キミの普通はこんなにも輝いて   作:Blue Aome

7 / 15
週1.2投稿のペースを守るといった直後に破ってしまって申し訳ない。
今週からまたペースを戻すので許してください(土下座)。

ただ、この作品に☆9評価を付けてくださった方がいるようで…本当にありがとうございます!まだまだ物語も序盤ですが、物凄く励みになりました!感謝です!


Ep.7 勉強会

 「お、おじゃましまーす…。」

 「ど、どうぞ……?」

 

 翌日、学校も終わった放課後。

 勉強会当日だ。

 周りをキョロキョロと見回しながら、恐る恐る我が家(ウチ)へと上がる広町さんの姿があった。

 それを玄関で出迎える僕も、勿論いつも以上に緊張していて。

 

 …だたでさえ、我が家(ウチ)に上がったことがあるのは我が身ただ1つだけだというのに。

 よりにもよって、始めて上がるのが女の子(広町さん)になるなんて。人生って摩訶不思議。

 昨日のバイト終わりに、広町さんとノリで勉強会の場所を我が家にセッティングしてしまったヤツの甘さを呪いたい気分だ。

 まあ決めたの俺なんだけどね。

 「折角我が家(ウチ)はバイト先からも近いんだし、広町さんが行きやすい方が良いよね~」と、あまーく考えた結果の産物である。考えが甘い、甘すぎる。左打者には左投手をぶつけておけば良いという考えくらい甘い。左打者だからって左投手が苦手だと思うなよ。なんか野球の例え多いな。

 

 そんな感じで昨日の自分への文句を頭の中でたれながら、ひとまず広町さんを部屋へと案内し、勉強会用にと出しておいた折り畳み式机の前に座らせ、その机を挟んで反対側に僕も座る。

 ちなみに我が家の間取りは典型的なワンルーム。

 部屋の中には、廊下から見て左の壁際にベット、右の壁際に勉強机が置いてあり、その間のスペースに折り畳み式机がちょこんと置かれただけの、何の面白味のない、シンプルで無機質な部屋だ。

 ただ、所詮はワンルーム。

 とても部屋の中は大きいとは言えず、ここに女の子と二人っきり。自分の鼓動がいつもより少し早いことを否応なしに自覚させられる。

 ただ、目の前の女の子(広町さん)は部屋の中を興味深そうに見回していること以外はいつもと変わらぬ様子。やっぱり慣れてるのかな。

 

 「…かーくんの部屋、()()が少なくない…?それともこれくらいが普通なのかな…?」

 「僕があんまり()()を置きたがらないっていうのもあるかもです。引っ越してからも、あんまり何かを買うってことをしてこなかったので…。」

 「実家にいるときからそうなの~?」

 「…実家にいるときはもう少しあったとは思いますが…こっちに持ってくることは無いですね。」

 

 確かに、実家に帰ればもう少し()()はあるだろうし、父や母に買って貰ったスポーツ用品や本をこっちに持ってくることはできるだろう。

 ただ、それはできない。まだ、したくない。

 

 「…?そうなんだ……って危ない危ない。勉強を教えに来たってことを忘れるところだったよ~。かーくん、どこらへんが分からないの~?」

 「えっとですね…」

 

 僕は、あらかじめ机の上に出しておいた数学Ⅱのテキストのページをペラペラとめくり、「恒等式(こうとうしき)」と記されたページを机の上に広げ、向かい側に座る広町さんへと見せる。

 

 「ここの恒等式ってところがいまいち理解できてなくて…その前の分野の、整式の割り算はなんとなく理解はできるんですけど…。」

 「ふむふむ…恒等式ねえ…。そしたらかーくん、試しにここの問題解いて見てくれる~?」

 「ここの問1ですか?分かりました…。」

 

 広町さんに言われるがまま、とりあえず指定された問題をノートに解いてみる。

 向かい側に座る広町さんがジッとこちらを見ている気もするが、こちらは気にしないふり。

 というか広町さんはさっき一回だけ問題に目を通しただけだけど、解かなくて良いのかな。もう解き終わったとか?んなまさか~。恒等式は暗算でできるほど甘いものではない!

 

 …等式 a(x-1)²+b(x-1)+c=x²+1 がxについての恒等式となるように、定数a,b,cの値を求めよ…何をいってるんだろうこの子は。なんかxに代入して求めるのは覚えているんだけど…。

 

 「広町さん、ここなんですけど…ここってどういう原理でXに値を代入するんでしたっけ…?」

 「えっとぉ…そこはねぇ…。」

 

 広町さんは僕のノートを確認しようとする。

 ただ、向かい側に座る広町さんが、僕の手元にあるノートを確認しようとすれば、自ずとこちら側へ身を乗り出す体勢になるわけで。

 …非常に目に毒だ。その…色々と見えそうで良くない。

 いやいやいや、広町さんが教えて折角教えようとしてくれてるのに、何を考えているんだ僕は。煩悩は、良くない!

 

 「…ここはねぇ~代入するやり方もあるんだけど…ほらここ、これを展開するとx²,x,それ以外の3つに分けられるでしょ?これをそれぞれ等式にして解けば…ほら、こっちの方が簡単じゃない~?」

 「ごめんなさい広町さん何言ってるか全く分かんなかったです。」

 

 あといつ解いたの?恒等式は暗算でできるものなのか。

 

 「あ、あれ?このやり方()()じゃないのかな…。」

 「あーいや違います僕の理解力が無いだけです!」

 「そんな自信満々に言わないでよかーくん…まぁとりあえず、かーくんが言ってた代入の方でもやってみよっか~。」

 「…そもそも2つ解き方があるんですね。」

 「え、もしかしてそこから…?」

 「ノート取るだけで手一杯で授業理解できてなくてすみません…。()()はできるんだろうなぁ…」

 「ああいやかーくんを攻めてる訳じゃないから~!」

 

 そんな感じで、広町さんに僕のアホさ加減を存分に披露しながら、勉強会は続く。

 ふと机の上に置いた時計を見ると、まだ時計の針は17:00を回った頃。

 広町さんを長く拘束しては非常に申し訳ない。なるべく早く終わらせなけれは。

 …恒等式の解き方が複数あることを、今知ったばかりだけど。僕頑張るよすごく。マジで。

 

 

 

 

____

 

 

 

 

 

 かーくんに一通り恒等式の解き方を教えて、あとは解き終わるのを待つだけ。

 恒等式の解き方が2つあることに驚いていたときは、どうなるかと思ったけど…かーくんの授業用ノートにも、きちんと2つの解法がこれでもかというくらい綺麗に記されてあって、ただ単純に2パターンあるってことを認識できていなかっただけみたいだった。正直ちょっと安心。

 

 そんな彼が、私の向かい側で今も必死に勉強している姿を見ると…なんていうか、見ていて応援したくなるよね~って思う。これは別に勉強に限ったことじゃないけど、なんとなく応援したいって思えるのがかーくんの魅力なんだろう。

 私は普段、男の子と積極的には話そうとは思わないし、今後も多分そう思うことは無いと思うけど…なぜかかーくんには、すっごく興味が湧いた。だからこそ、かーくんと会ったあの日の帰り道、声をかけたんだと思う。()()を目指すことを共感してくれそうってことも勿論あったけど、何より私が彼に興味を惹かれていたんだろうなって、今ならそう思うかも。

 だからこそ、出来ることならもう少し仲良くなりたいなって、そう思ってる。ほら、かーくんまだ敬語だし。ちょっと寂しいかな。

 

 あと、かーくんのお家に上がってから気付いたけど…私、男の子の家なんて上がるの始めてだ。

 何食わぬ顔を装ってはいるけど…正直ずっと緊張しっぱなしで。

 今もかーくんは目の前で勉強と向き合っているというのに、私の鼓動はいつもより少し早い。だって、男の子と男の子の家で2人っきりだよ?そんな経験したことない。

 なんであのときの私はかーくんの家で良いかぁ~って思ってしまったのだろう。広町、一生の不覚。手持ち無沙汰になった今になってつくづく実感する。

 かーくんはこういうの慣れているのかな…?緊張しているの、バレてないかな…?

 

 そんなことを考えながら、暇なのでかーくんの部屋を一通り見渡してみる。ちなみにかーくん曰く、部屋の中は特に見られて困るものはないとのこと。

 まぁかーくんの部屋はなんていうか…今見渡しても、そもそもとしてミニマリストの部屋のように物が少ない。あんまり男の子の部屋って感じはしないかな。他の男の子の部屋なんて入ったことないけど。

 たださっき、実家から荷物を持ってこないの?って話をしているときに、心なしか、かーくんの表情が辛そうだったような…?

 それに少し引っ掛かりを覚えながら、かーくんが解き終わるのを待つ。

 彼のことを、私はもっと知りたい。まだまだ知らないことばかりだ。そのためには、もう少しだけ積極的に動いても良いのかもしれない。

 

 

 

 

____

 

 

 

 

 

 「…これで範囲はすべて終わりだね~。お疲れ様、かーくん。」

 

 時刻は19:30頃。

 なるべく早く終わらせるという意気込みは何処へやら。もうこんな時間になってしまった。

 この長い間、広町さんは僕に丁寧に教えてくれたので、明日の再テストは大丈夫だろうという自信はめちゃくちゃある。時々広町さんの煌めくセンスと僕のファンタジックなセンスが絡み合うことでお互いにはてなマークを浮かべることはあったが。

 だからこそ、広町さんには何かしらのお礼をしなければ。

 

 「こんな長い時間ありがとうございました、広町さん。16:30過ぎに始めたので…もう3時間も経っちゃいました…申し訳ないです…。」

 「全然気にしなくて良いよ~かーくん。私がやりたいって言ったことだし~。」

 「そうですけど…。あ、あと、今日のお礼もさせてほしいです。僕に出来ることなんてたかが知れてますが…何かあれば何でも是非。」

 「それも全然気にしなくていいのに~……。あ、それだったらさ、かーくん。1つお願いがあるんだけど…良いかな?」

 

 なんだろう。何をお願いされるんだろう僕。

 なんかちょっと、広町さんニヤニヤしてるんだけど。海に投げ捨てられるとか?ヤ〇ザ映画みたいに。

 

 「良いですけど…なんですか…?」

 「それはねぇ~。…かーくん、私に敬語使うの禁止!っていうのはどうかな~?」

 「敬語…禁止…ですか?」

 

 思いもよらないものが飛んできた。け、敬語禁止かぁ…。

 

 「そうそう~。だって私たち、同級生だよ~?片方がタメ口でもう片方が敬語ってさ、ちょっとバランス悪くない?」

 「た、確かにそうですけど…。」

 「それにさかーくん、私たち共犯者なんだよね?相方に敬語使われるの、広町的にちょっと嫌だな~。」

 「そう…ですかね…?」

 「そうだよ~。…じゃあ早速!今からタメ口で行ってみよ~!」

 

 ニコニコ笑顔の広町さんの圧倒的な圧に見事に屈しそうな僕。「お願い聞いてくれるんだよね?」っていう圧がすごぉい。

 …タメ口なんていつ以来だろう。それこそ中学以降は誰に対してもずっと敬語だった記憶がある。時々崩れることはあっても、基本は敬語。誰に対しても一線を引いてしまう、みたいな。そんな感じ。

 ただ、広町さんの願いだし…それに、これも良い機会なのかもしれない。

 むしろ、広町さん相手にも敬語だったら、僕はそれこそ一生タメ口を使うこともないような気もするし。頑張ってみるか。

 

 「…こんな感じで良い?広町さん。」

 

 お、我ながらタメ口誕生の産声としては上出来ではないか?

 

 「良い感じ…だけど、広町さんって言うのも禁止ね~。」

 「え。」

 「さん付けでタメ口はむしろなんていうか…チグハグになっちゃわない~?」

 「た、確かに。」

 

 全然上出来じゃなかったわ。

 確かにタメ口でさん付けなのもおかしな話だ。

 いやでもなんて呼ぶのが正解だ…?広町…?いやでも苗字呼び捨てはなんか嫌だしな…。七深さん…はさん付けの極みだし…となると…。

 

 「じゃあ七深……こんな感じ…かな?」

 「…!そ、そんな感じだよ~!…いきなり名前呼びされたからビックリしちゃった…。

 「?な、ならこれでいきま……いくね。まだちょっと…慣れる気は全然しないけど。」

 「最初はみんな、きっとそんな感じだから大丈夫だよ~。…かーくんのタメ口、思ったよりも火力高いな…広町想定外かも…。

 「どうかしm…した?な、七深?」

 「う、ううん。何でもないよ~。」

 

 こうして、最後に急展開こそあったものの、勉強会は無事終わりを告げた。

 ちなみに翌日の再テストも無事通過。本当に広町s…七深には感謝してもしきれない。

 ただ、タメ口だけはその…まだ一向に慣れる気はしないな。

 あとなぜか、名前で呼んだ後の広町さん、少しいつもよりもあたふたしてたような気もする…けど。まぁ気のせいか。




高校数学ってたまにマジでノリで解いてる子っていますよね。バンドリキャラだと日菜ちゃんとか…?
七深さんも似たような感じだとは思うんですけど、説明をしようと思えば一応出来るのが七深さんで、出来ないのが日菜ちゃんって印象。るんっ♪ってしてきましたね。そのうち日菜ちゃんも出したいな。

次は頭からモニカ回になります!
※誤字報告・感想・評価お待ちしてます!(定型文)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。