悪魔と契約しただけなのに(仮)〜とある転移者の公安生活〜 作:マクロソラックス-03(旧っっt)
バァン!(大破)
「ひああああああ?!ああ?」
「ぁわあ…アわアワあわ…」
マキマを抱き抱えた俺は左腕代わりの水塊をクッションにして古いワゴン車の上に飛び降りた。車は凹んだが、自分には特にダメージはない。コベニちゃんに似た子供たちが怯えてるが放置でいいだろう。だが、問題は現在地がよく分からんことだが…
「おい、ごらぁ!てめぇ車壊れたぞ!弁償しろ、弁償!1000万払えやごるぁ!」
ガラの悪い明らかに碌でもなさそうなオッサンが突っかかってくる。そういえば原作でコベニちゃんの両親はクズ親であるって語られてたな…
ズドォーン!(落下攻撃)
ボンッ!
車から飛び降りたと同時に何かが落下してきて車が爆ぜる。オッサンとコベニブラザーズandシスターズが吹き飛び、俺はなんとか爆炎で背中を焼かれながらもマキマを庇う。
「おい、おれの財布返せよ。今夜はかつてのバディそっくりな嬢がいる店に行く予定なんだが……おい、待て!」
炎上する車からゆっくりと立ち上がり、渋いイケボで情けない発言をする岸辺に対して一切目もくれず俺は走り出す。暫く適当に走って目の前に見えてきたのはJR大塚駅。原作でデンジたちが路面電車に乗っているシーンがあったから大体予想がついていたが本当に当たるとは思っていなかった。だが、問題なのは大塚駅周辺の土地勘がないことだ。ひとまずマキマの手を引いて繁華街っぽい場所に向かって適当に走る。あそこならチェンソーマン名物、“ファミリーバーガー”があるはずだ。収容所での俺たちの食事はパンだから、それに近いハンバーガーなら外の世界や外食に慣らすのに丁度良いと思ったのだ。だが、マキマより予想外の発言が放たれる。
「うまいらーめんやのやたい?が食べたい。」
「え?!らーめんやの…やたい?ラーメンが食べたいのか?」
「ううん。うまいらーめんやのやたいが食べたい。」
(一体誰がマキマにラーメンの屋台なんて言葉を教えたんだ?)俺はふと疑問に思うが某大先輩にそっくりな副隊長と、違う方向で野獣なオールドタイプそっくりな先輩達の会話を思い出す。
『副隊長、ひと仕事すると腹減りません?この辺に、うまいラーメン屋の屋台来てるらしいんすよ。食いません?』
『お、そうだな。食いてえな〜。』
『行きましょうよ!』
「普段の日常の中に度々出て来るこの会話。この何気ない会話があった日、彼らの顔はいつも幸せに満ちていた……」
「はえ〜……ってかどうやって人が回想に入っていることを読み取ったぁ?!」
特に支配の鎖とかを出しているわけでもなく人の頭の中を読み取ってくるマキマに俺は驚愕する。だが、マキマはそんな俺のことを気にせず言葉を続ける。
「わからない言葉ばかり出てきたけど、食べ物の話をしていることだけは分かった。だから、人を幸せにできる“うまいらーめんやのやたい”を食べたいの。」
お願い…
マキマが底なしの穴を思わせる瞳でじっと俺の顔を見つめて懇願する。まるで鰹節の袋を取り出したのを察知した時の実家の犬のような無言の圧が俺に突き刺さっていく。
「あ〜も〜分かったよ!俺連れて行ってやるから!ラーメン屋連れてってやるからその無言の圧は辞めろッ…!ただし!30分探しても見つからなかったら問答無用でその辺のテキトーな店だからな!」
彼女の視線に根負けした俺を見て、マキマは精一杯の笑みを浮かべた。
あれから2時間経ったが、件のラーメン屋の屋台は見つかっていない。岸辺隊長と追いかけっこしながら大塚駅周辺だけでなく巣鴨や池袋、目白方面まで足を伸ばしたにも関わらずだ。ちなみに先ほど約束した30分間が2時間に伸びているのは度々放たれる例の無言の圧力が原因だ。どうやらマキマは無言の圧力で人間を操れることを学んだらしい。そんな彼女はどうしているかというと……
グビグビグビグビ…ずずず〜
「あのさぁ、自分で歩きなよ。大人の人間は普通は街中で肩車なんてしないもんだよ?」
「ヤッ!足疲れた…それに私はまだ〇〇歳。」
「はぁ、それにしても腹減りません?あそこに、うまいラーメン屋の店舗あるんすよ。行きません?ジュース一杯じゃもう限界だろ。」
「イヤ!らーめんやのやたい食べる!」
「だからラーメンと屋台を切り離せって!」
マキマは“駄々を捏ねる”を習得した!ちなみに、マキマが飲んでいるのは紙パックのジュースである。喉が渇いたから自販機のコーヒーを飲ませたら嘔吐した挙句大激怒してたので代わりに買って飲ませたのだ。なんとか機嫌を直すことができたが、何か腹立つのだ。大塚に戻ってきた俺たちはまだ行ってない文京区の後楽園方面に向かう。
few minutes later
「ねえ、コウイチくんはどうして私が“支配の悪魔”だって知ってるの?」
ふと、マキマが尋ねる。丁度、ラーメン屋の屋台の目撃情報を茗荷谷で手に入れて、くたびれた岸辺隊長をマキマの鎖で牽引しながらそこに向かっている最中のことであった。
「ん?何のことだ?」
俺は適当にはぐらかす。先ほどのアレは興奮していたとはいえ迂闊だった。絶対原作知識云々の話をしたら報告されて公安に頭の中ほじくり返されるかもしれないし、マキマに何か起こるかもしれない。だからこそ、喋るべきではないのだ。
「私が支配の悪魔だって知ってるのは公安だったら上層部と岸辺隊長だけだよ。それなのにどうして知っているの?」
「水の悪魔の能力は応用を効かせやすい。やろうと思えばマキマのような使い方も簡単にできる。」
「嘘つき」
適当にそれっぽいことを嘯いてみた。100%嘘ではないからバレないだろう。だが、岸辺隊長(鎖で簀巻きにされて引き摺られている)には全てお見通しらしい。
「お前は取り調べの際、異世界からきたと言ってたがその割には俺と三浦と野山の顔を知ってるようだった。お前は何者だ。他に何を知っている?」
「いやいや、アンタはとある俳優に、三浦さんはホモビ男優に、野山さんは2年前のガンダムの敵キャラに似てるからビックリしただけですよ。あ、アレがラーメン屋の屋台じゃないですか?ほら行きましょうよ!」
お目当ての屋台を見つけたことをいいことに、そそくさと会話を切り上げて自分への追求を止める。屋台の暖簾をくぐって岸辺隊長を簀巻きのまま椅子に座らせると全員分のラーメンを注文する。マキマに何が食べたいかを聞かずに注文したがどうやら心配は要らなさそうだ。初めて嗅ぐラーメンの濃厚なスープの匂いにワクワクしているのか凄く笑顔だ。
「マキマ嬉しそうじゃないか。」
「うん!すっごく美味しそう!早く食べたい!」
鍋の中でグツグツ煮える麺とタッパーの中の具材に興味津々のようで、ヨダレが口の横から垂れているのにも気付かずにずっと見つめている。普段の根暗マキマが第二部ナユタになっている様子を見て、俺は連れ出してよかったと内心思った。
「へい、トンコツチャーシューメン、一丁上がり!」
「!!!!」
「美味そうだな!先食えよ。」
「おい待て、お前ら。ラーメンは暫くお預けだ」
禿げた店長の掛け声と共に提供されるコッテリとした豚骨ラーメン。マキマは喜んで箸を伸ばすが岸辺に制止される。
「何で止める必要があるんですか?!ラーメン食べさせてください」
ガシャーン!ドシン…ドシン…ドシン…
突如遠くで破壊音がして、地鳴りが聞こえ始める。そして岸辺は淡々と告げる。
「悪魔がこの近くに出た。お前らで倒してこい。」
「「えええ〜やだぁ〜」」
原作にて、公安本部の所在地は明らかにされていませんが、デンジたちが路面電車で移動するシーンから、本作では大塚駅前にあるとしました。
第5話〜第7話あたりのイノシシの悪魔戦を修正したいんだけどなんか良い案ある?
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ある(感想欄に記入願います。)
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ない