ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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放送室の天使様

 次の日、朝のホームルーム前。黒板の前で部員募集の作戦会議。司会進行は俺、書記は瀬奈。教室にいる大瀬良を含めたその他クラスメイト共は会議参加者とする。黒板にはでかでかと『けいおん部☆募集ぷろじぇくと!』と書かれている。

 

「よし、んなわけで案だせや」

「俺ら軽音部じゃないけど!?」

「自分で考えろよー」

「黙れ小僧共!俺らにまともな案が出せると思うか?」

 

 ︎︎佐久間や倉科を筆頭に文句を垂れてた奴らが静まり返る。いやそんな「納得!」みたいな顔すんなや。

 

「はい!」

「お、いい案があるか桐生!」

「ポスターとかチラシで広報するのはどうですか!」

「ふむ、美術部のお前らしい良い案だ。」

 

 ︎︎黒板に『ぽすたー!』と書かれる。

 

「他にはあるか?」

「インスタとかのエsぐはぁっ!」

「意見がある奴は挙手をしろ」

 

 ︎︎無許可で発言をした佐久間にチョークを投擲した。全く、これだから会議の重要性を理解しない奴は。

 

「はい」

「はい大瀬良」

「インスタとかのSNSで募集を呼びかけるのは?」

「良い意見だ!」

「いやそれ俺の意見…」

 

 ︎︎佐久間がなんかほざいているが無視だ。

 

「しかしせっかく大瀬良が良い意見を出してくれたのに申し訳ないが、昨日の夜のうちに瀬奈にアカウントを急造させた」

「人気が出るようにちゃんと作ったよー!でも何かきっかけがないと人の目には止まらないから、爆発的に注目される案が欲しい!」

「というわけだ」

「俺それ知らないんだけど」

「条件がどんどん難しくなってく……」

 

 ︎︎昨日、職員室で創部の許可が出たあとにインスタのアカウントは瀬奈に先んじて作らせておいた。

 ︎︎つーか大瀬良、なんでお前が知らないんだよ。ライン送ったんだが?既読スルーした挙句忘れてんのかよ。

 

「ま、とりあえず今ここにいる奴らは全員フォローしといてくれや。そんで周りにも広めといて」

「まぁ早川が作ってるなら変になる心配もないか」

「オシャレそう」

「言葉の裏に俺が作ったら悪くなるみたいな意図が伝わるんだが?」

 

 ︎︎確かにSNSとか見る専だから作るの苦手だが、こいつら失礼では?

 

「まぁいい、他になんか案あるか?」

 

 ︎︎と、問うと、うーんって感じで静まる。いやもうちょっと頑張れよ。この場に10人もいて案が二つしか出ないことある?SNS抜いたらポスターの案一つしかないんだが。

 

「しゃーない、なら現状のまとめをする!俺らはすぐに部員が欲しい!ポスターを作っている暇などない!よって却下ぁ!」

『えぇ……』

 

 ︎︎黒板に書かれたたった一つの案に大きくバツをつけ、その横に『却下!!』と書かれる。

 ︎︎長期的な目で見れば、広告効果はあるし人気は出ると思う。部活が正式に発足次第取り組むか。

 

「せっかく案を出してくれた桐生には申し訳ない」

「いやそういう理由じゃしょうがないよ」

「大瀬良もいい意見だったぞ、ラインはちゃんと見ような」

「善処する」

「意見出したの俺なのに…」

 

 ︎︎佐久間がなんかほざいているが無視だ。桐生の様に朗らかな心を持てよ。

 

「よし、じゃあ即実行できるかつ俺らの魅力をアピールできる案を出してくれ」

「横暴だー!」

「てめーで考えろー!」

 

 ︎︎ギャーギャー喧しい佐久間と倉科にはチョークを投擲しておいた。

 ︎︎困ったな、まともな案が俺じゃ浮かばん。

 

「あ!1個思いついた!」

「意見をあげるときは挙手しろ倉科」

「はい!」

「どうした倉科?トイレか?」

「いや、意見があるんだって!」

「ほう、クラス内学力レース予想でぶっちぎりの最下位を叩き出している貴様の案か」

「なにそのレース、俺知らない…ってそうじゃなくて!ほんとにすぐできてアピールもしやすいやつ!」

「はよ言え」

「それはズバリ!放送だぁ!」

 

 ︎︎シーーーン…

 

「おい倉科ァ…」

「え、は、はい!」

「その意見……採用だぁ!!」

 

 ︎︎「おー」と歓声と拍手が上がる。黒板に『放送ジャック!』と書かれる。いや語弊が過ぎるだろ瀬奈さん。倉科もそこまで考えてねぇよ。せいぜい頼み込むとかそこら辺だよ絶対。

 ︎︎しかしなるほど、確かにいい案だ。放送部に頼み少しの時間を借りれば今日の昼にでもいける!

 

「よしこれにて閉廷!解散!」

『お疲れ様でしたぁー!』

 

 ︎︎よし後は放送部の誰かに頼み込むだけだな。と、噂すれば

 

「おはよー、朝からなんの騒ぎ? 廊下まで響いてたよ?どうせ鳴海くんでしょ」

 

 ︎︎我らが担任である水城先生のメンタルを胸力のみでズタズタした才媛、志水ちゃん。黒髪ロングの清楚系という王道を行くこのおっぱいはなんと、今俺らが求めてやまない放送部員である。

 ︎︎そうと決まればやることは一つ。土下座だぁ!

 

「……急に土下座してどうしたの?」

「そうジト目を向けないでくれ志水ちゃん。興奮す「は?」なんでもないです…」

「それで?なんで土下座してるの?」

「今日の昼休みの放送中、5分でいいので我ら軽音部の広報をさせてください!」

「やだ」

 

 ︎︎えぇ、即答かよ。会議参加者のほうを見る。全員これは想定外と言わんばかりに驚いている。ええいここで引いたらダメだ!

 

「お願いしまぁす!3分でいいので!」

「やだ」

「そこをなんとか!」

「だって鳴海くん、絶対問題起こすよね?」

「そんなことはない!」

「あるよ、ていうか自覚はあってよ」

 

 ︎︎つ、強い!これが水城を指一本触れずに崩れ落ちさせた女!だが負けん!

 

「1分でいいので!」

「やだ」

「なぜだ!」

「入学して一月しか経ってないのに、1分でも時間を許したら絶対になにかやらかすのが分かりきってるからだけど」

 

 ︎︎ダメだ、何も言えねぇ。会議参加者を見る。おいお前ら頷くな!特に大瀬良、佐久間、倉科!お前らは『こっち側』だろ!

 

「タイム!」

「早く済ましてね。席で待ってるから」

 

 ︎︎そう言って席まで歩いていった志水ちゃんを尻目に、会議参加者に集合をかけた。

 

「おいどうするよ」

「志水ちゃん強いね〜」

「もう無理じゃない?」

「なにか対価を示すのはどうかな」

「くっ、佐久間、倉科、すまん!」

「「待て待て待て!」」

「なんで対価が俺らの命になる!」

「贄なら自分でやれよ!」

「デートでも行こうって言えば?鳴海お前、顔良いんだし」

「うーん、そんな上手くいくかな?」

「とりまやってみるわ!」

 

 ︎︎俺を生贄に軽音部が作れるなら…やってやらァ!

 ︎︎そう決意を胸にし、いざゆかん!

 

「志水ちゃーん」

「どうするか決まった?」

「もちろん!一方的に頼み込むのは良くないと対価を示すことにした」

「へー、それで?」

「俺と1日デートしよう」

「いや」

「え」

「確かに鳴海くんの顔、正直すごいタイプだし、出会ってからは君の顔面をオカズにしたこともある」

「え」

「けどいや。恋愛関係やら男女の関係やらになるとすると、中身が尋常じゃないくらいに受け付けない。遠目で見てるくらいが丁度いいの」

「え」

「まぁさしずめ、動物園のペンギン見てる感覚かな?君は檻の中の動物を連れ歩くことをデートと呼ぶ?」

 

 ︎︎志水ちゃんはペンギンに興奮する。了解。

 

「タ、タイム!」

「もうホームルーム始まるよ?」

 

 ︎︎そんなこと知るか。今は志水ちゃんの攻略が最優先だ。野郎共に集合をかける。

 

「ドン引きだよ」

「志水ちゃんからの扱いが悲惨だねー」

「もう志水ちゃんじゃなくて志水サマだよ」

「こえー。志水サマこえー」

「これどうすんの?」

「俺がオカズ扱いのカス扱いされて終わったんですけど」

「もうどうにもならんくね?」

 

 ︎︎くそっ、こうなったら瀬奈と大瀬良、おまけに佐久間、倉科も一緒に贄とするしか…ん?なんか野郎共にめちゃくちゃ見られてんな。

 

「どうした?なんか思いついたか?」

「い、いやお前後ろ」

「あ?後ろ?」

 

 ︎︎よく見るとコイツらが見てんのは俺の頭の上だった。なんだと思い、背もたれに背中を預けたまま、首を反るようにして後ろをみると、

 

「お、おっぱい」

「ぶっ殺されたい?」

「すみませんでした」

 

 ︎︎なんと音も気配もなく志水サマが後ろに立っていた。視界全てが水城を殺した凶器で埋め尽くされた俺は姿勢を正し、志水サマの様子を伺った。

 

「わたくしめにどのようなご要件でしょうか?」

「普通に話していいよ、胡散臭いから」

「はい」

「はぁ、いいよ。放送中三分間だけ、君に広報の時間をあげる」

「ホントですか!?」

「えーほんとにいーの?」

「早川、余計なこというな。話が進まない」

 

 ︎︎瀬奈と大瀬良、今は口を挟むな!いつ志水サマが機嫌を損ねるか分からん。

 

「どうせ断り続けたってずっと頼み込んでくるでしょ?諦め悪そうだし。ていうかそのうち他の人まで私に差し出しそう。倉科くんとか。マジでいらないけど」

「なんか俺に被弾した!」

 

 ︎︎なるほど、俺の不屈の魂が志水サマの心を揺らしたのか。まぁなにはともあれ、

 

「ありがとうござい「ただし」…ん?」

「出演者は鳴海くん一人だけ、そして時間は絶対に守ること、できる?」

「最善を尽くさせていただきます!」

「ならいいよ。今日昼休み、私のところに来てね」

 

 ︎︎そう言って志水サマは席に戻っていった。

 

「良かったね拓斗!これで部員募集ができるよ!」

「あとは鳴海がやらかさなければいい話だな」

「それはちょっと難しくね?鳴海だぞ?」

「たった三分、されど三分だ」

「余裕で時間オーバーする気がする」

「どれだけ耐えられるか賭けしようぜ!」

 

 ︎︎コ、コイツら…まぁいい、今回は許してやろう。作戦も無事次に進んだしな。ただしお前はダメだ、倉科ァ!




鳴海
今回の会議の為にクラスメイトを朝5時に鬼電した。

早川
丸文字で可愛い字を書くが、習字を習っていたため実は達筆。

大瀬良
真面目に会議に参加する気はなかったから他から意見をパクった。

佐久間
サッカー部所属の陽キャ。
鳴海のノリにかなり振り回されている。
他校に彼女がいて、クラスからリンチされかけたことがある。

倉科
帰宅部の馬鹿。学年で1番学力が低い。
真壁に怒られた回数は鳴海に次ぐ。

桐生
美術部のクラスメイト。クラスのマスコット。
常に笑顔だが怒ると怖いため、苗字と相まって実家はヤクザとか言われている。

志水
放送部の志水サマ。
ちょくちょく爆弾発言をするため、クラスの女性陣は常に彼女の発言に警戒しているが、今回は止められなかった。


1話ごとに各キャラの紹介とか書いた方がいいのかな?

追記(R7.10.12) 書きました。
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