ZZZ ―風雅探偵事務所―   作:舘向井雛壇

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探偵は安楽椅子を揺らさない(2)

「で、これが件の荷物か?」

「そうよ。結構あちこちぶつけたけど傷一つ付かないからちゃんと"交渉"すればいいお金になると踏んだのよ」

「ニコ、星那のお兄さんが入ってるから売ってはダメよ」

「分かってるって。さすがに人の身内売っぱらうほど腐っちゃないわよ」

「ちなみに中身取り出した後の箱は?」

「こんだけ頑丈なら好事家に売れそうとか思ってないわよ?」

「親分、語るに落ちるって感じだぜ」

 

 風雅探偵事務所、バレエツインズホロウ付近のセーフハウスにて探偵事務所組と邪兎屋の面々は車から積み下ろされた荷物を囲んでいた。

 それぞれ好き勝手言い合っている中、星那はケースの一部カバーを取り外すとそこにある差込口にエーテルワイヤーを挿入していく。指先の感覚に集中しながら目当ての感覚が伝わってくるのを待ち、来たと判断した瞬間に内部でワイヤーに極小の開錠ツマミを捻らせる。バシュ、と密閉が解除されケースの天面が持ち上がっていく。

 

「ところで奪ってから数日経ってるわけだけどご飯とか大丈夫なのかしら」

「ええっ。中から死体が!? なんて嫌だぜ俺!?」

「大丈夫、腐臭も死臭してない」

「いやアンビー、それだけじゃ無事って分からないからな?」

 

 せり上がったケースの天面が横にスライドし、中身が露わになる。

 小さく折りたたんだ体、金属装甲に覆われた各部位、しなやかなワイヤーの尾とその先端に取り付けられたチェンソー。バイザーに隠れたカメラアイを光らせ、畳んでいた四肢を伸ばしてその()は目を覚ました。

 

『おはよう、星那。……どういう状況か聞いてもいいかな?』

「おはよう、兄さん。いろんな人と運に助けられました」

 

 なるほど、と呟くと箱から飛び出して星那の前にお座りの体勢を取った狼は口を開く。

 

『妹が世話になりました。僕の名前はソーマ。まあ、しがないAIB〇と思っていただければ』

「いやAIB〇にしちゃ殺意高すぎる見た目だろお前」

『よろしくお願いします』

「スルーしやがったこいつ」

 

 良い性格してんなこいつ。

 そうしてると後ろから星那がべちべちとソーマの頭を叩いて叱り始めた。恩人に失礼を働くなと怒っている。さすがに妹に叱られるのは違うのか慌ててごめんごめんと謝りつつひとつ咳払い、場を仕切りなおそうとしているのを察してこちらも居住まいを正す。

 

『軍用AIB〇』

「そのネタもういいから」

『クゥン……(´・ω・`)』

「こいつバイザーに顔文字出すとか無駄に高性能アピールしてきやがる」

「お兄ちゃんいい加減にしなさい!」

 

 ごいん、と音を立ててソーマをぶん殴った星那はいったぁ~と呻きながらその場にうずくまった。さすがに怪我をしていないか心配になった錬は彼女の手を確認して、手甲が手を守ってくれたようで無事なのを確認する。

 

「お兄ちゃんって呼び方がホントなんだな」

「うぐ、違う。兄さんがホント」

『お兄ちゃんホッカイロになって』

「記録映像流さないでよお兄ちゃん!?」

 

 バイザーに抱き着く星那の図が出てきたために昔の行動がバラされ、星那のお叱りが飛ぶ。

 

『まあ冗句はここまでにして。さっきも言いましたが僕はソーマ、軍用に製造されたモデル・アーミードッグの一個体で知能コア搭載モデルでもあります』

「私はその司令塔として訓練されたブリーダーモデルの最終育成個体(ラストロット)。もっとも途中で計画打ち切りで廃棄されそうになったから逃げ出してきたんだけど」

「……そう」

「……? どうしたアンビー?」

「何でもないわ。続けて」

 

 一瞬全員の視線がアンビーに向けられたがアンビーは何でもないと首を横に振る。

 視線が戻ってきたことを確認したソーマはコンクリートの壁に映像を投影する。表示された名前に錬は見覚えがあった。あの若頭の背後に居そうなグループの一つとして想定していた名前だ。

 

『エーテル機器製造会社インシデント・ハプン。表向きはエーテル機器の製造販売を請け負っている会社だが、裏では違法研究機関への高額機器の横流しなどによるあぶく銭を稼いでいる。そんな彼らが偶発的に僕の存在を知り、機密技術を得るために捕獲しようとしてきた。星那もろともね』

「ハプンについては俺も少し情報がある。箱を回収した後の受け渡し場所としてヤヌス区の自然公園の森林地帯を指定された。この自然公園は都政にハプンが供出した土地なんだが、恐らくそこにハプン名義の建築物が残っているんだろう」

「ってことはそこに今回の仕事の親玉が居るってわけね」

 

 我が意を得たりとばかりにニコが指を鳴らす。

 

『そんな訳ないじゃないですか』

「そんな訳無いだろ」

「うっさいわね!? まあ確かに軍事機密満載の流出品なんて直接親玉が来るわけないわよね。ただ今回の件の責任者ぐらいは居るんじゃない?」

「居るだろうな。分かりやすすぎて尻尾切りに使えそうな奴が」

「あー、あのおじさん」

「せめてお兄さんと言ってあげてやろうぜ、星那」

 

 同年代か少し年上の男をおじさん呼ばわりされるとちょっと悲しくなってくる錬。まだおじさんとは言われたくない年頃である。

 

「となれば、そいつをふん縛って人質交渉? 家探しすれば裏帳簿の一つでも出てくんじゃない?」

「ま、そこらが妥当なとこかな。傾いてるとは言え企業だ、個人で対抗するのは得策じゃない。こっちとやりあうのがデメリットと思わせたほうがいい」

『そうなると示威行動もした方が良さそうですよね。ハプンの庇護下にあるギャングを潰すとか』

「動かせる戦力が無くなれば、自然と裏での行動も取り辛くなる。裏金稼ぎに躍起になってるハプンからすれば致命傷になりうるラインだな、悪くない」

 

 裏での行動は力が物を言う。

 暗闘上等のTOPSがこの街で幅を利かせているのもそれが要因だ。調停者こそいるものの、ライン越えが無ければ早々動かない。そういった背景から掣肘される企業も少なくないのだ。そういった意味で言えば、違法行為の証拠を押さえたうえで潰せば敵対会社が潰してくれる可能性もある。

 

『あとは防衛軍とかに情報をリークするとか。僕たちはその場合逃げ出しますが』

「連れ戻されたくないもんねー」

 

 ねー、と頷きあう兄妹に錬はその場合は仕方ないなと頷いてホワイトボードに情報を書き出していく。

 

1.目標

 →星那、ソーマ、邪兎屋への攻撃を止める。ハプンの目的はソーマに使われている技術

2.手法

 ①今回の仕事の責任者および配下のギャングたちの捕縛によるデメリットの提示

 ➁裏帳簿などを確保したうえで、交渉

 ➂防衛軍への情報リーク

 ※➂については星那、ソーマの離脱を視野に入れておくこと

 

「まあ手近なのは①かな。ギャングについては公園に居るやつらから捕縛しないとだ」

『実際のところ、①と➁はほぼ同義とは思いますので並行で進めてしまえばいいと思います』

「邪兎屋には引き続き逃げ回ってもらって、適当なホロウに連れ込んで罠にかけるか」

「ま、それぐらいならいいわよ。燃料代ぐらいは持ってくれるんでしょうね」

「そこまでカツカツなのか……まあいいが」

 

 よっしゃー! と腕を掲げ快哉を叫ぶニコを置いておいて、今度は地図を引っ張り出して地図の上に一か所丸をつける。写真の住所から見てここあたりにあるという受け渡し場所のマーキングだ。

 

「引き渡し場所はここ。で相手から渡された建物の外観がコレ」

「ぼろっちぃ建物ね。倉庫と事務所の併設かしら」

「かもしれない。ろくでもない荷物の一時保管所あたりか? どっちみちろくでもなさそうだが」

 

 話を詰めていき、よし、と錬は声を出して打ち合わせを打ち切った。

 

「どのみちこれ以上詰めても仕方ない。早速仕事にとりかかろう」

 

 おう、と答える声が部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げられただとォッ!? 何やってんだ!! たかが3人のホロウレイダー相手になんて体たらくだ、商品取り戻すまでは戻ってくんじゃねえぞ!」

 

 フィニッチの怒号が事務所内に響く。

 室内に居る他の構成員はびくりと肩を震わせて応接用のソファに座るフィニッチの方をちらりと見る。彼らはハプン傘下のギャングとして方々に幅を利かせていたが、ハプンの業績が落ちていく毎にその勢いを失っていった。しかし一度ハプンから与えられた恵まれた環境を手放す気にもなれず、突如現れて自分たちを顎で使いだしたフィニッチにも逆らえずにいた。

 事の始まりは数日前、いつも通りホロウを経由する密輸ルートでハプンから依頼された禁制品を運んでいたところから始まった。密輸ルートにサルベージ業で入り込んでいた邪兎屋の面々と接触、当時はそうとは露知らず、密輸ルートの事を知られてしまったために半殺しにしてホロウに捨てるつもりだった。しかし結果は返り討ちに合い、荷物を強奪されてしまったのだ。

 

(思えば、あれからついてなかったなぁ)

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()瓦礫が落ちてきて気絶して異化しかけるわ、邪兎屋の面々を再度見つけて荷物を取りかえそうと思ったらビルの屋上の歪みから逃げられるわ、ビビってたらフィニッチに蹴り飛ばされて無理矢理空中の歪みにジャンプさせられるわ。

 マジでいいことねえなあ、と内心ため息を吐く。

 学校からドロップアウトして、気のいい先輩方についていったら気が付けばギャング。ろくでもないことをしでかしたためにもう戻れないと諦めて……いまや無能のフィニッチの使いっ走り。あの野郎とにかく追え追えいうだけで具体的な話をしやしない。一人でどっかに言ったかと思えば闇に流すための商品(偽札)を持ち出して探偵を雇ってきたとどや顔で語りやがった。

 ちょっと外の空気吸ってくると事務所の外に出る。安さだけで選んだ不味い紙煙草を咥えて火をつけて煙を吸い込んで吐き出す。

 

(ホロウレイダー相手に探偵雇うとか馬鹿か! 雇うなら赤牙組とかの有名どころだろうが!)

「つーか探偵も探偵だろ、なんでギャングの依頼受けてんだよ。どこのどいつだよその頭のおかしい探偵は」

「誰の頭がおかしいつったよお前」

 

 誰も居なかったはずの真横から声をかけられてそちらを向くと背の高い男が不機嫌そうな顔で立っていた。誰だ、と言おうとしたところで男の姿は掻き消える。

 どこに行ったと思ったところで、首の締められる感覚と共に男の意識は闇に消えた。

 意識を失った男の体を廊下に寝かせて錬は立ち上がる。室外機の陰に隠れていた星那も出てきてワイヤーでうっ血しない程度に男の体を縛り上げる。

 

「よし、これで扉は開いてるからいつでも突入できるな」

「じゃあ次は倉庫の鍵入手、だね」

『再度確認ですが、殺しはご法度ですね?』

「当然。俺は清く正しい一市民だからな」

『ホロウにはさくさく入ったのにぃ?』

「……ちょっとぐらいは濁ってるし踏み外してるけど真っ当な一市民だからな!」

 

 汚い、さすが大人汚い。星那のツッコミに落ち込みつつ、扉の向こうの事務所内に耳を立てる。

 いまだにフィニッチはキレ散らかしているようで、怒声が聞こえてくる。話の内容から察するに邪兎屋の面々を見つけては取り逃がし、見つけては取り逃がしを繰り返している様を怒っているようだ。

 

「ソーマ、屋上に上がってチェンソーで天井をぶち抜け。上に目が行ったところで突入して制圧する」

『了解』

「星那はワイヤートラップの設置と周辺警戒。もし来たらソーマと連携して捕縛してくれ」

「おーけー」

「よし、かかれ」

 

 ソーマに星那が飛び乗って屋根の上へと消えていく。

 数秒後、チェンソーのエンジン音と共にゴリゴリと何かが壊されていく音が響いてくる。室内の一瞬の静寂、次いで大騒ぎし始めたのを見計らってドアの蝶番を切断。

内部に向けてフリーになった扉を蹴り飛ばす。

 

「連撃・連舞シーケンス、セヴァランス二式六式、GO!」

 

 間を置かず、錬は室内に飛び込んだ。

 扉の下敷きになった男を上から踏みつぶし、室内の人数を把握。手近なところから攻撃を加えてのけぞらせ、壁に叩きつける。そして最後の電話を片手に呆然とするフィニッチの顔面をまっすぐ拳で貫いた。

 

「制圧完了。星那、周辺監視はソーマに任せて拘束を頼む!」

分かったー

 

 天井越しのくぐもった声が聞こえてきたかと思うと天井がぶち抜かれ、星那が降ってくる。

 

「おいおい、壊すなよ」

「どうせこの後治安局が入るんでしょ? だったら別にいーじゃん、差し押さえられるんだから」

「いいから最低限補修しときなさい」

「はーい、お兄ちゃん!」

『はいはい、だからやめなさいって言ったのに』

 

 ワイヤーが瓦礫に突き刺さりチェンソーの動力歯車に引っ掛けられる。チェンソーが回転しワイヤーを巻き上げて瓦礫を持ち上げて天井と高さを合わせたところで、星那は再びワイヤーを操り、()()()()()()()()()()()

 星那が兄が居ないと実力半減と言ったのはこういったところから来ている。アーミードッグモデルとブリーダーモデルは互いの能力を利用しあうことでより効率的に敵を殲滅することを目的としていたとのことらしい。

 

「これでよしっと。じゃあ家探しの時間だね」

 

 ガサガサと放り出されている資料を漁っていくとリスト化された倉庫の在庫一覧表が出てきた。中にはエーテル浸食症状を誘発する薬品と侵食症状を和らげる薬品を一定比率で混合させることで酩酊状態を引き起こす違法薬品まで書かれていた。

 また別の机を漁ればこちらには搬入先のリストが残っていた。小規模ギャングから始まり、違法薬品を取り扱う犯罪組織、反乱軍の兵站担当、TOPSの一部企業、そこいらの主婦、様々な取引相手が記録されてどこを懇意にしているかもご丁寧に記録されている。

 

「ま、これだけ証拠あればTOPS以外は何とかなりそうだな。企業の横流しにしては規模がデカいが」

「そうなの?」

「さすがに反乱軍まで出てくるとは思わんかったよ。TOPSは後ろ暗いところならやるから驚きもしないが」

『負の信頼感凄いですね』

「旧都陥落から先、混乱が凄まじかったからな。腐るところは腐りやすい環境だったという話さ」

 

 10年前に起きた旧都陥落と言われる()()()()()に端を発する大災害。

 多くの人命が失われ、人類は最後の生存圏を失いかけたあの大災害は終息後も多くの混乱を世に残した。錬もまた恩師と仲間、故郷を失ったが新エリー都の再建に奮起して立ち上がりその混乱と混乱を利用する悪意と戦い続けた。その後紆余曲折あって今は一介の探偵に腰を落ち着けているが。

 

「あの大災害で悲劇は数えきれないほど見てきた。だが悲劇の裏には悪意が見え隠れするものもある。ハプンもまた、その悪意の内の一つってこと」

「それを解き明かすのに探偵になったの?」

「んん、まあそういう側面もある、かな」

 

 次は倉庫だな、と二階の事務所から外階段を下りて一階倉庫前のシャッターの前に立つ。

 事務所から拾ってきた倉庫の鍵を使ってシャッターを開けると、錬の表情が露骨に引きつった。カバーをかけられているが、明らかに軍用の戦闘機械と思しきものを数台しまい込んでいる。エーテル機器の販売をしていることから軍との繋がりがあることを知っているが、どれだけ横流ししてたんだと呆れるしかない。

 

「ハプンの奴等は馬鹿か? ここまで派手に横流ししたらもうバレバレだろ……」

 

 丸ごと数機分の戦闘機械が行方不明になれば防衛軍も調査に本腰を入れるはず。

 そう考えると、ハプンの動きは最後の輝きの可能性もあるか?

 倉庫の中身を検めながら調べていると作業机の引き出しから一冊のノートが見つかった。何ページかを流し読みした後、そのノートはカバンにしまい込む。今見たものと記憶している帳簿の記録、取引先のリストをすり合わせていると星那が何かを持ってきた。

 

「これ、ある意味一番ヤバいものじゃない?」

「ああー、偽札の版元かぁ。確かに一番ヤバいのだ」

『お金は信用、ですからね。エリー都の経済を吹き飛ばしかねない劇物だ』

「ここで作ってうちに持ち込んだのか。出来だけ見ればいい方だが……あのフィニッチが裁断作業やったのかね、あっちは雑な偽札だった」

「追い込まれた小物?」

「事実を言ってやるなよ」

 

 壊したほうがいい? と聞かれ首を横に振る。

 自分たちが去った後に治安局がガサ入れする予定だ。証拠は壊さずおいておいて現場保存しておく方がベターだろう。

 

「とりあえず後はハプンの取引先にヘマやらかして情報が流出したと情報を流してこちらへの視線を逸らす。後は勝手に潰しあってくれるだろ」

「こどーく」

『孤立のほうか呪いの方か迷うねソレ』

「呪いの方は作っても送り先が無いだろ」

 

 ひとまず調べることも一段落したし、ここを離れる頃合いかと外に出る。

 真昼の日差しのもと、二階建てのプレハブ倉庫を振り返る。一先ず必要な情報は得られた。一旦事務所に帰って整理すべきだろう。ニコたちも回収して元の日常に戻っていくことになるだろう。

 

(そのためにもまずは)

 

 ついてくる糸の少女と鋼の狼。

 こちらの視線に気づいたのか首をかしげる少女に何でもないと言いつつ錬はバイクに跨った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ハプンの事は片付いたわけだが……ソーマ」

 

 その日の夜、風雅探偵事務所の所長机の前で顛末書を作っていた錬は床に伏しているソーマに声をかける。カメラアイの光が片目だけこちらに向けられる。

 

「最初から仕込んでたなお前」

『やっぱりバレます?』

「さすがに物理記録は消せなかったか」

『通信記録は全部抹消しましたけどね』

 

 ハプンで起こった事案は時間をかける必要もなく、方々に情報を流すだけで終わる簡単な仕事だった。元々ハプンはTOPSでもない経営が傾いた中小企業でしかなく脅威度も高くなかった。にも拘わらず防衛軍の機密に関わる軍用機械の横流しを受け入れ方々に流していた。明らかに規模としていることのつり合いが取れていない。

 

「お前たち二人を()()()ところのフロント企業ってところか?」

『正確にはそのさらに下請けですね。フロント企業の方は研究機関の破棄に伴い不祥事による経営破綻を装って放棄されています』

「取り扱ってるものが異常だったのはそっちの物を押しつけられた感じか」

『当事者に自覚は無いでしょうがね』

 

 淡々と話すソーマ。

 会話が途切れたところにつけっぱなしにしたテレビの音声が流れる。ハプンCEOが違法な取引によって逮捕されたというニュース、逮捕者の行列の中にはあのフィニッチの姿もある。生気の抜けたしょぼくれた顔で連行されて行っている。

 

「目的は、俺か?」

『故あって、貴方の事は知っていました。今は語れませんが』

「気になるね。いつかは聞かせろよ?」

『……ここに置いてくださるんですか?』

「ほっぽりだしたら報復してきそうじゃん、ソーマは」

『は? しませんが?』

 

 見くびらないでほしいですね! と吠えるソーマに錬は苦笑しつつ机から身を乗り出して問いかける。

 

「さて、お客さん。本命のご依頼をお聞きしましょうか」

 

 に、と笑って錬は語る。

 

「依頼人の利益を最大限に、我が風雅探偵事務所は調査いたします」




星那
所属:風雅探偵事務所(仮)
性別:女
誕生日:7月7日
身長:130㎝
使用武装:エーテルワイヤー自動生成手甲「ボビンケース」
属性/タイプ:エーテル/支援
備考
風雅探偵事務所の看板娘。最近のお気に入りは時代劇ドラマ「抹殺仕置人」。ワイヤーを引っかけては人差し指でピンと音を立てている。過保護な兄は教育に悪いと見つけ次第チャンネルを変えている。そしてチャンネル争いで喧嘩になる。



歌姫の護衛
「よく懐いてくれるのは嬉しいが……師匠と呼ぶのは勘弁してほしい。確かに少ない力で敵を纏めて縛り上げる方法は教えたが、師になったつもりは無いんだ」
メイド姿の少女
「優しい方です。大事なお人形がほつれてた時手持ちの糸でささっと直してくれたんです。あとお兄さんとは仲のいい兄妹といった感じでした」
とあるネットフォーラムのコメント欄
「防衛軍のかんする怪談で、旧都陥落時に命を落とした人たちを慰めるためにハープを奏でる少女の亡霊が居るらしい。ただ生きてる奴でその音色を聞いたものは命を落とすって話だ。うん? なんで生きてるのにそんな話を知っているのかって? そりゃ俺も死んだ一員だからな」
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