逆行幽霊化ヴィラン連合と霊視少年のヒーローアカデミア 作:幽霊ヒーロー
科学技術の進歩が著しいこの超人社会においても、まだ幽霊の存在は科学的に解明されていない。ようするにオカルトにすぎないってことだ。それでも俺はその存在を信じている。なぜかって?そりゃあもちろん、
俺には物心ついた時からそれが視えた。半透明で透けていて死人がなるもの、幽霊が。別に個性がどうとか言うわけではない。全く関係のない個性は既に発現していたし。
おかげで小さい頃は苦労した。ただでさえ生まれが生まれなのに、おかしなことを言う頭がどこかイっちゃってるやつ扱いを受けたからな。まあ他人と違うっていう意味ではあながち間違いでもないけど。
そんな悲しい幼少期を過ごしてた先の小学生時代、俺は彼に出会った。
「おにーさん、暇してる?」
「あ?」
ぼさぼさの長い真っ白な髪を持ち、どことなく悪そうな人相をしたそのお兄さんに、その時暇だった俺は話しかけた。
「お前、俺が見えるのか?」
「ばっちりくっきり見えてるよ」
お兄さんは視える人がいたことに驚いた様子だった。大体の人は同じ反応をする。視える人は珍しいのだろう。
「あ゛ー、こんなのと話してないでオトモダチと話してこいよ」
「いないからいいもん」
この時には既に同級生や先生には必要最低限しか接触されなかったから、生者より死者と話していた時間の方が多かった。彼らは大体暇しているのでいい話相手になるのだ。
「まあこういうやつもいるか……で、なにを話すんだ」
「そりゃお兄さんのことだけど?」
これがこの頃の俺の趣味、突撃幽霊インタビューである。意外と誰かの人生の面白いエピソードを聞くのは楽しいのである。
「なんかないの?実はすごいヒーローだったとか」
「こんな見た目のヒーローがいると思うか?」
「いるんじゃない?見た目なんて自由だし。じゃあヴィランだったりする?」
「ああそうだな。とびきり悪いヴィランだったよ」
「へぇー」
「……興味なさそうだな」
「だってこれ掴みの会話だし。でもヴィランの人の話は聞いたことあるよ。めっちゃ小悪党だったけど」
ナイフで人を脅してカツアゲしてたらしい。案の定すぐにヒーローに捕まったとか。
「俺はそんなちんけな奴じゃねえよ」
「じゃあ何したの?」
「そうだな、いろいろと壊したんだよ。例えば……世界とかな」
これは……冗談か?世界がどのくらいの規模を示すのかにもよるが、国だろうが町だろうが壊されたらマスコミに散々騒がれると思うんだが。
「でもそんな話聞いたことないけど」
「そうだろうな。だってこれはこれからの話だしな」
それがどういう意味なのか、その時の俺にはわからなかった。でも一つわかったことは、
「何その話面白そう!教えてよ!」
「まあいいぜ。じゃあ話してやるよ、俺のことをな」
あの時の戦いで死んだはずの俺は、気がつけば幽霊となっていた。同類にこれがどういう状態なのか聞いたり、そこら辺のおっさんが読んでいた新聞の日付を見て驚愕したりしながら日々を過ごし、俺は自分が過去に戻っていることを知った。
こういう時に人は自分の過ちをなかったことにしようとするものらしいが、残念ながらこの体でそれは叶わなかった。
幽体とはとにかく不便だ。何にも触れられないし、ホラゲーのように誰かに乗り移ることもできない。便利なところと言えば壁だろうが何だろうがすり抜けられるってとこか。せいぜい覗きぐらいにしか使えないがな。
一応家にも行ってみた。まだ何も壊れていないその空間は、全て壊した俺には居心地が悪かった。一応自分自身にならなにか干渉ができるんじゃないかと試してはみたが何もできず、そのまま俺は日本各地を放浪することになった。
適当に観光地と呼ばれる所を巡ったり、なんのあてもなくふらふらしたり。まあ地獄に行く前の執行猶予だと思えばこんな退屈な日々も悪くなかった。
俺が幽霊になって何年かたった頃、そいつに出会った。初めて俺が見える奴がいることを知った。
「おにーさん、暇してる?」
ナンパみたいなセリフと共に近づいてきたそいつは、俺の話を聞きたがった。後から聞いたらそれが趣味だったらしい。どんな趣味だ。
今思うとその時の俺は話し相手に飢えていたんだろう。つい俺たちの話を聞かせちまった。
「まあそんなわけで今俺はここにいるんだよ。どうだ?怖くなってきたか?」
「いや、別に?面白い話だとは思ったけど」
「は?自分で言うのもなんだが俺は歴史に残るレベルの大悪党だぞ?」
「だって今話ができてるし。ほんとにイかれたやつはそもそも話通じないんだよねー」
……まあムーンフィッシュみたいな奴だったら話は通じないか。
「それにおにーさん仲間の人とそれなりに仲よかったんでしょ?周りの人を大事にできる人はいい人だってこの前先生が言ってたよ」
「じゃあその教科書は今すぐ塵にした方がいいな。間違ってやがる」
「まあそうだねー。ヴィランのおにーさんの方が同級生より話せるもん」
いじめられでもしてんのか?こいつ。……普通じゃない奴に対する世間の目なんてそんなもんか。
「お前は嫌じゃないのか、同級生にそんなふうに扱われるのが」
「んー、別に?暇になったら幽霊の人に話しかけるだけだし」
「じゃあ将来なんになりたいとかあんのか?」
「ないなー。おにーさんは何かあったの?」
「そうだな、全部壊したかったとかか?後は……ああ、昔はヒーローになりたいなんて思ってたな」
「ふぅん。おにーさんみたいな人でもやっぱりあこがれるんだ」
「まあな。でもヒーローだってそんなにすごいもんじゃない。そんなもんだろ、今の世の中なんて。みんなで助け合いましょうなんて綺麗事を並べておきながら、普通から外れた奴らを徹底的に弾く。ヒーローも全部救えてますみたいな顔しておいて取りこぼす。それが今の社会だ」
俺が死んだ後はそんな世界も多少は変わったのかね。生憎と確かめる術はないが。
「じゃあさーなんにも取りこぼさないでぜーんぶ救うヒーローがいたらどう思う?」
「そんな奴がいるなら……もっと早く来て欲しかったな」
らしくもないこと言ったな。死に際に話したあいつに影響でもされたか?
「そっかー……じゃあそれになろっと」
あまりにも気楽に自身の将来を決めたそいつの言葉に、俺は耳を疑った。
「おい待て、そんな簡単に決めるもんか普通?」
「別に俺は普通じゃないし。それに先生もこういうことはあんまり悩みすぎないでねって言ってたし」
「もうその教師解雇しろよ悪影響しか及ぼしてねぇじゃねぇか。……本当にいいのか」
「んーそうだな……一個だけ聞かせて?その『早く』って今からでも間に合う?」
「……俺のこと気にしてんのか?」
「ううん、ただのお礼だよ。今までで一番面白い話を聞かせてくれたことのさ」
そんなことで進路を決めたそいつのことをなんと表せばいいのか。どこかで余計なお世話はヒーローの本質だとか聞いたがこいつのはそれですらないからな。自分がしたいからそうする。ただそれだけだ。考えるよりも先に体が動いたわけでもなく、もう既に決めたから動く、そんな感じだ。相手のことなんか考えちゃいない。
「まあでもこういう奴が案外ヒーローに向いてるのかもな」
「なに?」
「こっちの話だよ。いいぜ。お前が全部救うのを手伝ってやるよ」
確かあいつは最高のヒーローになるだとか言ってやがったな。ならこいつをそれにしちまえばそれはある種の嫌がらせ足り得るのかもしれない。
我ながら餓鬼みたいな考えだが、まあ結局最終的には一度も勝てなかった相手に擬似的にでも勝ってみたいと思っても罰は当たらないだろ。
「じゃあ早速今日から特訓だな」
「漫画でしか聞かない言葉だー」
「ヒーローになるには特訓が大事……らしいぜ。まあそんなことせずに使えるもんだけ奪って使ってた奴もいるがな」
「悪い人だね」
「ああ、最低の野郎だ」
「……あ、そういえばおにーさんの個性って崩壊ってやつだっけ?」
「そうだ。それがどうかしたか?」
「それの使い方も教えてよ。俺使えるだろうし」
「は?おいちょっと待てお前の持ってる情報全部吐け!」
こんな感じで、こいつ……
ああ、言い忘れてたがこの物語はこいつを俺たちで全部を救うヒーローにしていく物語だ。
霊命強司
個性とは関係なく幽霊が視える少年
精神的に歪なところがある
この後他の連合メンバーとも出会う
面白いと思ったら高評価・感想をください
それで続きを書くモチベが生まれます