とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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駆け足気味の終了ですみませんm(__)m


第四十八話 化け物な戦士

 

 

 

 地を蹴る。ただ目の前の敵を葬るために。

 神条の背後から黄金の穴から剣やら槍が飛んでくる。『神器』で弾きながら前へ進むことに集中するが、どうやら神条はオレに集中放火し出した。

 前へ進みにくくなった。すると、マミさんが銃撃で剣を撃ち抜いて、弾く。

 

「私がサポートするわ。ソラくんは前へ進むことに集中して!」

 

 マミさんの言葉に頷いて答えて、オレはより神条の近くまで進み続ける。神条は舌打ちをして、穴から立派な剣を引き抜き、斬りかかる。

 

「モブの分際で!」

「モブごときがうるさい」

「なんだと!」

「お前の言葉をそっくりそのまま返しただけだ。何か文句あるのか?」

 

 金属同士のぶつかり合いで、火花が散る。黄金の穴から槍がこちらに向かって生えてきた。

 それを滑らせ、線路が走る音が響く。受け流したオレはその力を利用して、遠心力を使った蹴りを神条の身体に与える。

 

「言われたらムカつくだろ? 人の心を考えず、自分のことしか考えてない言葉だ。お前がいつも言ってることだ」

 

 地面と平行して飛ぶ神条にそう言いながら、追撃するため地を蹴る。

 神条は穴から鎖を飛び出させ、オレを拘束しようとする。

 

「事実だろが! 俺様は主人公だ。思い通りにならないヤツなんていらない。消えてしまえばいい!」

「だからアインスを殺した?」

「ヤツは道具だ! 俺様の言う通りにだけ動ければいい!」

 

 鎖が絡まる腕。好機と見たのか、神条は次に足を縛ろうとする。オレは腕に絡まった鎖をキャンセルして、自由にしてから鎖を回避した。

 

「この世界はこの俺様が中心なのだ! ゆえにモブがしゃりしゃり出て好き勝手に生きるんじゃねぇ!」

 

 自分中心が動く世界。それはまさに神様のような考えではなかろうか?

 

 傲慢で自分勝手。

 

 気に入らなければ無茶苦茶にする。

 つまらなければ面白おかしくする。

 飽きたら何もかも壊す。

 

 自分中心とはまさにこのことだ。そしてそれを無くすルールがある。

 何者かの赴くままに無茶苦茶されることを嫌うゆえに世界は『抑止の存在』を作り出したのではなかろうか。

 

 まあそれはさておき、オレはただ神条の言葉を聞いて返した答えは――――「くだらない」。まさにその一言である。

 

「お前。人生をなんだと思ってやがる!」

 

 神条の顔を殴る。

 

「たった一つの生涯だから、たった一つの生きざまだから、それを満足にして終わらせようとしているだろうが!」

 

 神条の腕を動けないようにする。

 

「そもそも『転生』自体が奇跡なんだ。『転生』して記憶を持つこと自体が最高の奇跡なんだ。それをお前は何をしている? 他人の生涯に干渉して滅茶苦茶にしてるだけじゃねぇか!!」

 

 神条の身体に『神器』をさしこむ。

 

「そんな贅沢に、悪徳まみれたクズヤローが誰かを見下してんじゃねぇ。まず、その考えを改めてから生きやがれ!!」

 

 『封印』してから蹴り飛ばす。神条はもはや立つことしか出来ない。それも弱々しく。

 神条は憎悪を込めた目でオレを睨み付ける。オレは気にせずとどめをさそうとしたとき、神条の背後にいた男に呆然とした。

 

「んなっ……!?」

「なんだ? どうし――――」

 

 神条の言葉はそれで途切れる。ヤツは背後にいた男によって頭をザクロのように潰されたのだ。飛び散る赤い液体に、オレは背後にいる男とその隣にいる少女に言い出す。

 

「なんでお前がここにいる――――サチコ」

『きひ、きひひひひひひひ!』

 

 狂った笑みを浮かべ、ヨシカズをオレに襲わせる。神条と同じ結末を迎えさせようと、ヨシカズのこん棒が振るわれる。もちろん、それを回避し虚空を捉えられたヨシカズに向けて胴体を蹴る。

 なんとも無さそうにヨシカズはジッと黒い目でオレを捉えていた。

 

「なんともないだと?」

 

 おかしい。何かが。普段のオレなら今ので蹴り飛ばせるはずだ。

 なのにヨシカズにはノーダメージだ。

 

 おかしい。さっきから聞こえていた衛達の声が聞こえない。衛が戦っているところに目を向けると、そこには倒れた少年少女達。いやそれだけである敵であるシステムUDも倒れていた。

 苦しそうに。辛そうに。

 

「な、何が……! っあ……!?」

 

 息が詰まる。身体に激痛がはしる。

 ようやく理解した。この世界はサチコによって作り出された異空間だ。つまり、この世界の主であるサチコが異物であるオレ達に何かをした。

 

 バイ菌を殺す白血球のように。

 

(黒い、斑点……。またこれか……!)

 

 おそらく空気感染という形でオレ達に何かをした。そしてオレ達を生きさせないために、斑点が出てきた。

 

「くそ、……こんな、ところで」

 

 視界が狭くなる。力が抜ける。痛みと息苦しさを最後にオレの意識は消えていった。

 

 

 

(??side)

 

 

 

 サチコは狂った子どもだ。悪意と殺意の空間により狂気に支配された哀れな子ども。

 

 サチコは狂喜しながら、これから目の前に倒れた少年をどうするか考えていた。

 

『ヨシカズ、コイツの皮を剥いで人体模型に――――』

 

 と言いかけたとき、ヨシカズの身体が弾けとんだ(・・・・・)。どういう理由か普通の人間より頑丈にできてる身体が何者かによって弾け飛ばされた。

 犯人はクルクル巻き毛の黄色の少女――――マミである。

 

『おまえ、なんで……』

 

 なんで立てる?

 なんで起きてる?

 

 この空間は今、サチコによって常人では立てないほどの害悪の空気が渦巻いている。

 つまり人がまともじゃない空間なのだ。なのに、なぜ友江マミは立っている?

 

 異常だ。ありない。信じられない。

 

 サチコの生前あった直感が彼女が普通ではないと感じさせていた。

 

「ふふ、ふふふふふふふふふふ♪」

『な、なんなんだおまえは! わたしとおなじなのか!?』

「失礼ねぇ。わたしは『わたし』よ。サ チ コ ちゃん♪」

 

 友江マミの背後に何かがいる。透明な存在のそれはクスクスと笑いながら、マミの身体でクルクル回り始める。

 

「嫉妬、絶望、執着、苦渋、葛藤、狂気、嫌悪、憎悪――――なかなか味のある世界だね」

 

 少女は笑う。それはとても愉快に。

 

「卑屈、憤懣、遺憾、衝動、脅威、憂慮、失意、悪意――――なかなか味のある過去だね」

 

 少女は笑う。それはとても楽しく。

 

「疑心、焦燥、邪念、錯乱、妄挙、虚像、強迫観念」

「嗚咽、孤独、悲嘆、悔恨、懺悔、自嘲、選民意識」

「――――なかなか面白い現象だねぇ。サチコちゃんが起こしているわけでもない……か。元々何かしらのあった力が作用しているだね」

 

 少女達は笑う。マミだけでなく、システムUDも立ち、彼女達二人の後ろにはエメラルドヘアーの女性が笑っていた。

 

『わたしとちがう……いやもっと嫌なナニカ……誰? 誰だ。誰なんだおまえは!!』

 

 サチコ以上の邪悪で狂った存在。

 少女二人を操るその女性はサチコと違って、残忍でも冷酷でも最悪でもなかった。

 

 最凶。

 もっとも関わってはならない変態。

 混沌を導く魔女。

 

 ソラをもっとも心労に導き、千香をイロモノ化させた大馬鹿女。

 

「ノエルちゃん以外何者でもないのさ!」

『わけがわかないよ!』

 

 全くその通りだ。しかしサチコにとって彼女はもっとも警戒すべき天敵なのだ。

 

 なぜなら彼女は全てを台無しにする。

 

 殺人。自殺。惨殺。

 

 それらを導こうとしてもほんの一瞬で復活してケラケラと笑いながら霊体のサチコにセクハラをしてくるのだ。

 何もかも思い通りにならない理不尽――それが子どもにとって最低最悪の悪夢なのだ。

 

「ヌフフフ、お母様からお主をどんな手を使ってでも止めろと言われてるでござる。なのでワッチはこの幼女に子どもにはお見せできないことをするつもりなのよん」

『子どもには見せられないことって……わたしにひどいことするの? エロ同人みたいに!』

「正解! 具体的に言えば触手プレイ!」

 

 指を鳴らすと憑依されていた二人の少女の身体が倒れ、透明だったノエルが具現化し、その足元からタコの触手が生えてきた。

 

「さあ、ヌルヌルのベトベトになってねー♪」

『ヒィ。おかあさん! おかあさァァァァァん!』

「ちなみにキミのママンもこれで籠落させたから」

『おかあさァァァァァん!?』

 

 その後、サチコがどうなったかと言うと――――察してほしい。

 

 それを最後にサチコの作り出した空間は消滅した。天神小学校から吐き出され、無事全員生還した。

 生還した彼らの日常は弱冠変わったらしい。

 

 まず直美がドMに目覚め、智志にもうアタック。結果、智志が変態となった直美によって軽い鬱になる。

 良樹と言うと、真面目に生きていこうと決意する。怖いことがあったのもあるが、一番の原因が千香の変態性であるため。

 

 彼は大学に進学して教師になるのが将来の夢だが、彼の道はやはり困難の嵐であることを追記しておく……。

 具体的に何か? それは変態やらキチガイやら超能力者に巻き込まれる運命らしい。

 

 そんな彼の最近の癒しは篠崎あゆみに愚痴ることになる。彼女は比較的まともなので、まあ彼の心のオアシスになっていたりする。

 

 ……実は彼女の実家が一番まともではないのだが。

 

 残りのメンバーはまあ、普通の生活に戻っている。誰も死なず、誰も失わない。

 そんな結末だったのが、この世界だ。彼らに、彼女達に幸あれと願うばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おかあさん……」

「どうしたの幸子? とても泣きそうな顔をして」

「たこさんのゆめをみたの……。にゅるにゅるしてくるおんなのひとの……うわあぁぁぁぁぁん!」

「……ホント彼女の前世に何があったのかしら?」

 

 転生した少女にトラウマをもたらしたが……。

 

 

 

 

 




神条シンヤ: 踏み台(文字通り)。最期はヨシカズによってマミった

サチコ: この章でもっとも悲劇のヒロイン。転生した後、彼女はこの夢に悩まされ続ける……

仲嶋直美: 変態化した少女。哲志の心労を与える根元に……。そして、彼女は哲志をターゲットしており、もはや彼は逃げられない運命

持田哲志: 幼馴染みがある意味遠い存在になってやや黄昏ている。ツッコミのキレがよくなった

森繁朔太郎: 演劇部だったが彼のリアクションは後にお笑いに活かされることになった

岸沼良樹: 教師になるために猛勉強をして大学に入った。いろんな知人を作り、そして様々な事件に巻き込まれる。具体的に言えば、ドM超能力者や露出狂魔術師やロリコン変身ヒーローなどなど……あれ、変態しかいないや。まあ、千香やノエルのような変態と出会ってなければ、発狂していたとあゆみに愚痴っているらしい。ちなみに作者的には彼は主人公にもいけるキャラだと思っている

篠崎あゆみ: 全く被害もなく、全く影響を受けずに帰還した少女。しかーし、実は原作ではサチコの異空間を作り出した力を持つ実家であるが、どうやらノエルによってその力はなくなりただの霊能力者になったらしい。良樹の愚痴に付き合って励ましている

アンケート②: ラスト二話。おそらく、次で締め切ります。

次回: エピローグと…………最悪への序章?
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