「作戦自体は成功です。ただ……一つ問題があります」
拠点に戻った俺は、アインズ様に報告した。
「アウラ、完全に村の英雄扱いされてます。子供たちも遠巻きに尊敬してます」
「……それは、良いことでは?」アインズ様が首を傾げる。
「友達作りという意味では、微妙ですね。尊敬は距離を作りますから」
「しまったあああああ!」
心の中で鈴木悟が頭を抱えているのが分かった。
「まあ、何日か一緒に暮らせば普通の奴だって分かるでしょう……たぶん」
「たぶん?」
「俺に友達作りの専門知識を求めないでください」
俺はアインズ様の命を受け、三日間、一日一度だけ村の周辺を確認しに行った。
村へは入らず、遠くからアウラを見る。
一日目。アウラは狩人たちと森へ行き、意識して力を抑えつつも、現地のエルフたちから新世界の森の知識を素直に学んでいた。
二日目。子供に弓を教えようとして、風向きや湿度といった高度すぎる理屈を語り、ポカンとされていた。さらに追いかけっこで圧倒的な身体能力差を見せつけ、引かれていた。(自分の普通が相手の普通ではないと痛感したらしい)
三日目。アウラは競争ではなく、一緒に木の実を探したり、簡単な弓を作ったりといった『強さが関係ない遊び』に切り替えていた。一人の子供が、アウラに笑顔で果物を渡しているのが見えた。
俺は木の上で、少しだけ口角を上げた。
(……俺がいる必要ねぇじゃん。あれでいいんじゃねぇの)
三日後。
アインズ様はダークエルフの旅人『アイン・ベル・フィオール』に変装し、マーレと共に村へと向かった。
問題は俺だ。どう考えてもダークエルフには見えない。
「で、俺はどうするんです?」
「…………」
結局、法国と戦争中である人間(っぽい)俺は、不要な警戒を避けるため、村には正式に入らないことになった。
代わりに、俺は村の外周の護衛兼斥候となる。
「要するに警備員ですね」
「……すまんな」
「いえ。得意分野です」
アインズ様とマーレが、アウラに連れられて村の中へ入っていく。
俺は誰にも見えない木々の影から、《隠密化》で付いていく。
(叔父と弟が村で歓迎されて、俺だけ不審者みたいに外から監視。……いつもの俺じゃねぇか)
マーレは緊張してアウラの後ろに隠れていたが、アウラが「大丈夫だよ、マーレ」と手を引いてやった。
俺はその姿を見下ろす。数日前、ナザリックで旅行の準備をしていた二人が、今は本当に、自分たちと同じ種族の村へ入っていく。
(……まあ、行ってこい)
ふと、村の子供の一人がアウラへ声をかけた。
「アウラ! 後で昨日の続きやろうよ!」
「うん!」
アウラが満面の笑みで答える。
俺は木の上で小さく息を吐いた。
(友達作り、案外俺たちが心配する必要なかったんじゃねぇか)
だが。
その直後、《千里眼》の視界の遥か遠方。森の北側。
法国軍が切り拓いている進軍路が、数日前より確実にこちらへ伸びているのを、俺の目はハッキリと捉えていた。
俺の気怠げな表情が消え、冷たい暗殺者の目に戻る。
(……こっちが遊んでる間も、戦争は止まってくれないか)
穏やかな村の日常と、遠くから迫る圧倒的な戦争の足音。
エルフ国への『旅行』は、少しずつ、だが確実に、血の匂いのする作戦行動へと移行しようとしていた。
挿絵のリクエストです。
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おまかせ
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八幡+シャルティア
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八幡+アルベド
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八幡+デミウルゴス
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八幡+コキュートス
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八幡+アウラ
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八幡+マーレ
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八幡+アインズ様
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八幡+メイド達