ぼっち、ナザリックに飛ばされる   作:NewSankin

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ぼっち、双子を見つける3

森に、再び静寂が戻る。 奴隷商たちと、双子を買い取ろうとしていた男は、全員が死んでいるか意識を失い、地面に転がっていた。俺は、彼らの荷物を漁り、双子のものと思われる粗末な荷物と、奴隷商たちが持っていた僅かな金貨を回収する。そして、双子を拘束していた鎖を完全に解除した。

 

クーデリカとウレイリカは、震えながら俺を見上げ、そして互いにしがみつくように身を寄せ合っていた。 怯えと、混乱と、そして微かな希望。 そんな感情が入り混じった瞳で、フードを被った俺を見つめている。

 

「……とりあえず、お前たちは自由だ」

 

俺は、そう告げた。 だが、二人は、俺の言葉をすぐに理解できないようだった。

ただ、小さく「じ、自由……?」と呟くだけだ。

 

(……さて、これからどうする、俺)

 

俺の『実験』は、思わぬ形で、第一段階をクリアした。 力で介入し、理不尽な状況を強制的に変える。それが、俺の求める『強さ』の一端を示す行為だとしたら、悪くはない。 だが、本当の『仕事』は、これからだ。 彼女たちをどうするべきか。

 

ナザリックに連れて行くわけにはいかない。それは、アインズ様の『ご計画』を乱す行為であり、何より、彼女たちを無用な危険に晒すことになる。この世界で人間がナザリックに連れてこられ、どうなるか、俺は知っている。彼女たちを、俺の手で『絶望』へと突き落とすような真似はしたくない。

 

だが、このまま野に放つわけにもいかないだろう。 身寄りのない少女が二人。この世界で生きていくのは、あまりにも困難だ。再び奴隷商に捕まる可能性も高い。 そして、何より……。

 

(……アルシェの妹たちだ。俺は、姉を見殺しにした。その償い、というわけでもないが……)

 

俺は、懐から金貨を取り出した。 帝国で活動していた際、俺は、アインズ様から支給された活動資金とは別に、諜報活動や雑用を通して、それなりの金貨を稼いでいた。主に、情報収集の報酬や、裏社会での取引などで得た、いわゆる『裏金』だ。それは、ユグドラシル金貨ではなく、この世界で流通している金貨で、帝国で普通の人間が一生かかっても稼ぎきれないほどの額だった。

 

その中から、双子が当面生活していくのに困らないだけの金貨を、双子の目の前に置いた。

 

「これを持って、この森から離れろ。そして、二度とこんな場所に近づくな」

 

双子は、目の前の金貨の山を見て、呆然とした顔をしている。

 

「……行け。早く」

 

俺は、そう促した。 しかし、双子はその場から動かない。 むしろ、クーデリカが、おずおずと、しかし真っ直ぐな瞳で俺を見上げてきた。

 

「あ、あの……あなた様は、どなたなのですか? なぜ、私たちを……」

 

その問いに、俺は言葉を詰まらせた。 どなた、か。 俺は、ナザリックの忠実な下僕。アインズ様の支配を盤石にするための、一つの駒。 だが、同時に、至高の存在の創造主が生み出した妖怪であり、人間としての『比企谷八幡』でもある。 そして、今、目の前の少女たちを助けたのは……。

 

(……分からない。俺自身にも、もう、何が本心なのか、分からねえ)

 

だが、俺は、顔を隠したまま、静かに答えた。

 

「……ただの、通りすがりの、偽善者だ」

 

偽善。 それは、かつて俺が、自分を定義するために使った言葉だ。 『正義の味方』を気取りながら、結局は自分の都合の良いように行動する、そんな人間の汚さを表現する言葉。 だが、セバスとツアレの関係を見て、アルベドの言葉を聞いて、俺の『偽善』の定義は、揺らいでいる。

 

「……これから、どうするつもりだ? 行く当てもないのなら、どこか、安全な街まで送ってやる」

 

俺は、そう提案した。 このまま森に置き去りにすれば、再び危険な目に遭うのは目に見えている。 そして、それは、俺の『実験』の結末としては、あまりにも後味が悪すぎる。

 

クーデリカとウレイリカは、互いの顔を見合わせた。 そして、二人は、俺の提案に、小さく頷いた。 その瞳には、まだ不安の色は残っているが、それ以上に、絶望の中に差し込んだ、かすかな光への希望が見て取れた。

 

「……分かった」

 

俺は、小さく息を吐いた。

 

「俺は、お前たちを、ここから安全な場所まで連れて行く。だが、一つだけ約束しろ」

 

俺は、二人の瞳を真っ直ぐに見つめた。

 

「二度と、誰にも、このことを話すな。そして、俺たちのことは、忘れろ」

 

それは、彼女たちの身の安全のためであり、同時に、俺自身の正体と、ナザリックの秘密を守るためでもあった。 そして、この『実験』が、俺個人の、そして誰にも知られることのない、秘密の行動であるためでもあった。

 

双子は、俺の言葉に、小さく頷いた。 俺は、彼女たちの目の前で、意識を失っている奴隷商たちの金貨を全て回収すると、彼らが目覚めないうちに、森の奥へと移動させる。 そして、双子を連れて、この森を後にした。

 

森の中を歩きながら、俺は、脳裏に浮かぶ『疑問』を振り払おうとした。 本当に、守るべきものがあるから、強くなれるのか? 俺のこの行動は、結局、何に繋がるのか?

 

セバスの言葉が、再び俺の頭の中で反響する。

 

『守るべきものができたことで、私の忠誠心は、より強固なものとなりました』

 

俺の『実験』は、始まったばかりだ。 この先、この二人の少女の存在が、俺に何をもたらすのか。 そして、俺は、何を見つけることになるのか。 俺には、まだ、何も分からない。 ただ、この、捻じ曲がった『仕事』を、続けるしかない。

挿絵のリクエストです。

  • おまかせ
  • 八幡+シャルティア
  • 八幡+アルベド
  • 八幡+デミウルゴス
  • 八幡+コキュートス
  • 八幡+アウラ
  • 八幡+マーレ
  • 八幡+アインズ様
  • 八幡+メイド達
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