僕のHEROMANアカデミア   作:アドゥラ

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お久しぶりの人はお久しぶりです。
いろいろあって長いスランプで小説からも離れていたんですが、ちょっとリハビリしたくなって二次創作に帰ってきました。
どこまで続けられるかわかりませんが、雄英入学あたりまでのプロットは書いているので、できる限り頑張りますので、よかったら読んでください。


第1章「新たなる非日常」
僕のHEROMANアカデミア‐ビギニング


 事の始まりは中国軽慶市。発光する赤子が生まれたニュースだった。もしかしたら、その前にも生まれていたのかもしれない。少なくとも、世界的な始まりはそのニュース。以降各地で「超常」は発見されることとなる。

 原因も判然としないまま時が流れた。世界は「超常」に対応することを強いられ、いつしか「超常」を中心とした社会へと変遷していった。

 もし「超常」が無ければ宇宙開発時代に入っていたかもしれないというぐらいの時が流れ、いつしか「超常」は「日常」へと変わる。「架空」は「現実」へと。

 世界総人口の約八割が何らかの特異体質である超人社会。「超常」の力はいつしか「個性」と呼ばれ、当たり前のものとなっていた――そんな中、ある一つの職業が脚光を浴びていた。「個性」を操り、人々を救う。かつて「架空」の存在であった「現実」――ヒーローが!

 僕もそんなヒーローにあこがれるどこにでもいるような中学一年生――であったらよかったのに。僕、緑谷出久は「個性」を持たない「無個性」であった。

 世界総人口の残り二割――もう僕の世代ではほぼ見かけない、特異体質を持たない人類。それが僕だ。

 

 ◇◇◇

 

 たしかに「超常」は「日常」になった。だが、すべての「超常」が「日常」になったわけではない。

 もしも「超常」が「日常」になっていなければ、それを見つけることができたかもしれない。彼方より飛来するそれを。しかし宇宙への目が減った超人社会。だからこそ、発展した地球であってもそれを見逃した。

 今、彼方より厄災が迫っている。多くの電波が飛び交い、強力な磁気圏を抜けるため、それが何かをした――その影響か、地球各地に落雷が降り注ぎ始める。

 

 それは厄災の始まり――そして福音である。

 

 これは何の力も持たないはずだった少年、緑谷出久と()が最高のヒーローとなる物語だ。

 

 ◇◇◇

 

『先日より発生している世界各地の落雷ですが、いまだ原因不明――』

 

 テレビのニュースを聞きながら緑谷出久はヒーローマガジン――色々なヒーローを特集する人気雑誌――を読んでいた。

 過去の記事だが、出久はこの一冊が特にお気に入りで何度も読み返している。最も好きで、最も尊敬するヒーロー、日本ナンバーワンヒーローのオールマイト。そして、アメリカのナンバーワンヒーローであるスターアンドストライプの対談記事の特集号だ。

 出久はオールマイトが一番好きであったが、他のヒーローの記事にもよく目を通すし、その個性も分析している。海外のヒーローまでは流石にあまり手を伸ばしていないが、記事は見ているし――なるべく情報を仕入れたくて、英語も覚えた――スターアンドストライプはその知名度、そしてかつてアメリカで活躍していたオールマイトにあこがれてヒーローになったという背景もあり、出久は彼女もお気に入りのヒーローであった。

 雑誌の1ページに大きく掲載されたオールマイトとスターアンドストライプが握手をして並び立つ写真。ヒーローコスチュームに身を包んだ二人を見て、いずれ自分もヒーローになれたらこんなコスチュームを……そう思うが、自分は無個性。自分には無理だよねとつぶやく。

 その時。彼の母親――緑谷引子――が声をかけた。

 

「出久、お母さん今日は用事があって遅くなるけど、最近のこともあるから停電には気を付けてね」

「わかったよお母さん」

「それと、そろそろ学校」

「あ――ごめん、忘れてた!」

 

 急いで朝食のパンを食べ、テレビを消す。母は先に出かけた。自分もカバンを背負い、家を出る。空はまだ晴れていたが、ここ最近は異様な空模様となることが多い。時期的に梅雨だからだと思われていたが、さすがに世界規模で悪天候になっていればそんな理由ではないとわかる。

 

「どっかのヴィランの仕業じゃないかって話もあるけど、でも天候操作なんて個性、全世界規模で操れるとも思えないし、何らかの薬品による増強? 違法薬品によるブーストならどうだ? でも何日も続くだろうか――」

 

 ぶつぶつと考察をつぶやき始める出久。オタク気質な彼は一度考え始めると高速で思考をしながら考えを口に出してしまう癖があった。

 根っからのヒーローオタク。そんな彼のことをクソナードと呼ぶ幼馴染もいる。

 

「――っと、学校に行かなきゃだったんだ!」

 

 急いで学校に向かう。

 走っていつもの道を通っていると、見慣れないものを見つけた。

 

「工事中!? あ、でもこのデステゴロ*1の看板は初めて見るな、写真撮らなきゃ――って急がなきゃだったんだ!」

 

 一学期末のテストも近づいているのだ。まだ中学一年の一学期だから難しい範囲ではないが、将来のことを考えると良い点はとりたい。無個性の自分ではあるが、少なくとも勉強において個性は関係ない――無駄かもしれないが、出久が入りたい雄英高校ヒーロー科は倍率300を超える超難関校。筆記試験だって難しいはずだ。今からとれる対策はするべきであろう。

 遅刻なんてしたら内申点にも影響があるし、急がねばとすぐに迂回ルートを頭の中に描き走り出す。

 

 ◇◇◇

 

 何とか間に合った。

 ほっと一息つき、いつも通りの授業を受ける。雄英に入学するのなら、私立中学にでも入学してよりレベルの高い授業や塾に行く手もある。だが、最も必要な要素――個性――を持たない出久は、半ばあきらめの気持ちがあった。それでもあきらめきれないから勉強して、少しでもいい点数を取ろうとしていたのだ。それに、一般家庭の緑谷家、特に心配性な母親にあまり迷惑をかけたくないという思いもある。

 

「っと、もう時間だな。じゃあみんな、テスト対策しとけよー」

 

 授業も終わり理科の教師、鉄毛デント――個性、金属質の毛髪――が教室から出ていく。

 休み時間に入り出久は一冊のノートを取り出した。それは、出久が書き溜めたヒーロー分析ノートだ。彼はすごいと思ったヒーローをノートに書き留め、何冊も何冊も、分析し続けている。

 スマホでニュースを眺め、ヒーローの活躍を調べて、気になったヒーローの個性を分析し、自分なりの考察や、個性の活用法、どんな必殺技を使うのか、事細かに分析していった。

 

「やっぱりバックドラフト*2の消火能力はすごいけど、個性も活躍の場が限定的、現場にヴィランがいたら? サポートアイテムでカバーだろうか、でもあまり殺傷力の高いものは使えないし――」

 

 同時に、いつものブツブツ。

 その声が聞こえたのか、出久に声をかける者がいた。

 

「おいコラクソナード! ブツブツうるせぇんだよ!」

「――か、かっちゃん」

 

 爆豪勝己。出久の幼馴染で、爆破――ニトロに似た爆発性の汗を手のひらの汗腺から出す――の個性を持つ少年だ。

 

「無個性が夢見てんじゃねぇよデク! てめえじゃヒーローにはなれねぇんだよ!」

「…………そんなこと、わかってるよ」

 

 つぶやいた言葉は小さくて爆豪の耳には届かなかったようだ。

 うつむいた出久を見ると、興味をなくしたように爆豪は自分の席へ向かった。

 結局のところ、それに尽きる。どうしようもなく、出久には力がなかったのだ。

 

 ◇◇◇

 

 そのあとは特に問題もなく授業が進んだ。昼休みになり、出久はトイレから教室へ戻っている時であった。なにやら外から妙な音が聞こえ、窓から校舎裏を覗く。

 何か大きな機械をいじっているデント先生の姿が見え、周囲からは笑い声も聞こえる。

 授業は分かりやすいが、彼は変人としても知られており、時折こうして何かの実験をしているのだ。それと、宇宙マニア。

 

「先生また何かしてるよ……この前はすごかったなぁ」

 

 以前は爆発しかけた。異音に気が付いた出久が飛び出して止めたからよかったものの、そうでなければどうなっていたことか。

 たしかに出久には力がない。だが、彼は困っている人を見ると飛び出してしまうところがあった。それは確かにヒーローの資質でもある。

 

「……機械か…………何かサポートアイテムでも作れれば、僕でもちょっとは何かできるかな」

 

 力はない――今はまだ。

 

 ◇◇◇

 

 出久がやってきたのはとある海浜公園。海流の影響かゴミが流れつきやすく、そのせいで不法投棄もまかり通っている地元民が近寄らないスポットだ。今も出久以外の人影はない。

 

「こういうところに近寄るのはどうかと思ったけど、何か材料になるようなものがあるかもしれないし……」

 

 今考えているのは、腕に装着する射出できるワイヤー。昔のアメコミヒーローのように壁にくっつけてスイングして移動するイメージだ。もしかしたら捕縛にも使えるかもしれないと頭の中に構想を浮かべる。

 必要なのはワイヤー、巻き取りの機構。あと、射出のための燃料?

 

「って危険物は違法になるか。でも、バネとか使えば? でも機構的に大型化しそうだし……難しいかな――うん?」

 

その時視界の隅にキラリと光るものが見えた。不法投棄されたもののようだが、出久はそれが妙に気になった。手に取ってみると、昔のおもちゃらしい。

 

「名前は何だっけか……腕は壊れているし、ところどころヒビが入っているけど…………名前はHEYBOか」

 

 スマホにいくつかの単語を入れて調べると、発見できた。円形のコントローラーで動かすロボットタイプのおもちゃだ。ヒーローをモチーフにしていて、少し古臭いがPVはなかなか出来が良かった。

 

「作られた年代から考えると状態がいい方ではあるのかな? いや、壊れているしそんなことないか……」

 

 近くを見るとコントローラーもあった。

 なんとなく、放っておけないと思ったのだ――出久は近くを見回して、使えそうなものがないかあさり始める。

 

「あ、点火プラグあった。これ腕にちょうどよさそうだ」

 

 すっかりその作業に夢中になる出久。使えそうな材料を持ち帰り、修復――いや、改造する。

 形になるまで何日もかかったし、足りない部品のために貯金を崩すことになってほしかったヒーローグッズを泣く泣くあきらめたりもしたが、なぜか出久はこのロボットをどうしても直し変えてみたかったのだ。

 コントローラー内部の回路も弄って、なんとHEYBOを光らせることに成功した。無線通信のパーツのために使ったパーツが一番貯金を食ったが。

 

「HEYBO――いや、君は今日からヒーローマンだ!」

 

 その時出久には、電源を入れていないのにキラリとヒーローマンが光ったように見えた。

 

 ◇◇◇

 

  ヒーローマンを作り直したことで自信が付いたのか、改めてサポートアイテムの製作を考える出久。今日は休日で朝から海浜公園で素材を探していた。気合を入れるため、ヤングエイジオールマイトパーカー(復刻版)に身を包み、ガサゴソと投棄物をあさっている。

 いつものようにブツブツとつぶやきながら考えを出していき、作るべきサポートアイテムの形を定めていく。必要なのは、個性に変わる利便性のあるアイテム。ひとまず法に触れない範囲のもので、と考えをまとめた。

 

「――うん?」

 

 その時だった。

 

「う、うわあああああ!?」

 

 空から紫電が降り注ぎ、出久に直撃したのだ。

 ビリビリ全身に痛みが走り、出久を伝って持ってきていた荷物――ヒーローマンとそのコントローラーにも電流が伝う。

 

(しまった、ここには金属物が多いから電気が引き寄せられた? 痛みが――意識が飛びそうだ、お母さんに心配――死ねない。こんなあっけなく? ――まだ、僕は――ヒーローになれてない!

 

 その想いが、奇跡を呼んだ。

 コントローラーが出久の左腕に引き寄せられ、その形を大きく変えていく。左腕を覆うように肥大化し、青白い円形のラインが光り輝いた。

 そして落雷のエネルギーのほとんどがヒーローマンへと流れ込んでいき、彼もまた大きく姿を変えた。3メートルを超える巨体に、意志ある瞳に、白き巨人が立ち上がった!

 

「…………」

 

 ぽかんとヒーローマンを見上げる出久。

 今はまだ、何物にもなれていない少年。今はまだ、その力を示していないヒーローマン。

 始まりは静かに――されど、劇的に変わった。

 

 ――これは、緑谷出久……いや、ヒーロー『デク』と『ヒーローマン』が最高のヒーローになる物語だ。

*1
力自慢のプロヒーロー

*2
火災現場等で活躍するヒーロー




思いついた理由? アニメがどっちもボンズ製作つながり。

ヴィジランテは途中までしか読んでいないので、ちょっと資料不足ですが他はできる限り要素を入れていきたい。

なお雄英入学は第6章です。
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