神威天気。白銀のツインテールでまとめた髪にオレと同じ瞳の少女。
オレの娘らしいが、千香の血が濃い娘だと思う。出会って数十分でセクハラされて襲われたからな。
そしてキアラが匂いフェチだったということが判明した。いや、判明したというより目覚めさせられた。
未来の千香……お宅の娘さんはとんでもない女やったで。
「……痛いぃ」
「ぐっ……まさか『無血の』に拳骨を落とされるとは」
「うぅ、幼いパパにキズモノにされるなんて……はっ。でもこれは既成事実として使えるのでは!? キアラ母さん!」
「む? そうなのか。わたしとしてはキズモノとは、女の子の純潔を――はぴゅっ!?」
「キアラ母さん!? ひどい。わたし達をこんなにキズモノにするなんて、この後ひどいことするのね! エロ同人みたいに!」
「いい加減に黙れ!」
変態二匹を再び拳骨で黙らせて、嘆息を吐く。
「さやか、どうすればいいんだ? さっきのシリアスが嘘のようにカオスに侵されたんだけど」
「知らないわよ。それをなんとかするのがアンタの役目でしょ。あたしの役目はチョコボールを食べることだから」
「いや、手伝えよ。つーか、お前いつから食いしん坊キャラになった? 杏子のキャラだろ、それ」
「一応、双子の姉妹という設定だし。ほら、食いしん坊キャラの双子の姉妹って新しいでしょ?」
「食費が大変な姉妹だし、お前の場合。太る――」
チャキッ(サーベルを首元に向けられる)
「何か?」
「さやかさんはスリムだねぇー。おっぱいも大きいしって言ったんだ」
脅迫されたので黙る。ちなみにおっぱいに関してのセクハラ発言は細やかな仕返しである。
しばらく話をしてわかったことがある。
まず、オレのことを完全に忘れたわけではなさそうだ。キアラのようにすり替えさせられた違和感が残り、疑心が生まれていく。しかし、オリ主くんはそれを利用してオレに嫌悪感を植え付けさせたようだ。
別に嫌われたところで問題はないが、その嫌悪感を踏み台転生者の悪行を払う正義として、オレに暴力を振るうのはどうかと思う。
そして『神器』。あれもオレの『神器』であり、オレの魂の一部から強制的に召喚されたものらしい。
ホントに盗人のようなことをしていやがる。みんなを元に戻したらぶん殴ろうと思う。
「んで、オレは何をすればいい?」
「キミにはこのシュミレーション通りに行動してもらいたい」
キアラに手渡されたのは数ページのレポート用紙だ。オレはそれを読みながら想像を始める――――
(シュミレーション1 『スケベ魂』)
※以下、シュミレーションとソラの想像が混ざった展開です(笑)
ソラはある少女の背後にいた。少女は普段は変態として有名だったのだが、いつの間にか清楚で気品ある女の子となった天ヶ瀬千香という少女だ。
ソラはこっそりと近づく。バレないようにひっそりと、そして彼は千香が何かを落としたとき、アクションをかけた。
彼は足を走らせ、そして彼女が吐いてるスカートに手をかけて叫ぶ。
「『秘技、スカート捲りィィィィィ』!!」
彼女のスカートは捲り上がり、そしてかわいらしいパンツを見せる。彼女は顔を赤くしてブルブルと震える。
そんな彼女にソラは言う。
「ええ、パンツやで」
「きゃあァァァァァ! 痴漢んんッッ!!」
ソラの頬に紅葉マークが出来上がり、そして彼は警察に注意されるのだった……。
(シュミレーション終了)
「これならば天ヶ瀬千香の記憶は甦るはずだ」
「ねぇよ! むしろオレが変態になってるぞ、これ!!」
まさかのボケにビックリである。あのいつも合理的に考え、厳しいキアラがこんな悪ふざけな計画を考えるはずがない!
「む? そうなのか? 友江さやか曰く、『これなら、バッチリ千香の記憶が取り戻せるよ』と言っていたが……」
「さやかァァァァァ!!」
さやかが「あははは」と笑いながら誤魔化す。
「だって変態行為したら、真っ先に変態が目覚めるって知られてるじゃん」
「変態ハザードを起こせるのは千香とノエルだけだっての! つーか、そもそもオレは変態じゃねぇから!」
「はっ。しまった。盲点だった!」
「盲点どころか気づけよ! オレが変態扱いされてるってことを」
「ごみーん☆」
「テヘペロして誤魔化すなァァァァァ!」
身体を揺さぶり、怒鳴り続ける。心外な上に、こいつと話し合わなければならないことができたのだが、キアラに制止をされる。
熱くなりすぎて脱線した。とにかくキアラが次に渡してきたレポート用紙に目を向ける。
(シュミレーション2『筋肉番付』)
一人の少年が彼女と共に仲むつましく歩いていた。名前は衛とはやてだ。
普段はバカップルぷりを見せてばかりなカップルだが、不運なことにこれから起きることに同情する。
二人が訪れた公園に一人の少年が、バスタオル姿で佇んでいた。衛ははやての前に立ち、盾になろうする。
すると少年――――ソラはバスタオルを脱ぎ捨て、その姿を見せる。
ブーメランスタイルの海パン一丁で、上半身は裸だ。しかし、その上半身は少年とは思えないくらいのダイナマイトボティ。いわゆる、ガチムチマッチョだった。
「見よ、この素晴らしき筋肉をォォォォォ!」
「ぬぅ、この筋肉……貴様! ただものではないな!」
「フハハハハハ! マッスルキング衛よ。貴様の栄光はこれまでだ! 今日の日を境にマッスルキングはこのオレがもらう!」
「なるほど、挑戦者か……ならば答えるまで!」
衛も己の肉体を見せるために脱ぎ捨て、筋肉を見せる。
「さあ……」
「マッスルロンパの」
「「はじまりだ!!」」
「なんでやねん!!」
はやてのツッコミが空に響くのだった……。
(シュミレーション終了)
「うむ。素晴らしいな。さすがは男の友情だ」
「こんな友情育みたくねぇよ!」
またさやかか! さやかが考えたのか!?
「む、なんだと? このわたしが直々に考えた計画だぞ」
「キアラさァァァァァん!?」
お前、そういうキャラじゃねぇだろ!
てか、こんな友情――――衛と共に筋肉キャラに目覚めてどうするんだよ! 誰が喜ぶんだよ、この展開!
「うーん、さすがキアラ。ライバルというポジションにつかせることで重要なファクトリーに仕立てあげるとは……。少年漫画の常識だね!」
「納得するなよ! 誰がこんな筋肉で語り合う熱血展開を喜べるんだよ!」
「まどかじゃね?」
「そういえばあいつ筋肉フェチだった……!!」
筋肉フェチな性癖となった彼女。……昔は無害な小動物だったのに、今では発情ピンクに。
……なんで、ああなった!
「まあまあ、最後のこのシミュレーションを見て考えくれたまえ」
「ホントにまともなモノだろうな?」
「安心したまえ。今度のは神威天気と友江さやか、そしてこのわたしが悩みに悩みぬいて思い付いたアイデアだ」
ホントに大丈夫か……?
オレはそのシミュレーションが書かれたレポート用紙のタイトルを見た。
『シミュレーション3 ウホ、良い男……ヤ ら な い か』
「これでキミも今日から
「やる気ねぇだろお前ら!!」
レポート用紙を引き裂き、シャウトするのだった。
シミュレーションの全てを破棄し、大人モードとなってオレは銀行に来ていた。理由としてはお金をおろすためだ。
今まで、まどか達にサイフを握られていたため、オレのお小遣いがフリーダムとなった。
「これで北海道行き巡りができる……ジュルリ」
「それやったら元に戻ったまどか達にチクるから」
「ちくせう」
まあ、おとす金額は今月の食費である。この後、スーパーに行って買い物するだけだ。
オレの窓口番号が言われたとき、二人の男女が天井に発砲した。それにより周りが騒ぎになる。
「静かにしやがれ!」
「そうだよ。大人しくしないと撃つよ!」
発砲したのは銀行強盗団だ。他にも仲間がいたのか、同じく覆面を来た男女が現れた。
って、オイ、よく見たら……。
「俺達は『神威強盗団』だ! 今日、この銀行の有り金をいただく!」
…………オイ。
「ねぇ、ソラ。今、アイツら神威って」
「……紹介するよ」
――――オレの今世の両親だ
そう言って嘆息が出た。
神威天気: 苗字は偽り。本当は天ヶ瀬。千香の娘でやはり変態。のんびり屋さん
シュミレーション: 想像。まさかのソラの変態化しかない件
マッスルロンパ: 筋肉で語り合うアレ。お互いの筋肉で語り合い友情を育むのが目的。
神威夫妻: 初期の踏み台。刑務所から仮出所のところを何者かが取り引きを持ちかけてこのようなことに及んだ模様
次回: シリアスが続くぜベイビー