ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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うむ/うーむ

「それではこれより、仙洞晃也スカウト対談を行います」

「いえーい!」

「うむ」

「本日司会を務めますは、生徒会副会長の加瀬です。よろしくお願いします」

 

 ︎︎ということで始まりました。文字通り仙洞をバンドにスカウトする為の対談ってだけだ。場所は軽音部室、軽音部側から俺と瀬奈、仙洞側は仙洞ただ一人が対面している。大瀬良、東は傍聴席で見学、加瀬はたまたま廊下歩いてたときに捕まえた。

 

「ていうかなんで私が巻き込まれるのよ」

「こういう場の仕切りってポニテ眼鏡がやってそうだろ?」

「普段、会長や宮田先輩をお世話してる加瀬先輩なら上手くできるよね!」

「偏見が過ぎるでしょ…しかも東くんと大瀬良くんは何もしてないし」

「大瀬良は話し合いに向かんし、東は無難過ぎて面白くなさそう」

「俺は会話は成立するけど」

「無難で悪かったな」

 

 ︎︎大瀬良の言う通り、今回は対談としているが、果たして仙洞と会話が成立する気がしない。バンドに誘う以前に意思疎通が出来んきゃおしまいだ。

 

「はぁ、いいわよ。やってやろうじゃない」

「順応がかなり早いね」

「慣れてんだろ」

「そこ、黙りなさい。それではまず、軽音部から仙洞くんをバンドに誘った理由から聞かせてください」

「太鼓の達人のプレイング見てタイミングゲーや目押ししないでリズム感で叩けてると確信したから。こいつはドラムやらせても上手くなるなって思った」

「暴走列車、男の娘、クール系バカ、真面目眼鏡に寡黙巨漢の仙洞先輩を加えてもキャラがそれぞれ立つしね!」

「俺はバカじゃない」

「早川くん、君のイメージ冷たくない?」

「と、いうことですが仙洞くんはこれに対して何かありますか?」

「うーむ」

 

 ︎︎仙洞は腕を組んだまま唸った。その「うーむ」は何も言うことがないってことか?それとも俺らの発言に何らかの否定があるってことか?くそ、マジでわからん。

 

「…あーとりあえずはないってことでよろしいですかね?」

「うむ」

「加瀬が2分の1当てたぞ」

「さすが生徒会のママだね」

「私そんな呼ばれ方してたの!?…コホン、それでは続きまして軽音部から仙洞くんに何か質問があればどうぞ」

 

 ︎︎YESかNOで答えられる質問せにゃならんのか。

 

「はい!仙洞先輩はなんでそんなに太鼓の達人が上手なんですか?」

「おい馬鹿、なんで複雑な回答が必要な質問にした」

「うーむ」

「ほらこうなるからわからんだろ」

「なるほど!人生で初めてプレイしたゲームが太鼓の〇人だったんだね!」

「うむ」

「は?」

 

 ︎︎おい待て、瀬奈お前なんで会話通じてんだよ。そんな読心スキルあったんかお前。

 

「早川さん、あなた仙洞くんの言ってること分かるの?」

「んーん、勘!」

「たまたまかよ!」

「鳴海くんに隠れてるけど早川くんも中々適当だよね」

「クラスNo.3の問題児の座は伊達じゃない」

「えへへ、それほどでも」

「褒められてないわよ早川さん」

 

 ︎︎少し期待しちまったじゃねぇか。ドヤってる瀬奈も可愛いから許すがな!

 

「じゃあ次の質問だ。ドラム経験はあるか?」

「うむ」

「はい、じゃあ入部決定!今日からよろしく!」

「待て鳴海!全く対談じゃない!」

「そうよ鳴海くん。まだドラムの経験があったことが分かっただけよ」

「うーむ」

「まぁそれもそうか。じゃ次、バンドを組んで活動する気あるか?これは俺らとでも俺ら以外とでもいい」

「うーむ」

「なるほど、音楽は好きか?」

「うむ!」

「かつてないほど強い「うむ」だったよ!」

「それより鳴海が相手に合わせてる方が驚いた」

「気持ちは分かるが鳴海くんに失礼だぞ大瀬良くん」

 

 ︎︎お前も失礼だぞ東。それにしも仙洞は、音楽は好きだしドラム経験もあるがバンドは組みたくない、というよりバンドを組むべきか悩んでるってとこか。

 

「じゃあ次は僕から!なんでバンド組みたくないの?コミュニケーションが上手く取れないから?」

「この子しれっと毒吐くわね」

「うむ」

「普通に返答してるし」

「加瀬先輩がいいツッコミしてくれるから楽だわ今日」

「寝ていい?」

「そこぉっ!張り倒すわよ!」

「「もうやられてます…」」

 

 ︎︎大瀬良と東はバカだなぁ。ガヤはハッキリ聞こえんようにやれよ。それにしても仙洞は想像通りの考えだな。障害か性格か、コミュニケーションが上手くいかないことが不安だからバンドは組みたくないと。バカが。

 

「仙洞、俺から最後の質問だ」

「うむ」

「お前、ライブとかセッションとかしてみたいとは思うのか?コミュ力やら会話などを抜きにしてだ」

「……うむ」

「そうか。なら俺らとやろう。俺らと最高のライブをぶちかまそうぜ」

「そうだよ!音楽には歌詞以外言葉はいらないよ!」

「……うーむ」

「コミュニケーションとかは一切考慮するな。俺らを見ててわかるだろ?言葉は通じても会話が出来ない奴が揃ってんだ」

「うむ」

「迷いのない即答ね」

「そこに俺を入れないでほしい」

「そこうるさい、今俺の名言パートだ。というわけで仙洞、俺らと来い」

「……」

 

 ︎︎これでも拒否するなら諦めるわ。宮田でも誘う。さぁ、仙洞の回答は

 

「はい、では軽音部からの質問は以上の様ですので、続きまして仙洞くんから質問どうぞ」

「空気ぶっ壊すなや、今どう考えても仙洞からのアンサー待ちだったろうが」

「堅物だね!融通聞かないタイプだね!」

「婚期逃しそう」

「うーんさすがに俺も同感だけど言い過ぎ。加瀬先輩キレそうだよ」

 

 ︎︎て感じで加瀬に雰囲気壊されてわちゃわちゃし始めたが、気づいたら仙洞の視線が俺を突き刺す。そして俺に向けて指をさす。はっ、「お前とならやれるか」ってか。なめんなや。

 

「最高にアツい高校生活にしてやるよ」

「うむ!」

 

 ︎︎そうして俺と仙洞は握手をした。これで仙洞が軽音部に入ったから、ついに本格的なバンド活動が開始できる。こっから9月の文化祭に向けて色んなことをしなきゃいけない。あぁ、楽しみだ。

 

「よろしくね!仙洞先輩!」

「これで音源に頼らなくてよくなる」

「2年仲間としてよろしく頼むよ」

「うむ!」

 

「あれ、これ私、邪魔かしら?」

 

 ︎︎なんだまだいたのか加瀬。もうとっくにキレ散らかして帰ったかと思ったわ。というやり取りをしていると、大瀬良が

 

「話してコミュニケーション取るのが難しいなら筆談なりメッセージなりで会話すれば良かったのでは?今更だけど」

 

 ︎︎遅せぇよ!そんで仙洞も「その方法があったか」みたいな顔で驚いていた。いやお前は知っとけよ。




鳴海
仙洞よりよっぽど会話にならない奴らが周りにいるから大した問題を感じていない。
ラストの大瀬良の発言は目から鱗だった。

早川
新しい仲間が加わって嬉しくなってる。
仙洞の言葉の翻訳を本気でしようと思ってる。

大瀬良
バンドが5人揃い本格的な始動にワクワクしてる。
加瀬のことは全く思い出せなかった。


仙洞と話し合うからと部室に呼ばれたから行ったら何故か加瀬までいて驚いた。

仙洞
ドラムてして軽音部に入部した。
鳴海の言葉に説得力があり過ぎてコミュニケーションの不安などが吹っ飛んだ。
人生で一度も筆談が思い浮かばなかった。

加瀬
無理やり鳴海たちに連れて来られた上に後輩たちに喧嘩売られても職務を放棄せずにやり遂げた。
部室から出ていくタイミングを逃した。


やっと5人揃った。
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