基本的に週に1〜2話は必ず投稿するつもりですので、温かく見守っていただけたらと…。
ということで、広町さんのために
これは…なんだ、どこの店に行けば良いんだろう。
普通のスーパーとかコンビニ…には売ってないよなぁ…おそらく…。
…?これ僕どこ行けば良いんだ?
そんなことを考えながら、ファミレスの制服から着替えた僕と広町さんは店から出る。
長くなりそうな旅の始まりだ。
「かーくんの勢いにつられて、お店出て来ちゃったけど…どこか行く当てはあるの?」
隣にいる広町さんがそう僕に尋ねる。
これに対して僕はというと
「ん~…無いですね。」
「え。」
「無いです。無い袖は振れません。」
「そんなお母さんみたいなこと言われても…え、本当に無いの?」
「…思いつくと思ってたんですけどねぇ。」
僕は首をかしげる。
いや首をかしげたいのは広町さんの方だよな、ほらちょっと「コイツマジか」って顔してるし。違うんすよ…。
「いやあの、ふざけているとかそーゆーわけじゃなくてですね。僕のちっぽけな頭では何も浮かばかったっていうか、僕が普段利用する店の中に思い当たるものが無かったと言いますか…。」
「オッケーかーくん分かった、分かったから今すぐにも土下座しそうな雰囲気で謝ろうとしないで~!手伝ってもらってるのは私だから~!」
「大変申し訳ない…。」
「い、いや全然大丈夫だってぇ…。まったくもう…かーくは直ぐ謝るんだから…。…前に購入したところはここから遠いから行けないけど、実はここの近くでも、一応広町的にここかなって店はあるんだよね。」
あ、そっか。
別に広町さん、「今探している」って言ってただけで、別に当てがないって言ってた訳じゃ無いじゃん。
とんだ早とちりをしてしまった。
「そ、そうなんですか?」
「うん。前にも似たようなことがあって、そのときに探すのを手伝ってくれた先輩から教えて貰った駄菓子屋があるんだ~。だから一旦、そのお店に行ってみても良い?」
「…全然大丈夫ですよ!ほら、い、行きましょう!」
「…なんかテンションおかしくない?」
「気のせいです。行きましょう。」
別にさっきの僕の謎の積極性をかき消したいからハイテンションで塗り替えようとしている訳ではない。
決して。
ただ、例のお菓子を僕は一回も見たことがないからなぁ…広町さんの言っている駄菓子屋さんにも恐らくは…。
みたいなことを考えながら、広町さんと共に件の駄菓子屋さんを目指す。
そして。
ありました。
私が今居るのは、広町さんの言っていた、キャンディばあちゃんという名物おばあちゃんがいる駄菓子屋。
見るからにお菓子の種類が豊富で、お菓子好きには大変良いお店だと僕は思います。僕はお菓子好きって訳じゃないけど。
そしてなにより、
いやなんであるの?え、マジで僕がこのお菓子を知らないだけって可能性が浮上してて怖いんだけど。
駄菓子屋には置いてあるものなのかな。
「…ありましたね。」
「ほら~かーくん!やっぱりこのお菓子、有名なんだよ~。」
例のお菓子が置いてある棚の前で、今日一嬉しそうな表情をした広町さんが、「ほらほら~」とでも言いたげに僕の方に指先をくるくるとさせながら僕に言ってくる。
うわなにこれこんなことあるのか。
くや…しい…?わけではないが、ちょっと僕複雑。もっと見つからないと思ってたのに。
「そーゆーことになり…ますね、はい。」
「ふふ~。ま、あって良かったよ~。じゃあとりあえずこれを~…あるだけ全部買おうかな~。」
「え。」
え。
「えってなになに、どうしたのかーくん、そんな、人のことを信じられないよう目で見て。」
「あの、だってこれ10個入りの箱×4くらいありますけど。定価250円ですけど。マジですか。」
「マジマジ、大マジだよ~。だって買わないとおまけは分からないんだよ~?このお菓子。」
「いやまあそうなんですけども。これ計1万円の出費ですけど、大丈夫ですか?広町さん。1万円あれば一生遊んで暮らせますよ?」
ちなみに1万円における現実を見させられたのは高校生に入ってから。
決して少ない訳じゃないけど、そんなに余裕がある訳じゃないって気付くよね。
「いや1万円を一生遊んで暮らせると思ってるのは小学生までだよかーくん…。今までも結構このお菓子につぎ込んでるし、この出費は痛い…けど、これもコンプリートのため…やむを得ないんだ…。」
そういって広町さんは、悲しみに満ちた表情をしながら財布から1万円を取り出す。
そして、悲しみに満ちた1万円と、
僕と広町さんは肩を落としながら駄菓子屋を出る。
手元には、もはやどこの城かも分からないお城のフィギュアを40個ほど詰めた袋。
流石にこんな物量の袋を広町さんに持たせておくのは気が引けたので、僕が願い出て持っているのが現状。
そう。
40個も買ったのに無かったのである。事前に見せて貰った
「…出なかったですねぇ…広町さん…。」
「そうだねかーくん…。私の当てがあったのも、ここらへんだとこの駄菓子屋さんだけだし…うぅ、もう諦めるしかないのかな…。」
そう言った広町さんの表情はもう、どんよりとしていて、
この表情は、決して広町さんの
そして何より、このお菓子がどこに売っているかは自分には分からないけど、悲しげな表情をしている広町さんは見たくないなって、そう思う。
だって僕は、広町さんの共犯者なのだから。
決してこんなこと、彼女には言えないけれど。
…ここの近くには、コンビニが3つくらいあったかな。この商店街に他に売ってそうなお店があるか…は分からないけど、そこから更に先にショッピングモールもあるか。ここからはちょっと遠いし、最終手段だけど。
「…いや、まだ諦めるのは早いですよ、広町さん。」
「かーくん…?」
「まだ夕日も沈んでいないような時間なんです、まだまだ僕も付き合いますから、一緒に探しましょ?」
「…どうしてそんなに、付き合ってくれるの?私の個人的な趣味なのに…。」
「広町さんにはいつもお世話になってますから。ほら、とりあえず近くにコンビニありますし、行きますよ!」
「え、あ、待ってよかーくん~!」
そういって僕は、お城40個入りの袋を片手に持ちながら、広町さんを連れて、少しだけ早い速度で歩き出す。
1件目であったのだ。多分、どこでもこのお菓子は売っているのだろう。
目指すは、完全コンプリートへの道だ。
★2件目 駄菓子屋からいちばん近いコンビニ
「…無いねぇ~。」
「…無いですね。」
「このコンビニ、前に探したときもお目当てのお菓子が無かったから、あんまりお菓子を置いていないのかも…?」
成果:0。
余談だが、このコンビニには広町さんと交流がある先輩たちがアルバイトをしているらしい。
今日は居なかったけど。
★3件目 シエラレオネの国旗に似ているコンビニ
「…ここにも無いねぇ…。」
「コンビニにはあんまり売っていない…とかですかね。ちなみに広町さん、このお菓子ってコンビニで買った記憶ってあります?」
「確か、2個か3個はコンビニで買ったと思うけど…。うーん…どこのコンビニかは覚えてないかな~…。」
「そうですか…。なら、近くにもう1件だけコンビニがあるので、そこに行きましょうか。もし無かったらお店の趣向を変えてみましょう。」
「オッケーだよ~。」
成果:0。
レジの横にあるチキンが少しだけ食べたくなった。
★4件目 毎日の山崎さん的なコンビニ
「…無いねぇ。」
「コンビニにはもう売っていないのかも…?ちょっとお店の種類を変えてみましょう。」
成果:0。
アイスコーナーにある31的なアイスが特徴。
★5件目 いちばん近くのスーパー
「…無い。」
成果:0。
★6件目 歴史がありそうな和菓子屋
成果:0。
★7件目 とりあえず入ってみた雑貨屋
成果:0。
:
:
:
★n件目 ショッピングモール
「…もう日が暮れちゃいましたね。」
「そうだね~。…ここのお菓子さんを最後にしよっか。もう時間も遅いし…。」
ショッピングモールに入り、モール内にあるお菓子屋さんを目指しながら、僕がこぼした言葉に対して携帯を見ながら広町さんは言う。
僕もそれにつられて、左手に付けている腕時計を見てみると、針が示していたのは8という数字の近辺。
勿論午前な訳もなく、時刻は20時を少し過ぎた頃。
バイトが終わったのが13時頃なので、僕たちは約7時間もこの町を彷徨っていたことになる。
その間訪れた店舗は数知れず。最初の方は数えていたのだが、途中から数えるのをやめてしまった。
ただし、約7時間の成果は0。まさか1つもないとは夢にも思わなかった。
右手で持つ袋の重量は、時間がたつたびに増えているというのに。いや増えてる訳ないけど。疲れてるだけですねはい。
ともかく、苦難の末辿り着いた最果ての地が、このショッピングモール内にあるお菓子屋さんなのだ。
だがこんな時間だからか、ショッピングモール内の人の数は疎らで、いつもよりも寂しい印象を受ける。
実際、ここから見える景色も、1つ上の階にツインテールの女の子が1人、こっちを見ている…ような錯覚をするくらい、誰もいない。人が少ないとき、1人でも他人がいるとこちらを見ているような気にならない?僕はなる。
まぁそんな雰囲気もあってか、満身創痍の僕たちの間の空気も、ほんの少しだけ重いような気もする。
「ここですね。…ありますように…!」
「お願い…せめてお菓子だけでも…!」
目標としていたお菓子屋さんに着き、2人で祈りながら店の中へと入る。
時刻的にもこれが多分、ラストチャンス…頼む…!
そう願いながら、2人で手分けして店内を探しまわる。
すると。
「あった…!あったよかーくん!」
少し重かった僕たちの空気をかき消すような、そんな声で広町さんは、お宝を見つけたような表情で僕を手招く。
広町さんの手招きに応じてそこへ向かうと、広町さんの前にある棚に、
…あった!約6時間ぶりだね!本当に会いたかったよ!
良かったぁ…。
「やった…ありましたね!あとはこの中にあるかどうか…。」
「うん…そうだね。ま、とりあえず買ってくるよ~。」
そんなことを言いながら、広町さんはレジへ向かい会計を済ませる。
その後、流石に店の中で商品を開ける訳にもいかないので、店を出て近くのベンチへと2人で腰を下ろす。
「じゃあ…開けるよ、かーくん。」
「は、はい…!」
僕の隣で恐る恐る1つ目の袋を開封していく広町さん。
見てる側からしても緊張しているのが分かり、ただ見ているだけの僕も緊張してくる。
「どうかな〜??………あぁ、これは名古屋城だねぇ…ハズレだぁ〜。」
1つ目、外れ。
「これは……?…
2つ目、外れ。
「お願い…!!………
3つ目、外れ。
残り2袋。泣いても笑ってもこの2つが最後。
ヤバい、見ているだけなのに緊張してきた。
そんなことを考えながら眺めようとしていると、広町さんが僕に対して話しかけてくる。
「ねぇ、かーくん…最後の2袋なんだけどさ、片方の袋はかーくんがあげてくれないかな…?」
「僕が…片方の袋を…ですか?」
「うん。やっぱり、休日の貴重な午後を私の我儘に付き合ってくれたかーくんと、最後は一緒に気持ちを分かち合いたいなって、…駄目、かな?」
「…いえ、全然駄目な訳がないです。むしろ、残り2袋しかない貴重な袋を僕に任せてくれて、良いんですか?って感じです。」
「そんなに重く受け止めなくて良いのに〜…まぁかーくんらしいけどね。じゃあ、一緒に開けよっか。」
そう言って、広町さんは僕に1袋渡してくる。
渡された袋に当たってくれよと、決して口には出さずに語りかけた後。
僕と広町さんは
「じゃあ行くよ〜かーくん…。せーの!」
掛け声に合わせて袋を開けた。
…どうだ?
袋を開けて見えてきたのは、荘厳な山?みたいな城。
ただ、僕には城の知識が無いため、とりあえずと広町さんの方を見る。
「…私の方は外れだね。
悲しげな表情でそう言いながら、広町さんは春日山城と呼ばれたフィギュアを僕に見せてくる。
これが春日山城らしい。…どこの城ですか??
ただ、手元にあるものと似ているような気も。
「そうですか…。…ちなみに僕はこれでした。」
僕の手元にあるフィギュアを広町さんに見せる。
…外れかなぁ…。
だが広町さんの反応は
「…!!!か、かーくん!!それ、
「…え!?ほ、本当ですか!?」
「うん…!こことここに特徴があってそれが…やっぱり一致してる!!!当たったんだよかーくん!!!」
そう言って、広町さんは僕の手を掴んでブンブン振ってくるなど、過去一嬉しそうな表情が返ってきた。
やっぱり距離感近いなぁと、広町さんに手を好き勝手振り回されながら思いながらも、こんなにニコニコしている広町さんは初めて見るもので。
とても素敵な笑顔だなと、純粋にそう感じた。
「かーくん…!本当にありがとう…!」
「いえいえそんな…僕なんか、ただ一緒にいただけで…でも本当に良かったです…!」
「それだからこそだよ〜!…嬉しい!」
僕に感謝を述べたあとも広町さんは見るからにご機嫌で、僕がずっと持っていたお城40個入り袋もそのまま貰ってしまった。
いや、本当は固辞していたのだが、ハイテンション広町さんの話術の前に僕は見事敗北、無事お持ち帰りという形になったのだ。
ただ、広町さんの役に少しでも立ったのならば本当に良かったと、僕はホッとしながら、広町さんと別れ帰路に着いた。
迫りくる足の痛み(筋肉痛)に嘘をつきながら。
今回は、広町さんと主人公くんのデート回でした。
どっちもまだそのように認識出来てませんけど。
ちなみにお城のお菓子はここ2話用のものなので、次回以降は出てこないのでご安心を。
次回はいよいよモニカのメンバーが出ます!
※誤字報告・感想・評価お待ちしてます!(定型文)