僕のHEROMANアカデミア   作:アドゥラ

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気が付いたらミアレシティ――ではなく禁足地にばっかり行っている作者。
まだ見ぬ広域化の神おまを求めて……!

なお、低レアなもののサポート性能の高いのが出たのでコレでいいのではと思い始めている。
辻ヒーラーやるの楽しい。


砲丸

 前回の戦いから一夜明けて場所はデントの家。材料の準備ができたということで、ヒーローマンの修理及び強化改修を行うこととなった。

 以前使用したものと同じ大きさのエンジン用点火プラグ。ありあわせの材料で作っていた前回とは違い、今回は強度、性能面も良いものを選んだ。また内部フレームにも手を加えており――ヒーローマンの力の源は不明な点もあれど、電力が主な力だ――どこまで性能アップできたかは分からないが、以前よりも良くなったとは思う。

 

「ひとまずこれで修理は終わったが、これでどこまでやれるかだね」

 

 見た目にはそれほど変わりはない。だが、出久の手の中にあるヒーローマンは少し重みを増していた。今後、どこまで戦えるのか。きっと次に戦う相手も強敵となるだろう。だが、それでも出久たちは戦うしかない。エッズィの口ぶりから明らかにヒーローマンを標的にしているのは間違いないのだ。

 

「……僕が…………僕たちが、やるんだ」

 

 決意を口にする。

 ひとまずは家に帰って宿題をしようかと思ってデントの家を出る。すると、あたりに甲高い音が響き渡った。

 

「な、なんだ――?」

「これは……」

 

 しばらくすると、音が鳴りやむ。だが、周囲のものが何かに反応して震えだしていた。明らかな異常。とても嫌な予感がして、出久はこぶしを握り締める。

 デントも家の中から何かの計器を持ち出してきており――謎の発生源を探り始めた。

 

「最初のは私たちにも聞こえる周波数の音だった、だが音が聞こえなくなっても何かに反応して震えだす物、つまり可聴域を超えた音。超音波――高周波によるものだ」

「高周波、ってことは……」

「ああ。奴らがまた現れた!」

 

 ◇◇◇

 

 どうやら高周波を用いて敵は索敵を行っているようだ。

 高速で移動しながら高周波を発生させており、出久たちはその発生源へ向かって移動しているものの、標的は無規則にあちらこちらへ行ってしまい、距離を詰められない。

 

「向こうはこっちに気が付いていないみたいだし、先制攻撃できるんじゃないかと思ったんだけどなぁ!」

「たぶん、ヒーローマンを探しているんでしょうけど……このままじゃ大型の異形型個性の人とかが勘違いされて襲われかねないっ」

「ああ、その危険性もあったか! でも、緑谷君どうするんだい?」

「……あいつをおびき出すしかないと思います。どこか、人目が無くて開けた場所に移動しましょう。そこで直接討ちます」

「狙撃とかされたら怖そうだけど、そこは?」

「最初からバリアを張って待ち構えます!」

「なるほど、シンプルイズベスト!」

 

 言うが早いか、近くを地図で調べてよさそうな場所がないか探してみる。ちょうどいいところに採石場があり、ここなら周辺の被害も開けた場所もクリアできた。

 

「先生、採石場へ!」

「わかった――だが、どうやっておびき出す?」

「……とにかく、ダッシュで行くしかないです!」

 

 そう言うと、出久はヒーローマンを起動する。

 計器の反応もすぐに出るが、とにかく急がなくてはいけない。街中で追いつかれたらどうなることか。ヒーローマンがデントと高周波発生装置を抱え、飛ぶように走り出した。続いて出久も走り出し、二人はすさまじいスピードで採石場へと向かう。

 

「うおお!? なんか早くなってないかい!?」

「運動性能が上がっている……なんていうか、動きが軽やかになってる?」

 

 動きながらもデントが計器で高周波の発生源を確認しているが――どうやら釣れたようだ。まっすぐにこちらに向かってきている。

 もしも改修していなければ追いつかれていたかもしれない。だが、今回は作戦通りにおびき出すことに成功した。そのまま出久たちは採石場にたどり着き、敵を待ち構えることに成功した。

 

「先生、ひとまず僕の後ろに!」

「あ、ああ……チャンスがあれば、私も高周波で動きを止める。しっかりやろう」

 

 ほどなくして、再び甲高い音が響くようになった。音がだんだんと大きくなり、なにか高速で回転する巨大なボールのようなものが迫る。

 

「ヒーローマン!」

 

 出久の声と共に、ヒーローマンがそれに向かって殴り掛かる。あたりには火花が飛び散り、轟音が響いた。

 互いにはじかれ、後ずさる。だが、ヒーローマンの体にダメージが入った様子はない。されど今回の敵はどうやら硬さに秀でた相手のようであった。スクラッグは丸まった状態から手足を伸ばし、何事もなかったかのように立ち上がる。

 その姿は、球状の体からアーマーのついた手足が伸びた姿で、他のスクラッグと比べても等身が小さい。しかし、見るからに堅牢そうだ。出久の知識の中で近い生き物を上げるとするならばひとつ。そして、それは的中していた。

 

「ダンゴムシのスクラッグ?」

「――オイオイ、態々コノ“ブリト”様ガ探シテアチコチ回ッテッタノ二手厚イ歓迎ダナァ! ダガ、ソウジャナクチャ面白クネェ! オ前ハコノ俺ヲ楽シマセテクレルンダロウナァ!」

 

 再びボール状に丸まり、転がりながら突撃するスクラッグ――ブリト。

 見た目とは裏腹にスピードもあり、バウンドしながら何度もヒーローマンへ突撃してくる。だが、改修の成果はやはりあった。流石に高速で何度も突撃と離脱を繰り返すブリトを殴り返すまではいかないが、その攻撃を受けても耐えきるタフネスさを見せていた。

 

「す、すごい……緑谷君! これなら――」

「いえ、こっちの決定打に欠けています。確かに防御力が上がったし、運動性能も上がったけど……あいつが速すぎる。先生、高周波で動きを止めてください」

「あ、ああ……喰らえ!」

 

 エレキギターをかき鳴らし、高周波を発生させるが……ブリトは気にも留めていない。

 

「なっ――!?」

「コノ俺ニソンナ小細工ハ通ジネェ!」

 

 そもそも強烈な体当たりを用いるからか、その肉体は他のスクラッグと比較しても強靭であった。高周波に対しても耐性があるらしく、ブリトは一蹴したのだ。

 

「デモマァ、ウザッテェ奴ハサッサト潰シチマウカナァ!!」

 

 煩わしいとは感じるようで、標的をデントへと向ける。急加速。一気にひき潰しにかかるが――間にいた出久がバリアでそれを防ぐ。

 

「――!?」

「お前たちはヒーローマンを警戒しているみたいだけど……僕たちは、一人じゃない!」

 

 バリアによってブリトがはじかれる。その隙を逃さず、ヒーローマンが殴り掛かった。

 

「HEROMAN-ATTACK!」

 

 鈍い音が響き渡り、ブリトの体を吹き飛ばす。追撃を行おうとするが、高速で回転する音が響き渡り、土煙が立ち上った。

 

「なっ――」

「今ノハ悪クネェ。ダガ、コノ俺ノ体ヲ貫クニハ足リテネェ!!」

 

 先ほどよりも力をためて、ヒーローマンへ突撃する。今度は彼の体が弾き飛ばされ、よろけてしまう。

 

「ヒーローマン!?」

「オラオラオラオラ!」

 

 突撃、地面をはねて逆側へ再度の突撃。とてつもないラッシュだ。

 大きなダメージには至っていないが、反撃する隙も無い。今は大丈夫でも、このまま押され続ければエネルギーも尽きて敗北するだろう。

 

「ど、どうする……どうすればいい」

「緑谷君、落ち着くんだ――幸い、改修のおかげで耐えることはできている。それに君のバリアならはじくことができる。チャンスはある。だから、君は考えることをやめるな」

「先生……」

「君は色々なヒーローを見てきただろう。そして、その個性についても様々な考察をしている――その多くのデータを抱えた頭をうまく使うんだ。君の持っている最大の武器は、その思考能力だ。力そのものじゃない。日常の中で蓄積し続けてきたそれが、ヒーローマンという力で生かされている。君は確かに考えるよりも先に体が動いてしまうタイプだ――だが、少し見た私でもわかる。君は直感ではなく、思考で戦うタイプの人間でもある。だから、ここぞというときこそ落ち着くんだ」

 

 そうは言っても、まだ中学生の出久には難しいことで、ヒーローマンのほうを見る。彼は、何も言わない。だが、そのまなざしはまっすぐに出久を見ていた。自分を信じている。そう、言っているように。

 

「――よし」

 

 必要なのは相手の防御を崩す突破力。強力な一撃を当てれば勝機はあるかもしれない。だが、その隙を作らなくてはいけない。今の出久の手札では少しばかり足りない。高周波は効かず、動きを止められない。

 

「……チャンスは一回だ」

 

 一つ、動きを止める手段を思いついた。だが、一度使えば警戒されてしまう手段だ。

 それに奴の防御を突破する攻撃力となると、BLASTしかない。しかし、今出久が思いついた手段では動きを止められる瞬間はわずかだ。BLASTではスピードが足りない。

 出久は強く思った――あいつの体を貫ける、速くて強い一撃が欲しいと。

 

「――これは」

 

 その想いに応えるように、左腕のコントローラーに新たなコマンドが浮かび上がった。螺旋回転の様な絵柄のそれが。

 

「……回転には、回転で!」

 

 確証があるわけではないが、これならいける。直感的に出久は思った。

 あとはタイミングだ。それまでヒーローマンが耐えてくれるのを祈るしかないが、それも大丈夫だ。ブリトは口調からして荒っぽいタイプ。このまま膠着状態になっているのをよしとしないだろう。

 

「ジレッテェ! 一気ニ決メテヤル!」

 

 そして、その瞬間が訪れた。

 

「今だっ!」

 

 パワーをためて突撃するブリトに向かい、出久が飛び出す。ヒーローマンをかばうようにバリアを展開し、同時に新たなコマンドを起動した。

 

「――グ!?」

「HEROMAN-TORNADO!!」

 

 バリアにはじかれて、ブリトの体が宙に舞う。そのまま地面に落ちればすぐに体勢を立て直して攻撃されるだろう。能動的にバリアで動きを止めた今、再度同じ手を使えば見切られる。だからこそ、この一瞬のチャンスを逃すわけにはいかない。

 新たなコマンド――TORNADOの効果は、高速回転による突撃。BLASTのようにエネルギーを放射し、速度と威力を一気に上昇させる――により、ブリトの体を貫き、その身を四散させた。

 

「コノ、俺、ガ――」

 

 小さな爆発が起こり、砕けた破片も粉々になっていく。

 ほどなくして、あたりには静けさが戻っていった。

 

「……ふぅ」

「どうやら、勝てたようだね……しかし、せっかくのアイテムだったのに通用しないとは」

 

 デントは残念そうに、自分の作った高周波発生装置を見る。全く効かないというわけではないが、過信は禁物だろう。

 今回は退けられた。だが、今後現れる敵にはどのような能力があるのか。

 

「例のアイテム、早くに完成させないとな」

 

 どこまで出久たちの助けになるかわからない。だが、デントは思う。過酷な運命が付きまとい始めたこの少年たちの力になれればと。




ブリト
ダンゴムシのスクラッグ。
荒っぽい口調でこいつも漫画版HEROMANの敵が元ネタ。
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