」

 

 「その代わり、アンタはもう日陰でとぼける鰐にはなれん」

 

 「……覚悟の上だ。そうだ、積み込みの手伝いもサービスしてくれないか?」

 

 「値引きさせておいて、か?ご丁寧にリストに予算まで載せおって」

 

 「悪かったよ、大将。俺のポケットマネーってわけじゃないからな。節約しないと首が飛ぶ」

 

 「まぁいい。これから鉄火場に赴く男に、何かしないと男が廃るってもんだ。サービスしてやる」

 

 「よかった、これから毎日サービスが受け放題だ。今度からはウィスキーでも用意しておいてくれ」

 

 鰐と鷲が顔を合わせて、腹を抱えて笑った。静かだった店内に、二人きりの空間に、笑い声がひとしきり響いた。その後、二人は男の顔つきに戻った。

 

 「さて。積み込むぞ。弾薬に爆薬がたんまりだ」

 

 「気を付けて運転しなきゃな。憧れの車が棺桶だなんて笑えない」

 

 「……死ぬなよ」

 

 「……せいぜい上手くやるさ。『先生』もいることだしな」

 

 二人で台車に弾薬箱や段ボールを載せて、表に出る。そこには、ブルーとレッドのファイヤーパターン塗装が目立つトラックがあった。彼が、まだキヴォトスに来る前、機械の体になる前のその幼いころに親しんだアニメーションでよく見たトラックだった。コンテナの側面扉を開けて、一つずつ確認して確実に積み込んだ。防弾仕様の分厚いコンテナ扉を確実に閉鎖し、運転席に乗り込む。そして、窓を開けて別れを告げた。

 

 「いい仕事だ、大将。請求書はシャーレに送っておいてくれ」

 

 「宛名はどうする。普段はキャッシュだろう?」

 

 「……レネクだ」

 

 「鰐の大将よりかはずっといい。よし、ちゃんと送っておく」

 

 「じゃあな、大将。お互い運がよかったらまた会おう」

 

 トラックのエンジン音が鳴り響き、砂漠へと走り出す。目指すはアビドス高校、滅びを待つ学校と、それに抗う少女たち、そして先生のいる場所だった。

 

 




実は、メールアドレス連携をしていなかったため臨戦リオ実装のタイミングでアカウントが謎に吹っ飛んだんですよね。
けど、コトネにびびっと来たタイミングでもしかしたらと思って公式に問い合わせたらアカウントが戻ってきたんですよね。
速攻課金しました。ブルアカ最高!
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