キミの普通はこんなにも輝いて   作:Blue Aome

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いよいよこの小説も10話目ですね…!
最近個人的に滅茶苦茶忙しかったのでまた間が空いてしまって本当に申し訳ない…。
来週からはまたペースを戻してまいります。
今まで読んで下さった全ての読者様に感謝を。
※タイトル変更しました。


Ep.10 初耳

 「…それで、どうしたのみんな?そんないきなり来るなんて珍しいね〜。」

 

 目の前の4人掛けの席に座るバンドメンバー(モニカのみんな)に向けて、私はそう問いかける。

 なんていうか、あまりにも突拍子もない訪問にビックリしているのが正直なところ。

 

 来るって言ってたっけ…?

 

 そう思い、みんなを席に案内するとき、頭の中でぐるぐる考えてみたけどそんな記憶はもちろん微塵もない。

 

 「…い、いや~なんていうか?ななみのファミレスに行きたいってふーすけが言って聞かなくてさ~!」

 「…そうなの?つーちゃん。」

 「!?そ、そうなんだよななみちゃん!えっと…そう!私、ファミレスで働いてみたくて!だからその⋯け、見学をね!しに来たの!」

 

 私の質問に対して、とーこちゃんは隣に座るつーちゃんに「そうだよね?」みたい表情を向けながら話を振る。

 だけど今、つーちゃん「そう!」って言ったよね。基本的に誤魔化すときにしか聞かない言葉だよ~それは。

 これ、別の理由があるやつじゃ…。

 

 「つーちゃん、ファミレスでバイトしてみたいなんて言ってたっけ…?」

 「えっとね…今日までh…今まではそんなこと、考えて無かったんだけど…ま、まぁ…何ごともチャレンジ、みたいな感じかな!」

 

 確実に別の理由があるやつだね。うん。

 「今日まで」って言いそうになっちゃったよつーちゃん。どこまでも素直っていうか⋯。

 というか…なんでとーこちゃんはつーちゃんに振ったんd…あ、これ最初から隠し切る気ないやつだね、これ。

 とーこちゃん、凄くニヤニヤしてる。悪い子ですな〜とーこちゃんも。

 

 「…今日まではって言いかけたよね今…つくしちゃん…。」

 「あ。」

 「…どのみち広町さんは、桐ヶ谷さんと二葉さんが何かを隠そうとしていることくらい分かっているわ。それに…桐ヶ谷さんは元々、このまま隠すつもりは無かったでしょうし。」

 

 流石るいるい。よく見てるね~。

 つくしちゃんはとーこちゃんに振られてそれどころじゃなかったけど。

 しろちゃんは⋯なんだろう。少し上の空⋯?

 ずっとレジの方を向いているような⋯。

 

 「そ、そうなの透子ちゃん?」

 「いや〜やっぱりさ、友達に隠し事って良くないじゃん?」

 「…じゃあなんで私に振ったの…??」

 「それは〜まぁ、なんていうか?ふーすけに振ってみたらどうなるかな〜って思って?」

 「もー!ひどいよ透子ちゃん!」

 

 つーちゃんは可愛いからな~!

 からかっちゃう気持ち、すっごく理解できるよとーこちゃん。口には出せないけどね〜。

 

 「ごめんごめん!ほら、意地悪しちゃった代わりに何か好きなの頼んで良いから~!」

 「モノで釣られるほど子供じゃないよ!私!」

 「とりあえず早く何か頼まないかしら。まだ店内に私たちしかいないとはいえ、広町さんにここで長居をさせるのも申し訳がないわ。」

 

 るいるいの言葉にとーこちゃんが「それもそっかー。ねぇぇねぇ早く何か頼も!」と賛同したので、みんなはメニューを開き、各々何を頼むかを考え始める。とーこちゃんにプンスカしてたつくしちゃんも、しぶしぶメニューを開き、向かい側に座るしろちゃんと選び始めていた。

 

 その間私は、みんなの突然の訪問に少し気を取られ過ぎてしまい、お客さんがまだ他にいないとはいえ、ここにかなり長居してしまっていることを思い出していた。

  ひとまず、店長に長くいて大丈夫かどうか確認はしたいなと思い周りを見渡してみる。

 すると、ちょうど裏からレジへと出てきた店長とかーくんの姿が見えた。

 

 なんか楽しそうに話してるな~。かーくんも店長と仲良くなったようで何より。…そのままどっちかがこっちに気づいてくれたら嬉s…あ、かーくんが気付いてくれた。あとは私が何を伝えようとしているか、分かってくれるどうかだけど…。

 …かーくんが店長に何か言って…お、手でOKってサイン出してくれてる。流石は私の共犯者くん。何を私が何を伝えたいのか分かったみたい。

 みんなの意図も気になるし、この気遣いに今日は甘えようかな。お客さん来たら直ぐに離れるようにすれば問題はない…はず。

 

 かーくんと店長に向けて、手でごめん!ってジェスチャーをして、私はみんなの方へと「まだ大丈夫みたい〜。」と言って向き直る。

 とりあえず今は、みんながいきなり来た理由を知らなければいけないのだ。

 ただ、さっきからしろちゃんの口数がいつもよりも少ないような…?常に何かを考えているような、そんな感じ。

 そこに少しだけ違和感を覚えながら、私はバンドメンバー(モニカのみんな)を問い詰める準備をはじめた。

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

 「にしても…広町君はなんというか…大変そうだねぇ。」

 

 隣に立つ店長さんが僕にそう話かける。

 h…七深に「全然こっちは気にしなくて良いからお友達と話してて良いよ!」ってサインを送ってから数分。

 その間に一度注文を伝えにこちらへ来たが、ドリンクバーと軽い料理のみだったので、七深がテキパキと1人で捌いて直ぐに4人の待つ席へと戻っていった。スゴい。

 そしてその後も、相も変わらず向こう側では七深が例の4人組と話している。

 ちなみにこの間、来てくれたお客さんは0人。

 土曜日のシフトにしては珍しい状況と言えよう。

 僕をさっき呼んだ先輩も、店長さんに「お客さん来たら呼ぶから裏でゆっくりしてなよ」と言われ、今はバイト用のスペースでゆっくりしているはずだ。

 ちなみにこの先輩は、バイト初日に僕からお客さんを奪った人でもある。まぁこれ先輩は何も悪くないけど。むしろ、主に七深がいないときに滅茶苦茶お世話になってるから頭が上がらない先輩でもある。感謝の極み。

 ただ⋯みなさん(お客さん)どうしたんだろ。いつもなら学生やご年配の方がちらほら来てもおかしくないのに。僕の接客が原因⋯?心当たりがありすぎるかも。

 

 

 「そうですね…。なな…広町さんのお友達?ですよね皆さん。」

 「?まぁお友達でもあるんだが…。私の記憶が正しければ、あの4人は広町君がやっているバンドのお仲間じゃなかったかな?」

 「バンドの仲間ですか…。⋯⋯え!?広町さんってバンドやってるんですか??」

 

 遠くで話している七深を見守りつつ、店長さんとレジで横並びに立ちつつ話していた僕は、思わず店長さんの方を光の速さで向いてしまっていた。その速さに思わず店長さんも目を開⋯いている訳では無さそうですねただ単に「お前知らんかったの?」って驚いてるだけだこれ。

 

 にしても⋯。七深、バンドやってたんだ⋯。

 全然気付かなかったなぁ⋯。

 改めて、名前呼びになった⋯した?とはいえ、()()()()()()()()()()について、まだまだ知らないことだらけということを強く感じる。

 

 「あれ?広町君から何も聞かされてない感じかい?神明君。てっきり聞いているモノだと⋯。」

 「えぇ⋯。正直初耳の情報すぎてめちゃくちゃビックリしてます。気付かなかったなぁ⋯。」

 「広町君も、バンドについて自分から話している印象も無いから気付かないのも無理はない。斯く言う私も、偶々広町君が楽器を持っているのをみかけてそこから⋯って感じだからな。」

 「そうですか⋯。⋯ちなみに、広町さんのバンドってどんな感じの⋯その⋯バンドなんですか?」

 「⋯まぁ神明君になら言っても大丈夫か。Morfonica(モルフォニカ)って言う名前のバンドでね。広町君は月ノ森生だろう?そこの学友さんと結成したのがこのバンドらしい。確かメンバーは5人のはずだから⋯あぁ。丁度全員そこに居るな。」

 「だからあんなに仲が良さげで⋯。ちなみに楽器とかって、何をやってるか分かったりします?」

 

 気付いたら店長さんに質問を重ねていた。

 

 「確かベース⋯だったはずだ。」

 「なんでちょっと不安気なんですか。」

 「ほら、ベースとギターって似ているだろう?正直どっちがどっちか確証が無くてだな⋯。」

 「そんなことあります?」

 「いやだって⋯ほら、音を聴けば確かに全然違うのかもしらんが、見た目はほぼ一緒だろう。」

 「⋯。」

 「いやそんな信じられない⋯!みたいな顔をしないでくれ神明君。ただ⋯ちょっと意外だったなこれは。」

 「意外⋯ですか?」

 「あぁ。なんというか⋯君がこの話題にこれほど食いつくとは思わなかった、と言った所か。ちょっと失礼な言い方になるから申し訳ないんだが⋯。なんというか、他人の事情を深く知りたい性格では無いだろう。別に楽器をやっていた訳でも無いよな神明君は。」

 

 店長さんの言う通りだ。

 普段ならそこまで他者に対して興味は抱くことはないし、こちらも抱かせないように常に一線を引いて接してきた。いやこれは、七深が例外なだけで今もそうなんだけど…。

 ()()()()()()()()()()()()を、さも()()()()()()()()かのように思ってしまう…そんな感じ。

 だがなぜだろう。今回は違った。

 

 「そうですね⋯。確かに他人の話題に食い付くタイプではないと自覚してますし…。それに中学も⋯高校もスポーツ一筋だったので、楽器にも別に特別興味がある訳ではないです。ただ⋯」

 「ただ⋯?」

 「…なぜか知りたくなってしまって。これがなんでかは分からないんですけど…僕の知らない広町さんの一面を…知りたくなった…とかですかね。」

 「…そうか。まぁそういうこともあるだろう。ただそしたらアレだな、タイミング的には丁度良かったかもしれない。」

 

 店長さんは、七深達の方を向きながら言う。

 何が丁度良いのだろうか…?

 

 「丁度良い…?」

 「あぁ。なんせ来月の上旬にだったか、広町君たちは商店街のイベントで演奏をするらしい。まぁMorfonica単体で出る訳ではなくて、あくまで2、3バンドの内の1つとして出る訳なんだが…バンドメンバーとしての広町君を見る良い機会だろう。僕も1回だけ誘われて行ったことがあるが…素人目に見ても凄かったという印象だ。詳細も商店街だか何かのホームページに載っていたはずだし、是非行ってみてはどうかね?」

 

 Morfonica(バンドメンバー)としての姿。正直、バンドをやっている姿なんて想像出来ないけど…。

 興味を抱かない訳がない。

 

 「…そうですね。行ってみようかと思います。」

 「それが良い…おや、なんか広町君が呼んでいないかい?」

 

 ふと七深達の方を見てみると、僕に向かって七深が申し訳なさそうに手招きしているのが見えた。

 …?どうしたのだろう。

 

 「呼ばれてる気がしますね…。行っても大丈夫ですか…?」

 「まぁ今日は何故かお客さんが来ないからな…それはそれで大問題なのだが。いざとなったら、今頃物置でぬくぬくしているアイツを呼び戻せば良いし、お客さんが来るまでは行ってきて問題はないだろう。」

 「ありがとうございます。では行ってきますね。」

 「うむ。行ってくると良い。」

 

 店長さんにお礼を告げて、ひとまず七深達の所へと向かう。

 …何の用だろう。店長さんのおかげで七深と他の4人の関係性は分かったけど、それでも僕から見たら他人ではあるからなぁ。

 勿論面識がある訳もないし…。正直緊張する。それこそバイトの面接くらい緊張する。

 

 色々と頭の中で考えながら、遂に目的地へとたどり着く。所要時間はおよそ15秒。長い長い旅路でしたね。

 

 「ごめんね~かーくん、急に呼び出しちゃって~…。しろちゃん…私の友達がさ、もしかしたらかーくんにあったことがあるって、そう言うんだ~。」

 

 七深はそう言って、席に座る4人の中から1人の女の子を紹介する。

 その女の子は、どこかで見覚えがある。そんな気がして。

 そして、僕のことをジーっと見つめた後、

 

 「七深ちゃん…やっぱりこの子だ。あのとき私を助けてくれた、あの男の子だ…!」

 

 僕を見て、そう言うのだった。

 




神明くんが店長さんと話すときに「広町さん」呼びなのは仕様です。
まだまだ人前だと難しいのかも知れませんね。

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