ぼっち、ナザリックに飛ばされる   作:NewSankin

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今回、試作的に挿絵を入れてみました。



ぼっち、お守りをする4

廃都『フェオ・ライゾ』の奥深く。 アウラの鋭い聴覚が捉えた音を頼りに、俺たちはさらに地下へと潜っていた。 カツーン、カツーン……という硬い音が、静寂な坑道に響いている。

 

「……規則的なリズムですね」

 

俺は小声で、隣を歩くシャルティアに耳打ちした。

 

「敵意のある音じゃありません。誰かが、一心不乱に作業をしている音だ」

 

角を曲がった先、開けた坑道に出た。 そこにいたのは、一人のドワーフだった。 煤けた服を着て、泥だらけになりながら、ツルハシで必死に壁を掘っている。その背中は小さく、とても戦士には見えない。

 

アインズ様が足を止め、俺たちに手で合図を送る。

 

『待て』。

 

シャルティアが、そのドワーフを見て、僅かに眉をひそめた。

 

「……むさ苦しい男でありんすね。あのような薄汚い者が、アインズ様の求めている交渉相手になり得るのかしら」

 

俺は、すかさずシャルティアの背後に寄り添い、彼女にだけ聞こえる最低限の声量で囁いた。

 

「シャルティア様、あいつが掘り出している鉱石を見てください。あれは『白鉄鋼(ホワイトアイアン)』……貴重な金属です。そして、腰の道具。あれは戦闘用ではなく、彫金用の道具です」

 

俺は言葉を継ぐ。

 

「ただの鉱夫にしては道具が良すぎる。彼は、何かを作るために自ら素材を集めている『技術者』の可能性が高い。アインズ様が探しておられる『ルーン』に関わる者かもしれません」

 

シャルティアの紅い瞳が、ハッと見開かれた。

 

「……なるほど。そういうことでありんすか」

 

シャルティアは表情を引き締めると、スッとアインズ様の前に進み出た。

 

「アインズ様。具申いたします。あの者、ただの鉱夫に見えますが、その実は職人の類のようであります。貴重な『白鉄鋼』を自ら採掘している点から見て、アインズ様が求められている『ルーン技術』に関わりを持つ者かと」

 

アインズ様は、シャルティアの言葉に驚いたように、眼窩の奥の光を明滅させた。

 

「……ほう! よく気づいたな、シャルティア! 私もそう考えていたところだ。まさか、お前がそこまで観察眼を働かせるとは……見事だぞ」

 

「あ……ありがたき幸せにございます!」

 

アインズ様に真正面から褒められ、シャルティアの顔が輝く。

 

「では、シャルティア、八幡。まずは二人で接触し、彼の素性を確かめよ。私が突然出て行っては、驚かせてしまうかもしれんからな」

 

「はっ! お任せください!」

 

アインズ様の許可を得て、俺たちはドワーフの背後へと忍び寄った。 俺はシャルティアに目配せをする。

 

「いきなり威圧しないでくださいよ」

 

という合図だ。シャルティアは軽く頷き返した。

 

「――精が出るでありんすね」

 

シャルティアが、努めて優雅な声で話しかけた。

 

「うおおおおっ!?」

 

ドワーフ――ゴンド・ファイアビアドは、背後からの声に驚き、ツルハシを取り落として飛び上がった。

 

「だ、誰だ!? どっから入ってた!」

 

ゴンドは尻餅をつきながら、警戒心露わに俺たちを睨みつけた。

 

「落ち着いてください」

 

俺は、両手を上げて敵意がないことを示しながら、一歩前に出た。

 

「俺たちは怪しい者じゃありません。……いや、この格好じゃ説得力がないかもしれませんが、あなたに危害を加えるつもりはないんです」

 

「危害を加えない……だと? こんな廃墟に、人間と……その嬢ちゃんはなんだ、貴族か何かか?」

 

ゴンドは、シャルティアの豪奢なドレスを見て、少しだけ警戒を緩めたようだ。

 

「俺たちは、ある『お方』の供をしてここに来たんです」

 

俺は、ゴンドの視線を誘導するように言った。

 

「俺たちの主は、ルーンの技術に深い関心を持っておられる。あなたがここで白鉄鋼を掘っているのを見て、もしかしたらルーンに関わる職人の方ではないかと、お声をかけさせていただきました」

 

「……ルーン、だと?」

 

その単語が出た瞬間、ゴンドの目の色が変わった。

 

「あんたら、ルーンを知ってるのか? 今の時代、あんな古臭い技術に興味を持つ変わり者がいるってのか?」

 

「ええ。我が主は、失われゆく技術や、古き良き伝統を何より尊ぶお方です」

 

俺は、シャルティアに目配せをした。今だ、という合図だ。

 

シャルティアは、扇子を閉じて背筋を伸ばした。

 

「そう。わらわの主は、貴様のような熱意ある職人を探しておられたのよ。……アインズ様、どうぞこちらへ」

 

俺たちの背後から、アインズ様が静かに姿を現した。 漆黒のローブ、威厳ある骸骨の容貌。その圧倒的な存在感に、ゴンドは再び息を呑んだ。

 

「ヒッ……ア、アンデッド!?」

 

「待ってください、落ち着いてください」

 

俺は、ゴンドとアインズ様の間に割って入るような位置に立ち、早口で、しかし穏やかに言った。

 

「このお方こそ、アインズ・ウール・ゴウン様。偉大なる魔法詠唱者(マジック・キャスター)であり、同時に、あなたのような技術者を保護したいと考えておられる、慈悲深いお方です」

 

「……技術者を、保護?」

 

ゴンドは、恐怖よりも好奇心と困惑が勝ったようだった。

 

アインズ様は、俺の紹介に合わせ、ゆっくりと頷いた。

 

「そうだ。私はルーン技術に興味があってここへ来た。お前は、ここで何をしている?」

 

ゴンドは、アインズ様の姿に怯えつつも、その言葉に嘘がないことを感じ取ったのか、ポツリポツリと語り始めた。

 

「……儂は、ゴンド・ファイアビアド。ルーン技術開発家だ」

「ルーン技術開発家、か」

「ああ。今の時代、ルーンなんて古臭い技術だと言って、誰も見向きもしねえ……。だが、儂は諦めきれねえんだ」

 

ゴンドは、アインズ様を見上げ、堰を切ったように語り始めた。

 

「祖父や父、そして祖先たちが守り続けてきたルーン技術が、歴史の闇に消えちまうのが我慢ならねえ。だから儂は、ルーンに新たな付加価値をつけようと研究してるんだ。……金もねえから、こうして自分で掘るしかねえんだよ」

 

その言葉を聞いたアインズ様は、深く沈黙し、そして静かに言った。

 

「……そうか。お前のその想い……痛いほどよく分かるぞ」

 

アインズ様の声には、演技ではない、本心からの共感が滲んでいた。

 

「ゴンドよ。我が国に来い。私がスポンサーになろう。資金も、資材も、必要なだけ用意する。お前だけでなく、この国の全てのルーン工匠を我が国に迎え入れ、その技術を不滅のものとして保護しよう」

 

「……あんた、本気か? その代償はなんだ?」

「お前の全てだ。私にその身を預けよ」

「……っ!もし本当に、親父や爺さんたちの技術が残せるんなら……この魂を売り渡すくらい、安いもんだぜ」

 

ゴンドは、迷うことなくアインズ様の手を取った。 契約は成立した。

 

その様子を見守りながら、シャルティアがボソリと呟いた。

 

「……八幡。上手く繋いだわね」

「貴女の最初の声かけが、貴族然としていて良かったからですよ。彼も、ただの盗賊じゃないと判断してくれた」

 

俺が言うと、シャルティアは少し照れくさそうに笑った。

 

(……ふぅ。なんとか、第一関門突破か)

 

だが、その安堵も束の間だった。

 

「――アインズ様! 周囲に多数の反応あり!」

 

アウラの警告が響く。

 

「囲まれたよ! 数は……五十、いやもっと!」

 

その言葉と同時に、坑道の奥から、無数の影が現れた。 二足歩行の獣のような姿。クアゴアだ。

 

「チッ、嗅ぎつけられたか……!」

 

ゴンドが顔を青くする。

 

アインズ様は動じることなく、スッと手を挙げた。

 

「シャルティア、八幡」

「はっ!」

 

「我々の『力』を見せる時が来たようだ。……何をすれば良いかわかるな?」

 

「承知いたしましたわ、アインズ様」

 

シャルティアが、真紅のドレスを翻し、一歩前へ出る。 その手には、神器級アイテム『スポイトランス』が召喚されている。 彼女は、俺を振り返り、ニヤリと笑った。

 

「さあ、八幡。今度は貴様の仕事でありんす。わらわが暴れすぎないよう、しっかりと『手綱』を握りなさい。……遅れたら、置いていくわよ?」

 

「……了解。精一杯、しがみつかせてもらいますよ」

 

俺は、短剣を抜き放ち、シャルティアの背後へと疾走した。 最強の矛と、それを支える影。 奇妙なコンビの、初陣が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 




こういう挿絵ってもっと入れたほうが良いんかな?

挿絵のリクエストです。

  • おまかせ
  • 八幡+シャルティア
  • 八幡+アルベド
  • 八幡+デミウルゴス
  • 八幡+コキュートス
  • 八幡+アウラ
  • 八幡+マーレ
  • 八幡+アインズ様
  • 八幡+メイド達
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