逆行幽霊化ヴィラン連合と霊視少年のヒーローアカデミア 作:幽霊ヒーロー
あの日、おにーさんと出会った俺は特訓を始めた。だがここで問題が発生した。誰も特訓の仕方を知らないのである!
「……"先生"だったら知ってたのかもな」
「先生?そんな人がいたの?」
「会いたくはないけどな」
実際、何も考えずに鍛えたら体を壊すくらいのことはわかっていた。だから一般的な範囲での筋トレを始めたわけなんだけど……
「体鍛えても動かし方分からなかったら意味ないよね?」
「それはそうだな。ここにトガでもいたらなにか聞けたかもだが……」
「とが?」
「俺の仲間だよ。多分あいつかMr.コンプレスが動き方が上手いと思うんだがここにはいないしな」
よくわからないけど、そういう事ができる人がいたらしい。おにーさんが言うんだから間違いない。
「その人たちがおにーさんみたいになってる可能性はないの?」
「あ゛ー、どうなんだろうな。俺もなんでこうなってるのか把握してるわけじゃないしな」
なぜ幽霊となってこの時代に来たのか、俺たちにはわかっていない。そもそも幽霊という存在が何なのかもよくわからないし。
「でもさ、会えるといいね」
「……そうだな」
おにーさんはなんというか寂しそうな顔をしながらそう言った。
「あ、弔くん。ここにいたんですね」
トガヒミコさんと出会う一分ほど前の会話である。
雄英初の登校日、俺たちは広すぎる校舎内を歩き、なんか明らかにデカい扉の前で立ち尽くしていた。
「デカくない?このドア」
「金があるんだろうな」
「お金があるっていいねぇ」
ドアを開けるとそこにはまばらに人がいて、誰かと交流を深めていたり一人で席についていたりした。
「えっと俺の席は……」
「そっちの一番端よ」
「ありがとう、マグ姉」
この感じだと多分席順は出席番号順だな?俺は”
みんなは教室内を好きに飛び回っている。
「あ、お茶子ちゃんです!」
トガちゃんはなんか知り合いを見つけたみたいだし。
「……焦凍」
荼毘さんは紅白頭の人を見てるし。
「そういえばお兄さんの知ってる人はいないの?」
「A組だったはずだしまだ来てないんだろ」
お兄さんの言う”最高のヒーロー”、見てみたいな。
「あの、すいません。よろしいですか?」
「あ、ごめん。何か用だった?」
前の席に座っていた女の子が話しかけてきた。髪型は……ポニーテール?でいいのかな。なんか姿勢がきっちりしてるし教育がよかったのかな。
「せっかく席が近くなったのでご挨拶を。私、八百万百と申します」
「よろしくね、八百万さん。俺は霊命強司だよ」
「こちらこそよろしくお願いします、霊命さん」
すごい丁寧な人だなぁ。ヒーロー科ってみんなこんな感じなのかな?そう思っていたら、さらに前の方に丁寧とは真逆の行為をしている人がいた。机に足を乗せて眼鏡の人に怒られてる人だ。言動がほぼヤンキーだね。
「やっぱり言動だけ見たらヴィランだろ」
俺もそう思う。
あ、新しい人が入ってきた。
「お、いたぞ。あいつだ」
お兄さんが反応した。後トガちゃんもそっち向いてる。あの人が緑谷出久さんか。世界を壊そうとしたヴィランに勝ったヒーロー。どんな人なんだろ。
「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。ここは雄英だぞ」
なんかいる。いや最初からいたことには気付いてたけど。
へぇ……あれが先生か。まあいろんなヒーローがいるよね。
「イレイザーヘッドか。そういや担任だったな」
やっぱりちゃんとしたヒーローなんだ。それもお兄さんに覚えられてるってことは強い人なのかな。
え?今から体操服着て外出ろ?なにすんの?
男女で分かれて更衣室へ向かう。
その隙にお兄さんに話しかける。
「ねえお兄さん、あの人に倒されたんだよね」
「ああ」
「でもあの人……全然強そうじゃないよ?」
見ただけで強さはある程度わかる。さっきのほぼヤンキー君と紅白頭君は強そうだったけどそれ以外は普通の範疇だ。
「あいつは強いぞ。まあ見てればわかるだろ」
「そっか」
まあおんなじクラスになったんだしその内わかるか。
着替えて運動場に出ると、今から個性把握テストをすると言われた。入学式ブッチするとかだいぶ自由だね、ヒーロー科。
先生に言われてヤンキー君がボールを投げる。
「死ねぇ!」
物騒な掛け声と共に。
「やっぱりあの人来るとこ間違えてない?」
「間違えてないんだよ、あれでもな。俺はそれに気付けなかったが」
なんかあったのかな?
ボール投げの結果と個性を自由に使えるという事実に湧き上がる生徒たちを見て、先生の雰囲気が変わった。
「よし。トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
除籍……除籍⁉
「除籍って学校辞めさせられるってことだよね黒霧さん」
「そうですね」
こんな横暴が許されていいのか!
とか言ってみたけど別に最下位取る気なんてないから別にどうでもいいや。
「それじゃあみんな、使い時があったらよろしくね」
最初は50m走か。まあここは無難に……
「”進め”」
適当に加速かけるか。
んー……まあそこそこ、かな。
「わりと早いな!いいや、遅すぎだ!」
続く握力の方は機械に命令して、反復横跳びは素の身体能力で突破。
次は立ち幅跳びか。
「”飛べ”」
これ使えば勝ちだね。
「霊命、それでどれぐらい飛んでいられる」
「やろうと思えばずっとこうしてられますよ」
「……記録は無限、と」
それアリなんだ。まあ実質無限だから間違ってはないし。
ちなみに次のボール投げも無限だった。
緑谷さんは肉体を傷つけながら好記録を出していた。やっぱり強そうには見えないけどな。
残りの種目はまあ普通ってとこかな。黒霧さんの個性とか使えば持久走なんかは最速だっただろうけど隠すって決めてるし。
順位発表で先生はこう言った。
「ちなみに除籍は嘘な」
……先生って生徒に嘘ついていいもんだっけ?
「イレイザーってこんな感じで先生してたんだな」
次の日、オールマイトを先生として行われるのは戦闘訓練。それにあたって事前に申請してあったヒーローコスチュームを着ることになった。
「コスチュームっていうのはマジシャンにしろヒーローにしろ大事だよ。雰囲気作りは重要だからね」
みたいな感じで言われたし、真面目に案を考えてみんなに見せてみたら、
「可愛くないです」
と一蹴され、変更を余儀なくされた俺のコスチューム。それの出番がついに来た。
元はただのスーツだったのをお洒落な耐火性のトレンチコートに変えられた全身装備をもとに、メジャーとかナイフとかを仕込みまくってある機能的かつ見栄えもいい一品だ。まあ可愛くはないけど。
みんなのを見てみると……わりと派手だな。俺のって意外と地味なのかな。
「似合ってるぜ、ヒーロー」
そう話したら笑われながらこう言われた。
戦闘訓練はペアを決めてヒーロー役ヴィラン役に分かれて行うらしい。俺のペアは口田さん、無口な人だった。
一回戦にはヤンキー君、爆豪さんと緑谷さん、それにトガちゃんが気にしてた麗日さんが出ていた。結果は緑谷さんたちの勝利、なんだけど……
「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら……」
なんとか勝ったって感じかな。
「にしても腕躊躇なく壊せるって……」
「あいつイカレてないか?」
スピナーさんも同意見らしい。絶対痛いはずなのにできるってすごいな。これが強いってことなのかな。
二回戦は紅白頭君、轟さんによる圧勝だった。
「この時は氷しか使ってないんだな」
そして迎えた俺たちの番。ヴィラン役だ
「……って感じなのが俺の個性かな」
「ぼ、僕のは動物に語り掛けられるよ……」
動物の利用、か。偵察向きかな。
「たしかそいつ大量の鳥に襲わせるとかいうとんでもないことしてくるぞ」
スピナーさんが教えてくれた。まあそれは先のことだろうけど、それができるのは強いのかも。
「じゃあ作戦は……」
「とりあえず中入って核さがそっか!」
「ウィ!それで異論はないよっ☆」
芦戸と青山がビル内に入っていく。自分たちの頭上を飛び交う小鳥たちに気が付かずに。
一階から探索していくことに決めた二人は二手に分かれることにした。
「この広さだと最悪見つかる前に時間来ちゃうかもだしね」
「僕が華麗に見つけてみせるさ」
「敵チームに見つかったら各自対処しつつ相手を呼ぶってことで。じゃあ行ってくるね」
何か所か部屋を見回るが核は見つからない。そろそろ二階へ上がる提案をしようかと青山が通信をしようとした時だった。
「”攻撃しろ”」
体に電流が走った。
(なんで⁉この部屋には誰もいなかったはず……)
痺れる彼が最後に見たのは穴の開いた天井と宙に浮くスタンガンを従える少年だった。
「んー、ないかな?そろそろ青山も終わってるかな」
同じく一階の部屋の探索をし終えた芦戸はさっき見つけた階段に向かおうとしていた。その時、部屋の外からカランと金属製のものを落とした音が聞こえた。
「……っ!」
彼女はすぐに入口に意識を集中させた。それが下手人の思い通りであると知らずに。
「……あっけなかったね」
「え……?」
自由の利かない体は後ろを振り向くこともできない。それでも彼女は自分を攻撃したのが霊命だったということは認識できた。
『ヴィランチーム、WIN!』
「さて、講評の時間だ。といっても今回のMVPは霊命少年だけどね!では彼がどうすごかったかわかるかな?」
「はい、霊命さんは口田さんの索敵による情報を最大限利用し、相手が油断しきったところへの奇襲という最小限の戦闘被害で二人を鎮圧しきったところだと思います」
オールマイトの質問に淀みなく答える八百万さん。
「その通りだ!天井があるはずの上からの奇襲という形で二人を即座に撃退した。気付かれないための動きも含めて実に素晴らしかったよ」
そんなにすごいことをしたかな。今回使ったのは天井に穴開けるための崩壊くらいだったし、そこまで派手に動いてないんだけどな。
「俺の個性のおかげだな」
「別に弔くんの個性がなくても私が教えた動き方なら瞬殺でしたよ」
「喧嘩はよしなさい。霊命が勝ったんだからそれでいいじゃない」
「見事な動きでしたね。特訓の成果が出ています」
こんなのでいいのかな。わりと拍子抜けって感じ。相手の問題もあった気がするけど。
「すげーな霊命!なんつーか鮮やかな手口?ってやつだったぜ!」
「音なき襲撃。その姿はまさに
まあこうやって褒められるのは悪い気はしないかな。
(今日の霊命少年、訓練の結果自体は見事だった。無駄もなく実に合理的な動き。情報アドバンテージを最大限生かした戦術。ヒーローの卵としても一際上を行く実力。だが、そのはずなのに……彼の姿がヴィランと重なってしまうのは何故だ?彼が人を救う側ではなく人々を脅かす側に立っている姿を幻視してしまうのは私が悪いのか?……今度相澤君に相談してみようか)
霊命強司
今回の作戦は口田に位置を探ってもらい自分がとどめを刺しに行くというシンプルなもの
ちなみに幽霊たちの協力を得ることで彼はこれを(傍から見れば)一人でこなせる
オールマイトが感じた懸念の実態は「ヴィランに育てられた者はヴィランっぽくなる」というある意味当然の結果によるもの
感想がくるとすごく喜びます
なのでください(個性”乞食”)