ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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解散?

 唐突だが、皆はどんなジャンルの曲が好きだろうか。ちなみに俺は分からない。

 バンドやってるからロックが好きだろ、と言う奴はいるだろうが、ロックの中にも様々なジャンルがあるし、メジャーのバンドでも曲によってジャンルが全く違うなんてことはザラにある。

 

 俺がよく聞くアーティストとしては有名どころだとELLEGARDENやTHE ORAL CIGARETTES、[ALEXANDROS]に04 Limited Sazabysなどが挙げられる。

 これらだけが好きってわけでもないが、今ざっと挙げたバンドだけでもそれぞれが主にメロコア、V系、ミクスチャー、オルタナのバンドに分けられるが全部ロックって言えばロックだ。

 

 これらの好みの違いが、よく言われるバンドメンバーの音楽性の違いによる解散である。

 

 なぜこんな話をしているのかというと、なんとウチのバンド、全員が曲の好みが違うのである。

 まぁつまり、音楽性の違いによる解散の危機です。

 

 前回結成ライブしたばっかなのに!

 

 なぜそんな事になったのか、時は結成ライブの次の日の放課後に遡る。

 

 


 

 

 昨日、校長やクラスメイトたちの協力もあって大規模なライブを成功させた俺たちは、現在活動を謹慎中です。

 理由は簡単、校長と顧問の佐伯の許可があったとはいえ、正式に学校に許可を通さなかったし、やることが急かつ派手過ぎたからです。

 

 校長と佐伯は2ヶ月減給、俺たち軽音部は1週間活動謹慎と反省文である。

 また、俺たちをサポートした中原や志水ちゃん、桐生などウチのクラスメイトや、仙洞のクラスメイトである不良軍団なども反省文を課せられた。

 

 野郎どもはどうでもいいが、志水ちゃんすら巻き込んでしまって申し訳なくなったが、本人に土下座したら、

 

「なかなか新鮮だったからいいよ。2度目だし」

 

 と言われた。相変わらずお強い。

 

 そんなわけでメンバー全員にやることもなく、5人揃って部室でグータラしていた。

 

 ぶっちゃけ1週間の謹慎なんざ無視してやろうかと思ったが、生徒指導の真壁が自らの胃を抑えながら鬼の形相で

 

「1週間で良いんだ。頼む、本当に大人しくしていてくれ」

 

 と言われ、我らが一年C組の担任である水城からは、

 

「もう教頭先生に怒られたくないので、謹慎を破ったら無理矢理私との婚姻届を書かせます。旦那のやらかしなら慈愛を持って許せる気がするし……」

 

 と脅された。

 その時の水城は目がガンギマっていて、適齢期の必死さをヒシヒシと感じた。まじで怖いわ。

 

 まぁ部活の謹慎というか、楽器を校内で弾くことを禁止されただけだったか校外で弾いても良かったが、ライブの次の日くらいはゆっくりしてもいいか、ということになり今に至る。

 

 と、ここで東が

 

「なんか音楽でも流そうか」

 

 この一言が引き金だった。

 

「『ひたむき』で頼むわ」

「『平成ペイン』がいい!」

「『じぶんROCK』」

『わたくしは『INCOMPLETE』がいいですわ』

「えー俺、『しょうもな』にしようと思ってたんだけど」

 

 上から俺、瀬奈、大瀬良、仙洞、東のリクエストであるが、見事に曲調がバラけた。

 それぞれSUPER BEAVER、go!go!vanillas、ONE OK ROCK、UVERworld、クリープハイプの曲である。

 

 まず瀬奈が珍しく俺に噛み付いてきた。

 

「拓斗はいつも曲のリクエストなんてしないじゃん!」

「なんかいまビーバー聴きたい気分だった」

「鳴海はエルレとかホルモンとかのイメージしかない」

「うむ」

「まぁまぁ、それぞれのリクエストを順番に流せばいいじゃんか」

 

 うん、これは東に同意。だが今日は瀬奈の機嫌があまりよろしくないのか、

 

「今日はポップで明るい曲が聴きたいの!」

「えークリープも『栞』とか『ポリコ』とかあるじゃん」

「早川はどんなのがいいのさ」

 

 と、ここから好きな曲もとい好きなバンド談議が始まった。

 

「僕はネクライトーキーとかバニラズが好きかなー」

「『めっちゃかわいいうた』とか早川くんにピッタリだしね」

「あ!分かるぅ?そうなんだよね!あのカワボで元気な感じが好き!」

「俺とは合わないな」

 

 ここで大瀬良が物申す。

 

「否定するわけじゃないけど、バニラズはともかく、もっとギターが輝く曲が良い」

「えーバニラズもネクライトーキーもギターはかなり映えてると思うけど?じゃあ大瀬良くんはどこが好きなの?」

「King GnuとかBAND-MAIDかな」

「確かにギターはカッコイイけど、大瀬良くんに合わないの、ギターどうこうより曲調じゃない?」

「うむ」

「うん、そうかも。ポップ過ぎるの合わないかも」

 

 瀬奈はカントリーやポップ、大瀬良はハードやパンク系が好きらしい。

 いやどっちもカッコイイと思うけど、お互い何がダメなん?

 

「俺はクリープとかマイヘアが好きかなぁ」

「曲調っていうよりドロドロした恋愛系の曲が好きって感じだね」

「真面目系ハツラツ眼鏡からのギャップがすごい」

『東くんは過去に彼女をホストに寝盗られてるずらぁ!二年生の間では有名な話しずらぁ!』

「ちょっ仙洞くん!鳴海くんたちにそれ言うのやめて!他ならともかくこの子たちはクズだから言わなかったのに!」

 

 東、お前くそ失礼だぞそれ。んなこと聞いてもどうもしねぇよ、ぶっ飛ばすぞ。

 

『どうせいつかはバレることずらぁ!』

「仙洞先輩のそのキャラなに?まぁいいや!仙洞先輩はどんなのが好き?」

『バンドというより、曲で『Stop Loving You』なんかは大好物ずらぁ!』

「仙洞くんも大瀬良くんと一緒で自分の楽器が目立つ曲って感じだね」

「俺その曲知らない、どこの?」

「僕も知らなーい、洋楽?」

「『TOTO』っていうアメリカのロックバンドだね。トイレじゃないよ?」

『わたしくのドラマー魂が震える曲ずらぁ!』

 

 仙洞はなかなかに渋い選曲をした。今どきの高校生TOTOなんて知らんだろ。良いバンドには違いないんだけども。

 

 と、ここで瀬奈が気づく。

 

「もしかして僕たちって、音楽性かなり違う?」

「……今聞いた感じだとかなりそう」

「うーん、そんなことはないとも言いきれないかなぁ……」

『今まで鳴海が主導だったことに甘えて、相互理解が足りていなかったずらぁ!』

 

 仙洞のその一言で他がハッとする。

 

「も、もしかしてこれ解散しちゃう流れ!?」

「まぁセッションやライブに鳴海が俺たちの意見を取り入れるならそうなんじゃない?」

「い、いやいやそれは早計だよ。話し合っていけばお互いを尊重し合えるはずだよ」

『音楽性の違いで解散するのはメンバーがバンドの方向性に思うところがあるからずらぁ!』

 

 瀬奈がバンドが解散すると思ったのか涙目でアワアワし始めた。それを二年の優男コンビが宥めようとするが、

 

「でもでもでもでも!明らかに僕と大瀬良くんは好きなジャンルが合わないし、東先輩が好きなドロドロ恋愛ソングは拓斗そんなに歌わないし、仙洞先輩はキャラよく分かんないし!」

『わたくしだけ音楽関係ないずらぁ!』

「い、いや別にそういう歌詞の曲が好きなだけで他にも色々聴くよ?『くちづけDiamond』とか」

「全体的に恋愛ソングが良いんだ」

 

 ほう、『くちづけDiamond』ですか……たいしたものですね。ヤマジョのOPはエネルギー効率がきわめて高いらしく、レース直前に愛聴するマラソンランナーもいるくらいです(嘘)。

 

 それにしても瀬奈がヤバそう。瀬奈は基本的に俺に合わせるスタンスで、俺がいない時には自己中になるのだが、根本にあるのは誰にも嫌われたくない、離れてほしくないという承認欲求というか愛情欲求を持っている。

 ここまで、瀬奈がかなり気を許していた我らが軽音部がバンドでよく聞く"音楽性の違いで解散"なんてことになれば、多分コイツは2年は引きこもる。

 

 ちなみにここまで俺は四人の話しを黙って聞いてる。

 いつもバンドの選曲は俺がその日の気分で独断で決めていたから、メンバーが普段聴いてる曲を知りたかった。

 あと俺、ぶっちゃけ好みはあれど音楽ならなんでも聴きたい雑食だし。ボカロだろうがバラードだろうが排斥はしない。

 

 まぁなんかこれ以上勝手に話させると本格的に解散する流れになりそうだしそろそろ介入するか。

 

「落ち着けや瀬奈、この俺がそんな簡単に解散させるわけねぇだろ」

「拓斗……」

「……まぁそもそも俺は鳴海のやりたいことに合わせるのに文句はないよ」

「うん!俺も鳴海くんを支えたいからこのバンドに入ったわけで、好きな曲が出来ないくらいで辞めたりはしないよ!」

『安心するずらぁ、早川。わたくしたちは好きなジャンルや曲こそあれど、全員鳴海がやりたいことがわたくしたちのやりたいことずらぁ!』

「み、みんなぁ……」

「早川なんて特にそうでショ。可愛い系やポップが好きでも鳴海がホルモンやらSiMをやるっていったらそれに合わせるだろ?俺たちもお前程じゃないにしろ"そう"なんだよ」

 

 おお、良いこというな大瀬良。そんな風に思ってくれてたとは。ぶっちゃけ4月に出会ったときは気ぃ合わなそうとか思ってたわ。

 あとお前それ、かなり小っ恥ずかしいこと言ってるけど大丈夫そ?あとで後悔するなよ?

 

 まぁなんかいい感じにまとまったし、それぞれの好みやらこのバンドのスタンスなんかが分かったからいいか。

 

「そんじゃ今日は全員がそれぞれオススメの曲を順番に紹介し合うか。順番はジャンケンで」

「んーまぁ拓斗がそういうならいいよ!」

「俺も別に構わないケド。早川のその鳴海信者のスタンスなんなの?」

「拓斗は特別なの!」

「まぁ俺は最初からそう言ってたから構わないよ」

『最初から鳴海が早川にそう言ってたら、揉めなかったずらぁ!』

「黙れ。キャラが一生安定しないくせに」

『それは言わないお約束ずらぁ!』

 

 そんなわけでウチのバンドの解散の危機は、勝手に訪れて普通に解決したのであった。

 

 ……今回俺ほぼ話してねぇな。




出てきた楽曲
ひたむき/SUPER BEAVER
平成ペイン/go!go!vanillas
自分ROCK/ONE OK ROCK
しょうもな/クリープハイプ
栞/クリープハイプ
ポリコ/クリープハイプ
めっちゃかわいいうた/ネクライトーキー
Stop Loving You/TOTO
くちづけDiamond/WEAVER

出てきたアーティスト
ELLEGARDEN
THE ORAL CIGARETTES
[ALEXANDROS]
04 Limited Sazabys
マキシマム ザ ホルモン
King Gnu
BAND-MAID
My Hair is Bad
SiM

鳴海
今回、マジでセリフがなかった。
瀬奈はともかく、他のメンバーの本音にちょっと引いた。
なんか思ったより重いなぁ……
音楽ならなんでも聴ける雑食、悪く言えばミーハー。
最近はSUPER BEAVERや秋山黄色などをよく聴く。

早川
今回、解散の危機だと勝手に勘違いして泣きそうになった。
序盤機嫌が悪かったのは、反省文を書かされたから。
好きなジャンルはポップなどの明るい系。
SILENT SIRENやSHISHAMOなども好き。

大瀬良
小っ恥ずかしい本音を素面で出した。
この後特にイジられたりはしなかったし、本人は恥とも思っていない。
好きなジャンルはハードやパンクなどの激しい系。
Hi-STANDARDや10-FEETなども好き。


仙洞に黒歴史を暴露された。
ちなみに作者本人の学生時代の実体験であり、ホストに寝盗られるどころか、寝盗られた彼女は退学して半年ぶりに会ったら腹が膨らんでいたとかいう脳破壊を食らった。
好きなのはドロドロの恋愛や失恋ソングなど。
Saucy Dogやドラマストアなども好き。

仙洞
会話において最も空気感をぶち壊す男(自己責任)。
寡黙なゴリラだが、重い空気が鳴海の次に苦手だからである。
好きなジャンルはニューウェイブやグラムだが、少し古い年代の曲を聴く。
Talking HeadsやQueenなども好き。


皆さんはどんな曲が好きですか?
私の最近の流行りはcosMo@暴走Pです。
『キノコがはえてる!!』や『コぇちっちゃ<てゴ×ンネ』などの疾走感と可愛さの両立した感じがかなりスコなんです。
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