以後、記入してもそのキャラは登場しません
ではどうぞ!
――――ちなみに、とても気分が悪い章かもしれません……
(??side)
その青年は荒野にて、一人戦っていた。血も汗も流さず、向かい来る敵を切り裂く。
その返り血は噴き出さず、敵は人形のように倒れる。
幾度の時が流れるごとに幾度の人を殺す。その数は増えていき、遂には血を流さない死体だらけとなった。
彼は悲しむ様子を見せてなかった。しかし目から涙を流してはいた。
能面の顔から雫を流していたのだ。
――――あぁ、また……まただ
彼は全てが終わった後に、一人の動かなくなった男の前に立つ。彼もまた戦友だった。共に戦ってくれた仲間だった。
なのに……。また彼は失った。大切な仲間を死なせてしまった。
彼は失ってばかりだ。
例えば女騎士。彼女は必死に彼の背中を追っていたが敵の策略で強姦された挙げ句、殺された。
例えば修業僧。強さを求め、彼の隣にいたが戦いを求めるあまりに裏切り、彼を殺した。
例えば今死んだ若い戦士。彼は必死に追い付こうとしていた。しかし、結局殺されて、敵の笑いの種にされた、
それに対して彼が怒らないわけがない。悲しまないわけがない。
ゆえに暴れた。泣いた。怒った。
その果てがこの惨状――――血が噴き出さない肉体のみが残っている。
今もなお、泣いてる彼はまだ子どもだったからなのか、友達想いだったからか、もうそれはわからない。
ただ、彼は泣いていた。それだけが事実なのだ。
――――こうして、彼はまた何かを失い、名を広めていく……
誰も救えない。
誰も救われない。
そんな悲しい少年の物語……。
(ソラside)
オレははやてが通っていた海鳴病院いた。今回は付き添いはなく、オレ一人がこの病院に来ていた。
その病室で包帯に巻かれ、人工呼吸器をつけて眠る少年がいた。
雷斗が昨夜に何者か襲われた。通り魔にやられたのだ。
傷は全身の切り傷で腹部のところには大きな切り傷が出来ていた。もし発見が遅れていたら、手遅れになっていたかもしれない。
「誰がこんなことを……」
「さあね」
答えたのは看病している女性。オレの元担任教師だ。
「命があってホッとしているよ。なんせ、ここでこの子が死んだらまた狂ってたかもしれないから」
「まるでどこかの変態のようだな」
「失礼な。せめて淑女をつけてよ」
「変態は否定しろよ」
そこから先は言葉はなく、最低限のあいさつをしてオレは病院から出た。彼女のことをオレはよく知っている。
だからなのか、言葉がでなかったかもな。
オレが家について扉を開ける――――
――――そのとき、オレの胸に激痛がはしり、世界に異変が起きた
苦しくなった心臓が治まり、膝についた身体を立たせる。何があったんだ……。
そう思いながら、扉を開ける。
「ただいまー。雷斗はまあ、無事だったぞ」
……………………。
返ってきたのは沈黙だった。
家にはまどか達がいるはずだ。用事があるとしたら書き置きくらいしているはずだ。
なのに、誰もいない。
「まどかー? ほむらー?」
二人の寝室に向かう。そこに目をしたのは二人の少女の姿だけでなく…………その私物ですらなくなっていた。
タンスもベッドも小物の全てが。
「ッ!」
おかしすぎる。急に無くなるなんて。
これではまるで誰もいなくなったかのようだ。オレは同じように同居していたはずの少女達の部屋に向かう。
……結果はまどか達と同じだった。誰もいなくなっていた。
彼女達がいたという証が。
そしてそれだけでもなかった。ふと目に入ったのはいつもお皿など入れている棚だ。その上にはアルバムから出されたみんなとオレが写った夏祭りの集合写真だ。
その夏祭りの集合写真にはオレ
「何が……起きている」
この異常な事態にオレは呆然と立っていた。
翌朝、学校に向かった。彼女達がいない登校は……あ、前にもあった。
前世を思い出す前とかだ。まあ、ああいう孤独な日常が久しぶりに訪れたというわけだ。
それから学校に着くと何やら人だかりができていた。
校門までワラワラと集まるほどの。オレは何事なのか、ひょっこり顔を出すとそこにはオリ主くんとまどか達がいた。
「草太。あなたまたあの子達ばかり構って……」
「そうよ。もっとお姉ちゃんにも構いなさい」
「むむ。ボクを除け者にするなんて許さないよ!」
「あははは……なんか修羅場になってるのかも」
「相変わらずだろ」
……え。誰アレ。
まどかが小動物っぽいし、ほむらは普通に嫉妬してるし、マミさんは変わらないし、何より千香が変態じゃない!?
どういうことなのこれ!
「駄目だ。わけがわかんねぇ。なぜかオリ主くんも名前呼びだし、いつの間にか仲良くなっている……し。あれ……?」
何があった? ほんの一日。いや昨日で何があった。
おかしい。あまり仲良くない人間がこんな単純に、あっさりとテンプレにハーレム的なまとまりができるなんてあり得ない。
「とりあえず……聞いてみるか?」
オレは人だかりをかき分け、彼女達に話しかけることにした。すると、彼女達はオレを見るなり穏やかな雰囲気ではなくなった。
「何やってるのお前ら?」
「あなたには関係ないわ」
「あまり近寄らないでって言ったでしょ? さっさと私達の前から消えて」
ひどい言われようだな。オイ。というか、いきなりこれかよ。
「つーか、お前ら。なんでこいつと仲良くなってるの? あんなに嫌っていたのに」
「はぁ? 何わけわかんねーこと言ってるんだよテメー」
「そうよ。どちらかと言えば、あなたのことを嫌ってるわ」
「どういうことだ」
ホントにどうしちまった。何もかも違和感だらけだ。
周りもオレに対して厳しい視線を向けている。ヘイトの強い視線を向けられている。
「さっきからなんなんだ。オレが何かした?」
「したわ。見ず知らずのあなたが私達のことを嫁だとか言って構ってくるし、家まで着いていこうとするわで迷惑しているのよ」
「おまけにパンツを盗んでクンカクンカしていたよ、君は」
「そこまでイタイことしてねぇし、最後のはお前がしていそうなことだろ!!」
「失礼な! それだとボクが変態じゃないか!」
「変態だろうが!」
「ひどい……!」と言って千香はマミさんに泣きつく。だからなんなんだ、これは?
千香の変態性がないし、普通の女の子っぽくなってるし。
すると今まで黙っていたオリ主くんが口を開いた。
「さっきからなんなんだ神威。彼女達に迷惑かけた上に、千香を変態扱いするなんて最低だな」
「最低も何も……ああ、もういいや。別の意味で頭が痛い。何が起こっているのか、さっぱりだ」
「そうか。なら、謝れ」
「は?」
「千香に謝れって言ってるんだよ。土下座しろ」
……こいつ何様? なんでオレが謝らなきゃならないんだよ。オレは舌打ちして言う。
「必要ないな。オレが悪いと思ったら謝るが、そうとは感じない。頭を下げるかよ」
「お前はホントに最低だな」
「最低? はんっ。それは何度も言われてるよ。昔から、あの頃からずっとな」
最低なんて何千何万回も言われている。だからどうしたって話だ。
「そうか」と呟いてオリ主くんがデバイスを起動する。こんな周囲のある目で魔法を使う気なのか?
そう思いながら『神器』を召喚しようとした――――が、手には何も握られていない。
どういうことだ……。確かにオレは召喚を。
と気をとられているうちにオリ主くんがデバイスとカギに似た剣でオレをぶっ飛ばした。身体は地を滑走させて、止まったときオレは目を見張る。
「なんで……なんでお前が」
オリ主くんが握っていたのは、そう。『
その後、オレは誰からにも話しかけられることなく、屋上で一人過ごした。
あれからわかったことはまどか達がオリ主くんの家には同居しており、彼女達は彼に惚れ惚れしている。
おまけに『神器』だけでなく異名まで奪われていた。
――――そう、ヤツは『無血の死神』と呼ばれている。管理局から全てを血を流さず終わらせるエリート戦士という意味を込められた異名だ。
「……ホント。どうなっている」
オレは踏み台転生者というポジションになっていた。噛ませ犬のテンプレ的なことを起こして、ボコボコにされて何度もオリ主くんに噛みついているというそんな設定である。
……いや、学習してないよなそれ。めちゃくちゃ頭が悪い設定ということがよくわかる。
衛やはやてまでオレに対して冷たくなっていた。どうやらオレが二人にひどいことをしたとなっているようだ。
衛に話しかけようとしたら睨まれたし、肩をぶつけられた。態度が悪かったので、後ではやての机にプロテインを仕込んでやった。
筋肉信者という誤解を招かれろはやて。オレの八つ当たりだコノヤロー。
「にしても、一人だなぁ……」
悲しい気持ちはある。
辛いと思う心はある。
けれど出てきたのは涙ではなく、懐かしいと言える言葉だった。
オレはいつも一人……何度もそう考えてきたことがある。前世のオレは帰るべき居場所があったから、孤独と思えなかったが、今は一人ぼっち。
誰も、側にはいないんだ――――戦争の頃のように。
(あいつが『無血』とか笑えるな。だってあれは……)
いや、今は考えることじゃないな。とにかく、オレは全てを失い、居場所を奪われた。
それが明らかな事実だ。放課後で一人、悩みながらオレが空を見上げていると扉が開く。
そこに現れたのはオリ主くんだ。オレはヤツに呼ばれていたのだ。
「んで、オレに何のよう? 一人で黄昏てたいんだけど」
「ああ。お前にやってほしいことがあってな」
オリ主くんは『神器』を向けて言った。
「ここから去れ。俺達の元からいなくなれ」
「わけがわからないよ」
全くだ。なんでオレがここからいなくならなきゃならない。オレが呆れているとヤツは言う。
「お前がいるとこの物語がおかしくなる。また変なことが起きる前に消えろ」
「意味わかんないから却下。というか質問いいか?」
「断る。俺の言う通りにしろ。でないと――――殺すぞ?」
おー、こわっ。殺気が出てるから一般人のオレはチビっちゃいますわー。
はぁ、もういいや。おどけた感じはもうやめて……と。
「お前、その『神器』は誰から引き継いだ?」
「何を言っている。これは元から俺の」
「答えろ。それは誰のものだった? あの神は死んだ今、お前に特典を与えてくれるヤツはいない」
オレがそう言うとヤツは笑う。余裕のある笑みだ。
「引き継いだ……か。確かにこの力はお前のモノだったな」
「認めるんだな、あっさりと」
「当たり前だ。それにこの力は俺にだからこそ、ふさわしい。そうだろ」
「そうとは思えないがな。その異名も」
「そうかな? 俺がとても強いという英雄の証――――そうだろ?」
それに対して、オレは嘆息を吐く。ホントに何もかも勘違いしているから呆れた。
こいつの考える英雄像がなんと言っても間違いだらけだ。
別に答えるつもりもないけど。
「くだらない話は終わりだ。もう帰る」
「なんだ。まどか達に対してなんとも思わないのかお前は?」
「お前が原因のくせにほざくな。『オレを知らないまどか達』なんて、仲間でもなんでもない」
冷たい話だが、そう割り切るしかない。限りなく近い存在――――いわゆる平行世界の友人が友達だと言えないように、オレにとってそいつが知り合いでもなんでもない。
オレが望むの友人は『オレを覚えてくれている人間』しかいない。忘れてしまう人など、関わろうとしたくない。
かつて裏切りと利用ということでオレの心は普通ではなくなっている。ここは絶望するところなのだが、オレは気にしない。
オレはさっさとここから出ていくことにした。
まあ、当面はこの現状がどうやって起こしたのか、それをどうやって解決していくのか、考えていく。
味方のいないのは、おそらく戦争以来かもしれないな。
そう思うと自嘲した笑みが出てきた。
「そうか……なら」
オリ主くんが背後から斬りかかろうとしてきた。オレはただ横に逸らして避ける。そして、その顔に裏拳を与える。
顔を歪めてフェンスに激突したオリ主くんに追撃はせず、屋上から出ようとしたら扉が開いてまどか達が現れる。
「草太くん!」
「テメー、草太に何を――――」
「黙れ。うざいんだよお前ら」
ドスの聞いた声で黙らせる。はっきり言ってオレのことを覚えていないことは悲しいし、敵意を向けられるのも辛い気持ちはある。
けど、それよりもオレはこの『理不尽』にキレていた。
いくら忘れようが敵意を向けようが、オレを問答無用に『悪い』と決めつけられることが許されない。
オレは校舎へ入ると、後ろから敵意よりも驚愕しているまどか達の視線を受けながら、帰った。
前書き: ソラの過去。『無血の死神』のルーツです。この異名――――実はただの英雄の証ではないですよ?
世界改変: 何者かによってソラの立場が『踏み台』へとシフトした。その上、『神器』も奪われ、居場所も奪われた彼だが……?
ドライなソラ: 「そんな簡単に割りきれるのかよ」と言いたい人がたくさんいたと思いますが、戦時のソラは多くの敵と戦っています。その中には味方だった人もいますが、裏切りと洗脳により敵となって立ちふさがり、彼は躊躇なく抹殺しています。つまり、彼は『味方や仲間』でなければ問答無用に、排除にかかります。――――たとえ、それがかつては大切な人であっても……
神威ソラ: 『踏み台』となった少年。かつて大切な人達の手のひら返しにやや絶望したが、なんやかんや言ってそれは戦時のときも一緒なので『なつかしい』と思っている変わり者。大切な人であっても排除することには、反対するものだが、それで世界や自分の命となれば問答無用に排除する。……しかし、頭でわかっていても感情では納得していないので、生きて一生それで苦悩し、後悔していくことが罪滅ぼしだと考えている。
天宮草太: 主人公――――に成り代わった少年。遂にやりあがったクソヤローと言うわけである。独善的な思考回路は相変わらずで、ソラの『神器』とその異名を手にいれてご満悦。しかし、『神器』を使いこなせていないし、その異名も思いきり勘違いしている。『無血の死神』はただの英雄や優秀な証という異名ではないのに……
ソラの嫁ーズ: 草太の嫁ーズにシフト。……ぶっちゃけ、昔の彼女達である。しかし、今と変わらず、約一名が生き残っている。そして嫁候補がソラの味方になっている
ぼけなすの想い: 今回、ソラはこんな感じで割りきりましたが普通は割りきれません。自分の居場所が他人によって奪われ、そして卑下されることは到底耐えきれないものです。もし、ソラが普通の感性ならば心が折れて立ち直れなくなっていたかもしれません。しかし、ソラは裏切りなどよって、簡単に味方から敵になる事態が何度もあったので、彼はすぐに『まどか達は敵になった』と割りきりました。もちろん、心では納得してないところもありますが、今はとにかくどうするかと彼は考えていきます。――――自分の願いはそんなソラを応援してほしい……それだけです
次回: 味方は確かにいた――――けれど、同時に絶望もある。混沌としながら彼はただ進むだけ。