ぼっち、ナザリックに飛ばされる   作:NewSankin

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待たせて、すいません。

今度アンケート機能でも使って挿絵のリクエストでも募ろうと思います。


土掘獣人の王、世界を知る

クアゴアの全八氏族を束ねる英雄、統合氏族王ペ・リユロは、もたらされた敗戦の報告に、鋭い爪を玉座に食い込ませていた。

 

「……ドワーフの都市『フェオ・ジュラ』への侵攻が、阻まれただと?」

 

部下の報告によれば、突如として現れた二体の『漆黒のゴーレム』が、精鋭部隊を一方的に蹂躙したという。 クアゴアの強靭な肉体も、金属をも砕く牙も通じない、圧倒的な怪物。 それが、ドワーフたちの新たな戦力だというのか。

 

「なるほど・・・」

 

リユロは即座に思考を切り替えた。 あのゴーレムがドワーフの使役するものならば、次は間違いなく、この本拠地へと攻め込んでくるだろう。 対抗策が必要だ。自分たちの力だけでは被害が大きすぎる。

 

「……『竜』を使うぞ」

 

リユロは立ち上がると、大量の黄金と宝石を用意させ、この山脈の頂点に君臨するフロスト・ドラゴンの王、オラサーダルク・ヘイリライルの元へと向かった。

 

王宮のさらに上層、氷の玉座。 そこに、巨大な白き竜、オラサーダルクが傲慢に寝そべっていた。

 

「……ほう? 手土産を持ってくるとは、感心な心がけだ」

 

オラサーダルクは、リユロが差し出した財宝の山を見て、卑しいほどに目を輝かせた。

 

「はっ。偉大なる竜王陛下に、折り入ってお願いがございます」

 

リユロは恭しく頭を垂れた。

 

「ドワーフどもが、妙なゴーレムを使役し、我らに反旗を翻しました。つきましては、陛下の圧倒的なお力をお借りしたく……」

 

「フン、たかがドワーフと人形風情に後れを取るとは、情けない奴らよ」

 

オラサーダルクは鼻を鳴らしたが、視線は財宝に釘付けだ。

 

「良かろう。この素晴らしい貢物に免じて、我が息吹で塵に変えてくれるわ」

 

「ははっ! 感謝いたします!」

 

リユロは平伏しながら、内心で冷酷に計算していた。

 

(……強欲なトカゲめ。せいぜいドワーフどもと殺し合い、消耗するがいい。最後に笑うのは我々だ)

 

本拠地に戻ったリユロは、直ちに全氏族に通達を出した。

 

「竜とドワーフの戦いに巻き込まれぬよう、一族全員、この大広場へ集結せよ! 荷物も、子供も、全てだ!」

 

これで万全だ。 竜王が出張れば、あのゴーレムもただでは済まない。 そう確信していたリユロの元に、想定外の報告が飛び込んできたのは、その直後だった。

 

「ほ、報告! 得体の知れない連中が、こちらへ向かってきています!」

「あぁ? ドワーフの追撃か?」

「いえ……骸骨の魔法使い、ドワーフではない子供、派手なドレスの女、死んだ目をしたドワーフではない男、そしてドワーフ……という奇妙な組み合わせで……」

 

部下の斥候は、信じられないものを見たように声を震わせた。

 

「それに……あ、あの引きこもりの太っちょ竜、ヘジンマール様が、彼らに降伏し、あろうことか道案内をしているのを目撃しました!」

 

「なんだと……!?」

 

リユロの背筋に冷たいものが走った。 あのプライドの高いドラゴン族が、降伏だと? 骸骨の魔法使い……それが、あのゴーレムの主なのか? もしや、オラサーダルク王はどうなった?

 

リユロが事態を把握しようと思考を巡らせていた、その時だった。 突如として、空間が歪んだような感覚に襲われた。

 

「し、氏族王! 変です! 出口が……出口が見当たりません!」

「なんだと!?」

「ど、どうやっても外に出られないのです! 景色が歪んで……まるで、異界に閉じ込められたかのように!」

 

巨大な地下空洞が、外界から隔絶された。 これは魔法か? それとも幻術か?(※ワールドアイテム『山河社稷図』の効果) 集結していた6万のクアゴアたちが、逃げ場を失い、恐怖にざわめき始める。

 

「静まれぇい!!」

 

リユロが王としての咆哮を上げ、動揺を抑え込んだ。 何が起きているか分からないが、敵が仕掛けてきたことだけは確かだ。

 

すると、天井なき空から、三つの影が舞い降りてきた。 音もなく、重力など存在しないかのように、彼らはリユロの目の前に着地した。

 

一人は、斥候の報告にあったドワーフではない子供(アウラ)。 一人は、全身黒尽くめの軽装鎧を纏った、死んだ魚のような目をしたドワーフではない男(八幡)。 そして中央に立つのは、禍々しくも美しい、装飾が施された赤を基調とする鎧を纏ったドワーフではない女(シャルティア)。

 

報告にあった骸骨(アインズ)とドワーフ(ゴンド)の姿はない。

 

リユロは、本能的な警鐘を鳴らす心臓を抑え、一族を代表して前に進み出た。

 

「……きさ…あなた方はいった?」

 

真紅のドレスの少女――シャルティア・ブラッドフォールンが、冷ややかに告げた。

 

「我らは、偉大なる王に命じられ、貴様らを支配しに来んした者よ」

 

支配。 その傲慢な言葉に、リユロは眉をひそめた。

 

「支配……? あと、お二人いたような気がしますが?どちらに?」

 

リユロの問いに、シャルティアはつまらなそうに鼻を鳴らした。

 

「貴方には関係ありんせん。……ここでの問いは一つだけ」

 

彼女の紅い瞳が、リユロを射抜く。

 

「許される言葉は、我らが支配下に入るか、入りんせんか。そのどちらかでありんす」

 

周囲の空気が凍りついた。 隣に立つ男(八幡)は、無言で周囲を警戒しているが、その立ち姿には一切の隙がない。 子供(アウラ)は、クアゴアの大軍を見ても、まるで虫を見るような目でこちらの様子を伺っている。

 

リユロは、必死に言葉を探した。 相手の実力は底が知れない。だが、こちらには数がある。

 

「……私の配下は6万もいる。氏族の誇りもある。その者たちが、何も知らずに、どこの馬の骨とも知れぬあなた方の支配を受け入れるのは、非常に困難だと……理解してもらえるかな?」

 

数の暴力。そして統治の難しさ。それを盾に、時間を稼ぐか、条件を引き出すつもりだった。

 

シャルティアは、「そうでありんすか……」と短く呟いた。 そして、隣の人間の男と視線を交わし、ため息交じりに言った。

 

「ならば、仕方ありんせんね」

 

彼女は、まるで今日の夕食の献立を決めるような軽さで、とんでもないことを口にした。

 

「支配下に入りんせんのであるならば、数を減らし、強制的に頭を垂れさせろと、命ぜられているでありんす」

 

「……なっ!?待ってくれ!」

 

シャルティアは、指を四本立てた。

 

「雄4000、雌4000、そして子供2000。……合計1万になるよう、今ここで殺し合いなんし」

 

リユロは、言葉を失った。 6万の民を、1万にしろと言うのか。 5万の同胞を、自分たちの手で殺せと? 選別しろと言うのか。誰が生き残り、誰が死ぬかを。

 

「正気……か?」

 

「あら、とても合理的だと思わない? 優秀な個体だけが生き残れば、貴様らの種としての質も上がるでありんしょう?」

 

平和的な解決は不可能。 リユロは悟った。こいつらは、交渉に来たのではない。 災害だ。意思を持った、理不尽な災害そのものだ。リユロは仲間の元へと戻った。

 

ならば、王として選ぶ道は一つ。 座して死を待つか、同胞を殺すか。否! 戦って、その喉笛を食いちぎるのみ!

 

「……ウオオオオオオォォ!!!」

 

リユロは、全身の筋肉を膨張させ、種族王としてのスキルを発動させた。

 

「ウォォォォォォッ!! 者共ォ!! かかれェェッ!! あいつらは敵だ!! 我らを根絶やしにしに来た悪魔だ!! 殺せ!! 食い殺せェェェッ!!」

 

王の咆哮(ウォー・クライ)が、恐慌状態だった6万のクアゴアたちに火をつけた。 恐怖が殺意に変わり、怒号となって爆発する。

 

「殺せェェェ!!」

「我らが王のために!!」

 

雪崩のように押し寄せるクアゴアの大軍。 その光景を前に、シャルティアはため息を吐いた。

 

「……交渉決裂でありんすね。アインズ様の温情を無にするとは、愚かなこと」

 

隣に立つ八幡が、短剣を抜きながら呟くのが聞こえた。

 

「……やっぱり、こうなりますよね。まあ、減らせと言われた以上、仕事はしますけど」

 

「行くわよ、八幡。……間引きの時間でありんす」

 

クアゴアの歴史上、最も絶望的な殺戮劇が、今まさに幕を開けようとしていた。

 

 

【挿絵表示】

 

挿絵のリクエストです。

  • おまかせ
  • 八幡+シャルティア
  • 八幡+アルベド
  • 八幡+デミウルゴス
  • 八幡+コキュートス
  • 八幡+アウラ
  • 八幡+マーレ
  • 八幡+アインズ様
  • 八幡+メイド達
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