ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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イントロ

 ︎︎暗い体育館。ざわざわと騒がしい。俺たちを観るためにこんだけ集まってくれるとは。前列では押し合いすら発生してる。いいねぇ、この前のめり感。

 ︎︎スポットライトは想像してたより眩しいし熱い。普段なら嫌いな感覚だが、ギターを持てばこれもテンションを上げさせる。

 

 ︎︎衆目の熱気かライトの熱気か知らんけど、俺たちに当てられる熱量に背を向ける。

 

「円陣組むぞー」

 

 ︎︎拳を円陣の中心に出し、メンバー一人一人と目を合わせる。

 

「こいつら俺らの為にここまで来たんだぜ?たかだか高校生の素人コピーバンドに。期待に応えにゃ解散もんだ、気合い入れてこう」

 

 ︎︎揃いも揃ってニヤけてやがる。はっ、こんな程度じゃプレッシャーにもならんってか。

 

 ︎︎───そんじゃあ一丁

 

「ぶちかますぞ!」

『っしゃあ!!』

 

 ︎︎さぁ気合いは充分。あとはオーディエンスに俺らを見せつけるだけ。

 ︎︎各自持ち場について、楽器を構える。

 

 ︎︎マイクをつかんで、息を一回だけ吸う。

 

「どうも——Cigarette Ashです! よろしくお願いしまーす!」

 

 ︎︎言い切ると同時にメンバーが楽器を掻き鳴らす。

 ︎︎一気に歓声が上がる。空気が軽くなる。

 

 ︎︎───そんな空気を引き締めるようにブレイク。

 ︎︎一気に空気がヒリつく。

 

 ︎︎合図は出さない。そんなことしなくても、こいつらは合わせる。

 

『拝啓、いつかの君へ

そんなに愛想笑いが

巧くなってどうするんだい

忘れた訳じゃないだろ

いつまでそこで寝てんだよ』

 

 ︎︎全員が歌い出しと同時に奏でる。

 ︎︎最初の一秒で、客席をこちらの世界に引っ張る。

 ︎︎大瀬良がタッピングで彩る。瀬奈がベースで土台をまっすぐ固める。東がキーボードで世界を広げる。仙洞のハイハットを合図に、もう一丁ブレイク。

 

『あんたの正義はいったいなんだ』

 

 ︎︎体育館が一気に沸く。

 ︎︎普段イキり散らしてるチンピラも、小度胸で大人しいガリ勉も、キャーキャーうるさい女共も、果てには怒ってばっかの生徒指導も。

 ︎︎全員まとめて、今だけは俺たちに魅せられる。

 

 ︎︎モッシュもサークルもダイブも無い、大人しいライブだけど───

 

「全力でノっかってこいやぁああああ!!」

 

 ︎︎俺らがぶちアゲる。だからお前らもアゲていけ。

 ︎︎体育館を揺らす歓声。でもまだ足りない。ここが第一歩だ。

 

『──────・・・・・・・・』

 ︎︎——歌は走り続ける。照明が輝く。観衆の手が上がる。

 ︎︎その渦のまま、景色が白く飛ぶ。

 

 ︎︎4ヶ月前。 旧校舎、旧軽音部室。窓は全開。埃が光って踊る。

 ︎︎ここから始まる。




拝啓、いつかの君へ/感覚ピエロ


処女作かつ自己満だけど許して
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