ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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太鼓の達人

 ︎︎俺、瀬奈VS東、宮田で対決したけど普通にボロ負け、良い勝負にすらならんかったわ。難易度は全員鬼だったが、俺と瀬奈が一桁ミスくらい。それに対して東はフルコンボ、宮田は全良とかいう惨い結果になった。東はともかく、お前はなんなんだよ宮田。普段飄々としてる奴が実は凄い実力者でした的な少年漫画にありガチなムーブしやがって。

 

「宮田、軽音部こいよ」

「そうだよ宮田先輩!ドラムやってよ!」

「いやぁ嬉しいねぇ、そんなに評価してくれるとは」

「宮田くんは生徒会で忙しいだろうし、厳しいだろ」

「え〜なんで?実は実力者ムーブしてるんだからマルチタスクも完璧だよ!」

「宮田が入ってくれれば音源から脱却できるのにな」

「ま、東くんの言った通りでね、こう見えて結構忙しいの僕。ごめんなぁ」

 

 ︎︎残念だがしゃーないか。コイツは自分でもできるけど外から眺めていたい人間だろう。にしても9月に文化祭があることを考えるとそろそろメンバーを揃えたいんだよなぁ。今が5月の下旬、残り4か月を切っている。

 

「さて、じゃあプリクラ撮ってこっから出るか。宮田が奢ってくれるようだし」

「おー、忘れてた!プリ撮るんじゃん!早く行こう!」

「…本当に大丈夫か?宮田くん」

「ん?問題ないよ。可愛い後輩たちの頼みだからね」

「俺も半分出すよ」

 

 ︎︎と、入口の近くにあるプリクラに向かうと、うちの高校の制服を着た、体格がゴツいツーブロの奴とすれ違った。すれ違いざまにこちらにペコリと会釈してった。

 

「お、仙洞くんじゃん」

「知り合いか?」

「彼は仙洞晃也(せんどうこうや)くん、俺たちと同じ2年だが、俺は話したことがないな」

「有名なの?」

「2年の中じゃ有名な方だね、東くんと仙洞くんの二人で優男コンビとか言われてるし」

「東はなんとなく分かるが、あいつが優男?あのイカつさで?」

 

 ︎︎ハンマー投げとか砲丸投げとかしてそうな体格じゃねぇか。ムカつく奴を片っ端から締め上げてそうですけど?

 

「あと、仙洞くんは基本的に『うむ』くらいしか話さないね。よくて『うーむ』とかぐらいかな」

「それ会話成立するの?」

「YesかNoは答えられるから特に不便はないらしい」

「見た目と相まって心優しき怪物みたいだね!」

「『オデ、オマエ、タスケル』とかいいそうだな」

「目につくもの全てに噛み付くの止めなよ…一緒にいる俺の心労が半端ないから」

 

 ︎︎つねに反射で発言してるからな。止めようと思って止まるものではない。

 

「あと彼には『太鼓の達人』って二つ名があるよ」

「ゲームで?それともリアルに?」

「さぁ?僕も聞いたことあるだけだし、詳しいことは知らないよ」

「…ここですれ違ったってことは少なくともゲームでは太鼓の達人ではあるんだろうな」

「見てく?」

「見てくか」

 

 ︎︎備え付けのバチをへし折りそうな奴の太鼓の達人と言われる所以を見てみたい。先程まで俺たちがやってた筐体まで行くと、丁度仙洞が曲を決めるとこだった。マイバチを使用しているが、仙洞の腕と見比べると細すぎて心もとねぇ。

 ︎︎そんな仙洞が最初に選んだ曲は『疾風怒濤(裏)』。承認欲求のために知名度の高い『幽玄ノ乱』とか『ダンガンノーツ』とか選ばないあたりガチっぽい。あんまり界隈は詳しくないけども。24分や32分を問題なく通過し、30連打以上の16分も難なく突破。リズム感がキモすぎる。そんでよく腕が持つな。100%俺らが手を出せん譜面だわ。普通に全良してた。

 ︎︎次に選んだ曲は『Xa(裏)』。これまた全体的に16分が多い譜面であるがそんなの知るかとばかりにミスしない。ゴーゴータイム中の8分と16分の混ざったところや16分のラッシュも表情一つ変えやしない。全良した。

 ︎︎最後に選んだ曲は『第六天魔王(裏)』。クソ早い譜面に、12分や16分の連打、後半のクソキモ密度などを、時にロール処理するなどして捌いている。

 

『ドンダフルコンボ!!』

 

 ︎︎1582コンボ。きっしょ、なんで全良なんだよ。そこら中から拍手があがる。てか3曲全部全良とか体力もそうだが、集中力が半端じゃない。俺ら以外にもギャラリーがいる中でようできるわ。東と正反対だな。『太鼓の達人』は本物だったてわけか。

 

「スゴいね!僕たちより遥かに上手い!」

「僕も初めて見たけど、まさかここまでとはねぇ」

「俺は周りに見られながら結果を残せる方に目がいくな」

「いやほんとにすげぇな…」

 

 ︎︎うん、決めた。アイツを誘おう。

 

「拓斗、いつもの凶悪スマイル出てるよ?」

「いいもん見たからな、そしてアイツに決めた」

「お、最後の一人が決まったかい?」

「ああ、今日は大人しく帰るわ」

 

 ︎︎そうして俺たちはその場で解散した。いやぁ、どうやって仙洞を誘うかな。また明日の朝に作戦会議するか。

 

「あ!プリ撮るの忘れた!」

 

 ︎︎いまさらぁ〜(にっこり)。




鳴海
バンドの最後のピースを見つけてニッコリ。
『太鼓の達人』のバケモンぶりに驚愕。

早川
プリクラを撮れなくてしょんぼり。
鳴海の様子から仙洞が仲間入りすることを察した。


仙洞の注目を浴びても動じない在り方に尊敬した。
自分と仙洞で優男コンビと言われていることに違和感を持つ。

仙洞
うむ。

宮田
仙洞の噂を確かめようと思ったら想像以上の怪物で驚いた。
そんな仙洞が鳴海たちと組むことでどうなるか楽しみにしている。


難産すぎた
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