ウチのバンドはお騒がせ者   作:にわかバソドマソ

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ハツラツメガネ

 ︎︎放送ジャック事件から1週間。俺たちは旧部室でグータラしていた。

 

「新入部員が!来ねぇ!」

「なんでだろーねー」

「鳴海の骨折り損」

 

 ︎︎なぜだ!なぜ誰も体験にすらこない!イン〇タも(瀬奈が)精力的にやってるし、広報用のポスターも(桐生が)作って学校中に貼り巡らせたのに!

 

「大瀬良!どっかで女引っ掛けてこい!」

「お前がやれ」

「拓斗さいてー」

 

 ︎︎くそ!俺は部活を作って活動したいだけなのに!ヤケクソになった俺は強炭酸のコーラを開け、イッキ飲みした。くぅーうめぇ!

 

「げぇええええええええっぷ」

「きったな!」

「臭い」

「うへへ……さてセッションやりまっか」

「切り替えはやっ!」

「……待ってても仕方ないか」

 

 ︎︎ここ一週間は毎日新入部員を待っては、飽きてセッションする日々を過ごしている。にしてもなんでこんなに来ないのかねぇ。もしかして俺たちの実力が疑われているのか?こうしちゃおれん!俺たちの本気をイン〇タにあげて技術力をアピールしなければ!

 ︎︎と思いせっせと機材を準備していると扉をコンコンとノックする音が聞こえた。

 

「あ?誰だ?」

「新入部員じゃない?」

「たしかにー!どうぞー!」

 

 ︎︎こうして新入部員と思わしき人物に瀬奈が入室を促してみたが、なかなか入ってこない。一瞬新入部員を求めるあまり幻聴かと思ったが、瀬奈と大瀬良も聞いているからそれはない。

 

「?入ってこないね」

「トイレと勘違いしたんじゃね?」

「The教室の扉なのにそんな間違いある?」

「もしかして幽霊〜」

「ワクワクしてんじゃねぇよ」

「……」

 

 ︎︎なかなか入ってこない来客を瀬奈が幽霊と認識して期待しだした瞬間、大瀬良の身体が停止した。よく見ると、いつも通りの無表情だが若干固い気がする。心なしか冷や汗もかいてる。

 ︎︎おいおいマジかコイツ!もしかして幽霊怖いんか(歓喜)。

 

「おい大瀬良ァ、お前ビビってんじゃねぇだろうなァ?」

「えっうそ!大瀬良くん幽霊怖いの〜?」

「……コワクナイシ」

「クッソ早口で草」

 

 ︎︎まさか大瀬良にこんな弱点があったとはな。生まれたての小鹿のように足がプルプルしてる。普段のクールぶりが嘘のようだ。

 

「なぁ大瀬良。怖くないならそこの扉開けて人いないか確認してきてくれ」

「エッ」

「僕たちまだ機材の準備終わってないからお願い!」

「エッ」

 

 ︎︎そんな絶望した目で見るなよ。もっとイジめたくなっちゃうだろ♤

 ︎︎それはともかく、もし仮に新入部員が扉の前でまだ待っているとしたら、待たせるのは心象最悪だ。

 

「というわけではよ行け」

「くっ、分かった…」

「そんな覚悟を決めた顔しなくても」

 

 ︎︎大瀬良が決死の表情で扉に向かった。が、なかなか開けようとしない。あくしろ。こっち見んな。なにかを訴えかけてくんな。と、視線だけで大瀬良とやり取りしていると、ガラガラ!と勢いよく扉が開いた。あ、大瀬良失神した。

 ︎︎開かれた扉の先にいたのは身長180cmくらいで眼鏡を掛けた奴がいた。優男っぽそう。その背にはデカイ四角い荷物がある。

 

「いやぁ、開けるの遅くなっててごめんね!ここ思ったより遠くて息切れしてたんだ!なんせこんなもん背負ってここまで来たからね!」

 

 ︎︎なんかすげー爽やかな奴が来たな。影で女殴ってそう。ってそんなことよりも

 

「あー、あんたは入部希望ってことでいい?」

「もちろん!そのために君たちに会いに来たからね!」

「マジか!」

「これでやっと部活が作れるね!」

 

 ︎︎1週間も待ったぞこの野郎!ようやく待望の新入部員だ。これでやっと正式に部室が貰える。もう真壁から制裁を受けなくて済む。

 

「それより彼はどうしたんだ?たしか、大瀬良貴一くんだったね」

「あー、そいつは勝手にビビって勝手に失神しただけだから問題ない」

「そう?なら置いとくよ!」

 

 ︎︎普通は自分の足元で失神してる奴みたら介抱くらいするもんじゃねぇの?知らんけど。なんなら俺もしないけど。スルースキルが高いのか、かなりの人でなしかな?

 

「それで?あんたの名前は?」

「それもそうだね!俺の名前は東龍之介(あずまりゅうのすけ)!朝波高校の2年でクラスはA組!好きなものはコーヒー系の苦いものと音楽!嫌いなものは長距離走!好みのタイプは身長低めのぽっちゃり系!過去には「ストップストップ!止めろ!」ん?もういいの?」

「あぁもう大体わかったよ」

 

 ︎︎一質問したら十で答えてくれるサービス精神の良さとかな。なんか結構ヤバそうなやつ来たな。珍しく瀬奈も目を見開いてるよ。

 

「そんで?お前の楽器は?」

「俺の楽器?それはこいつさ!」

 

 ︎︎そういって背負ってた荷物を降ろし、長方形のケースから取り出したのは、キーボードだった。

 

「へぇー!キーボード!やってる人初めて見た!」

「確かに珍しいかもね!高校生でキーボードの必要性を理解してる人って少ないからね!でも君たちなら俺を活かせるだろ?」

 

 ︎︎東は不敵な笑みを浮かべながらそう言った。へぇーハキハキし過ぎて気が合わないと思っていたが、どうやら勘違いしていたようだ。

 

「君たちを探すのは苦労したよ!なんせ本校舎にいると思って1週間探し続けたからね!」

「マジで?放送の日から毎日俺らを探してたの?いくらでも会えそうなのに」

「それか僕たちのクラスメイトにでも聞けば良かったじゃん」

「いや、俺が自力で君たちを見つけたかったんだ!あ、イン〇タも見たよ!あれは良かったね!でも俺が君たちの仲間になろうと思ったのは、あの放送の『スパークル』さ!」

 

 ︎︎へぇー珍しい。あん時の『スパークル(movie ver.)』は昼食後の5限前ということもあってか、授業で寝てしまったというクレームが後を絶たなかったのに。せっかくアコギアレンジを披露してやったのに、贅沢な奴らだ。まぁ、分かっててやったんだが。

 

「アレはアコギ1本の弾き語りということもあってか、眠くなるという人が続出した!それはあまりにも勿体ないだろう!鳴海くんが作り出した世界で眠くなるなんて!だから俺が君たちの音楽が眠くなるなんて思われないようにしたいんだ!俺なら君たちの世界をもっと広げられる!そう確信したからここに来たんだ!あとは単純に君たちと演奏するのが面白そうだったからかな!」

「それは素直に嬉しい言葉だな」

「良かったね拓斗!アレを褒めてた人ほぼいなかったもんね!」

 

 ︎︎そう、あの曲を褒めてくれた人は瀬奈、大瀬良、志水ちゃん、会長、佐伯先生、校長くらいだ。他からは言いたい放題だった。それをこんな風に褒められたら、嬉しくないはずがない。

 

「まぁ動機も分かった。俺らと組むモチベも充分。ここまで言われちゃ認めるしかねぇな。期待してるよ東」

「そうだね!ようこそ軽音部へ、東先輩!」

「よろしく頼むよ!期待にもバッチリ応えてみせるさ!」

 

 ︎︎俺のデカい態度にも全く動じないし、少しの間会話しただけだが性格の良さも充分理解した。だがそんな奴がなんで今の今まで誰とも組まずにやっている?音楽性の違いか?んなこと言ったら俺らなんざただのコピーバンドみたいなもんだし、活動方針は俺次第だ。微かに疑問は残るが、まぁ……

 

「あとは音で語ろうや、東」

「っ!…いいね!俺も最初からそのつもりだったよ!」

「拓斗〜またこわ〜い笑顔になってるよ」

「黙らっしゃい」

 

 ︎︎んなことよりも、

 

「まずは大瀬良を起こすか」

「えっ!まだ寝てたの!?」

「……コレって俺のせい?」

 

 ︎︎こいつがビビりなだけだ。




鳴海
東加入でようやく部活が作れると喜んでいる。
東からの褒め言葉が大分嬉しかった。
強炭酸コーラは500mlをイッキ飲みした。

早川
かなりテンションの高い人が来たなと思っている。
鳴海が認めるなら誰でもいいと思っていたが、東が鳴海をベタ褒めしたためかなり気に入った。

大瀬良
今回、幽霊(東)にクソビビって失神した。
鳴海に起こされるまで、ずっと扉の前で倒れていた。
「ベツニビビッテナイシ!」


ハツラツとした性格のメガネくん。
メガネを外すとイケメン度がかなり増すが、同級生からは解釈違いだからメガネを外すなと言われている。
コンタクト派。

東は加入会は1話でセッションまで終わらせるはずだったのに!
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