ちなみにこのお話は雷斗の前世のお話です。
……なんでこうなったんだろうな展開があります(たぶん)
(??side)
「そういえば雷斗くんの前世ってあんまり聞いてなかったよね」
唐突に呟く今年十七歳の少女、高町なのはは雷斗試作品のクッキーを含みながら呟く。
ここにいるメンバーはアリサ、すずか、フェイト、はやて、まどか、さやか、ほむらのメンバーである。
杏子とソラは海へフィッシングしに行ってる上に他のメンバーもそれぞれ用事のためいない。そのため、実質女子会のような構成になったのだ。
「雷斗くんの前世かぁ……。神威くんの師匠ってだけでノエルさんに関して全く知らないよね」
「せやね。まぁ、元からあんまり自分のことを話したがろうしない人やし」
秘密の多い男にすずかは嘆息を吐く。彼女と雷斗は(既成事実の)婚約関係である。後、一年すれば結婚する予定らしい。
そして士郎さんから店の名前を引き継いでどこかに『翠屋二号店』を建築するらしい。
ちなみに候補にミッドタウンも含まれているため、次元世界を越えることも辞さないらしい。
「でも気にすることじゃないかしら。彼、後ろめたいこととかしてなさそうだし」
「ノーなのアリサちゃん! 秘密の多い男ほど、女の影が多いの! もしかしたら元カノがいるかもしれないじゃん! 前にお父さんが知らない女の人と出会っていたもん!」
『しーろーさん?』
『ご、誤解だ! 私は桃子ひとすじ――にぎゃァァァァァ!ー』
「……ねぇ、厨房から士郎さんの悲鳴が聞こえたのだけど?」
「良いBGMだよね。最近、男の人のスクリームが楽しいんだ♪」
「まさに外道じゃない……」
手で顔を覆い、呆れるアリサ。彼女の被害によく遭うアオに哀れとしか言いようがない。
「元カノいるのかな……」
「そらおるやろ。あんなイケメンやし。仮に前世がイケメンやなくても一人や二人くらいおってもおかしくないで」
「うー……気になるー」
「なんなら聞かせてやろーか?」
注文したケーキを持ってきた雷斗が女子会メンバーに言った。
「休憩なの?」
「まーな。今、客足ねー時間帯だし。何よりこれから桃子さんが旦那を袋叩きするらしいから休憩していいだとさ」
「うん。とりあえず士郎さん御愁傷様」
袋叩きされる士郎さんに南無。と合掌するメンバーに雷斗は「やれやれ」と呟いて席につく。
一緒にトレイに載せていたコーヒーをそれぞれに置いてから座る。
「んじゃ、何から話そうか」
「えっと、じゃあ。ノエルさんの馴れ初め……かな」
「それを聞くのかフェイト。まあいい。お前らも絶対に驚くことは確実だし」
?と頭にマークを載せる女子メンバーに気にせず続けて雷斗は、
少年は忌み子だった。
その地域には『神器』という力があまり知られていない田舎の村だった。
得体の知れない少年の力に誰もが恐怖し、近づこうとしなかった。少年には親はいない。幼い頃にいたという記憶はあるが、ある日を境に捨てられたらしい。
少年の生活はサバイバルだった。野うさぎ、野イノシシなどや木の実を食べて暮らす。服は汚いのはもちろん肌がとても汚れていた。
それもあってか、子どもは少年を汚物と馬鹿にしてくる。まあ、少年にとってはどうでもいい存在だったから気にはしなかった。
少年の世界は色がないものだった。
自分はなんのために生きているのか。
どうしてここにいるのか。
自分にとって『自分』はなんなのか。
わからないことだらけで、少年の視界はいつしか世界から色素が抜けたものになっていた。
少年はいつしか考えることもやめようとした――――そんなある日だ。
一人の少女が話しかけてきた。「ねぇ、キミ。何をしいるの?」と。
少年は「何も……」と答えると、少女は「ふーん」と言って隣に座ってきた。
わけのわからない少女だ。自分になぜ近づいてきたのか。
大人と子どもの中には、少年に憂さ晴らしとして暴力が振るわれようとしたことがあった。少年は抵抗として自身の力を見せつけてやると、股を濡らして逃げていった。
その影響があって余計に誰も近づかなくなったようだが、この少女はなぜか自分に近づいてきた。
自分のことを聞いていない子どもなのだろうか。もしかすると余所者かもしれない。
「……俺に近づくな」
「どうして?」
「俺が忌み子だから」
「どうして忌み子なの?」
「……こんな力があるからさ」
手に電気を流す。バチチチと帯電したそれを見た少女はギョッとして目を丸くした。これを見た子どもは誰も近づくことがなくなった。
だからこの少女も……と少年は思っていると。
「ふぉぉぉ! スゴい。スゴーい!!」
「…………」
目を輝かせて肩を揺すってくる。……このとき彼は失敗した。彼女の好奇心――新しいものに向ける探求心――は恐怖など意味をなさないことを。
とまあ、これがライトとノエルの出会い。始まりは一人の少女の好奇心からだった――――
少年ライトは成長し、大人に近づいた年齢になった。背は高くなり、顔立ちは整って、見るからに女受けしやすい容姿をしていた。
そんな彼の変化は身体だけではなかった。周囲の様子だ。前は彼の力に怯え、忌避していたがある少女が原因で気軽に話しかけてくるようになった。
彼女――ノエル――が彼と遊ぶようになり、連れ回していくうちに彼に対する恐れがなくなったのだ。ノエルの態度はまあ、年下の弟を可愛がるお姉ちゃんぶりたいお子様なわけで、ライトの生意気な態度をいつも優しく叱っていた。
……そんなライトの今の日常は嘆息の毎日である。それもある少女が原因で止まらない。
その少女はライトがイノシシを背負って、村へ帰ってきたときやってきた。
「ラーイトッ」
「見えた!」
スカッ。ドシャー!
ノエルがヘッドスライディングして目を潤ませながらライトを睨む。
「なんで避けるの!? お姉ちゃん系美少女の抱擁は受け止めるものでしょ!」
「服が汚れるだろーが。汚れて洗濯するのはいつも俺だろーが」
「……エヘ♪」
「おいコラ。そのテヘペロして誤魔化すなゴルァ」
下着を洗わされることもあったし、ノエルは家事をあまり手伝わない。畑仕事で忙しいのはもちろんなのだが、何より無頓着なのだ。
(……つーか、コイツ。年々胸が大きくなってねーか?)
「ライトからイヤらしい視線! これは……お乳? きゃー、パイパイ星人よ。パイパイ星人がいるよー!」
「誤解を招くこと言うな! つーか、女の子が下品なこと言うな!」
「ならおっぱいでどうよー!!」
「ストレート過ぎるわ!」
美少女となったノエルなのだが、中身は活発でなんか残念だ。しかし、その元気さで周りの大人や子ども達を活気にさせていたりする。
彼と彼女のやり取りは相変わらずで、もはや夫婦漫才と言ってもよかった。
そんな、なんとも微笑ましい光景はいつまでも続くと思っていた。
ある日のことだ。
「旅に出ようと思うんだ」
「え、なんで?」
お昼頃にサンドイッチを方張っていたノエルの手が止まる。
「なんかここにきた旅人がいたじゃん。その人の話を聞く限り俺みたいなヤツらがチラホラいるみたいなんだ」
「ライトみたいなのが?」
「まあな。んで、そいつらに会ってみたいって思ったんだ。この力がなんなのか、なんのためにあるのか」
チラッとノエルの顔を窺うと少し暗い。ライトがいなくなる。いつも一緒にいて、姉と弟のようで、悪友のような彼がいなくなる。
そう思うと胸がチクチクして切なくなるノエルだが、すぐに切り換えて。
「そっか。なら、祝福しなきゃ。ライトが目指すべき、ううん。キミが望むモノが見えてきたことを、ね♪」
ノエルは元気に笑って言った。
ライトもまた彼女の泣きそうな笑顔が少し心苦しかった。彼女に引き止めてほしい気持ちがあったが、ライトにとってこの力を知りたいという気持ちが勝っていた。
そしてライトが村を出るとき、ノエルは彼を見送ろうと村の出入口に待っていた。
「またここに来てよね! 必ず帰ってきてよね!」
「はいはい。だから落ち着けって……」
「むぅ……お姉ちゃんに対する態度がひどーい」
「お前は姉というより妹だろ」
「なんだとー! 生意気な弟にはこうだー!」
「うわっ。離せ!」
顔を抱き締めて髪をめちゃくちゃにするノエル。ライトは嫌そうな行動をしながらもどこか嬉しそうな表情をしていた。
「ノエル……もしさ。また会えたら」
「んー? どしたの? ボソボソと」
「いや……なんでもねーよ。これやるから」
彼は花柄のヘアピンを渡した。御守りだと言って彼女に「じゃあな」と手を振る。
この想いはまたいつか会えたら。ライトは胸に閉じ込めて、ノエルから離れる。
ノエルに手を大きく振られながら見送られ、彼は前へ進む。
(……じゃあな初恋。もし、再会しても独り身だったらそのときは……)
フッと笑って彼はノエルと歩む未来を夢想する。そんな普通の未来もいいなと思いながら、森の中を歩む。
――――そう、彼はノエルを普通の幸せにさせるならば連れていくべきだった
――――彼女の残酷な未来を知ることなく、彼は別れてしまった
物語はこうして悲劇で災厄へと変化する――――
「という感じで後半に続く」
「後半!?」
と言いながらポットのコーヒーを入れ換えに彼は立ち上がるのだった。
女子メンバー: 乙女――――なのか? 特になのはとフェイトは魔改造によって女子力の欠片がないよう――――(グシャッ)
翠屋二号店: 管理局内世界のどこかに設置予定。雷斗のパテシエ力もだんだん着いてきたため、自分はお店を持つことが実現された
ライト: 前世の雷斗。ものすごく廃れた雰囲気だった
ノエル: 好奇心旺盛な活発世話焼き幼馴染み。普通の人生を過ごしていたら、普通に元気な女性になっていたかも……な後に起きた事件で彼女の人生は狂い出す……。