ぼっち、ナザリックに飛ばされる   作:NewSankin

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ぼっち、旅支度 1

「……新人の面倒を見た次は、階層守護者二人の引率か。業務の振れ幅がおかしいだろ……」

 

新人三人の救出劇、アインザックとのお説教タイム、そして夜明けまでの報告書作成を終え、ようやくナザリックへ帰還した俺は、自室のベッドに倒れ込もうとした瞬間に一般メイドから声をかけられた。

 

『アウラ様より、第六階層へ来るようにとのことでございます』

 

「俺の睡眠時間に、何か恨みでもあるのか……?」

 

俺は大きな欠伸を噛み殺しながら、重い足取りで第六階層の闘技場を目指した。

エルフ国への出発が近いため、同行する魔獣や装備の最終確認をしたいらしい。一人で潜入する暗殺任務ならどうとでもなるが、今回はアインズ様の大切な配下であるアウラとマーレが同行する。俺の準備不足で、この子供たち(レベル100の怪物だが)を危険に晒すわけにはいかない。

 

第六階層の仮設テントへ到着すると、アウラとマーレが大きな机を囲んでいた。

机の上には、エルフ国までの詳細な地形図、想定される複数の進路、野営候補地、魔獣の能力一覧、携行品の候補、緊急撤退経路、現地住民との接触時に使用する身分設定、法国軍と接触した場合の対応案などなど、膨大な資料が整然と整理されていた。

 

アウラは俺の姿を見るなり、得意げに笑った。

 

「遅いよ、お兄ちゃん」

 

「誰がお兄ちゃんだ。あと、これでも昨日から一睡もしてないんだぞ」

 

「妹と弟との旅行準備より、寝る方が大事なの?」

 

「大抵の妹より睡眠の方が大事に決まってるだろ」

 

軽口を叩きつつ、俺は机の上の資料へ目を通した。

内容はかなり精密だ。森の地形や野生動物の分布だけでなく、現地のエルフに不必要な警戒を与えない移動経路まで、しっかりと想定・計算されている。

 

「……思ってたより、随分まともだな」

 

俺が素直に感心すると、アウラは少しむくれた。

 

「何それ。私を何だと思ってたの?」

 

「魔獣に乗って森を走り回ってる元気な子供」

 

「その森と魔獣を完全に管理してるのが私なんだけど」

 

アウラは今回、俺に一から教わる立場ではない。第六階層守護者として必要な『戦闘・行軍』の準備は済ませたうえで、現地人との交渉や、隠密・情報戦に慣れた俺の視点を加えるために呼んだのだと説明してきた。

 

「私たちが強いのは分かってるからね。どうやって勝つかより、どうすれば相手を怖がらせずに近づけるかは、八幡の方が詳しいでしょ?」

 

「そこまで分かってるなら、話は早いな」

 

「でしょ? もっと褒めていいよ、お兄ちゃん」

 

「調子に乗るところだけは年相応だな」

 

その隣では、マーレが地図へ色分けした印を書き込みながら、俺たちの会話をポワポワと聞いている。

 

アウラが、遠征へ連れていく魔獣の候補を見せてきた。

巨大な魔獣を闇雲に並べるのではなく、すでに『移動用』『索敵用』『護衛・抑止用』と用途別に候補が絞り込まれていた。

 

「何も見せないのも危ないと思うんだよね。私たちを弱い旅人だと思ったら、向こうが余計なことをするかもしれないから」

 

俺も、その考えに同意した。

 

「友好と無防備は違うからな。手を出すのは割に合わない、くらいには思わせた方がいい」

 

アウラは大型魔獣の一体を指差した。

 

「この子は集落から離れた場所を移動させる。普段は出さないけど、呼べばすぐ来られるよ。それなら問題ないでしょ?」

 

「森を荒らさないならな」

 

「そこまで雑じゃないよ。私の子たちなんだから」

 

魔獣を単なる兵器ではなく、配下であり仲間として扱うアウラの一面が見える。

 

すると、マーレが遠慮がちに口を開いた。

 

「こ、この辺りは地盤が柔らかいみたいです。大きな魔獣を通すと、崩れてしまうかもしれません……えへへ、植物の生え方が少し違いましたから」

 

マーレの正確な指摘で、大型魔獣を通す経路を一部変更することになった。俺が「よく分かったな」と感心すると、マーレは柔らかな笑顔のまま続けた。

 

「でも、追手が来た時には使えると思います。この一帯を、追手もろとも地面ごと深く沈めれば、追いかけて来られませんから……」

 

俺の動きが止まる。

 

「確認するが、道だけを沈めるんだよな?」

 

「えっ?」

 

「えっ、じゃない」

 

マーレは本気で不思議そうに首を傾げた。

 

「追いかけてくる方も、一緒に沈めた方が安全ではないでしょうか……?」

 

「お前、見た目に反して時々発想がマジで怖いな」

 

「そ、そうでしょうか……?」

 

本人には残虐な意図は全くない。仲間の安全を守るうえで、敵の生死を考慮する必要性を微塵も感じていないだけだ。

 

アウラが苦笑しながらマーレを止める。

 

「マーレ。今回は友達を作りに行くんだから、国土を沈めるのは禁止ね」

 

「わ、分かりました……。必要になるまではやりません」

 

「必要になっても、一度相談しろ」

 

俺はすかさず条件を追加した。

挿絵のリクエストです。

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  • 八幡+シャルティア
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  • 八幡+アウラ
  • 八幡+マーレ
  • 八幡+アインズ様
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