ゲームについて知っている人の方が少ないと思うので、こんなゲームもあったんですねと思って読んでいってください。
※原作について割と馬鹿にしていますが作者は原作が大好きです
ある日目が覚めたら、平原の真ん中に立っていた。
パニックになる思考を宥めて、現状把握に努める。
持ち物は? 肩掛け袋。腰には……剣!?
身に着けた衣類も全く覚えのないものだ。質も少々悪く、肌がごわごわする。
よく見れば胸元にはレザーの防具らしきもの。
頭を過るのは異世界転生、いや異世界転移。
転移というには持ち物に覚えはない。オタクな思考が、転移でもなく、現地人に憑依か?などと回り始めたとき、「キー!」と声。
腰に近い高さの草むらから現れたのは、一匹の化け物。
ゴブリンという名前が似合いそうな、腰くらいの高さの人型生物だ。
「は、ハロー。こんにちは。言葉は通じるかな・・・?」
声をかけるが、生き物はこちらを見てニヤリと笑い、持っていた手斧を振りかぶった。
「ひ、ひぃ!?」
とっさに腰にあった剣を抜き、へっぴり腰でどうにか盾にする。
推定ゴブリンの手斧を何とか防ぐも、異世界転移に襲撃者にと俺のキャパは完全にオーバーだ。
「だ、誰か! 助けてくれぇ!」
思わず出る叫び声。
「!? 今向かいます!」
若い青年の声が聞こえた。
手斧と鍔迫り合いをしている剣はプルプルと震えている。汗が凄い。今にも滑って落ちてしまいそうだ。
と力を込めていたが、化け物が斧を引いた拍子に、剣がすっぽ抜けて飛んで行ってしまった。
絶体絶命。
誰かわからんが、助けてくれるなら早く来てくれ!
化け物が改めて手斧を振りかぶったとき……願いが通じたか、自分の後ろ手からやってきた人影が、化け物を切り裂いた。
両断された化け物は、瞬く間に塵のように消えていく。
「た、助かったあ……!」
腰が砕け、地面に座り込む自分。
「無事でしたか?」
助けてくれた青年が剣を納め、振り向いて手を差し伸べてくる。
「あ、ありがとうございま……」
青年を見て驚愕する。
明るい灰色っぽい髪色に、ケープのような革の肩鎧を着こなした傭兵然とした青年。
自分はこの男を知っている!
この男は、キリヤ!
今は懐かしのPS2で出ていたゲーム、シャイニング・ウィンドの主人公、キリヤ・カイトその人だ!
皆さんはシャイニング・ウィンドというゲームを御存じだろうか?
俺は今、シャイニング・ウィンドの世界に転移したということに気づき、嬉しいけどもろ手上げて喜ぶほどじゃないなあと、凄く微妙な顔をしている。
だって、シャイニング・ウィンドだぜ?
シャイニング・ウィンド。『心にふれるRPG』とかいうなんかよくわからんゲームジャンルの、アクションRPGだ。
先に言っておくと、ゲームとして悪いわけじゃないんだ。クソゲーかそうでないかで言えば、間違いなくそうでない方だし、やりこみ要素もそれなりにある。
100点満点でいえば、60は間違いなくあって、人によっては80点はいけるかも。でも90点は出せない。そんな感じ。
自分としても、間違いなく思い出のゲームの1つと言える。
じゃあなんで微妙な顔してるかというと、偏にシナリオの絶妙なツッコミどころの多さが目立つ作品だからだ。
夢幻大陸エンディアスという異世界に転移した主人公キリヤが、災厄を鎮める心剣士となり、その過程で戦争に関わり、なんやかんやあって解放された魔王っぽいのを再封印してハッピーエンドになるというストーリーだ。
あらすじだけ聞くと、おお、王道やってんなあって感じのいい作品に聞こえるだろう? 大筋はいいんだ、大筋は。細部がね……。
ツッコミどころ1 能力がガバい
「心剣士」というワードを出させていただいたが、これは想いが通じた相手から、想いの結晶を剣の形として引き抜くことができる能力者のことを指す。
主人公は仲間のピンチにこの心剣士として覚醒し、仲間の剣を引っこ抜くわけなのだが。
会って数日くらいの御姫様にちょっとカウンセリングしたら引っこ抜けたり、ロリババアから初対面で引っこ抜いたり(これについてはロリババアがなんかすごいパワーで調整したらしいが)、敵対していた竜人(会ったのは3回目)と一緒にロリババアを助けるために引っこ抜いたり。
想いが通じた相手とは?
まあこの辺はそういうゲームなので仕方ないところはあるが情緒もへったくれもない。
アニメではライバル☆(※心剣士)が主役として色々活躍するのだが、そっちも似たような流れで次々にキャラを篭絡する。
あげくゲーム終盤では敵キャラからも引っこ抜いてそれをぶった叩いて正気に戻す。やっぱ想いが通じるとかどうでもいいんじゃん!
ツッコミどころ2 戦争が薄っぺらい
主人公たちは人間族の国で始まり、いちゃもんつけて攻めてきた獣人族の国を撃退する。そして敵の首脳を倒そうとしたところで、漁夫の利狙いのエルフ族の国が攻めてきて首都ぶちぬかれちゃいました。本拠失陥しちゃった。
という流れがシナリオの前半部分。
普通の戦記物ならここからどうなるだろうか?
獣人族の国は一度やられたとはいえ、相手も別勢力にやられて戦力が落ちている。単独で抗戦を続けるか、エルフ族の国と組んで改めて攻勢に出るか。あるいは落としどころを見つけて講和の道を探すか。
否!
「戦争を始めたのは悪い宰相のやつで、俺ちょっと情報収集の旅に出てたから戦争とか知らん!ごめんね!戦争やめよう!」と王様がのたまい、人間族の国も「それならしょうがないね。うち本拠失陥したから助けて!」と言い返す。
えぇ……。
戦争被害にあった遺族の人たちが反乱を起こさなかったのが不思議でならない。
その後、獣人族の国&人間族の国の残党でエルフ族の国と戦争して、領土取り返したり急襲作戦が成功したりして、最終的に敵首脳と一騎打ち!
ヒロイン(エルフ)ちゃんが敵国の主人公を庇って死ぬ。
戦争ってなにも生まないんだね、ってENDだと思うじゃん?
ヒロイン(エルフ)のお兄ちゃんがぶちギレて、お前らみんな死んじゃえー!って言って、魔王復活させようとするから、3国でエルフの兄ちゃんと戦う。
えぇ……。
昨日の敵は今日の友ってレベルじゃねーぞ。
ツッコミどころ3 絶妙に命が安い
戦争が薄っぺらいのは前述の通り。
戦争としての描写で無辜の民が死にましたーとかもない。露骨な悪役が成敗!されるところくらい。
そしてヒロイン(エルフ)ちゃんが死ぬといいましたが、そのあと蘇ります。
まあヒロインだからしょうがないけど、なんだかなあとなる。
ちなみにエルフヒロインちゃんは実は古代戦闘兵器を元にエルフお兄ちゃんの本当の妹の遺伝子をぶち込んで作られた人工生命体である。
う~ん倫理観くん仕事して。
ツッコミどころ4 主人公が情緒不安定
はじめは無気力系主人公。「俺ががんばらなくても、誰かやってくれるでしょ」
仲間の危機に陥って、平和主義熱血主人公にクラスチェンジ「戦争なんてよくない! どうして話し合って解決しないんだ!」
というようなことを言ってたのですが、エルフヒロインちゃんが暴走しているのを見てちょーお怒り。丸腰の女の子に剣を向ける。「これはヤツらの野望を阻止する正義の戦いだ!」
エルフヒロインちゃんが死んだらめっちゃふさぎ込む。「俺なんて生きてる価値がないんだ!」
となかなかアレな主人公やっております。等身大の高校生です戦争にメンタルやられただけですと言われればまあそう、か?
ツッコミどころ5 なまえあれこれ
主人公さんたちと一部の登場たちね、日本人なんですけど。
お名前を「キリヤ」っていうんですよ。
幼馴染系ヒロイン1は「シーナ」。
幼馴染系ヒロイン2は「クレハ」。
おまえら本当に日本人か?
いやいや「霧谷」「椎名」「呉羽」なんて珍しいけど、日本人の名前じゃないか?
じゃあ仲良くなってもずっと苗字呼びなのなんとかしろよ! 仲良くなっても苗字呼びなの寂しいんですけど。
そしてみんな苗字呼びなのに、1人だけ「ソウマ」って名前呼びが1人いるのも。
他にもエルフ国の首脳の方、こちらも日本からやってきた方で、主人公たちの友達なんすよ。生徒会仲間。
作中の名乗りは「トライハルト」です。意味は、「虎井」さんちの「春人」くんって意味なんですけどね。
えぇ……。
作中ではずっと「トライハルト」呼びです。みんなフルネームで呼んでます。シュールだね。
このトライハルトさんの側近の方いらっしゃるんですけど、こちらもね、生徒会の仲間なんですよ。日本人。
「ヒルダレイア」って名乗られてるんですけど。こちらもね、「蛭田」「麗亜」さんて意味です。
外国人っぽさのある名前を日本語でうまくあてがった、ということなのだろうが、名前呼びだったりフルネーム呼びだったりが混ざっているせいで賞賛できない。むしろツッコミどころと化している。
とまあこんな感じにツッコミどころが非常に多いゲームだ。
半面、イラストやボイスは滅茶苦茶いい。
イラストレーターはTony先生。めっちゃくちゃ可愛くてエッチ。
声優さんもめちゃんこ豪華。主人公はCV石田彰さん。幼馴染ヒロイン1はCV水樹奈々さんで、ついでにゲームオープニングも歌っているぜ。うーんサイコー!
なんだが。
うん。素材100点、調理0点のお手本です。
余談だが、本作は世界観につながりのあるシャイニングシリーズ(Tonyシャイニングと呼ばれたりする)の6作品中の2作目である。
後の作品に今作のキャラもちょろっと出てくるらしいが、ゲームシステムが変わったので残念ながら俺はプレイしていない。そのため語ることはできないことを許してほしい。
そんな訳で俺は、この世界に生まれた生まれたことを、素直に喜ぶこともなく変顔してるって訳。
助けてくれたのはその良作? 問題作? なゲーム、シャイニング・ウィンドの主人公、キリヤだ。
Tony先生のイラストを思い浮かべるようなイケメンぶり。CVも石田彰だけあってちょーイケボ。耳が孕んじゃう~~。あへ~~~。
なんて馬鹿な事を考えながら、記憶喪失の振りをしたところ、彼の所属する独立傭兵騎士団に世話になることになった。
さすが主人公。ありがとう主人公。
それから数日経ったが元の世界に戻れる気配はなかった。
あぁ、仕事どうなった、鬱だ。
そのためこの世界で生きていくことを覚悟しつつ、本格的に情報収集を始めた。
まず調べたのは今が作中でどのあたりの時期なのか、ということだ。
どうやらまだゲームの序盤のようで、心剣士キリヤの名前が売れてきたところらしい。本拠地には団長(CV水樹奈々)と筆頭騎士の主人公しかいない。
ゲーム同様の進行となれば、この後は姫騎士殿下が加入し、ロリババア軍師、竜人まではすぐに仲間になるはず。
次に調べたのは隣国の状況。ついでに国民感情だ。
10年以上前のゲームだから自分も詳しくは覚えていないが、数年前に3国会談があったが、そこで獣人族の悪い宰相の陰謀で破談していたはず。
会談の件もあり、隣国とはそこそこ険悪という印象だった気がする。
実際に調べてみると、やはりエルフの国、獣人の国どちらとも大きく交流はされていない。その上であまり強くはないが、嫌悪感があることが伝わってくる。
これから戦争で、もっと国家種族仲は険悪になっていくはずだ。どんなマジックを使ったら獣人の国で庇護を受けれるようになるんだ。さすが主人公イカれてるぜ。
最後に調べたのは物価。
傭兵団にお世話になっているとは言ったが、あんな無様をさらした俺が戦働きなんぞできるはずがない。
なので文官として団に貢献すべく、補給等考えるため調べているという訳だ。
まあそんな感じで日々を過ごしていたら、傭兵団の名簿に姫騎士殿下の名前が追加され、本拠地にはロリババアがいつの間にか加わっていた。
ゲームと同じなら、ロリババアが入ったことが原因(のイチャモン)で獣人の国と戦争が始まるだろう。
これからどうするか。
そう、せっかくゲームの世界に転移したというのに、今の俺に目的が一切ないのである。
まず元の世界に戻るための手段を探すというのは選択肢にない。恋人友人など希薄な底辺ぼっちなので元の世界に未練がない。下手に戻って行方不明からの事情聴取、新しいお仕事探しなどのストレスフル生活は嫌なのだ。
ではこちらの世界で何をやるのか。
ゲームシナリオの改変というのをオタク脳は考えた。
しかし原作ではキャラやら展開やらに多数のツッコミどころはあれど、話としてはきちんとオチをつけている。展開としてもハッピーエンドなので、改変しようとは思わない。
お気に入りのキャラが死亡したから、そいつを助けたい、みたいなこともない。エルフヒロインちゃんはなんやかんや蘇るし、それ以外大した死亡キャラはいない。もともと死んでいるやつか死んで当然のやつかしか。描写されていないモブ戦死者を助けるのは流石に無理なので論外。
じゃあ戦争をそのものをなんとかする。いやそっちも無理だよ。獣人の宰相が喜々としてやってるしエルフの兄ちゃんもかなり恨んでんだから、それこそ主人公でもなければ説得は不可能だ(このゲームの主人公にそれができるとは言ってない)。
登場人物はみんな美人美形だから関係を深めたい、という気持ちはないでもないのだが、鏡を見て諦めたね。
だって自分の姿が現実そのままだぜ。自分に自信なんてねーよ。そんな顔面ブサイク社会人のいい大人が、高校生連中に手を出すなんてできるはずもない。
なのでその方向で行くとしても、手を出そうと思えるのはロリババアくらいしかいない。でもロリババアだからなあ。
ちらとロリババアを見る。はぁー。
「なんじゃ事務員。人を見てため息をつきおって。失礼な」
う~んちっぱい。
ネームドキャラとラブロマンスは無理なのは明白だから、狙うならモブだな。
でもどうせ異世界にきたんだから、現実ではありえない相手を狙いたいところ。
しかし残念ながら俺はケモナーではないので、耳やら尻尾やらがケモケモしてるだけならまだしも、がっつり獣毛が生えているタイプは無理だ。つまり獣人は難しい。(この世界の獣人は基本的に二足歩行している動物である。例外はハーフとか)
なので必然的に狙うのはエルフになるが。うーん、現状国交閉じててやることないんだよね。
国交開いてればなー俺もなー。
なんてことを考えていたが、俺の脳裏に天啓が走った。
作中登場していて、誰のツバもついていない、ネームドだがネームドではない実質モブの、美人な女キャラがいるではないか。
陰キャなおっさんが口説くのは不可能? 逆に考えるんだ。口説けないなら口説かなくていい相手にすればいいさと。
俺の目標は!
人工生命体、戦闘マシーンゼクティ・ツヴァイを嫁にする!!!
説明しよう! ゼクティ・ツヴァイとは! エルフヒロインちゃんのそっくり戦闘マシーンだ! というか量産型古代戦闘兵器といったほうが正しい! 説明終わり!
見た目ただの可愛い女の子だし、たくさんいるし、1体くらいもらってもばれへんやろ!
原作でしゃべってる描写がなくて、そもそも意志があるかさえ怪しいが。
え? それじゃただのダッチワイフ? 何言ってるかワカリマセンネー。
と、目標を立てて傭兵団の作業を進めていった。
原作では描写がなかったが、やはり傭兵団という名前だけあって、戦働きするメンバーにも多数のモブ戦闘員さんたちがいた。
まあネームドキャラしかいなかったら10名もいないわけで、そんな人数で戦争に影響でるほどの作戦を立案遂行できるわけがないから当然と言えば当然だ。
そんな彼らのサポートであったり、兵站の手配であったりだな。
あっという間に戦争が始まり、こんなこともあろうかと、と物資の手配をしていたおかげで団長からの評価もうなぎ上り。
ストーリー的にも竜人くんを仲間に引き入れ、あれよあれよと逆侵攻をかけるまでに至った。
この後は決戦に向かう主力にお供する。
以前も触れていたが、我らの主力が獣人国との最後の決戦に向かうと、その隙に本拠を落とされるのでその対策である。
ツヴァイちゃんもらおう計画で考えるなら、あえて捕虜になってエルフ国で成果を挙げるという手もあるのだが、ダークマターなる不思議物質で狂う人続出のエルフの国に行きたいわけもない。捕虜から解放されて手柄を立てる算段もないし。
という訳で本陣に属することができました。役立つ文官ムーブかましておいたお陰だやったぜ。
決戦は特にどんでん返しもなく勝利。したのもつかの間、本拠の方から急ぎの伝令。
さらに戦場にはエルフ国のシスコン兄ちゃん。古代兵器戦車による威嚇爆撃。変な機械式メガホンで降伏勧告……ってこれもしかしてアニメ時空か!? まずい、アニメ時空だとただでさえ情けない主人公くんの出番が、ライバル☆にとられてしまって、さらに情けなくなってしまう!!
え? 大筋に影響はないから、ゲーム時空だろうがアニメ時空だろうが、本音は別にどっちでもいいよ。
さてそんなこんなで、獣人国の王様出てきて停戦して、獣人国に保護されました。ちなみに風当りはめっちゃ悪い。原作で描写されてないだけだコレ。
んでこれからはエルフ国と戦争だ。
直近は人間国奪還で、それからエルフ国と全面戦争。
土地押さえられたら普通そのまま負けると思うんだけど、民衆をちゃんと従えてるわけじゃないからこの辺りふつーに取り返せるのよね。
守備陣地固めてないの?って思うかもしれないが、そこはゲームシナリオ。主人公くんたちの能力で突破力は随一だから関係ない。
俺の目標的には、しばらくは暇だ。ツヴァイちゃん(たち)を保護する(意味深)ため、砂漠の調査作戦にはついていきたい。ついでに主人公の真顔パンチを見れるとよき。
ということで時間は飛んで、砂漠調査作戦。
エルフ国の古代兵器哨戒網が砂漠をうろうろしていて怪しいから調べようぜ!って流れ。
調査に同行させてくださいと言えば割とあっさり許可が下りた。
で、戦闘兵器もろもろと、ゼクティ・ツヴァイ集団との戦いを眺めております。
この場には主人公くんと幼馴染ヒロイン1(団長)、幼馴染ヒロイン2、俺という編成でおります。当然俺は安全そうなところで見てるだけ。
ゼクティ・ツヴァイ、まあエルフヒロインちゃん(ゼクティ・アイン)と瓜二つなだけあってやっぱめちゃくちゃ可愛い。まあエルフヒロインの実物をまだ見たことはないのだが。
「団長ー、そのゼクティ殿とそっくりな兵士はなんとかなりそうですかな?」
「ええ、なんとかね! なんとか殺さずには済みそうよ!」
戦場ということでもなし、そこは主人公集団、不殺を心掛けているようだ。
とそれらを眺めていると、遠くでキノコ雲。
こ、これはまさか……キターーーー!
やっぱこれアニメ時空だぜ!
病院服っぽいのきたエルフヒロインちゃんが真顔で主人公くんへ突進してくる。
「敵は排除する。敵は排除する」
素手の右手を構え、主人公に手刀。主人公は躱し、
「くっ、戦うしかないのか!」
剣を構えて……
男 女 平 等 パ ン チ。
決まったーーー!!
アニメ放映時実況スレの間で話題になった、ゲロシュール戦闘炸裂だあああああ!!
なんで剣を構えたんですか? なんで顔を殴ったんですか? なんで一発で沈むんですか?
うーん生で見ると余計にシュール。真顔で爆走してくるエルフヒロインちゃんも面白かったけどやっぱコレだね。
「はーいそこまで! ゼクティはもらっていくわよ」
とここで魔法の杖(機械製)に乗ったマッドサイエンティストがやってくる。ちな主人公君たちの生徒会仲間です。
んでまああとは原作通り。
主人公が「おまえらがゼクティを無理やり戦わせて!」と激怒し、マッドに剣を向けたところでライバル☆が現れて、ダイナミック肘打ち。情緒不安定な主人公くんを止めたら「俺は誰の味方でもねえ」と言って去っていきました。
エルフヒロインちゃんとマッドももちろんお帰り。
「さて戦闘は終わったようですが、これからどうされますかな?」
連続イベントも一息ついたところでこちらから確認する。
「先ほどの彼女らの言から、古代兵器の研究所があるのは確定。暴走していたゼクティ殿の処置をするため急いで連れ帰ったということも含めると、あちらの方角にあるのもほぼ間違いなし」
「……そうね。戦闘もあったし、私たちがいることもばれてる。今日はいったん引きましょう」
さすが団長。主人公くんと違って冷静だ。
「あと、彼女らはどうされますか?」
周囲には撃退した戦闘兵器の残骸の他、ゼクティ・ツヴァイらが複数倒れている。
そう、マッドちゃんは彼女らを回収していってくれなかったのである。
後から回収班は来るかもしれないが、重要度が高いのは「ゼクティ・アイン」だけのようだ。
「どうしようもないわ。この人数を連れて行くこともできないから、放置するしかないわね」
チャーンス!
「……でしたら、一名だけ連れ帰ってよろしいですか?」
「どうするのよ?」
「捕虜ですな。何か情報を喋ってくれればそれでよし。そうでなくとも、先ほどのお話を聞く限り、この子もゼクティ殿と同じ人工生命体。こちらの方でも調査した方が、あちらの言い分を全て鵜呑みにしなくてよくなりましょう」
暗に、エルフヒロインちゃん助けるにあたってこっちでも調査した方がいいんじゃない、と主人公に働きかける。
乗せられた主人公が快諾し、ヒロイン2名も一応賛同。
捕虜にする子以外は、一応機械の残骸の影などに退避させて、死なないことをお祈りしてこの場を去る。一応ここ砂漠の真ん中だからね。
捕虜を連れ帰るのは、非戦闘員の自分の役目だ。言い出しっぺとはいえ、砂漠でこれは死ぬ……。
背負った女の子のおっぱいの感触を堪能できるはずもなく、汗だくで帰りましたとさ。
それから自分は捕虜となったゼクティ・ツヴァイを甲斐甲斐しく世話をし、それに絆されたツヴァイちゃんと夢の結婚ライフを過ごすのであった……。
なーんてなるわけねえだろ!
捕らえたツヴァイだが、目が覚めても対話の余地なし。こちらを認識すると「敵は排除」と発する。腕を縛っていた訳だが、お構いなしに体当たりなどで攻撃してくる。ただその動作も機械的というか、暴れ方にあまりパターンがない。
食事を出しても食べない。一応尋問前に全裸に剥いて確認したので(俺も見たかった)、機械が取り付けられている箇所以外は普通の人間のはずだ。摂取器官もあれば排泄器官もある。なのに食べない。
どんどん衰弱していき、ある日エラーメッセージのように「エネルギー枯渇。エネルギー枯渇。拠点への帰還を最優先」などつぶやきだした。
どうにも人工生命体なのは間違いないだろうが、エルフヒロインちゃんと違ってどうにも機械の度合いが強いと見える。
う~ん、あの国まじで倫理観どうなっとんねん。マッドとお兄ちゃんお前らのことだぞ。あとかませ眼鏡。
団の知恵袋(ロリババア)とも相談の上、捕らえていても死ぬまでこのままになりそうとのことで、あえなく逃がすことに。
ちゃんと生きて戻れるかは分からないがまあ捕らえたままよりマシということで。
ツヴァイちゃんは解放されると、エルフ国の方へと向かっていった。
最寄りの研究所探知機構とかあるのだろうか。まあ無事を祈るまでである。
ちなみに帰っていくツヴァイちゃんを尾行した部隊が、研究所の情報を拾ってきたので一応連れ帰った成果はあった。俺の目的としては何の成果も得られませんでしたけどな!
さてそんなことをしていたが、主人公たちはあれよあれよと、エルフ国との決戦だー! うおー! という状況に。
頑張ってくれ。ちなみにそれ終わってもエルフ兄ちゃんとの戦いも待ってるからな。
俺は変わらず平常運転だ。決戦に向けて兵站の手配。裏では並行して、決戦後のエルフ兄ちゃんとの戦いに向けての準備だ。
エルフ国決戦では最終的に主人公とかませ眼鏡が一騎打ちして、主人公がやられるタイミングでエルフヒロインが庇って死ぬ。それを見たエルフ兄ちゃんがぶちギレして闇落ち。3国で戦争していた地域全土を氷で囲って閉じ込めてしまう。
「いやそれできるなら最初からやれよ!?」と思うかもしれないが、魔王的なアレに乗っ取られた末なので。魔王の力ってスゲー!
氷が3国を囲む前に主人公たちは脱出し、他国に救援を求めに行く。それについていくことは可能だろうが、仲間たちからよりポイントを稼ぐために少しだけ無理をしようと思っている。氷で閉じ込められた国に残るのだ。
実際大きな問題はない。氷で閉じ込められただけで、内部の人間が全員死ぬわけじゃないので。ただ魔王様が復活して妖魔たちがたくさん湧き出てくるので、残った兵士諸君は死ぬほど大変だろうが、文官にそんな義務はねえ! その分色々働くからメシは頼んだぜ!
そう思っていた時代が私にもありました。
エルフ国決戦はゲーム時代と変わらず終わり、主人公たちは脱出完了。彼らが脱出する時に俺は、
「私はこちらに残ろうと思います。戻ってきた皆さんを迎え入れる人員も必要でしょうから」
と、モブにあるまじき感動の別れを演出。団長他多数から絶賛、涙のお別れだ。ちなみに主人公くんはエルフヒロイン死んで落ち込んでいるので俺には目もくれない。スケコマシめ……。
ここまではよかったのだ。ここまでは。
始まったのは、デスマーチである。
これまで戦争続きだったわけで、当然食料品はじめ多数の物品が値上がりというにはほど遠い上がり方をしている。そんな中今回の主人公くんたち始めとした人間獣人連合の首脳陣たちは、巨大船で脱出してしまった。同時に妖魔たちがたくさん現れて荒廃していた土地がさらに荒れる。
Q.つまりどうなる?
A.暴動を押さえつける武力がなくなり、力が支配する世界が始まる。
ヒャッハー! 汚物は消毒だー!
そんな世紀末モヒカンは存在しないが、聞いてた話と違う!!!
ゲームでは近くの村々も一応残っていたのに、なんでこんなことになるの!?
いや、分かっている。あのゲームがそんな暗くなるようなところ細かく描写するはずがないってことくらい。獣人国に逃れた当初は謂れのある非難をされた。最近では長引く戦争に厭戦感が蔓延していた。だがゲーム中でそんな描写は大してなかったのだ。いやあったのかもしれないが、昔ということもあり俺は覚えていない。あったとしても記憶に残らない程度に触れるだけ。モブとの会話レベルだろう。
かくして、獣人国では現在絶賛暴動が起こっている。
首脳陣たちはいなくなったとはいえ、軍や政治を司る人間が全て消えたわけではない。だが軍はあふれ出る妖魔の対応に手いっぱい。妖魔があふれ生存圏が狭まると、当然難民が増える。さらにもともと戦争で逼迫していたた食料問題は各地の妖魔続出に煽りを受け生産も流通も深刻な事態に。都市部の民衆は背中に迫る飢え死にという恐怖にパニックになり、残った政治中枢へ押しかける。なんなら民から食糧庫を守るための兵士も配備しなければならない状態だ。
軍は手が足らず。国民たちを御さねばならない。
はい、文官たちお出番ですよ(絶望)。
暴動を起こしている善良(笑)な一般市民たちを、政治側の人間というだけで文官の手まで借りて抑え込む。武力なんぞあるわけないから基本は言葉で宥めるわけだが聞いて止まるならこんなことは起こっていない。未来への展望のないところに飢えという恐怖をプッシュされ、誰もかれも手いっぱいだ。
そこに人間の文官という手ごろなぶつけ先が現れてしまったことで、獣人の民たちはこちらへ矛先を向けた。石をぶつけるどころか、普通に武器で刺されそうになりました。
さすがにやばいので俺は裏に下げられたが、代わりとばかりに事務作業の多くを振られることに。
あの俺あくまで傭兵団所属のお手伝いさんなんですが、なんてこといえるはずもなく。
ただでさえ人間というだけで同僚からもいい目を向けられていないというのに、暴動鎮圧も免除され、そこで事務作業を滞らせてでも見ろ。間違いなく裏で殺されるわ。
書類仕事をして、書類の上で気絶し、軍の補給に手配、そのついでにわずかなパンと具のないスープをすすりまた書類に戻る。
と丸1週間気絶をお供に、仕事アンド仕事。暴動もいくらか収まってきてようやくベッドで寝れる生活だけは戻ってきた。
デスマーチは続くよどこまでも。
暴動は薄れたものの(起こっていないとは言ってない)、首脳陣がいない状況は変わらない。抜本的な解決はできず、場当たり的解決を続けるしかない。
食料をためている商人から物資の徴発。はいはい嫌われ役はわたくしが担当しますよだから甘えたこといってんじゃねえぞ腑抜け共。民衆も限界? いったん軍に回す食糧配給しましょう。暴動納めるにはそれしかない。軍へはどうするのって、そりゃもう残った農家から徴発してそれを当てますわ。
政治中枢の不在を逆手に、越権行為をバリバリやってその場をしのぎ続けた。
そんな生活が、主人公くんたち首脳陣が戻ってくるまで続いた。何か月やっていたのかは定かではない。作中で描写もなかったし、俺も時間間隔が完全に飛んでいたので。ただ他国の軍と一緒に戻ってきたので、どんなに短くても一か月では終わらなかったのは確実である。
そのころには俺はげっそり瘦せていて、目が不気味に輝いていたのは間違いない。
なんとか俺からの情報共有を終えたところで、戦力追加と食料支援の話を聞いた。ありがとう特に後ろ。
情報共有が終わり俺はついに久方ぶりの安眠を得た。
もう二度とポイント稼ぎなんてしない。
主人公たちが帰ってからは、とんとん拍子で話は進んだ。
妖魔から支配地域の奪還。
エルフヒロインちゃんの復活。
魔王の力の源となる闇のエネルギーを浄化する装置を各地で起動。
エルフ国で首脳張ってたかませ眼鏡がエルフ兄につかまっているのでそれを助けに。
イベントを全てこなし、これから魔王様退治に。
「これが本当に最後の決戦だ! 絶対に勝つぞ!」
とそんなことを主人公くんが演説。最後の決戦へと向かった。
ラストバトルくらいは現地で観戦したいのだが、突入作戦に自衛もできない人間が割り込む余地はなくあえなくお留守番。
くっそー、「男から剣を抜く(意味深)」「シャニティアッー!」と言われた一幕は直に見物したかった。
そんな訳で、無事ゲーム・アニメ本編終了である。
やはりアニメ時空だったようで、最終決戦は主人公・ライバル☆・かませ眼鏡三人衆が「究極心剣」なるものを抜いて、魔王様封印。主人公は元の世界に戻り、ライバル☆は別の傭兵団に所属して残留、かませ眼鏡もエルフの国復興のため居残りという流れになる。
さて、俺の本番はここからである。
俺のこの世界での目的は可愛い戦闘兵器な女の子、ゼクティ・ツヴァイちゃんを手に入れること。
そのゼクティ・ツヴァイの管理はエルフ国首脳であったかませ眼鏡とその嫁の元マッドサイエンティストが全権を握っている。本来ならそちらの好感度を上げておきたかったのだが、主人公陣営に属してしまったのが運の尽き。なんやかんやハッピーエンドをぶっ壊してまで手に入れる勇気はなかったので、代替案として主人公たちからの評判を上げて、そちら経由でかませ眼鏡たちに取り入ることにしたのだ。
ということでお国に残るエルフちゃんと最後の別れをしている主人公くんを尻目に、団長経由でかませ眼鏡に紹介してもらった。
「こっちはうちの団の筆頭文官。私たちが国外に脱出したあとも
と団長からの評判も上々だ。国をとりまとめたは流石に過言なのだが。まあ団長は調子いいやつなのは見ての通りなので何も言うまい。
自分の名前とこの世界での職歴を伝え、
「異世界の住人でありながらエルフの国復興のためこの世界に残ろうという
といけしゃあしゃあと伝える。
「ふむ。
そこでかませ眼鏡は少し考えたものの、
「いいだろう。これからよろしく頼む」
と手を取ってくれた。え、何その間。
先行き不安なもののかませ眼鏡の下に就職できたところで、団のメンバーたちと別れを済ませる。
そしてついて行ったところで二人で話がしたいと、エルフヒロインちゃんと元マッドを遠ざけたかませ眼鏡。
「それで、我々の下にきた本当の理由を話してもらおうか」
と恐ろしい威圧を俺にむけるかませ眼鏡。
そ、そうだった、このかませ眼鏡、元の世界では大企業の御曹司で後継者の完璧超人だ。俺の嘘八百の就職理由などお見通しのうえで、それなりに使える人材ということで一旦あの場は通したのだろう。
くっ、異世界でも圧迫面接を受けるなんて……!
乾いた唇。緊張に手汗が滲む。
目の前の男の眼光は鋭さを増していく。誤魔化しは効かないだろう。
覚悟を決めろ、俺。
ゴクリ。
つばを飲み込み一息で放つ。
「お義父さん、ゼクティ・ツヴァイを私に下さい」
このあとボコられてこき使われた。
以上でお終いとなります。
はい、久しぶりにアニメ見たら思いの丈が色々出てしまい執筆してしまいました。
もし原作を知っている方がいらっしゃいましたら感想欄で思い出を語っていただけると非常に嬉しいです。
こんなこき下ろすような形で作品書いてしまったんですけど、思い出の好きな作品なのはほんとです。
もちろん原作を知っている方も知らない方も、本作の感想もいただけると幸いです。
以下説明タイミングがなかった本編のネタ。
・ライバル☆
主人公のライバル。3人いる心剣士の1人にしてアニメ版の主人公。
ずっと☆表記がついているのは、中の人が保志総一朗さんだから。
・かませ眼鏡
主人公のライバル。3人いる心剣士の1人にしてエルフの国のトップ。
原作・アニメでは主人公およびライバル☆に全戦全敗のド級のかませっぷりである。ラスボスの座もエルフ兄と魔王様にとられてるし。
え? エルフヒロインさんが死んだのは主人公くん庇ったから1回勝ってるんじゃないかって? あれ、主人公に負けたあと口八丁でもう一回やっただけだからノーカン。
・シャニティアッー!
アニメの正式タイトルは「シャイニグ・ティアーズ・クロス・ウィンド」。
ゲームの前作シャイニング・ティアーズの登場キャラ+ライバル☆が主体でシャイニングウィンド世界に関わっていく話なんですね。OP曲が「Shining Tears」というゲームタイトルと同じ曲名。さらに曲中に「シャニティアー!」とタイトルコールする曲なんですよ。ちなみに歌っているのは保志総一朗さんて方なんですが。あれどこかで聞いたような。
で肝心の最終決戦では、ライバル☆が究極心剣を主人公くんから抜きます。その時主人公くん(CV石田彰)が喘ぐので……「シャニティアッー!」って言われるようになったって訳。