逆行幽霊化ヴィラン連合と霊視少年のヒーローアカデミア   作:幽霊ヒーロー

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今回は短めです
というかデク視点じゃないと職場体験がくそ短いことに気付きました


職場体験と秩序の守り手

 

 それは物語の始まる少し前のこと、深夜の街並みの中、血のように赤いマフラーとバンダナを身に着け、複数の刃物を持った男が得物を見定めるようにビルの屋上にたたずんでいた。

 

「やっほー、ヒーロー殺しさん」

 

 そこに音もなく忍び寄ったのは、まだ少年と呼べるような見た目の男。肌は緑色の鱗で覆われており、彼がいわゆる異形系に当たる個性を所持していることが(うかが)えた。

 

「子どもが何の用だ」

「ちょっとお話があってさ。その前にステインさんって呼んでいい?」

「ハァ……好きにしろ。それで話とは何だ。くだらない話をするためにわざわざオレを見つけたわけでもないだろう」

「もちろん大事な話だよ。ねえステインさん、ヒーローを殺すの止めない?」

「何を言うかと思えば。俺の信念などおまえには理解できまい」

「いや?別に言いたいことはわかるよ?要はお金とか名声目的でヒーローになる、もしくはなってる人は偽物だからヒーローにはふさわしくないってことでしょ?本物のヒーローなら何の見返りもなくただ助けたいから助ける、みたいな」

「そうだ。そしてこの世の中には偽物が多すぎる。ただ金銭のみを求める者、己が力を振りかざしたいだけの者、人気取りがしたい者、全て粛清対象だ」

「まあその気持ちもわからなくはないよ。じゃあこういうやり方はどうかな?」

 

 

 

 

 

 

 体育祭とその後の休日も終わり、再び学校生活が始まった。なんか通学中にいろんな人に話しかけられた。まあテレビで放送されてたらしいしこういうこともあるか。

 

「人気者ですね」

「別に人気になりたくて優勝したわけじゃないけどね」

「まあいいだろ。真意はどうであれ強いやつってのは有名になるもんだぜ」

 

 お兄さんがそう言った。まあ確かにそれはヒーローでもヴィランでも変わらないことか。

 教室に着くとみんなが通学中に話しかけられてた話題で盛り上がっていた。

 

「おまえなんて優勝したんだからその分すごかったんじゃないか?」

 

 峰田さんがそう話を振ってきた。

 

「まあそれなりの人には話しかけられたよ」

「おまえ派手だったもんな!……なあ、綺麗なお姉さんとかもいたのか?」

 

 上鳴さんがこっそりと聞いてきた。

 

「さあ、どうだったかな。あんまり覚えてないや」

「隠すなよー実はいたんだろ?」

 

 そうは言っても本当に覚えてないしなぁ。意識もしなかったし。

 その後は相澤先生が来てみんなが静かになった後、一限目の授業が始まった。今日の授業はなにやら特別らしい。

 

「『コードネーム』、ヒーロー名の考案だ」

「「「「「胸ふくらむヤツきたああああ!!!!」」」」」

 

 みんな嬉しそうだね。そんな楽しそうかな。

 このヒーロー名を決めることはこの先のドラフト指名に関わってくるらしい。体育祭の結果を見てプロが指名をしてくるんだそうだ。で、その結果が

 

「例年はもっと結果がバラけるんだが、今年は三人に注目が集まった」

 

 ふむふむなるほど、順当に順位に比例してるって感じか。まあ妥当だね。

 そしてこれらの指名のあるなしに関係なく、全員職場体験に行くことになる、と。つまりそこで使う名前を今から考えるわけか。ミッドナイト先生が審査してくれるみたいだね。にしても……

 

『いい案ある?』

 

 流石にこの場でみんなとは話せないので筆談で意思を伝える。名前とか考えたことなかったし。

 

「そうねぇ……といっても私たちの名前も大概適当よ?本名を隠すために使ってただけだし」

 

 確かにマグ姉の言う通りかもね。大体みんな個性に関する名前か本名そのままだし。あ、でもあの人だけは違うか。

 

『じゃあスピナーさんはなんでその名前にしたの?』

「俺か?」

『だってスピナーさんって名前個性と関係ないでしょ?』

 

 コンプレスとかマグネ、トゥワイスみたいにほぼ個性そのままみたいな名前じゃないのはこの人だけ……いや荼毘さんもそうだけど、その名前に関しては由来がはっきりしてるし参考にもできないし。

 

「……なら俺も参考にはならないぞ。決め方なんて適当だ」

『噓でしょ、それ』

 

 なにか隠してる顔してたし。多分ちゃんとした理由があるんでしょ。

 

「おいスピナー、いいだろ話すくらい」

「……あーもうわかったよ。”スピナー”ってのは紡ぎ手って意味だ。だからあの時の俺はステインの意思を紡ぐ者としてその名前をつけた。それだけだ」

『わかったよ。ありがとう』

 

 なるほど、つまり自分のしたいことに関する名前をつけたってことか。なら俺は……

 

『やっぱ思いつかないや』

 

 だって俺がしたいこと(全部救う)そのままつけたらそれはほぼオールマイトと同じじゃない?絶対何か言われるでしょ。じゃあ個性からつける方針でいくか。となると俺の場合は……

 

「決まりました」

「じゃあ発表してね」

「はい、これです」

 

 俺の決めたヒーローネームは、”オーダー”だ。

 

「なるほどね、命令(order)秩序(order)をかけてるのね。いいわ!」

 

 シンプルだけどなかなかにいい名前じゃないかな。

 

『みんなはどう思う?』

「いいんじゃない?おじさんそういうセンスはあんまりないけど」

「むー、可愛くはないけどまあいいです」

「俺のよりずっといいぜ!やっぱダサいな!」

「悪くないな。少なくとも個性そのままの名前なんかよりずっといいぜ」

 

 概ね好印象ってところかな。まあ名前なんて正直どうでもいいけどさ。今の俺は秩序の守り手、それでいいでしょ。

 

 

 

 職場体験に行く先は学校がオファーした所か各自に指名があった所のどちらか。俺はせっかくだし指名されたとこに行こうかな。

 

「……ってわけだけどみんなはどこに行けばいいと思う?」

「別にどこでもいいだろ」

「強司くんがボロボロになりそうな所がいいです!」

「まあせっかくいくならいい経験が積めそうな所よね」

 

 なんかみんな俺に激務をさせたがってない?別にいいけどさ。

 その時、パラパラと候補が書かれた紙を見ていた荼毘さんが言った。

 

「やっぱりあったな。おい霊命、ここにしろ」

「ん?どこ?」

 

 荼毘さんが指さす所に書かれていたのは”エンデヴァーヒーロー事務所”の文字。

 

「エンデヴァーさんの所か。でもなんで?」

「何、こいつはこれでも万年二位を維持し続けてる男だ。ヒーローとしての実力だけで言えばまあ中々だろ」

 

 そりゃあ強さは十分だろうけど……

 

「何か言ってないことあるよね?」

「行けばわかるさ。面白いものが見れるかもしれないしな」

 

 うーん……まあ悪意はなさそうだし行ってみようかな。

 

 

 

 

 

 

 そして職場体験当日。

 

「あ、轟さんも同じとこ行くんだっけ」

「ああ。お前もエンデヴァーのとこだろ?」

「うん」

「……お前はどうしてここを選んだ?」

「いくなら強い人のとこの方がいいかなって。後はまあ例の人の意見もあるけど」

「例のって……ああ、この前のか。そいつはエンデヴァーのことも知ってるのか」

「そうだね、よく知ってるんじゃないかな」

 

 ガタゴトと揺れる電車の中で話しながら、俺たちは目的地に向かった。

 

 事務所に着くと、エンデヴァーさんが出迎えてくれた。

 

「よく来たな、焦凍、それに霊命」

「……」

「よろしくお願いしますね、エンデヴァーさん」

「ああ、では早速町に出る、といいたいところだがお前に少し話がある。場所を変えよう」

「おい、俺はどうしてりゃいい」

「お前はコスチュームを着て待っていろ。何、大して時間はかからん」

 

 俺に話か。なんだろう。

 

「さて、何を言うのかねぇ」

 

 荼毘さんがさっきからずっとわくわくしてるんだけどなにか関係あるのかな。

 

「さて、霊命。お前の炎の力のことを説明してもらうぞ」

「……?はい。俺の炎は個性の応用として出しているものです。ちょうどあなたの個性と似ていますが、俺自身に炎への耐性があるわけではないので自分の炎で身を焼いてしまうのが欠点ですね」

「そうか。では霊命、お前は少なくともこの職場体験中炎の使用は禁止だ」

「何故でしょうか」

「その力はお前に危険だ。それに痛みには耐えられても見る者に不快感を残す恐れもある」

 

 ……嘘だな。これが本音じゃない。なにか使ってほしくない本当の理由があるね。まあ別にそのわけなんてどうでもいいけど。

 

「わかりました。使うのはやめておきますね」

「それでいい。では着替えてこい。町に出るぞ」

 

 それだけ言うとエンデヴァーさんは早々に部屋を出て行った。

 

「で、さっきからなんでそんなに笑ってるの?荼毘さん」

 

 そんな笑顔を浮かべてるの見るの始めてなんだけど。

 

「いやぁ?この程度で罪滅ぼしになるって考えてるであろうあいつのことを考えるとついな。これは傑作だな」

 

 なるほど、罪滅ぼしか。さっきエンデヴァーさんが浮かべてた安堵の理由はそれか。

 

「だとしたらお兄さんの言ってた通りだね」

「俺がなんか言ったか?」

「昔会った時にね。ヒーローだって取りこぼしてるものがあるって言ってたよ。それを見て見ぬふりをしてるともね。全くその通りだね」

 

 自分が救えなかった人の代わりに俺に事前に注意しておく。それがエンデヴァーさんにできることなんだろう。それ以外にも多くの罪を犯してるのにね。

 

「まあ荼毘さんの言ってた通りヒーローとしての強さは本物だろうからね。ここで学ばせてもらおうかな」

 

 コスチュームを身に着ける。さて、じゃあお仕事体験、始めていこうか。




霊命強司/オーダー

名前の由来は本編の通り
職場体験先はエンデヴァー事務所にした
人の嘘、というか簡単な感情くらいだったら読み取れる


荼毘

愉悦


スピナー

名前の由来は独自解釈
というかこいつだけ名前の由来がわからん
メタ的にはなんとなくわかるんだけどね






というわけで盛り上がりに欠けそうな職場体験編スタートです
多分次回で終わります
いや今後の展開的には大事なとこなんだけどいかんせんやることがなくてね
なので今回の話も文字数少なめです
流石にこれだけだとなぁということで荼毘さんの愉悦シーンを追加しました
エンデヴァーの反応はこんな感じだと思います
少なくとも炎は使わせないんじゃないかな
ステイン関連の話は次回に持ち越しです
それではいつもの乞食をば……
ここまで読んでくださった方々、感想お待ちしております
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