悪魔と契約しただけなのに(仮)〜とある転移者の公安生活〜   作:マクロソラックス-03(旧っっt)

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お久しぶりです!海外行ってました!


第一部 特異三課編 第十二話 重信SLAP!

 

「甘ったれるな!」

 

バキョッ…!

 

午後の閑散とした住宅街に明らかに異常な破裂音が響き、コウイチはアスファルトの上に転がる。

 

「いってぇなぁ、クソ野郎!」

 

「親父にも打たれたことないのに、とか言うなよ。」

 

殴った本人は軽口を言っているが目は笑っていないし口調もいつも通り至って真面目だ。すかさず、コウイチのバディであるマキマが庇うように前に出る。

 

「なんで殴るの… “ガン!” 痛い!」

 

マキマにも容赦なく顔面への殴打が行われて地面に転がる。なお、同じ班の御幸は缶コーヒーを飲みながら知らんぷり。“真面目に”捜査に取り組んでいたコウイチはあまりの仕打ちに抗議する。

 

「俺たちが何をしたって言うんだ!仕事しただろ、仕事!」

 

「仕事?お前らの仕事は捜査妨害に水遊びに恫喝か?」

 

「「??」」

 

重信の口調がさらに冷淡になる。

 

「まず一つ目、捜査現場に不用心に入って、警視庁の備品を破壊。おい、マキマ!お前だ!」

 

「?」

 

「二つ目、コウイチ!無断で採取された血液を使って犯人の追跡!そして失敗して証拠品を紛失!」

 

「犯人は見つからなかったけど、コソコソ除いてた仲間を捕まえたじゃねえか!」

 

「捜査官たちが採取したサンプル無断で半分使いやがって!アッチのお偉い方に怒られた俺の身にもなってみろ!」

 

再び重信の拳が飛ぶ。

 

「三つ目、またマキマ!警察も公安も幼稚園じゃない!許可なくネズミを放つな!捜査犬の邪魔をするな!」

 

「あの子達お腹空いてそうだっ……“ガツン!”……ギャン!痛い!」

 

容赦のない重信の暴力によって2人してアスファルトの上にのびた。

 

「そして最後、てめえら民間人怪我させてんじゃねえ。俺たちの仕事は国民の財産と生命を守ることだ。ふざけんじゃねえぞ!次やったら上に殺処分を提案してやる。じゃあな!」

 

脳震盪で動けなくなったコウイチとマキマに唾を吐きかけると踵を返して何処かに去っていく。倒れたままの2人の耳に微かに「御幸先輩!アイツら使えねえっすよ!どうするんですか!」という怒号が聞こえたような気がした。

 

 

 

ー2時間後、都内某所ー

 

「なんなんですか、アイツら!もう滅茶苦茶だよ!」

 

都内の警察病院、保護された例の対魔二課の隊員が眠る病室、本来静謐さを保っているべき空間で怒号が反響する。すぐさま通りすがりの看護師が部屋に入って注意しようとするが、

 

「うるさい!」

 

重信のあまりの剣幕に怯えて逃げ出してしまった。

 

「隊長からも後で何か言ってくださいよ!」

 

「お、そうだな。」

 

だが、三浦はあまりにも平然としていた。まるで、重信の反応を最初から予測してたかのように。

 

「それで、今日の捜査で何か収穫はあったか?」

 

「なんですか、隊長。結局アンタは結果が出れば何したっていいってクチですか?」

 

「何か収穫はあったゾ?」

 

「だからぁ…」

 

「うるせえ。こっちは成果があったかどうかを聞いてるゾ。」

 

質問にすぐ答えない部下に対して殺気の籠った低い声を出す。

 

「はぁ、ありましたよ、収穫。コウイチとマキマが現場周辺を見張ってる襲撃者の仲間を捕まえましたよ。ただ……」

 

「どうした?続き早くしろー」

 

「捕まえるまでに通行人数名に重傷負わせてます。さらに…あの2人、尋問と称して拷問して吐かせてました。俺がここに来て隊長に報告しているのも負傷した容疑者を病院に運んだついでです。」

 

「よくやったゾ。報告書はオレが後で長官に手渡しするゾ。重信はゆっくり休めよな〜。」

 

先程の剣幕とは対照的に三浦が素直に自分のことを労ってきたので、重信はあまりにものギャップに唖然とする。三浦隊長が痴呆で情緒不安定だ、という噂は本当かもしれない。だが、念の為尋ねてみる。

 

「隊長、怒らないのですか?」

 

「お、そうだなぁ…お前にも、アイツらにも別に怒る必要はないと思うゾ。だって、お前らみんな隊長不在の中其々頑張ってただろ。当然だよなぁ。」

 

「ですが!」

 

「分かってるゾ。確かにアイツらがやったことは中々まずい。警察組織に属する者としてかなりまずいゾ。だけど、よく思い出してみろよ。」

「アイツら片や数ヶ月前まで一般人で戦闘技術以外何も教わってないし、もう一方は人としての生き方を知らない幼子だゾ。」

 

「たがらアイツらを甘やかせって言うんですか?」

 

「それは違うゾ!アイツらの態度を変えさせるには今のお前のやり方じゃ無理って言いたいだけだゾ。」

「お前さ、規則を重視するのは前職が一般警察だったからだろ。でも、公安は規則ばかりに従っていればいい仕事じゃない。」

「高圧的に振る舞って、己の主張を押し付けて支配するようじゃ公安だろうが何処だろうが同僚と関係を築くこともできない。」

 

「……」

「じゃあ、俺に何をしろと?」

 

「正面から真摯に向き合ってあげるのがイイゾ。そうすればアイツらみたいな腕白小僧たちも話を聞いてくれる。」

 

「……」

 

「そう言うことだ。班の指揮を丸投げしたことは申し訳なく思うゾ。ただ、それとこれは別なんだよなぁ。」

「じゃあ、一旦公安本部に戻るゾ。お前も今日は上がれ。」

 

 

三浦隊長が立ち去った病室に1人残された重信。彼の表情は差し込む夕陽の影で見えなかった。

 

 

 

 

ー同日、夜 三浦邸ー

 

「くぁぁぁぁ!疲れたぁ!また怒られたよ…」

 

「zzz……」

 

俺は三浦隊長の家の畳敷の居間でゴロゴロテレビを見ている。ちなみにマキマはとんでもない寝相で寝ている。そしてこの家の主はまだ帰ってこない、いや帰れないらしい。

 

  ガチャ

 

誰か帰ってきた。

 

「たっだいまー!」

 

衣山さんだ。何処かでアルコールを摂取したからか普段より陽気だ。ん、酒飲む暇なんてあんのか?

 

「お帰りなさい、衣山さん。晩飯は冷蔵庫にあるんで温めておいてください。」

 

「いや、晩御飯は外で食べたからいらないの。それよりキミ、やらかしたでしょ。」

 

おや、三浦隊長の代わりに説教か?重信め!

 

「ソンナコト、ナイデ…スヨ?」

 

「安心して、アンタらを怒りにきたわけじゃないから。基本的に新人のやらかしは多少甘めに見るのは当たり前だから。」

「でもね、どうしてもあなたに言いたいことがあるんだ。」

 

荷物を玄関に下ろした衣山さんは俺の前に来てしゃがみ、真剣な眼差しで俺を見つめる。ふと、マキマとは違う大人の女性の香りが鼻を擽る。

 

「重信くんのことを責めたり憎んだりしないでほしい。ただそれだけよ。あなたたちが今回初めての仕事だったように、彼だって初めて指揮をしたのよ。」

「お互い勝手というのがよく分かってないの。だから、彼のこともわかってあげて。」

 

そういうと「よろしくね。じゃ、おやすみ。」と言って、俺の肩に手をポンと置くとそのまま洗面所に去っていった。

 

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