ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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放送ジャック!

 ︎︎昼休み。志水ちゃんと合流し、放送室に向かう。

 

「そういえば昼休みの放送ってなにやんの?ラジオ的な?」

「鳴海くん、1ヶ月間昼休み中何を聞いてたの?大会などで賞を取った人の紹介をしたり、急遽呼び出しになった委員会や部活の人を指定の時間に集合を呼びかけたりして、その後リクエスト曲を流すの。」

 

 ︎︎へーそんなん流れてたのか。まぁ昼休みは大体旧校舎にいるから知らんかった。

 

「ふーん。クソつまんなそうだな」

「まぁ業務連絡がメインだからね。トークとかもないし」

「じゃあ今日は業務連絡の後に軽音部の広報すればいいか?」

「それでいいよ。だからそれまで大人しくしててね」

 

 ︎︎なるほどなァ。ソイツはよろしくねぇな。昼休みにダラダラと雑音流されんのは花の高校生にゃ不快だろ。こりゃいっちょやってやりますか。

 

「……なんか企んでるでしょ」

「イイエマッタク」

 

 ︎︎鋭すぎィ!

 

 

 ︎︎放送室についた俺たちは昼飯を食っている。放送は?と疑問だったが、放送が行われるのは昼休みが終わる15分前らしい。

 

「放送室で飯食うなんて中々体験できないな」

「立ち入り禁止の旧校舎や屋上に踏み入れる方が体験できないと思うけど?」

「よくご存知で」

「真壁先生の怒号ってどこにいても聞こえてくるの。ウチのクラスでは真壁先生の声が聞こえた方向から鳴海くんたちの位置を割り出す遊びしてるよ」

 

 ︎︎なんつー高度な遊びしてんだよ。どうせ佐久間か倉科主体だろ。俺らのいる場所を賭けたりとかな。それにしても普段あまり話さない志水ちゃんと2人っきりで食事って……

 

「密室に男女二人、何も起きないはずがなく」

「黙って」

「はい」

「……」

「……その飯って志水ちゃんが作ってんの?」

「違うよ、母親が作ってくれるの。そういう鳴海くんのご飯は…コンビニ弁当?」

「そだよ、親は仕事忙しいし、一々作るのも面倒だからな」

「栄養偏るよ」

「もーまんたい、未来の不便は未来の俺に任せるって決めてるから」

 

 ︎︎うーん、なんとありきたりな会話。最近の女子ってどういう話題がいいのか分からん。

 

「……鳴海くんってなんでそんなに問題起こすの?」

「んー?」

「毎日の様にどこかで怒られてるじゃん。なんで怒られてまでそんなことし続けるのかなって」

「あーなるほどねぇ、別に俺は怒られようと思って行動してる訳じゃないんだけどね」

 

 ︎︎実際のところ校則は把握してるし、真壁が怒る理由も分かってる。がしかし

 

「怒られることを理由に今の行動を止めようとは思わないな」

「なんで?」

「さっきも言ったけど後のことは後の自分が考えるってモットーだからだよ。今が楽しけりゃそれでいい」

「そっか。それで倉科くんたちとタコパしたり、急に演奏始めたり、職員室に突撃したりしてるんだ」

「今やりたいことをやる、そんだけだよ。あ、夏になったらクラスみんなで流しそうめんしようぜ。竹は野郎で用意するから」

「うん。じゃあその時は楽しみにしてるね」

 

 ︎︎そういうと志水ちゃんはクスッと笑った。清楚美人が微笑むの可愛えー。

 

「それで?今回の放送でも何かやらかすつもりなの?」

「やらかすて、まぁ悪いようにはしないよ」

「そりゃなんかするんだろうなとは思うよ。君が、というかウチのクラスの男子全員がそうだけど、楽しい方向にしか視線が向いてないもの。最大限自分の欲を満たすために努力する集団って感じ」

 

 ︎︎ウチのクラスは悪の組織かな?

 

「志水ちゃんが怒られないようにはするよ?」

「んーそれは無理かな?だって今回の放送に鳴海くんを参加させるの、無許可だもん」

「まじ?」

「まじ。この放送が終わったら私も部長とか先生とかに怒られると思う」

 

 ︎︎えぇ何してんのこの人……やらかすのを忌避してたんじゃないの?

 

「私、別に問題を起こされるのが嫌なんじゃないよ。鳴海くんたちがなにかしでかす度に、今度はなにをしたんだろうってワクワクしてるし」

「じゃあなんで最初頼みを断ったりしてたのさ」

「んー簡単に言うと君たちの物語の読者としていたかったからかな?私自身というノイズを消して楽しんで見ていたかったの。でもあそこまで頼み込まれたから仕方なく私も混ざるかって諦めた、それだけだよ」

「……」

 

 ︎︎コ、コイツっ、詩的にヤバいこと言ってやがる!俺らの行動そのものを観客として見て勝手に楽しんでいた、と。しかも作中のキャラが自分のところに来たから諦めて自分も物語の登場人物になることを決めたってことか。高次元存在かなにかですか!?怖い!この女マジで怖い!助けて、瀬奈!大瀬良!

 

「そろそろ時間だから静かにしててね」

「ハイ…」

「じゃあスイッチ入れるよー」

 

 ︎︎そうして俺が志水サマに戦慄している間に放送が始まった。

 

『放送部の志水です。今日の連絡事項は──』

 

 ︎︎マジでクソつまんねぇ内容だな。俺の出番が回ってくる前に寝落ちするわ…志水サマは巻き込まれることを嫌っていたが、もう諦めたと言っていた。ならここで大人しくする必要ないよな!

 

『───委員会の人は放課後16時に職員室前に集g『ハローエブリワン!こんな退屈な放送眠たくなって仕方ねぇよなァ!』ちょ、鳴海くん!』

『紹介ありがとう、志水ちゃん!俺の名は鳴海 拓斗!軽音部所属の1年だ!』

 

 ︎︎志水ちゃんはまさか俺が業務連絡中に出てくるとは思わなかったのだろう。やらかすのは分かってたのになんでそこは分からなかったんだよ。まぁなんでもいいさ!今は俺が主役!

 

『今日のメインパーソナリティは俺と志水ちゃんの2人だぜ!よろしく頼むぜ!Foooooooooooooo!!!!!!』

『うるさい』

 

 ︎︎俺の叫びで放送がハウリングする。おいおいそんな睨むなよ興奮するだろ?もう引くに引けねぇんだよ!気張れよぉ!

 

『さぁ!今日のテーマはこちら!じゃじゃん!この私、鳴海が部長を務める新生軽音部!その魅力について紹介するぜぇ!』

『まだ部活すら出来ていないのに魅力もなにもなくない?』

『おっと甘いぜ志水ちゃん!今日こんなことがあろうかと昨日の夜にインスタで朝波高校軽音部公式アカウントを作っておいたのさ!』

『たまたま昨日の夜に早川さんに作らせていただけだよね?』

『今朝志水ちゃんいなかったよね?なんで知ってるの?こわ』

 

 ︎︎今朝からずっとなにこの女!マジで上位者とかにしか見えないんだけど!

 

 ︎︎それはともかく、何かのきっかけにアカウントを拡散出来ればいいと思っていたが、まさか拡散できるタイミングがこんな早くくるなんてな!

 ︎︎ちなみに既にアカウントには俺らのセッション動画や俺らのプライベートショットなんかがいくつか上がっている。

 

『みんなじゃんじゃんフォローしてくれよな!そして俺らの活動をみて気になった生徒!新入部員はいつでも募集中だ!遠慮せずじゃんじゃん来てくれよな!』

『それで、もう広報は終わり?』

『いやいや今日は志水ちゃんに俺らについて質問してもらって、それに答える形で軽音部をアピールする!』

『そんなに質問することないけど』

『と、いうことなんで公式アカウントに質問箱のリンクを貼っといたからリスナー諸君も是非質問を送ってくれ!』

『準備が良すぎじゃない?』

 

 ︎︎これは、志水ちゃんに放送に参加させてもらえるようになったときに瀬奈に作るよう頼んでおいた。今日の俺は冴えてるぜぇ!

 

『それじゃあ志水ちゃん、最初の質問カモーンヌ!』

『テンションが高過ぎる。はぁ、じゃあ今いるメンバーの紹介を』

『任せろ!まずはリーダーの俺!鳴海拓斗ぉ!ボーカル兼ギターをやっている超絶イケメン!入学早々にあった学力テスト、体力テスト共に学年1位!そして生徒指導の真壁に怒られた回数も学年1位だ!』

『顔とスペックの良さを中身が無駄にしているね』

『うーん毒舌ぅ!まぁいいや。続いてはベース!早川ぁ瀬奈ぁあああ!!!セナチャンカワイイヤッター!見た目は女!言動もほぼ女!だが中身は普通に野郎!その見た目に騙され入学して一月の間に彼に告白した男は星の数!俺の幼馴染だが瀬奈が女だったら俺も惚れてた自信がある』

『あんまり褒めてなくない?』

『褒めてる褒めてる!そんでラストは大瀬良貴一ぃ!超COOLなミステリアスボーイ!ではなくただボケっとしてるだけでなんも考えてない奴だ!俺よりギターが上手い!あと顔くらいしか褒めるとこない!』

『さっきからほんとに褒めてないよね?』

『以上だ!』

『少な』

『少数精鋭と言ってくれたまえ志水ちゃーん』

 

 ︎︎あとで大瀬良辺りには文句言われそう。瀬奈は言わない。あいつは自覚が充分にあるから。

 

『さぁ次の質問プリーズ!』

『んーじゃあ活動方針は?』

『好きにやれ!以上!』

『めちゃくちゃだね』

 

 ︎︎活動方針なんて考えたこともなかった。やりたいようにやるじゃダメなのか?まぁその辺は正式な部活になってから考えりゃいいか。

 

『それじゃあ次の質問!』

『……鳴海くんたちのさ『を聞こうと思ったが時間が迫っている!』はぁ』

『おいおいもっとお話したかったからってテンション下げんなよ!』

『は?』

『なんでもないです……というわけでインスタで質問を送ってくれた人には悪いな!』

『ほんとに送ってくれた人いるんだ。ていうか質問2つしか答えてないじゃん』

 

 ︎︎まぁいいんだよそんなことは。活動方針は好きにやれ!だ。今からが本番だからな!

 

『それじゃあ最後に1曲歌います!』

『え、そのアコギどこから出したの?』

『考えるな、感じろ』

『ていうか今日の放送事項まだ全部言い切ってないの!それだけ言わせて!』

『早口で頼むわ』

『あ?』

『なんでもないです』

 

 ︎︎ 志水ちゃんめっちゃ早口。早口なのにすげー聴き取りやすいな。アナウンサーとか向いてそう。よし!じゃあちゃちゃっと歌う準備しちゃうよぉ。授業開始まであと5分、余裕だな!

 

『───です。放送部からの連絡は以上です』

『そんじゃ軽音部からの連絡ぅ!俺らが気になったら俺んとこ来てねー。そんじゃ俺の歌で締めさせていただきます!』

 

 ︎︎弾き語りするの久々かも。オラ、ワクワクすっぞ!

 

『では聞いてください。RADWIMPSで『スパークル(movie ver.)』』

『え!ちょっ……』

 

 ︎︎志水ちゃんが何か言いかけたが無視してギターを弾く。

 

 

 ︎︎もちろん授業時間に突入しても続けていたので、真壁にめちゃくちゃ怒られた。なぜか志水ちゃんは怒られなかった。




スパークル(movie ver.)/RADWIMPS

鳴海
残り5分で授業開始にも関わらず、9分の曲を弾き語りした。
今回の放送自体は比較的好評で、放送部には鳴海を出せとリクエストが届きまくるようになる。しかし、昼食後かつ授業直前にスパークルを聴いた生徒の多くが眠気を訴えた。
鳴海が狂人過ぎて、軽音部に関心はあっても入部しようと思う生徒はほぼいないとか。

志水
メタではなく比喩表現としての言動だが、その圧もあってか上位存在みたいになってしまった人。
時間オーバーで鳴海よりも遥かに軽く真壁に怒られたが、放送内容自体は生徒に評判になってしまったため、放送部の先輩や顧問は怒るに怒れなくなってしまった。
ちなみにヒロインではない。

真壁
今回は鳴海だけでなく、普段大人しい志水も共犯だったため、どのように怒るか四苦八苦した。結果、鳴海には拳骨をし、志水には怒鳴らず注意する程度に終わった。そのせいで鳴海に真壁は巨乳好きと流されることを真壁はまだ知らない。


プロットに存在しなかったはずの志水サマがドンドンとんでも存在になってく……
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