とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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(変更点)

・魔法マジ便利
・変わらない何か。


第十三話 英雄と魔女

 

 

 

 痛みがあった。

 悲しみがあった。

 

 オレ達が歩む道は誰もが悲しみ苦しんだ。それでも生きようと思ったのは、そんな人生でも楽しみや嬉しさがあったからだ。

 青年の頃――十四歳の頃ではそういうことが少なくなったけど、友達ができ、喧嘩し合って、そして馬鹿やって笑い合った。

 

 ……もうそういう友達はいない。みんな死んだり、どこかへ別れて旅立った。

 アルスもその中の一人だ。初恋の人――幼馴染みの女性に裏切られる悲劇を迎えた。

 

 悲しい結末がある――――それは当たり前のことなんだ。

 

 

 何が言いたいかって? それは目の前で泣いてるフェイトの母親が原因である。

 

「汚された…………汚されちゃったよう…………アリシア…………」

 

 おばさんのコスプレ劇場が終わり、千香はホクホクと満足した表情をしていた。

 プレシアさん、三角座りでマジ泣きしているし、カオスな現場になってしまったのでオレは流れを変えるために口を開いた。

 

「いい加減に立ち直ってください露出女」

「あなた達、私をそんなにいじめて楽しいの!?」

 

 涙目でなぜか怒られたし。解せぬ。

 

「んで、オレ達になんの用か説明してくれ。さもなければこの写真を管理局に送りつける」

「やめて! ホントお願い!」

 

 さすがにこの写真をばらまかれたくないので、プレシアさんは金髪少女を部屋に戻してから話を始めた。

 

 大切な娘を蘇らせるためにクローン造って、ジュエルシードを集めてアルハザードに行こうとしていたが、オレ達の力を知り、娘を蘇らせる神器はないか聞いてきた。

 

「可能と言えば可能だ。だけどたぶん無理だ」

「どうしてよ!?」

 

 納得してないプレシアさんにオレは説明することにした。

 

「この世界――いやこことは全く歴史が異なる世界があるのはわかるか?」

「次元世界ってこと?」

「違うとは言えないが更にワンランク上の話になる。まあ端的に言えば、この世界を一つの物語だとする。ほら、本の話は一つ一つ話の流れが違うだろ? オレが言う異世界――つまり例えを出すと一つ一つの物語の世界となる」

 

 そう、そしてそれぞれの世界にはそれぞれのルールが存在する。

 

 人を生き返らせる、過去を改変するなど理を覆すものを禁止したり、容認したりする世界があるがルール通りではないもしくは、反則を行えば、それを阻止する力が発動する。

 

 その名前は『抑止の存在』。審判、世界の断罪者である。

 

 かつてワルプルギスの夜を倒した後、救済の魔女が現れたように、世界がそれを認めないとそいつは現れ、断罪する。

 それは本当にあるとオレの師匠から後から教えられた。

 

「そんな……じゃあアリシアは……」

「絶望することはないさ。これは仕方ないことだから」

 

 あのときオレは神器の力を使って戦ったから『抑止の存在』が動いた。ほむら達と一緒に挑んだがあれは絶対に勝てない相手だ。

 

 負けるのは仕方ない。

 勝てるとしたらまどかのような大量の因果を持ったルール通りの願いかほむらの理を反逆の力のみ。

 

 もうほむらには反逆の力はないが。

 

 絶望したこの人をオレはあまりに不憫にあることを教えることをした。

 

「まあ、あくまで神器による蘇生は無理って話だけど」

「えっ?」

「神器はこの世界のルールでは反則だがアルハザードの技術は反則じゃないつまり蘇生することはできるはずだ」

 

 この世界のルールに乗っ取っての蘇生は問題ない。つまりアルハザードに死者を蘇生させる技術があれば蘇ると思う。まあ蘇生そのものが反則なら不可能だが。

 

 それにアルハザードに行ける事態はオレの神器全てを開く者を使えば可能かもしれない。

 

 だけどオレはあえて教えない(・・・・)ことにした。

 

喜びに声をあげているプレシアを見ていると、まどかが肩をつつく。気づいているのだろう。

 

「どうして? ジュエルシードを使わなくてもソラくんの神器なら」

「……まずプレシアが言ってる場所があるとは限らない。リニスから聞いた話じゃ、おとぎ話とも言われてるしな」

 

 いくら異世界と言えど、空想の世界は無理だ。前にさやかに『青い狸の世界に行きたい』って頼まれたが神器は応えてくれなかったし。

 

「それに……」

「それに?」

 

 これがオレが一番で、プレシアに対して快く思わない理由。

 

 

 

 

 

 

 

「気に入らないから」

 

 

 

 

 どこまでも平坦な答えだ。しかしオレにとってプレシアの理想は気に入らない。

 

 死人を蘇らせる?

 

 ふざけてるとしか言いようがない絵空事だ。ご都合主義は本の中の話で充分だ。

 たとえ死ということを否定することができたとしても、生き返ったそいつは普通からすれば化け物に変わらない。

 

 それにフェイト・テスタロッサを娘と見ず、道具としか見てない彼女の目にムカついた。

 少しだけ自覚しているみたいが、完全と少しでは月とスッポンくらいの差がある。

 

 過去にとらわれ、今を大事にしない人間が未来を、幸せを掴めない。絵空事ばかり見る人間に、オレは快く手を貸さない。

 

「ひどいか?」

「……ううん。ソラくんは怒りはもっともだしね」

 

 かつてオレ達は精一杯生きていた。ほむらなんかは簡単に大切な人が死んでいる光景を目の当たりしてる。

 

 だから気に入らない。気に入らないから教えてやらない。ご都合主義を信じてるこの女に助けることを。

 

オレは聖人君子でもヒーローじゃない。ヒーローという絵空事にはなれないし、なりたくもない。

 

 まどかは無言でオレの手を握り、オレはそれを握り返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 プレシアのジュエルシード集めはリニスに頼まれる形で協力することになった。あくまで友人というためで、ジュエルシードが集まったらおさらばする予定だ。

 

「リニスは残るんだな」

「はい。私の大事な家族ですから」

 

 そう言ってオレ達に別れを告げて、時の庭園に残ってプレシアのお世話をすることになった。少し寂しいが彼女の意思を尊重したくて何も言えなかった。

 

 それからオレと千香は海の上にいた。天気は曇天で雨が降りそうだ。時間をかければここも危なくなる。

 

 オレと千香はフィールド魔法『エアロフィールド』という空気の板を使って空中に立っているだけだ。

 ホントは空に飛びたいが、オレは空中に飛ぶ魔法が苦手だし、千香も陸上でしか戦えない。

 

「そういえば海から拝借したってことは残りも海にあるのか?」

「そうだね。たまたま潜って見つけたんだよ」

「いや潜るって海底までよく息が続いたな……」

「変態に不可能はない!」

「んなわけあるか」

「バレた? いやー神器の力でちょっとね」

 

 大方守る力で酸素ボンベを作って潜ったのだろう。オレと千香は魔法を使って、海の上空で金髪少女が魔法を撃つのを待っていた。

 

 残りのメンバーは時の庭園で優雅にお茶をとって歓声するとか言ってたな。

 ちくせう、まさかジャンケン負けた上に千香と組むことになるなんて。

 

「こんな美少女と一緒にいるのに何が不満なの?」

「ぬかせ変態。お前が美少女だったらカエルは美女だ」

「それひどくない!? あ、でもなんかジュンときた。もっかい言って!」

「この……変態!」

「ハァハァ……いいわ。もっと罵ってちょうだいな!」

「もうやめて。ソラくんのライフはもうゼロよ……」

 

 こいつの変態性が増す中、金髪少女がジュエルシード強制発動成功。んで合体して水龍が出現。

 

 オイ、龍が出現って、初っぱなからハードじゃねぇかい。

 

「でも倒せない……ってことはないでしょ? 化け物殺しの英雄さん♪」

「そだな。んじゃとっと終わらせるか。いつも通り」

 

 オレ達は神器を召喚し、水龍に向けて言った。

 

 変わらない宣言。

 変わらない言葉。

 

 戦場で全てを滅す誓いと決意のある言葉。

 

「精一杯生きただろ?」

「悔いはないでしょ?」

 

「「なら、安心してとっと死ね」」

 

 

 物騒? これがオレ達二人の戦場の頃に言ってた決めセリフだけど、何か?

 

 そんなことを考えながら水龍へ突貫した。

 




アルス: ソラの戦友。幼馴染みを救うために戦争に参加し、その幼馴染みによって殺された。なお、ソラは彼の幼馴染みを調教した元凶をぶち殺している。その日を境に早々と戦いを終わらせるようになり、『無血の死神』と呼ばれるようになった。……ちなみにこの二つ名の他にもう一つあるらしい。

アルハザード: お伽噺話?

『抑止の存在』: こいつがいるからご都合主義が許されない

『エアロフィールド』: 空気の板。足場である。

変わらない言葉、変わらない宣言: 『安心してとっと死ね!!』。怒りと憎しみ、憤怒と憎悪を込めた宣言。戦争時代でこれを言われて生き残った人間は――いない
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