ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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突撃!職員室

「そんじゃ、職員室このまま乗り込みますか」

「楽器は?」

「もちろんこのまま」

「……そろそろ帰りたいんだけど」

「あと少しだけ付き合え大瀬良。安心しろ、今回はちゃんと作戦がある」

「失敗に一票」

「拓斗のことだから作戦なし作戦とか言うよ」

 

 ︎︎うーん、この信用のなさ。僕泣いちゃーう。

 

 ︎︎こうして生徒会に一本取られた後に、そのまま職員室へと向かった。

 ︎︎ドアの前で深呼吸をする。やる気はもう十分。ほなガラリ。

 

「失礼しまーす!」

 

 ︎︎仕事中の教師たちの視線が一斉にこちらに向く。

 

「軽音部(仮)です!軽音部(真)にするために私たちをアピールしに来ました!それでは聞いてください!サンボマスターで『青春狂騒曲』!」

 

 ︎︎教師たちが俺たちの狂行に一気にざわめくが知ったことか。

 ︎︎瀬奈はでしょうねと言わんばかりの苦笑、大瀬良に至っては苦々しい表情をしている。それでも俺の勢い任せ作戦を分かっていたのか、楽器はしっかり構えている。意表を突いたつもりなのにやるやん。

 

「はい、わんつーすりーふぉっ」

 

 ︎︎瀬奈と大瀬良が完璧に合わせる。

 ︎︎やっぱりせめてドラムが欲しいな。弦楽器いくら弦楽器が揃っていてもドラムが音源だと物足りなく感じるわ。

 ︎︎だが今は、この物足りなさをかき消せ。

 

『ひからびた言葉をつないで

それでも僕等シンプルな

想いを伝えたいだけなの』

 

 ︎︎ほんとに熱唱を始めた俺たちに驚き、誰も止めに来るやつはいない。

 

『吹き抜けるくすんだあの日の風は

昨日の廃虚に打ち捨てて

君と笑う 今を生きるのだ』

 

 ︎︎周囲が驚いたり顔をしかめたりしてる中、一人完全にノリノリな人いるな。顧問候補だな。

 

『それでもあの出来事が君を苦しめるだろ?

だからこそサヨナラなんだ』

 

 ︎︎歳を取るにつれ我慢が増えていく大人たちよ。さぁ、俺らの本気を聴きやがれ!

 

『このまま何も残らずに

あなたと分かち合うだけ

やがて僕等は それが全てだと気がついて』

 

 ︎︎瀬奈と大瀬良がコーラスという名の叫びで俺に合わせる。もっと熱上げろ。誰にも否定されないくらいに大きく!

 

『悲しみは頬を伝って 涙の河になるだけ

揺れる想いは強い渦になって 溶け合うのよ』

 

 ︎︎とりあえず、多分この中で一番偉いであろう入学式で見たことあるカツラっぽい人を指さし、俺らの本気をアピールした。

 

 ︎︎曲が終わり、突き刺さるほどの静寂が職員室を支配した。聞こえるのは唯一ノリノリだった女教師のパチパチという拍手だけ。あの人すげえな。

 

「ふぅ。ご清聴ありがとうございました。これで軽音部の創設を検討していただけましたか?」

「本当に、そう思う?」

 

 ︎︎そう声を掛けてきたのは、我らが一年C組の担任である水城。女にしては高い身長と無い胸に反比例してデカいケツが特徴のアラサーだ。この間、クラスメイトの倉科に年齢をイジられて泣いてた。可哀想は可愛いからね。

 

「そう思わなかったらこんなことしないわ」

「そう……ならはっきりと言うわね?こんなことしても意味がないわ」

 

 ︎︎言うじゃねえか。うちのクラスの志水ちゃんより胸が小さいことにショック受けて泣き喚いたくせして。

 ︎︎そっちがその気ならプランBだ。

 

「なるほど、理解した」

「分かってくれた?そしたら「では先生たちが納得してくれるまで歌うまでよ!」……分かってないじゃない」

 

 ︎︎俺らは何としても軽音部を作り上げるんだ(鉄の意志)。

 

「では続きまし「続けんな!」いってえな!」

 

 ︎︎本日2度目の真壁の拳骨を頂戴した。しかも俺だけ。あと一撃喰らえば俺の頭は消し飛ぶ。瀬奈と大瀬良にもやれよ。

 

「すぐ拳を落とすのどうにかしろよ!」

「すまん、クソになってんだ。躊躇殺して殴るの」

「今まであった人の中で一番躊躇がないよ」

「すごい技術だ」

 

 ︎︎カスのキルア?瀬奈と大瀬良もノってるし。

 

「お前らの言いたいことは分かる。自分たちで部活を作れば部室も与えられて自由に演奏できる。それ自体は賛成だ。こちらとしても旧校舎に侵入されずに済むからな。」

「……ゴリラ」

「あ?」

「なんでもないです」

 

 ︎︎まさか真壁が俺らの味方をしてくれるとは。明日は槍の雨だ!

 

「真壁先生。この子たちを甘やかさないで下さい」

「いや、甘やかしてるつもりはないです。ただそうした方が私の負担がかなり減るんですよ、水城先生……最近、胃薬を段ボール買いしたんですよ。それになぜか新年度になってから私が怒る頻度が二日に一度から半日に一度になったんです。私が拳骨を落とした生徒、一年生では水城先生のクラスの生徒だけなんですよ……」

「すみませんでした!」

 

 ︎︎水城先生かわいそー。自分の受け持つ生徒だけが問題を起こしまくってるなんて。アラサーとはいえ教師陣の中ではまだ若いから、厄介者をまとめて押し付けられたのかな?おもろ。

 

「せんせーそれで?どうすれば部活作れるの?」

「早く作りたいんだけど?」

 

 ︎︎ここで瀬奈&大瀬良が進まない話に耐え切れずに、話を切り出した!

 

「敬語を使えと言ってるだろ」

「それよりどうやんの?」

「さっさと教えて」

「早くしないとあそこの一番偉そうな人に凸るよ?」

「本気でやめてくれ、あの方は校長先生だ」

 

 ︎︎あーだから入学式で見た覚えがあったのか。話長すぎてほぼ寝てたけど。

 

「そんで?」

「はぁーこいつら……人数と実績だよ」

「具体的にはー?」

「部員数は最低四人から、実績は創部以降半年に一度以上の活動実績だ」

 

 ︎︎ブルアカかよ。

 

「実績は創部以降に作るもんだし、お前らの行動力なら一瞬だろ」

「活動実績はどういうの?」

「文化祭などの学校行事で部活で培ったモノを発表する場を設けること、もしくは校外イベントやコンテストに参加することだ」

「なんだよゆーじゃん」

 

 ︎︎これならまじで楽勝だな。発表する場なんざ既に死ぬほど作ってきたし。

 

「ただし、実績として扱うには行事やイベントの参加前に学校からの正式な許可が必要だ」

「なるほど?」

「ゲリラライブや急に乗り込むのは禁止ってことね」

 

 ︎︎ほーん。ほな俺らの計画力じゃ無理か。

 ︎︎文化祭は九月だからちょうど四ヶ月後か。そこでライブを開けば活動実績になるな。そのうち文化祭実行委員にも乗り込むか。

 

「真壁先生、まだあるでしょう?」

「ん?あーそうだったもう一つ条件がある」

「えーまだあんのー?」

「大人は…卑怯だ!」

「その条件って?早く帰りたいんだけど」

「コイツら…!」

「お、落ち着いて下さい真壁先生!」

 

 ︎︎おーピキってんなぁ。そのうちハゲそう。

 

「顧問を誰か教師に頼む必要がある」

「水城せんせーは?」

「私はもう吹奏楽部で顧問をしてるの」

「兼任は?」

「残念だけどそれはできないのよ」

「じゃあゴリ…真壁は?」

「すぅーふぅー俺をあまり苛立たせるなよ、鳴海」

 

 ︎︎ノータイム拳骨した後に深呼吸する意味よ。アンガーマネジメント失敗しとるやんけ。幸い頭は消し飛ばなかったけども。

 

「俺は野球部を受け持ってるからダメだ」

「あーなんかそれっぽいよね」

「設定がありきたり」

 

 ︎︎ついに瀬奈と大瀬良にも真壁の下Bが放たれた。

 

「つまりまだ部活を受け持ってない誰かに頼まないといけないのか」

「校長にしよう。絶対空いてるでしょ」

「ナイスアイデアだよ大瀬良くん!」

「「待て待て待て!!」」

 

 ︎︎校長に軽音部の顧問を頼みにいこうとした瀬奈が水城と真壁の2人に止められた。必死で草。

 

「校長先生はダメだろ!トップが部活を持ったらコネやら不正やらを疑われるぞ!ですよね水城先生!」

「ええそうよ!それにあなたたちは言動全てが失礼極まりないんだから絶対にダメよ!」

「えーでも校長先生も『自分が顧問してあげてもいいよ?』みたいな感じでソワソワしてるよ?」

「校長ぉおおお!!!」

 

 ︎︎マジじゃん。誘われ待ちでソワソワしてるおっさんキモいな。唇モニョモニョすんな。頭さわさわすんな。ヅラずれてんぞ。

 

「とにかく!校長先生以外を当たりなさい!」

「じゃあどうすればいいのー!!」

「話は聞かせてもらった!!」

 

 ︎︎そこへ急に乱入者が。茶髪ボブのパッと見20代の女教師で、さっきのゲリラライブで唯一ノリノリだった人だ。

 

「その話、私が受けよう!」

「さ、佐伯先生、聞いてたんですか?」

「もちろんです水城先生。あなたがこんな面白い子たち受け持ってたなんて知りませんでしたよ!ていうかこの場であなた達の話が聞こえない方がおかしいですからね?うるさ過ぎて皆さん自分の仕事に集中出来ないから、割り切ってここの話に集中してますよ?」

「「すみませんでしたぁ!!」」

 

 ︎︎いや他の教師たちも聞いてたのかよ。佐伯に指摘されてビクって反応してるし、皆さん図星な様で。

 

 ︎︎てか若そうに見えるけど、真壁も素直に頭下げてるから思ったより歳いってんのかな?ってなんか佐伯と呼ばれていた教師が真顔で俺を見つめた。

 

「君、今、私の年齢を考察したでしょ」

「い、いいえ」

「そう?それならいいケド」

 

 ︎︎こわ。エスパーかよ。この人相手に年齢関係の話題は思考すら禁止、と。

 

「ま、まぁ他の先生方も注目するほどの期待の星って捉えちゃっていいかな?」

「えー照れちゃうよー!」

「これで顧問が決まったでいい?」

「いいよ!とりあえずあと一人誘えたら私のとこ来てね!じゃ、先生たちの仕事が進まないから今日はもう帰って!さよなら!」

 

 ︎︎バタン!

 ︎︎物凄い勢いで顧問が決まって物凄い勢いで締め出された。

 ︎︎中々の曲者を顧問にしてしまったかもしれない……




青春狂騒曲/サンボマスター

鳴海
なんだかんだ強行すれば上手くいくと思ってる。

早川
描写されないだけで真壁から拳骨食らった後は泣いてる。

大瀬良
真壁の拳骨を受けても無表情だが、内心めちゃくちゃ痛がってる。

水城
鳴海たちの担任。1年の問題児がクラスに集結している。
クラスの男子に年齢弄りで泣かされ、女子に胸囲で泣かされるが、かなり面倒見は良い。

真壁
そろそろ拳骨制裁はやめようかなと思っている。

校長
ズラ。本気で軽音部の顧問になろうとしてた。

佐伯
軽音部の顧問になる予定の音楽教師。
一時期は吹奏楽部の顧問だっだが、選曲を自分好みのロックにしようとしたり、指導が感覚派すぎて生徒たちが混乱したりしたため、顧問から外された。
年齢の話題はタブー。

倉科
話題に出てきた水城を年齢弄りで泣かした奴。

志水
話題に出てきた水城を胸囲の暴力で泣かした奴。
なお、初対面でいきなり目の前で泣き崩れたため、本人はめちゃくちゃ驚いたそう。


話が進まねぇ…
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