個性:足裏から衝撃波を放つ。
???:身にまとった鎧のパワーを数倍に高める。性能次第で個性や身体能力も引き上げる。
(仮に原作のアマードオールマイトのアレを着ようものならAFOにもワンチャン勝てる)
あと先のプロット考えて、ケミィの言語難しすぎてどう再現したものか悩み中。まあ、出るにしてもかなり先だけど。
緑谷出久は教室で頭を抱えていた。なんとなく怖くなって、朝のニュースも碌に見ずダッシュで学校までやってきていたが、正解だっただろう。仮にニュースを見ていたら学校には来る気をなくしていたかもしれない。
「ねえ、あのニュース見た?」
「ああ見たぜ! あのヴィジランテ*1だろ!? でもまあ、殉職した警察官もいるってのにヒーローより早く事件解決しちまってるんだから話題にもなるよな。それに、彼らが来なかったら一般人にも被害が出ていただろうってんだから、現場近くのヒーローはバッシング受けちまってるらしいぜ」
「何者なんだろうな、いったい」
昨日のことがすっかり話題になっている。
今更ながらに大それたことをしてしまったと出久はため息を吐く。
(あのままだとあの人が危なかったから、仕方がなかったとはいえ……やっぱり無免許でヒーロー活動するのはヤバいよなぁ)
覚悟を決めてネットニュースを見てみると、やはり話題になっていた。幸い、詳細な情報は入手できなかったのか噂レベルの記事しかないが、今後は不用意な動きはできないだろう。
ヒーローたちもいるのだし、自分がわざわざ危険を冒す必要はない。出久はそう考えをまとめて、次の授業の準備をするのであった。
――――しかしながら、出久は自分のことをよくわかっていなかった。たとえ今はそう思っていても、何かが起これば動き出してしまう。性根の部分は、そう変わらない。今まで力がなかったがゆえに無鉄砲な行動をしなかっただけで、今の彼には力があるのだから。
◇◇◇
「HEROMAN-ENGAGE!」
とりあえず人目につかないところで検証してみるべきかと思い、出久は廃工場にやってきてヒーローマンを起動した。
特段問題なく起動に成功し、その場で巨大化するヒーローマン。
出久は改めてヒーローマンを観察し、時折腕をコンコンと叩いたりしていた。
簡単に動きを頼んでみると、シャドーボクシングなどの動きを再現してくれた。ある程度は自立して動くようだが、基本的には出久からの命令で動くらしい。
「僕にもついに個性が覚醒した――って感じじゃないんだよなぁ」
あくまで勘でしかないが、
あの時の落雷、あれが何らかの力となって自分に宿った。状況からしてもそれしかないだろう。
「…………さて、どうしよう」
冷静になってみると、緊急事態だったとはいえヴィラン相手の大立ち回り。突如目覚めた個性とは異なる超常の力。誰かに相談する? 下手したら怪しげな研究施設に送られたり、そもそも一度とはいえ半ばヴィジランテとして活動してしまったのだ。下手に大事にする方がまずい。
個性ではないから、現在の法律に照らし合わせた場合グレーゾーンではあるが。
「でも、君がいれば僕も雄英に入ることだってできるかな……」
未来に思いをはせて、期待を持った――その時であった。
「――爆発音!?」
外に出てみると、街から煙が昇っているのが見える。ヴィラン? それとも突発的な災害か。
思わず走り出そうとするが、立ち止まる。行ってどうなる? 近くにはヒーローがいる。消火活動の得意なバックドラフトが近くにいるはずだ。すぐに火の手もおさまるだろう。だけど――そこで思い出したのは、幼いころに何度も見返した動画。
まだ無個性だと診断される前、4歳ごろだ。
自分が最も尊敬するヒーロー、オールマイトの活躍を撮影したもので、災害現場からたった一人で10分という短い間に100人もの人々を救い出している動画だ。あの動画を見て、いつか個性が出たら自分もこんなヒーローになりたいと思ったのだ。結局、自分には個性が発現しないタイプの身体的特徴があり、無個性と診断された。ショックを受けた自分の様子を見て、母もただごめんねと謝るばかりで――
「――ッ」
――その時、ヒーローマンが出久を抱えて走り出していた。
「って、えええ!?」
混乱の中、あれよあれよという間に現場へと近づいていく。
なぜ、どうして。訳が分からないままに、火災現場の様子を見ると、空中を四本の腕を持ったヴィランらしき男が炎を手のひらから噴射しながら飛び回っているのが見えた。どうやらヴィランの犯行だったらしい。
「全部全部燃えちまえよ! 真昼間からカップルがイチャイチャしやがってよ! こっちはフラれたってのによぉ、この世のカップルはみんな燃えちまえばいいんだよ!」
なんて身勝手な理由だろう。出久があたりを見れば、やけどで倒れた人たちが見える。それに家々にも火が広がっており、パッと見ただけでもどれほどの被害が出ていることか。
されど、周りのヒーローたちは奴を捕らえようと動いていなかった。
「くそっ、なんつースピードで動き回りやがる。下手に捕まえようとすれば周りに被害が出ちまうぞ」
「バックドラフト、炎系相手ならあんたがどうにかできねぇのかよ!」
「無茶言うな! こっちは消火で手いっぱいだっての!」
「有利な個性を持ったヒーローが来るまで耐えるしかない! とにかく避難誘導と救急手配だ!」
「――――個性が、消えない?」
ぼそりとつぶやいたような声。ひとり、ヒーローだろうか? ぼさぼさの髪に、大きなマフラー。そしてゴーグルをつけた黒ずくめの男。ヴィランのほうを見ており……いや、雰囲気的にはにらみつけているように見える。何か見ることで発動する個性か? 出久の記憶の隅にこのような格好のヒーローが引っかかった。だが、すぐに思い出せない。
男のほうに気を取られた時だった。野次馬のほうを見ていたヴィランが表情を変える。なぜか四本ある腕のうち二本がぶらんとぶら下がっており、残り二本で炎を噴射し、野次馬のほうへ突撃した。
「なんでか腕二本動かねぇけどよ! 見つけちまったら仕方がないよな、だってカップルがいたんだぜ、こりゃもう燃やすしかねぇよな!」
ヴィランが凶行に走る。間に合うヒーローはいない。黒ずくめの男も焦ったようにマフラーを男のほうへ投げ伸ばすが、届かない。
そして――その場の誰よりも早く、出久は狙われたカップルの前へと躍り出た。
「なっ――」
「あん? ガキがヒーロー気取りか? まあ無駄なんだけどよ!」
ヴィランが手を振りかざし、強力な炎が放たれた。色は青。非常に高温なのが分かる。
正直なところ、出久は混乱の真っただ中であった。なぜか、すさまじいスピードで動けたこと。ヒーローマンも動き出しており、ヴィランのほうへと進んでいる。だが、炎が放たれるのには間に合わないだろう。
ヒーローたちは消火活動や避難誘導に手いっぱいで動けていない。唯一ヴィランを止めようとしていたらしきヒーローと思しき男も何らかの手が不発で後手に回ってしまっていた。警察や消防隊はまだ到着していない。出久の後ろには狙われたカップル。男のほうはとっさに動けていたが、それでも彼女をかばって抱きしめるのが精いっぱいだった。ヒーローマンがヴィランのもとにたどり着くまでには炎が襲ってくる。
出久の思考が高速で動く中、頭に過去の光景が浮かぶ。先ほども思い出した、あの無個性だと診断された日の出来事。母はしきりに謝り倒していたが、自分はそんな言葉をかけられたかったわけではない。自分はただ――――。
「――――ヒーローになれるって、言ってほしかったんだ!」
なぜヒーローマンがこの場に自分を連れてきたのかわからない。だが、彼のまなざしがこちらを向いていた。彼は何も言わない。だが、自分が何をすべきかは分かった。
自分は、ヒーローになりたかった……いや、ヒーローになるのだと。
その想いに応えるかのように、左腕のコントローラーが輝きだし、出久と後ろのカップルを半球状の光が包み込む。
「なっ――」
「バリアの個性か!?」
「バリア、これなら……いまだ! HEROMAN-ATTACK!」
バリアにより炎を防ぎ、ヴィランが混乱したその一瞬の隙をついた。出久はすかさずコマンドを起動する。それに応じ、ヒーローマンがヴィランを殴り飛ばす。
「ぐほぉ!?」
建物の壁に激突し、ヴィランはそのまま地面に落下してぴくぴくと痙攣した。どうやら一撃でノックダウンしてしまったらしい。幸い息はあるようだが、このまま確保されることだろう。
「…………な、なんとかなった」
「…………」
「――ッ」
出久がほっと一息ついた瞬間だった。黒ずくめの男がマフラー――捕縛布と呼ばれる拘束用のサポートアイテム――を投げ伸ばしてきた。
反応速度も上がっているのと、それなりに距離があったのが幸いであった。再びバリアを展開し、出久はその捕縛布を弾き飛ばす。
「また抹消が効かなかった? 俺の不調か? あのヴィランの炎も消せなかった――だが、腕は動かなくなっていたようだしな……」
「抹消…………まさか」
出久の中でその単語に該当するヒーローが浮かび上がる。メディア露出を嫌い、あまり話題には出ない。数少ない情報でその個性は分かっている。相手を見ただけで個性を封じる個性。抹消という名のそれを持つのはただ一人。
「抹消ヒーロー、イレイザー・ヘッド!?」
「ほう、俺を知っているのか……なら話は早い、いろいろと話を聞かせてもらうぞ少年。まったく、オールマイトのパーカーを着たヴィジランテなんてアイツを思い出すが……」
どうするべきか、一瞬の逡巡。最初に動き出したのはヒーローマンであった。出久を抱え上げ、混乱する現場から去ろうとする。イレイザー・ヘッドもそれに合わせて捕縛布をヒーローマンに巻き付けるが、ヒーローマンはそれを力ずくで引きちぎった。
「なんてパワーだ……!? 炭素繊維に特殊合金を織り交ぜた捕縛武器だぞ……」
「あ、あのイレイザー・ヘッド! すみません! でも僕、無個性なので!」
「――――は?」
「そ、それでは!」
それだけ言い残し、出久とヒーローマンは現場を去った。
出久の言い出した一言があまりにもありえなくて、イレイザーは思わず放心してしまったが――ここ最近起こる事件が頭をよぎる。
「…………あの落雷が起こるようになってから、新しい個性に目覚めた、なんて噂が起きていたな……眉唾な話だと思って、聞き流していたが」
イレイザーの目線の先には、ヒーローマンにやられて気絶しているヴィランがいる。
そういえばこいつも、抹消をかけたときは二組目の腕は動かなくなっていたが、炎は出せていた。個性自体は封じていたが、炎は対象外のようであった。
「調べてみるべきか?」
ゴロゴロと、空が鳴る。いまだ、怪しげな雷は収まる気配がなかった。
原作キャラもちゃんと出せるときに出していきたい。